医歯薬出版のページサイトマップ
医学のあゆみTOP最新号通常号第1土曜特集号第5土曜特集号バックナンバー年間定期購読
ホーム雑誌一覧医学のあゆみ > 通常号
240巻2号 2012年1月14日
褐色細胞腫の診断と治療−最近の進歩と今後の展開
はじめに――わが国の褐色細胞腫対策
AYUMI 褐色細胞腫の診断と治療──―最近の進歩と今後の展開 はじめに――わが国の褐色細胞腫対策 成瀬光栄
  褐色細胞種は代表的な内分泌疾患のひとつである.その約90%は完治するが,残り10%は悪性で有効な治療法が未確立な難治性疾患である.多発性転移や局所浸潤を認める場合は悪性であることが明らかであるが,単発性腫瘍の場合は良悪性の診断が困難である.臨床的に系統的・継続的な経過観察,取組みが必要である.国際的にはアメリカNIH のグループが中心となりPRESSOR(Pheochromocytoma Research Support Organization)として活動しているが,医療環境は国ごとに大きく異なることから,わが国独自の取組みが望ましい.著者らはこの数年間,日本内分泌学会の臨床重要課題の検討委員会および厚生労働省難治性疾患克服研究事業研究班との共同で,以下のような包括的な取組み研究(Pheochromocytomain Japan:PHEO−J)を推進している.
 @ PHEO Survey(全国疫学調査):一次調査約65%,二次調査約85%の高い回収率を得て,褐色細胞腫の推定患者数(約2,900 名,約11%が悪性)を明らかにした.家族性,両側性,副腎外性はほぼ10%であった.1999 年の調査結果の約3 倍と,診断患者数が増加している.
 A PHEO Guideline/Criteria(診療指針・診断基準):施設ごとに診断根拠が統一されていないことから“褐色細胞腫の診断基準”と“悪性褐色細胞腫の診断基準”を作成した.
また,診療水準の標準化を目的として『褐色細胞腫診療指針2010』を作成し,全国に配布するとともに,現在『褐色細胞腫診療指針2011』に改訂中である.
 B PHEO Registry(疾患登録):褐色細胞腫は基本的にすべての症例の長期経過観察が必要であるが,通常の診療体系では追跡困難である.そこで,Web を活用した疾患レジストリーを構築した.2011 年11 月現在,約850 例が登録され,今後定期的な一斉調査を予定している.世界でも例のない褐色細胞腫のデータベースである.
 C PHEO Ne(t 医師の情報交換メーリングリスト):褐色細胞腫の専門医は多くないため,情報交換は重要である.そのため各分野の専門家,褐色細胞腫の診療に従事している医師が参加した情報交換メーリングリストを構築した.症例の診断や治療,集会の情報提供など,多様な目的で活用されている.現在約110 名の医師が登録している.
 D PHEO Symposium:褐色細胞腫に関する最新情報の提供を目的として,これまで5回開催してきた.2011 年12 月には日米患者のパートナーシップ推進を目的とした合同シンポを開催し,褐色細胞腫制圧を目標とする日米患者会共同宣言を発表予定である.
 E PHEO Pathology(病理組織中央解析):褐色細胞腫の良悪性の病理診断は困難とされてきたが,近年,病理所見のスコア化が予後予測に有用と報告されている.そこで,内分泌病理専門医による中央解析体制を構築し,標本の収集と解析を進めている.
 F PHEO Biobank(資源バンク):希少疾患の集中的な原因解明を目的とする資源バンクの取組みが進められている.研究班でも独立行政法人医薬基盤研究所と協力して,難治性副腎疾患の資源をバンク化する活動をはじめている.
 G PHEO Genetics(遺伝子集中解析):褐色細胞腫の約25%に遺伝的背景があると報告されている.今後,系統的・包括的な遺伝子解析に加えて,より長期的視点で解析結果の臨床への還元のルール構築に取り組んでいる.
 わが国の褐色細胞腫対策は日本内分泌学会と厚労省研究班の共同作業により,あらたな局面を迎えている.系統的・長期的・全国的な取組みであるPHEO−J はその核になると考えている.今後も多くの研究者・医師らとの協力によって,わが国の難治性疾患克服研究事業の拡充と継続を期待している.
目 次
褐色細胞腫の診断基準……立木美香 詳細
褐色細胞腫の診療指針……難波多挙・立木美香 詳細
褐色細胞腫の機能診断……柴田洋孝 詳細
褐色細胞腫の核医学画像診断……絹谷清剛 詳細
褐色細胞腫クリーゼ……中尾佳奈子・立木美香 詳細
悪性褐色細胞腫の診断……方波見卓行・他 詳細
悪性褐色細胞腫の病理組織診断――SDHB免疫染色の意義……木村伯子 詳細
悪性褐色細胞腫の治療――化学療法,放射線療法,対症療法など……田辺晶代・市原淳弘 詳細
褐色細胞腫の遺伝子診断……竹越一博・他 詳細
TOPICS
【腎臓内科学】
ネフローゼ症候群とGlypican-5多型の関連……岡本好司野入英世 
【免疫学】
pDCによる新たなIgA産生誘導メカニズム……樗木俊聡・手塚裕之 
【神経精神医学】
脳由来神経栄養因子(BDNF)のDNAメチル化パターンを用いたうつ病診断……淵上学・他 
注目の領域
WHIホルモン療法試験──エストロゲン/プロゲスチン併用療法介入中止後の長期追跡調査から得られた乳癌リスクに関するエビデンス……青木良子・他 
フォーラム
緩和医療と薬物治療――がん疼痛治療 up to date……渡邊昭彦
褐色細胞腫の診断と治療
240巻2号 2012年1月14日
週刊(B5判,78頁)
発行時参考価格 1,000円
注文コード:924002
雑誌コード:20472-1/14
ダウンロード購入
『医学のあゆみ』は発行から1年後に論文単位で全文検索可能なPDFファイルのダウンロード購入ができます.
詳細はPierOnline
Pier Online
当社発行の雑誌は発行から1年後に論文単位でPDFファイルのダウンロード購入が可能です.
詳細はメディカルオンライン
メディカルオンライン
お問い合わせ 会社案内 About us リンクについて オンラインショップの返品について
当サイトはリンクフリーです。ご自由にリンクしてください.
Copyright (C) 2019 Ishiyaku Pub,Inc.