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273巻3号 2020年4月18日
消化器疾患に対する内視鏡治療の最前線−機能性疾患から悪性腫瘍まで
はじめに
AYUMI 消化器疾患に対する内視鏡治療の最前線――機能性疾患から悪性腫瘍まで はじめに 矢作直久
  内視鏡は,管腔内を観察してより正確に診断をつけるための機器であり,最初は組織をサンプリングする程度のことしか考えられなかった.しかしスネアが開発され,さらに高周波発生装置と組み合わせることにより腫瘍の切除が可能となったため,治療機器としても大きく発展することになった.当然ながら,スネアしかなかった1990年代までは,切除できるサイズや部位が限られていたため,内視鏡治療は不確実で姑息的なものとみなされていたが,さまざまな処置具や新たな手技の開発により,現在では狙った範囲をほぼ確実に切除可能な,信頼性の高い治療法へと変貌を遂げている.
 2000年代初頭に,粘膜を切開し粘膜下層を剥離して腫瘍を切除する手技が確立されたことが大きな分岐点となったが,この手技の出現により筋層に直接アプローチすることが可能となったため,筋層を切開して機能性疾患を治療する新たな手技が出現した.また,筋層由来の粘膜下腫瘍に対しても,内視鏡と腹腔鏡により胃壁の内外よりアプローチし,最小限の範囲で確実に切除する合同手術も確立されている.一方,十二指腸においては長らく内視鏡切除はタブーとされてきたが,さまざまな工夫により偶発症のマネージメントが可能となったため,徐々に内視鏡治療が受け入れられつつある.大腸においては,小型のポリープを通電せずにスネアで機械的に切除する方法が,簡便性や偶発症の低さから急速に普及してきている.また大規模前向き試験により,大腸ポリープ切除の意義や適切な大腸内視鏡の間隔が明らかになってきている.さらに胆膵領域を中心に,超音波を備えた内視鏡によりターゲットを視認し,専用の器具で穿刺しステントを留置して,ドレナージしたりバイパスを形成することも可能となった.
 いずれも従来は大きな侵襲を伴う外科手術しか選択肢がなかったが,現在では内視鏡治療の普及により低侵襲治療へと大きくシフトしてきている.本特集をお読みいただくことにより,この分野において世界をリードしている日本の現状を理解し,身近に感じていただければ幸いである.
目 次
食道良性疾患に対する最新の内視鏡的治療と新展開……井上晴洋
胃癌内視鏡治療の最前線……池原久朝・他
十二指腸腫瘍の内視鏡切除……加藤元彦
胃粘膜下腫瘍に対する腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)と内視鏡的全層切除(EFTR)……後藤修・他
超音波内視鏡を用いたドレナージ術の種類と手技の実際……藤澤聡郎・他
超音波内視鏡ガイド下胃空腸吻合術――最近の動向とEPASS……石井健太郎・他
Cold polypectomy――小さいポリープ切除における大きな革命……竹内洋司
大腸ポリープ切除後サーベイランスの現状と展望――Japan Polyp Studyを踏まえて……松田尚久・他
TOPICS
【細胞生物学】
細胞凍害防止剤CP-1 High Gradeに期待すること……牧野茂義 
【薬理学・毒性学】
親電子ストレスを制御する新たな鍵分子の発見……熊谷嘉人 
【癌・腫瘍学】
CRISPR-KOスクリーニングによるがん治療薬候補の優先化……遊佐宏介 
連載
【診療ガイドラインの作成方法と活用方法】
18.英国NICE診療ガイドラインの特徴と作成方法――経済評価との統合を中心として……馬場俊明 
【老化研究の進歩】
7.老化とエピジェネティックドリフト……深水昭吉 
フォーラム
【病院建築への誘い――医療者と病院建築のかかわりを考える】
特別編―国のかかわる病院建築……亀谷佳保里 
【医療社会学の冒険】
24.新型肺炎COVID-19の時代に……美馬達哉 
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消化器疾患に対する内視鏡治療の最前線
273巻3号 2020年4月18日
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