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27巻6号 2018年6月号
特集 片麻痺の課題指向型リハビリテーションの潮流
特集にあたって
 脳卒中片麻痺のリハビリテーション(以下リハ)では従来,量的回復より質的回復が求められてきた.共同運動,姿勢反射異常,痙縮等を抑制して正常な反応を促通(facilitation)することに焦点を当てる,いわゆる神経生理学的アプロ−チがそれである.Bobath,Brunnstromといった先駆者が提唱するテクニックに衆目が集まっていたが,1990 年代にはその効果を疑問視する論文が多く出され,最近ではたとえば「脳卒中治療ガイドライン」で効果がないと明記されている.一方,画像診断技術や種々の低侵襲な中枢神経機能評価・治療の発展を基盤にニューロリハの流れが起こっている.特にシステム理論と運動学習理論に基づいて考案された課題指向型リハに期待が集まっている.上肢ではCI 療法(Constraint-Induced Movement Therapy)に象徴されるトレーニングがそのひとつであり,その効果はRCT で実証され,ガイドラインでもA 推奨されていることは周知のとおりである.
 下肢については,歩行や関連する起立着席訓練等がガイドラインのA 推奨で,訓練量を増やすことの重要性が謳われると同時に,課題指向型サーキット訓練の有効性が注目されている.また,ロボットを用いて行うリハにも注目が集まっており,下肢をロボットアームで動かしてトレッドミルで歩行させる訓練が話題である.足部だけを動かすEnd-effector 型と膝や大腿も制御するExoskeleton 型の2 つに大別されるが,ともに比較的急性期には有効と謳われている.つまり骨子をみる限り,上肢にしても下肢にしても課題指向型リハがキーワードとなるのである.
 さて上肢のCI 療法の話に戻るが,その有効性は多施設共同研究で証明された.しかし,その内容をみると適応は非常に限られることに気づく.手の背屈,指の伸展に軽度の困難を伴う程度の不全麻痺で1 日6 時間の課題指向型リハに耐えられる患者である.かつ,発症後3〜9 カ月の慢性期の患者を対象にしている.有効性が示されたといっても適用しにくいと感じる臨床家は多いであろう.もう少し急性期寄りの患者で訓練時間も短くできれば,回復期リハ病棟での実施が容易になる.最近になり,前述のRCT 研究を主導した米国の同じグループが,発症後2〜15 週の亜急性期の患者を対象に週3 回,各1 時間の訓練で多施設RCT研究を行った結果を報告した.残念ながら結果はネガティブであった.亜急性期の患者であるから対照群にも麻痺の自然回復があり,その偏差に埋もれてしまったために課題指向型リハの優位性は見いだせなかったとも解釈できるが,振り出しに戻ったという意見もあろう.課題指向型リハが否定されたとは考えないが,大きな回復が期待できる夢の治療ではないことがわかった.そこで,この機会に本特集では課題指向型リハの本質に立ち返って,そのメカニズム,対象患者の要件,そして効果の大きさ等にも目を向けて,それぞれの専門領域の第一人者の先生方にご執筆をお願いした次第である.(編集委員会)
目 次
オーバービュー:課題指向型リハビリテーションの歴史的展開  竹内直行,出江紳一 詳細
神経科学的知見から課題指向型リハビリテーションを考える  森岡周 詳細
課題指向型アプローチとしてのCI療法の位置付け  竹林崇 詳細
片麻痺歩行練習における課題指向型リハビリテーション  藤本宏明,宮井一郎 詳細
ロボットを使用した課題指向型リハビリテーション医療  近藤和泉,橋爪美春・他 詳細
連載
巻頭カラー  嚥下造影検査(VF)と嚥下内視鏡検査(VE)の見方 
6. 代償嚥下  野ア園子西口真意子 
骨折治療の最前線 
12. 小児骨折  岡田慶太,芳賀信彦 
ニューカマー リハ科専門医 
  三浦和知 
基礎研究がリハビリテーション医療を変える 
3.組織修復、創傷治癒  酒井良忠 
生殖医療・妊孕性温存・出生前診断の今 
2.妊孕性確保の技術―若年がん患者に対する治療前精子凍結保存  湯村寧 
リハビリテーション現場で知っておきたい検査データの意味 
6.栄養(NST)関連  池永康規 
地域医療の最前線! リハ科クリニック7days 
森山リハビリテーションクリニック  和田真一 
リハビリテーションにおける教育論 
5.患者・家族への教育―自己管理教育  茂木孝 
運動の効果とエビデンス 
6.健康づくりのための身体活動基準2013  宮地元彦 
歴史への誘惑 
第54回 名門蘭方医の森羅万象  江藤文夫 

TOPICS 
スポーツサポート戦略―メディカルスタッフの役割とその成果  青木啓成
学会報告 
日本リハビリテーション連携科学学会第19回大会  矢野秀典
臨床研究 
85歳以上の超高齢脳卒中患者の回復期リハビリテーションの転帰:高いFIM利得患者の率とその要因に焦点を当てて  宮本詩子,徳永誠・他
片麻痺の課題指向型リハビリテーションの潮流
27巻6号 2018年6月15日
月刊(B5判,100頁)
発行時参考価格 2,400円
注文コード:082706
雑誌コード:03297-06
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