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274巻7号 2020年8月15日
がんにおけるカヘキシア−とくにサルコペニアの問題を考える
はじめに
AYUMI がんにおけるカヘキシア――とくにサルコペニアの問題を考える はじめに 葛谷雅文
  カヘキシア(悪液質)の定義は明確に定まっているわけではないが,一般的には複合的な代謝異常により骨格筋量の低下ならびに体重減少を併せ持つ病態を指す.一方で,サルコペニアの診断は一般的には骨格筋量の低下ならびに筋力または身体機能の低下がある場合とされ,体重に関する要件はない.筋肉量の低下がある場合,筋力や身体機能の低下を伴う場合も多く,カヘキシア状態に伴うサルコペニアは二次性サルコペニアともいわれる.
 がんに伴うサルコペニア有病率に関しては,治療前の有病率に関して報告されたメタ解析によると38.6%(95%CI:37.4-39.8)で,サルコペニアの存在は術後の合併症,化学療法の副作用,さらには生命予後に関しても悪影響を及ぼしていることが明らかにされている1)
 カヘキシアに伴うサルコペニアの要因は強い炎症の存在が重要と思われるが,さらにはミオスタチン(myostatin)の増加,インスリン抵抗性,GH(growth hormone)・IGF(insulin-like growth factor)-Iの低下,グルココルチコイドの増加,酸化ストレスなど,多くの病態の関与が想定されている.カヘキシアはがんのみならず進行した臓器不全などの消耗性疾患にも関与している.それを考えると,膨大な患者がカヘキシアならびにそれに伴うサルコペニア状態にあることが想定され,今後ますますこの分野の研究,治療法の開発が重要になってくることは明らかである.
 本特集は日本におけるカヘキシア,サルコペニアのエキスパートの方々にそれぞれの専門分野に関しての執筆をお願いしている.本特集が読者のがんにおけるカヘキシア,サルコペニアの理解につながり,今後のさらなる研究の発展,治療法の開発に多少なりとも貢献できれば幸いである.
文献
1) Pamoukdjian F et al. Clin Nutr 2018;37:1101-13.
目 次
カヘキシアとサルコペニア概論……榊弥香・乾明夫
カヘキシアにおけるサルコペニアの分子機構……佐久間邦弘
カヘキシアにおけるサルコペニアと液性因子……小野悠介
カヘキシアにおけるサルコペニアに対する栄養療法の考え方……東口志
カヘキシアにおけるサルコペニアに対する複合介入……田中理美・山浩一
がん悪液質に関連したサルコペニアに対する薬物介入の今後……内藤立暁
カヘキシアに対する漢方医療の可能性……大澤匡弘
TOPICS
【循環器内科学】
高血圧治療ガイドライン2019と特定健康診査・特定保健指導……田中正巳・伊藤裕 
【細胞生物学】
幹細胞競合が皮膚の恒常性維持と老化を担う……松村寛行・他 
【麻酔科学】
パルスオキシメーターの現代医学における功績……大石理江子・小原伸樹 
連載
【老化研究の進歩】
18.未来の老化研究(最終回)……石井直明 
【再生医療はどこまで進んだか】
10.iPS細胞を用いたがんに対する免疫療法……金子新 
【臨床医が知っておくべき最新の基礎免疫学】
3.自然リンパ球と呼吸器疾患……大瀧夏子・他 
フォーラム
胞衣取扱条例からみる周産期付属物(胞衣)の価値……神里彩子
【パリから見えるこの世界】
94.CRISPR-Cas,あるいは我々を汎心論へと開くもの……矢倉英隆 
書評
書評『感染症大全――病理医だけが知っているウイルス・細菌・寄生虫のはなし』(堤 寛 著)……小林研介 
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がんにおけるカヘキシア
274巻7号 2020年8月15日
週刊(B5判,70頁)
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