内容紹介
・制御性T細胞(Treg)は,1980〜1990年代にかけて,免疫自己寛容の導入・維持に必須のリンパ球として研究がはじまった.本特集では,Tregの基礎研究から臨床応用まで広く研究の現状を紹介する.
・近年,Tregの発生・分化,機能の分子的基礎,転写因子とのネットワークなどが明らかになりつつある.また,単なる免疫抑制だけでなく,組織の恒常性・再生にも重要な役割を担っている可能性も示されてきた.
・Tregの強化による自己免疫疾患の治療・予防,逆にTregの減弱によるがん免疫の惹起・強化なども期待されており,研究が進められている.本特集ではこれらの最新の知見についても解説いただく.
目次
基礎
【分化】
Treg 分化におけるエピゲノムの役割 大倉永也・安水良明
制御性T 細胞の系列安定性 中島 啓・堀 昌平
胸腺における制御性T 細胞分化 宮澤龍一郎・松本 満
組織特異的制御性T 細胞 伊藤美菜子・他
樹状細胞によるTreg 分化の制御 佐藤克明
SATB1 によるT 細胞分化と免疫寛容の制御 田中ゆり子・近藤元就
Nr4a ファミリー転写因子によるTreg 制御 関谷高史
カルシウムシグナルによる制御性T 細胞の分化と機能の制御 大洞将嗣
母体由来短鎖脂肪酸によるTreg 分化の制御 中島章人
【機能】
Treg 分化と機能におけるTCR シグナルの役割 田中 淳
Treg による免疫抑制メカニズム 知念孝敏
エフェクター型制御性T 細胞分化・維持の分子基盤 村上龍一・堀 昌平
濾胞性制御性T 細胞 木本富子・James B. Wing
転写因子Id2,Id3 による制御性T 細胞の制御とTH2 型炎症 宮崎和子・宮崎正輝
自己免疫寛容におけるFoxP3 陽性Treg とPD−1 竹馬俊介
【組織免疫】
腸内細菌由来代謝産物によるTreg 制御 大野博司
食品成分による自然免疫受容体を介した腸管Treg の制御 岩倉洋一郎
制御性T 細胞の恒常性維持におけるアミノ酸の役割 池田佳世・竹田 潔
粘膜上皮細胞死による制御性T 細胞数の制御 中澤優太・他
DNA メチル化機構による腸管Treg の機能制御 長谷耕二
腸管組織の恒常性維持に必要な制御性T 細胞の抗原レセプターの多様性─Treg レパトワによる腸管恒常性維持 西尾純子
皮膚制御性T 細胞の役割 花川 奨・他
皮膚の樹状細胞と制御性T 細胞のクロストークによる免疫制御 山崎小百合・森田明理
代謝制御による腫瘍内Treg の制御は可能か 國定勇希
制御性T 細胞による骨髄環境制御 錦井秀和
健常時から末梢組織炎症時における制御性T 細胞の生体内動態と関連した多様性・機能変化 戸村道夫
【Treg の多様性】
LAG3 陽性制御性T 細胞による免疫制御機構 岡村僚久
腸管上皮CD4+CD8αα+T 細胞における腸管恒常性制御 筋野智久
慢性感染症におけるIL−27 産生性制御性T 細胞 由井克之
臨床
【自己免疫】
ゲノムワイド関連解析と制御性T 細胞 山本一彦
関節リウマチにおける制御性T 細胞 小松紀子・高柳 広
IPEX 症候群 金兼弘和
多発性硬化症と制御性T 細胞 山村 隆・木村公俊
天疱瘡抗原デスモグレイン3 に対する自己免疫応答と制御性T 細胞の役割 高橋勇人・天谷雅行
シェーグレン症候群の病態機序と制御性T 細胞 石丸直澄・山田安希子
【さまざまな疾患・病態】
がん免疫における制御性T 細胞の役割 大植祥弘
アレルギー疾患と制御性T 細胞 三上統久・杉本 篤
妊娠における制御性T 細胞の役割 津田さやか・齋藤 滋
制御性T 細胞による動脈硬化の予防 佐々木直人
制御性T リンパ球とHTLV−1 感染症 松岡雅雄・安永純一朗
次号の特集予告
サイドメモ目次
エピゲノム
Aire
スーパーエンハンサー(SE)
抗原提示細胞(APCs)
ストア作動性カルシウム(Ca)流入
アゴニスト選択細胞
mTOR 経路
遅延型アレルギー反応
光変換蛍光蛋白質発現マウスを用いた生体内動態解析系とTreg の検出
腸管組織とその所属リンパ節
実験的脳マラリア
IL−12 ファミリーサイトカイン
Tph 細胞
関節リウマチ(RA) の治療法の現状
ヒトCD25+CD4+T 細胞
がん免疫療法のはじまり
非遺伝母由来抗原(NIMA)特異的Treg
急性冠症候群と不安定プラーク
紫外線B 波(UVB)
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