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257巻4号 2016年4月23日
細胞競合の基本原理とその破綻
はじめに
AYUMI 細胞競合の基本原理とその破綻 はじめに 井垣達吏
  40年前に発見された細胞競合現象は,ショウジョウバエクローン解析技術の進歩にともなって10年ほど前からふたたび脚光を浴びはじめ,いまや哺乳類培養細胞やゼブラフィッシュ,マウス個体などさまざまな実験系で研究されるようになった.細胞競合が多くの研究分野に注目されるようになったのは,この現象ががん遺伝子mycの発現量の差により引き起こされることが示されたことにはじまる(松田の稿).すなわち,細胞競合は個体発生のみならず,がんの制御にも重要な役割を果たしている可能性が示唆されたのである.続いて,細胞極性に異常をもつがん原性細胞が細胞競合の敗者として組織から排除されることが示され,細胞競合があらたながん抑制システムとしても認識されるようになった(柴田,井垣の稿).さらに,がん抑制経路Hippo経路(石原,仁科の稿),がん遺伝子Ras(釜崎,藤田の稿)やSrc(北野,岡田の稿),さらにはWntシグナル(龝枝,石谷の稿)の異常により細胞競合が引き起こされることもわかってきた.最近では細胞増殖を停止した細胞種でも細胞競合が起こることや(田守の稿),細胞競合過程における力学的要素の意義もみえはじめ(坪井,藤本の稿),その研究は大きな広がりをみせつつある.
 細胞競合がなぜわれわれを魅了するのか.ひとつには,ダーウィン進化を駆動する生物個体間の“適者生存”が細胞間のレベルにも存在するという神秘性にある.つまり細胞競合現象には,生命システム全般に通底する根源的なルールに迫れるかもしれないというワクワク感がある.そしてもうひとつには,たとえば細胞競合過程で細胞がどのようにしてたがいの“適応度”を感知しているのかなど,細胞競合の分子メカニズムを直感的に想像するのが難しいところにある.つまり既存の機構やシグナルに収束しない,まったく新しいものが出てくる期待感がある.もちろん,細胞競合はさまざまな生命現象や疾患に関与する可能性があり,その応用の広がりも期待される.これから何が出てくるのか,楽しみである.
目 次
極性崩壊による細胞競合とがん制御……柴田翔子・井垣達吏 詳細
Ras変異細胞と正常上皮細胞間に生じる細胞競合……釜崎とも子・藤田恭之 詳細
Srcによる細胞競合……北野圭介・岡田雅人 詳細
Mycにより制御される細胞競合の分子機構……松田七美 詳細
Wnt/βカテニンシグナルと細胞間コミュニケーション……穐枝佑紀・石谷太 詳細
Hippo-YAPシグナル伝達経路を介した細胞競合……石原えりか・仁科博史 詳細
細胞競合における勝利者の成長──置き換えと埋め合わせ……田守洋一郎 詳細
アポトーシスにより空いた隙間をめぐる力学的な細胞競合──数理モデルからの予測……坪井有寿・藤本仰一 詳細
TOPICS
【細菌学・ウイルス学】
ヒトT細胞白血病ウイルス1型の感染特異性……古田梨愛・松岡雅雄 
【神経内科学】
家族性自律神経失調症の治療薬候補……大江賢治・萩原正敏 
【循環器内科学】
高安動脈炎に対するIL-6阻害療法……中岡良和・瀧原圭子 
連載
【医学教育の現在――現状と課題】
12.アウトカム基盤型教育──その系譜と実践……田邊政裕・朝比奈真由美 
250巻から70周年をつなぐ連載
27.ジルチアゼムの創薬……長尾拓 
フォーラム
【外国人にやさしい医療――言葉の壁をこえて】
2.医学生から見たグローバル化医療――学生による言語支援グループ立上げの経験から……道祖田直紀 
雑誌特集
今月の雑誌特集
新刊紹介
今月の新刊紹介
細胞競合の基本原理とその破綻
257巻4号 2016年4月23日
週刊(B5判,70頁)
発行時参考価格 1,100円
注文コード:925704
雑誌コード:20474-4/23
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