やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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エンド難症例への挑戦
よりよい治癒を目指して

定価 5,280円 (本体 4,800円+税10%)
  • 総頁数:88頁 / カラー
  • 判型:A4判
  • 発行年月:2015年3月
  • ISBN978-4-263-44432-0
  • 注文コード:444320

エンド治療に一生懸命取り組んでいる方々へ
エンド難症例に挑戦するために

内容紹介

エンド難治症例(再治療症例)は非常に多く,その原因は,根尖孔付近の根管あるいは根尖孔周囲の細菌が除去できないことにあります.

難治症例とは,
① 自発痛,打診痛,咬合痛,違和感などが消退しない
② 根管内から排膿が止まらない
③ 患歯の歯肉の腫脹が収まらない
④ 根尖透過像が縮小しない
などの症例です.

本書の基礎編は,エンド治療の考え方やエンド治療の具体的な内容,さらには超音波吸引洗浄器やマイクロエキスカなどを用いた根管内や根尖孔周囲の細菌除去などについて具体的に解説.臨床編は,感染根管治療,マイクロエキスカを用いた再治療,破折ファイルの除去,ガッタパーチャの除去,根尖部アマルガムの除去,ポケット内の清掃などについて多数の症例で解説した必読の書.

本書のパンフレットはこちら(PDFファイル 約1.02MB)

序文

序文
 エンド治療は一生懸命やっても治るかどうかわからないという意味で,悪い意味で挑戦的(Challenging:難しいという意味で)です.保険点数が低いことばかりでなく,上記の理由で真面目にやる気のしない面倒な治療となっています.しかし,最近では患者さんの要求も厳しくなり,「治療した後いつまでも痛みが取れない」という理由での訴訟のケースも増加していると聞いています.
 本書のタイトルの「挑戦」という言葉はChallengingの興味深い,魅力的なという意味で使っています.エンド治療の否定的な面に対する挑戦です.現在使えるあらゆる機材を駆使し,十分な時間と辛抱強さを武器(Armamentarium)として,一見すると不可能と見えることにも挑戦しようとする私たちの試みです.しかし,治るかどうかはっきりしないような症例に無謀に取り組むことは,患者さんにとっては迷惑な話ですし,術者にとっても大変なプレッシャーになりますので,極力避けるようにしています.
 そこで,私たちはCBCTでの詳細な診断(根尖病変の位置の特定,広がりの大きさ,根管の複雑な形態など)を基に,十分な討論をしてから治療を開始し,術中は顕微鏡下で可及的に根尖孔外の歯周組織の状態を確認しながら,できる限りのことをやろうとしています.治療中の特殊な機材としては,筆者らが開発した超音波吸引洗浄器および岡口守雄先生らの開発したマイクロエキスカを用いています.本書に記したような治療で,ほとんどのエンド症例を非外科的に治すことができると私たちは考えています.
 私たちが行っている治療法は,よさそうだが,とても難しそうだと思われるかもしれませんが,あきらめる必要はありません.毎日顕微鏡を見ながらエンド治療していれば,1~2年のうちに,ほとんどの人が同じような治療ができるようになると考えています.もう一人の著者の戸田賀世先生は,2年足らずのうちに私のできないことをできるようになりました.戸田先生の素晴らしいところは,天才的にあきらめない(しつこい)ことです.私たちの目指しているような治療をさらに発展させるだろう若い歯科医師が,できるだけ多く出てくることを大いに期待しています.そうすれば,日本のエンドは世界一になれる可能性があります.
 小林 千尋


 人の骨はリモデリングしていますが,同じ硬組織なのに歯は再生しません.感染根管治療で歯を再生させることはできませんが,根尖歯周組織を再生させることが可能です.歯の内側から感染源を除去することにより,歯を抜かずに保存したまま,人間が本来持つ自然治癒力を引き出し,骨や歯根膜を再生させることができるのです.それが,この治療の最大の魅力だと私は思います.
 感染源の特定と除去をできるだけ丁寧に根気よく行えば,今まで難しいと思われていた症例も治癒に導くことができます.本書の基礎編ではエビデンスに基づいて私達の行っている治療法について考察しました.
 私が岡口先生に教えていただいた根気なくして,この治療を成功に導くことはできません.臨床編では症例に込められた根気も読み取っていただけたら嬉しいです.
 戸田 賀世

目次

I 基礎編
1 はじめに
2 難治症例とは
3 歯内療法は言われてきたほど治っていない
4 歯内療法が言われてきたほど治っていないことの原因
 ・不十分な根管内細菌の除去
 ・不十分な根管充填材の封鎖性
5 感染根管治療の目的は根管内(主に根尖孔付近)の消毒ではなく細菌を除去することである
6 根尖治療の考え方
7 根管内に生きた細菌を残したまま根管充填されることが多い(不十分な根管内細菌の除去)
8 再発(再感染)の原因はコロナルリーケージか根尖部付近に残存した細菌か
9 根尖部付近に残存した細菌の生存の可能性
10 根尖孔付近の細菌除去のためには,根尖孔が穿通されていなければならない
11 根尖孔周囲の細菌除去のためには,根尖部の根管がある程度広く形成されていなくてはならない
12 根管内(主に根尖部)の細菌を除去するためには,十分な洗浄が有効である
13 根管内(主に根尖部)の細菌を除去するためには,マイクロエキスカの使用が有効である
14 マイクロエキスカとは
 ・マイクロエキスカの利点
 ・マイクロエキスカの欠点
15 マイクロエキスカで何ができるか
16 根尖部の根管の形態とマイクロエキスカ
17 ガッタパーチャの除去
18 根尖歯周組織内に溢出(残存)した根管充填材の除去
19 MTA根管充填とは
20 CBCTの有用性
 ・CBCTによる術前の確実な診断
 ・CBCTによる術中の診断
 ・術後のCBCT撮像
21 まとめ
 基礎編 参考文献
II 臨床編
1 感染根管治療
 ・感染根管治療(他院で治療されていないもの)(1)下顎左側第一大臼歯
 ・感染根管治療(他院で治療されていないもの)(2)上顎左側第一小臼歯
 ・感染根管治療(他院で治療されていないもの)(3)上顎右側側切歯
 ・感染根管治療(他院で治療されていないもの)(4)上顎右側第一大臼歯
2 再治療
 ・マイクロエキスカを使用しなくてはならない症例とは
 ・マイクロエキスカを用いた再治療では,根管(主に根尖孔周囲)の清掃をマイクロエキスカを用いて徹底的に行う.具体的には,軟化象牙質,壊死汚染物質,ガッタパーチャ,シーラー,などを徹底的に除去する.
 ・再治療(1)樋状根の下顎左側第二大臼歯
 ・再治療(2)上顎右側第一大臼歯
 ・再治療(3)上顎右側第一小臼歯
 ・再治療(4)上顎左側第一小臼歯
 ・再治療(5)下顎右側第一大臼歯
 ・再治療(6)下顎右側第二大臼歯
 ・再治療(7)下顎左側第二大臼歯
 ・再治療(8)上顎右側第一大臼歯
 ・再治療(9)上顎左側第二大臼歯
 ・再治療(10)上顎右側第一大臼歯
3 破折ファイル除去
 ・破折ファイル除去 下顎左側第二大臼歯
4 ガッタパーチャの除去
 ・ガッタパーチャの除去(1)上顎左側中切歯
 ・ガッタパーチャの除去(2)上顎右側犬歯
 ・ガッタパーチャの除去(3)上顎左側第二大臼歯
 ・ガッタパーチャの除去(4)下顎左側第一大臼歯
 ・ガッタパーチャの除去(5)上顎右側第一小臼歯
5 根尖部アマルガムの除去
 ・根尖部アマルガムの除去 上顎右側側切歯
6 ポケット内の清掃
7 マイクロエキスカの手入れ
8 まとめ
9 終わりに

 あとがき
 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【著者略歴】
小林千尋【こばやしちひろ】
 1975年 東京医科歯科大学歯学部卒業
 1979年 東京医科歯科大学大学院修了
     医学博士
 1979年 東京医科歯科大学助手
 1982年 東京医科歯科大学講師
 1983年12月~1985年1月
     文部省在外研究員として
     米国テンプル大学に留学
 1992年 東京医科歯科大学歯科保存学
     第三講座助教授
     東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
     摂食機能保存学講座歯髄生物学分野准教授
 2013年 東京医科歯科大学退職
     東京医科歯科大学歯学部附属病院
     歯科総合診療部非常勤講師
 主な著書:オートリバースハンドピースを用いたニッケルチタンファイル根管形成法(2000,医歯薬出版)
      新楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー(2012,医歯薬出版)
      根管洗浄─よりよい治癒を目指して(2012,医歯薬出版)
      MTAの臨床─よりよいエンドの治癒を目指して(2013,医歯薬出版)
戸田賀世【とだかよ】
 1994年 東京医科歯科大学歯学部卒業
 1998年 東京医科歯科大学大学院(生体有機材料学専攻)修了
 1998年~2001年
     虎の門病院 歯科 非常勤勤務
 2001年 東京大学大学院工学系研究科 非常勤講師
 2005年 ソウデンタルオフィス開業

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小林千尋・戸田賀世 著

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