総義歯治療に必須な機能解剖学に基づいて総義歯のかたちをきめる!
内容紹介
総義歯が入るデンチャースペースは,かつて天然歯列が存在し,周囲組織と協調して機能していた空間ですが,無歯顎患者においては,無歯顎に至るまでの時間および経緯によって,口腔内および周辺の諸組織が変化し,デンチャースペースも本来あるべき空間よりも小さくなってしまっていることがほとんどです.義歯を新製しても安定・機能しないのは,デンチャースペースが十分に満たされておらず義歯と周囲組織との調和が得られていないことも一因です.
本書では,Part1において,無歯顎患者における機能解剖学に基づく総義歯治療の不可欠性と流れを解説した後,Part2においては,上顎を4部位・下顎を5部位に分け,義歯を受け入れる口腔内各部の解剖学的・生理学的特徴と,それを反映した義歯各部の床縁形態付与における留意点を解説しながら,各部の義歯床縁をいかに「機能する形」へ追い込み・作り込んでいくかを,バラエティに富んだ症例を用いて具体的に示していきます.
生体においてより安定・機能する総義歯の形態とは? その答えが読み解ける1冊です.総義歯臨床に携わるすべての歯科医師・歯科技工士の皆様に,ぜひご購読をおすすめします.
■■どうして決める? 総義歯のかたち??■■
目次
Overview 生体の動的平衡によるデンチャースペースの変化と回復の必要性
Chapter 1 従来の総義歯治療と総義歯のかたちに関する問題点を考える
Chapter 2 機能解剖学的な総義歯治療の重要性と手技
Chapter 3 治療用義歯によるデンチャースペースの回復法
Chapter 4 治療用義歯の生理的意義
Chapter 5 デンチャースペース回復に重要な機能解剖学
Chapter 6 機能解剖学的総義歯治療におけるデンチャースペース回復のプロセス
Part 2 正しく機能する総義歯のかたち〜正しいデンチャースペースと総義歯の機能的形態〜
Overview 組織の正しいかたちへの追い込み=正しい機能の獲得=あるべき総義歯形態
Region 1 上顎前歯部口腔前庭部周辺の機能的形態と義歯のかたち
Region 2 上顎臼歯部口腔前庭部周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 3 上顎歯槽結節部周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 4 上顎義歯床後縁設定域(後口蓋後縁封鎖域)周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 5 下顎臼歯部口腔前庭部周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 6 臼後三角部(レトロモラーパッドおよび後方粘膜部)周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 7 顎舌骨筋線部周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 8 口腔底舌側溝部周辺の機能的形態と総義歯のかたち
Region 9 下顎前歯部口腔前庭部周辺の機能的形態と総義歯のかたち
書評
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書評:阿部伸一 先生 (『歯界展望』2013年2月号掲載 PDFファイル:約668KB)著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.
本郷英彰【ほんごうひであき】
1943年 台湾生まれ
1967年 台湾・中山医科大学歯学部卒業
1972年 北海道大学医学部第一解剖学教室入局
1975年 北海道大学歯学部附属病院臨床実地修練修了
1976年 萩野歯科診療所開業
【編集協力者略歴】
堤 嵩詞【つつみたかし】
1950年 兵庫県生まれ
1968年 和田精密歯研入社
1973年 行岡技術専門学校歯科技工科卒業
1996年 PTDLABO西宮・PTDLABO東京テクノロジーセンター開設
1999年 PTDLABO芦屋開設