やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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医学のあゆみ
298巻1号
日本における臓器移植の「青写真」 ─脳死ドナー300件時代に向けて
7月第1土曜特集

定価 2,970円 (本体 2,700円+税10%)
  • 総頁数:112頁
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2026年7月
  • 注文コード:929801
  • 雑誌コード:20471-7/4

内容紹介

・日本において,脳死下の臓器提供数は近年増加傾向にあり,2025年には過去最多となる146件が報告された.しかし,国際的にみると人口100万人あたり約1.1人/年にとどまっており,他の先進国と比較して依然低水準である.
・脳死下臓器移植は多職種の高度な協働を要する医療であり,実施施設に大きな負荷をもたらす.各施設の移植受け入れ体制強化,臓器ごとの特性に応じた多様な課題,緊急度をふまえた臓器斡旋システムのあり方,新しい臓器保存技術の導入,増加する移植後患者の長期管理など,検討すべき課題は少なくない.
・本特集では,日本における脳死下臓器提供の現状,移植実施施設が直面する課題,そして臓器別の現状と展望について,各専門家たちが解説する.

序文

はじめに
 佐藤雅昭
 東京大学大学院医学系研究科呼吸器外科学
 2026年,日本の脳死下臓器移植は大きな転換期を迎えている.脳死下の臓器提供数は近年増加傾向にあり,2025年には過去最多となる146件が報告された.2015年の58件から10年間で約2.5倍の増加であり,日本臓器移植ネットワーク,厚生労働省,移植関連学会,そして提供施設関係者の長年の努力の成果といえる.しかし国際的にみれば,日本の脳死下臓器提供数は人口100万人あたり約1.1人/年にとどまり,隣国韓国の約1/7,米国の約1/50と,先進国のなかでは依然として低水準である.
 一方,2024年元日には,国内の複数の移植実施施設において体制上の理由から臓器受け入れを断念した事例が多数あったことが報道された 1).脳死下臓器移植は外科医のみならず麻酔科医,看護師,臨床工学技士など多職種の高度な協働を要する医療であり,緊急性の高い移植を担うことは実施施設に大きな負荷をもたらす.こうした状況を受け,2026年度診療報酬改定では“臓器移植実施体制確保加算”が新設され,臓器採取術および臓器移植術の所定点数に対して大幅な加算が認められることとなった.この画期的な施策を契機として,各施設がいかに移植受け入れ体制を強化し,持続可能な移植医療を構築していくかが重要な課題となっている.
 さらに臓器移植医療は,臓器ごとの特性に応じた多様な課題を抱えている.緊急度を踏まえた臓器斡旋システムのあり方,新しい臓器保存技術の導入,増加する移植後患者の長期管理など,検討すべき課題は少なくない.
 本特集『日本における臓器移植の「青写真」―脳死ドナー300件時代に向けて』では,日本における脳死下臓器提供の現状,移植実施施設が直面する課題,そして臓器別の現状と展望について,各分野の専門家に執筆をお願いした.本特集が,日本の臓器移植医療の持続可能な発展に向けた議論の一助となれば幸いである.

 文献
 1)読売新聞.臓器移植見送り,東大・京大・東北大で昨年60件超…提供集中で「対応できる限界超え」.2024年1月1日.(https://www.yomiuri.co.jp/medical/20231231-OYT1T50183/)

目次

 はじめに(佐藤雅昭)
システムとしての臓器移植
 いかに臓器提供者数を増やしていくのか─臓器提供施設の現状と課題(山口征吾)
 日本臓器移植ネットワークの現状と課題(蔵満 薫)
 臓器摘出の現在と将来に向けた取り組み(原 貴信・他)
 臓器移植対策推進のための行政の役割(島田志帆)
 日本移植学会の現在と将来の使命(小野 稔)
ドナー300件時代を迎える移植実施施設の課題
 手術室への負担と解決への道筋(深柄和彦)
 麻酔科への負担と解決の道筋(河村 岳)
 移植の件数増加に伴う臨床工学技士の負担と解決への道筋(柏 公一)
 ICUへの負担と解決への道筋(土井研人)
 臓器移植患者を受け入れる一般病棟の課題─病棟管理と看護に焦点をあてて(宇野光子・武村雪絵)
 移植実施施設の増加か集約化か─“脳死ドナー300件時代”を見据えた現実解(藤田知之・田所直樹)
 移植内科医の育成と地域連携(佐藤雅昭)
臓器別にみた日本の臓器移植の現状と課題
 心移植300例時代は到達可能なのか?(六鹿雅登)
 肺移植の現状と課題(岡田克典)
 肝移植の現況(伊藤心二・他)
 腎・膵移植の現状と課題(伊藤泰平・他)
 日本における小腸移植の現状と展望─腸管不全登録と国際動向をふまえた治療戦略の最前線(上野豪久)

 次号の特集予告