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MTAの臨床
よりよいエンドの治癒を目指して

定価 5,060円 (本体 4,600円+税10%)
  • 総頁数:88頁 / カラー
  • 判型:A4判
  • 発行年月:2013年12月
  • ISBN978-4-263-44407-8
  • 注文コード:444070

世界で話題のMTA
MTAを臨床で正しく使用するために必要なエッセンスを網羅した待望の書!

内容紹介

話題になっているすぐれた材料であるMTA(論文数2000以上)をより正しく使用するために

MTAの利点は
①血液,組織液の存在下でも硬化する
②封鎖性が良好
③組織親和性が高い
などがありますが,緊密に充填するためには,独特なテクニック,熟練が必要とされます.

本書は,基礎編ではMTAの組成,物理的性質,生体適合性など臨床で有効に用いる際に必要な知識をまとめ,臨床編では取り扱い,偶発的穿孔の処置,直接覆髄,逆根管充填,根管充填,歯根の亀裂の封鎖などについて症例とともに解説した実践ガイドです.

本書のパンフレットはこちら(PDFファイル 約1.49MB)

序文

序文
 偶発的穿孔を生じた症例は,的確に処置しないと必ず増悪する.的確な処置とは,細菌の侵入を防ぎ,残存する細菌が増殖するためのスペースを確実に封鎖することである.従来,この目的に適する封鎖材がなかったために,予後は惨憺たるものであった.
 偶発的穿孔は,根管の形態を熟知していない初心者において生じやすいことは自明であるが,それのみならず,見つかりにくい根管を見つけようとすると,ベテランの歯科医師においてもある程度の頻度で必ず生じる.見つかりにくい根管を敢えて見つけようとするのは,むしろ真面目な歯科医師である.MTAはこのような真面目な歯科医師の失敗をリカバーすることのできる材料である.
 MTAの登場により,偶発的穿孔の問題はほぼ克服された.それと同時に,従来のガッタパーチャによる根管充填の脆弱性も明らかになってきた.MTAで治療した歯は確実に治癒する.ただ,MTAは的確に充填するのが非常に難しい材料である.難しさのほとんどは,水の量のコントロールにある.これは多少の修練で克服できる.
 高価であること,詰めにくいことを考慮しても,あまりある利点をもつのがMTAである.多くの歯科医師が,MTAの扱いに慣れて,エンドの難症例を克服することができるようになれば,患者さんにとってもこれ以上のことはない.失敗症例に正面から向き合える歯科医師が増えることは筆者の願いでもある.
 MTAの硬化と水の関係を理解することが,MTAを的確に臨床応用するためには必須であるので,このことに重点をおいてこの本を上梓した.
 貴重な症例を提供していただいた岡口守雄先生には,この場を借りてお礼申し上げる.
 2013年12月
 小林千尋


緒言
 筆者は,MTAが市場に現れた(1998年)次の年のAAE(米国歯内療法学会)でMTAを入手し,MTAを臨床的に使い始めた.その後,早い時期にMTAのよさを実感できたので,日本だけが立ち後れるのも残念であるので,厚労省の認可前であったが,普及させる意味でも,機会があるごとにMTAは優れていると言い続けてきた.2002年発刊の『楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー』でも紹介した.
 ヨーロッパでも,日本と同じようにMTAの普及は遅れた.ヨーロッパの歯内療法学会(European Society of Endodontics)でも,アメリカのエンド専門医がMTAの発表をしたときに,「アメリカの人はMTAがよいというが,エビデンスがないではないか,そんなによいとは信じられない」と発言したヨーロッパの歯科医師がいた.ヨーロッパでもMTAの導入は遅れているのだと思った.
 その原因としては,開発したTrabinejadがMTAがよいという主旨の論文を一気呵成に出したことに因ったのではないだろうか.筆者も,臨床応用するまでは,そう思っていた.今,Trabinejadの論文を読むと,それほど誇張しているようにも,データを作っているようにもみえない.やはり,MTAは素材として優れていたのだろう.
 とにかく,MTAは優れた材料なのだが,非常に高価であり,扱いも難しいところがある.日本では,売れているわりには使われていないとも聞いた,筆者の症例も蓄積してきたので,多くの人がMTAを正しく使えるようになるという願いをこめて本書を執筆した.MTAは,今や世界中で話題になっているので,『Jouranal of Edodontics』,『International Endodontic Journal』の2つだけでも論文の数は1,800程度ある.筆者も,そのすべてを詳細に読むことは不可能であったが,その多さに,文献の海で.れそうになった.その作業を支えたのは,多くの歯科医師に正しい情報を伝達しなくてはという思いと,もう少しMTAのことを知りたいという知的好奇心であった.
 また,最近,MTAを根管充填材として用いる人が徐々に増えてきたが,MTAは根管充填材としても大変優れているので,ここにも多くのページをさいた.

目次

 緒言

I MTAとは
 コラム MTAはなぜ効くか
II MTAの組成
 コラム ポートランドセメント
 コラム MTAの操作性の悪さ
III MTAの物理的性質
 1 MTAの硬化
 PCの硬化機構
 MTAの硬化機構
  1)MTAの混水比の硬化に与える影響
  2)MTAの硬化時間
  3)MTAの硬化膨張
  4)MTAの硬化に及ぼす組織液・血液の影響
  5)MTAの硬化に及ぼす硬化促進剤の影響
 2 MTAの溶解性
 3 MTAの強度
  1)圧縮強度
  2)曲げ強度
  3)押し出し強度
 4 MTAの接着力
 5 MTAのpH
 6 MTAのエックス線不透過性
 7 MTAの粒子の大きさ
 8 MTAの多孔性
 9 MTAの微小硬度
 10 MTAの漏洩
  1)逆根管充填材としてのMTAの漏洩
  2)穿孔修復材としてのMTAの漏洩
  3)根尖封鎖材としてのMTAの漏洩
  4)根管充填材としてのMTAの漏洩
 11 MTAの辺縁適合性
 コラム セメントはなぜ固まるのか
IV MTAの生体親和性
 1 変異原性
 2 細胞培養
V MTAの石灰化能
VI MTAによる歯質の変色

臨床編
I MTAの取り扱い
 1 練和
 2 移送方法
 3 コンデンス
 4 余剰の水分の除去
 5 小綿球をMTAの上に置く
 6 仮封
 7 硬化の確認
 8 修復処置に際し
 コラム MTA硬化の診査
II 偶発的穿孔の処置
 1 分岐部(髄床底)穿孔の処置
 2 充填方法
  1)MTAで穿孔部を封鎖してから根管充填する方法
  2)根管充填してからMTAで穿孔部を封鎖する方法
  3)穿孔部の封鎖と根管充填をMTAを用いて同時に行う方法
 3 筆者の臨床例
  1)根管口付近での穿孔
  2)根管中央部での穿孔
  3)根尖近くでの穿孔
III Apexificationと Revascularization
 1 従来のapexification
 2 新しいapexification(MTAによる)
 3 Rrevascularization
IV 直接覆髄
V 内,外部吸収
VI 逆根管充填
VII 根管充填
 1 MTA根管充填の適応
 2 MTA根管充填の利点
 3 MTA根管充填の欠点
 4 MTA根管充填の手順
 移送方法
 コンデンスの方法
 5 MTAはオーバー根管充填したらどうなるか
 6 MTA根管充填の臨床例
 7 MTAの除去
 8 シーラーとしてのMTA
 コラム LawatyによるMTA根管充填法
VIII 歯根の亀裂の封鎖

 文献 索引

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【著者略歴】
小林千尋【こばやしちひろ】
 1975年 東京医科歯科大学歯学部卒業
 1979年 東京医科歯科大学大学院修了
     医学博士
 1979年 東京医科歯科大学 助手
 1982年 東京医科歯科大学 講師
 1983年12月~1985年1月
 文部省在外研究員として
 米国テンプル大学に留学
 1992年 東京医科歯科大学歯科保存学
     第三講座 助教授
     東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
     摂食機能保存学講座歯髄生物学分野 准教授
 2013年 東京医科歯科大学 退職
     東京医科歯科大学歯学部附属病院
     歯科総合診療部 非常勤講師
 主な著者:オートリバースハンドピースを用いたニッケルチタンファイル根管形成法(2000,医歯薬出版)
 新 楽しくわかるクリニカルエンドドントロジー(2012,医歯薬出版)
 根管洗浄―よりよい治癒を目指して(2012,医歯薬出版)

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