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277巻2号 2021年4月10日
ここまでわかった細胞老化と腫瘍
はじめに
AYUMI ここまでわかった細胞老化と腫瘍 はじめに 笹野公伸
  生体内では細胞にDNA損傷などの細胞傷害が生じた際に,腫瘍化や傷害細胞の蓄積を防ぐため,これら傷害を受けた細胞の細胞周期を不可逆的に停止し,生体系から排除しようとする機構が知られている.この現象を“細胞老化”とよび,老化した細胞では種々の特徴的な形態学的変化(細胞質の膨化や空胞化など)や,ミトコンドリアを主体とした細胞内小器官の機能不全が生じることが示されてきた.
 一方,上記の老化した細胞はSASP(senescence-associated secretory phenotype)ともよばれており,種々のサイトカインやケモカインなどを誘導することで免疫細胞を動員し,炎症を惹起することが報告されている.加齢とともに酸化ストレスなどの細胞傷害を引き起こすストレスへ長期間曝露されることでSASPが発生し,それに起因する慢性炎症が蓄積することから,悪性腫瘍や変性疾患,循環器疾患などの数多くの加齢に伴い増加する疾患の病態との関連性,すなわち,細胞と個体レベルの老化現象の関連性が提唱されてきた.しかし一方で,細胞傷害を引き起こすストレスへの曝露,およびその結果としてのSASP状態の持続はかならずしも加齢性変化と関連するとは限らない.このことから,個体の老化に伴い老化現象を生じる細胞数は増加する傾向にはあるものの,個体と細胞レベルでの老化は別の次元で考えるのが望ましい.
 細胞老化は上記のように種々の疾患の病理/病因に密接に関係するが,近年とくに注目されているのが細胞老化機構の破綻と腫瘍化の関連性である.
 そこで今回,細胞老化と腫瘍化との関連性に関し,腫瘍化と細胞老化の総説的な解説の後で肝細胞癌,肺癌,cancer associated fibroblasts(CAF),ホルモン合成を行っている機能性内分泌腫瘍,乳癌と前立腺癌を含むホルモン依存性腫瘍における細胞老化と腫瘍の病因・病理・進展に関して,それぞれの領域の専門の先生方に解説を願う.この特集を通して,細胞老化と腫瘍という,癌研究の領域でも比較的新しい分野への理解を深めていただけると幸いである.
目 次
細胞老化と腫瘍化――防御機構の破綻……城村由和・中西真
がんにおける細胞老化の多彩な機能……宮田憲一・高橋暁子
細胞老化随伴分泌現象(SASP)のがん微小環境における役割……大谷直子
細胞老化と肺がん発生……杉山悠真・丸山光生
CAFs(cancer associated fibroblasts)と細胞老化……井上千裕
副腎腫瘍と細胞老化――コルチゾール/ストレスと細胞老化……笹野公伸・他
乳癌・前立腺癌ホルモン療法後の細胞老化を介した治療抵抗性獲得……田中亨
TOPICS
【泌尿器科学】
前立腺肥大症の薬物療法の最前線……黒田秀也 
【放射線医学】
頭頸部腫瘍に対するホウ素中性子捕捉療法の現状……鈴木実 
【放射線医学】
ポリビニルアルコールでホウ素中性子捕捉療法の治療効果を向上……野本貴大 
連載
【この病気,何でしょう? 知っておくべき感染症】
3.赤痢アメーバ症(海外には行っていないのにどうして?)……倉井華子 
【いま知っておきたい最新の臨床検査――身近な疾患を先端技術で診断】
2.血液検査によるがん診断の展望……堀江沙良・他 
フォーラム
【天才の精神分析――病跡学(パトグラフィ)への誘い】
18(最終回).デイヴィッド・リンチ――“発症”する映画……斎藤環 
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ここまでわかった細胞老化と腫瘍
277巻2号 2021年4月10日
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