やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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臨床工学講座
医用情報処理工学

発行時参考価格 3,800円
  • 総頁数:268頁 / 2色
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2010年2月
  • ISBN978-4-263-73405-6
  • 注文コード:734050

内容紹介

情報技術のリテラシー,IC化された医療機器の取り扱いや安全管理を行う臨床工学技士にとって必要不可欠な技術の基礎や周辺技術を学ぶことができる.

序文

序
 本書は,我々の生活に欠かせないパーソナルコンピュータ(PC)を代表とするIT技術を医療に用いるための情報処理の基礎を学ぶことを念頭に置いて書かれている.また,既刊の「医用電子工学」で学ぶ電子工学・情報通信理論ともオーバーラップして学べる部分がある.
 本書は次の4つの構成を柱に,上記目的について十分な配慮を心がけた.
 (1)情報理論の基礎[第1章,第3章]
 IT技術をインフラとする現代社会において,情報理論・技術が発展してきた経緯や,IT技術の医療への応用など,情報処理技術のエッセンス(第1章)を導入として,情報処理の基礎となるディジタル・論理回路の原理・仕組み(第2章,第3章)を学ぶ.
 (2)コンピュータ技術の基礎[第4章,第7章,第10章]
 医療の現場のみならず日常生活に欠かせないコンピュータの基礎について,ソフトウェア・ハードウェアの両面から学ぶ(第4章,第6章).さらに,ソフト面では機器管理や物品管理などに必要なデータベースの概念と構築の基礎(第7章)を,ハード面ではPCの組立,保守管理の基本知識,技術について学ぶ(第10章).
 (3)ネットワーク・コンピュータ制御の基礎[第8章,第9章,第12章]
 データ通信およびコンピュータネットワークの基礎(第9章)から,各医療機器に応用されているネットワーク機能や,各種医療機器の制御方法の基礎(第8章),コンピュータ制御による医療機器への応用について学ぶ(第12章).
 (4)医療情報システムとセキュリティ[第11章,第13章]
 電子カルテシステムなど,医療現場で用いられている各種情報システムの基礎を学ぶとともに,現状の問題点と将来の課題について理解を深める(第11章).最後に本書の最大の特徴でもある,IT社会におけるセキュリティに関して,ネットワークセキュリティの基礎から,各種個人情報などを取り扱う医療現場でのセキュリティ対策について,関連法規や規制を例示しながら学ぶ(第13章).
 上記4つの柱に加え,本臨床工学講座の共通事項として,次の3つのポイントに十分配慮した内容として編集した.
 1.本書は,いわゆる情報技術のリテラシーのみならず,IC化された医療機器の取り扱いや安全管理を行う臨床工学技士にとって必要不可欠なIT技術の基礎や周辺技術に関して学ぶことができる教科書である.医療機器の「心臓」にあたる知識を電気工学・電気磁気学で学ぶとするならば,「脳機能・神経ネットワーク」に関する情報技術について,基礎から将来臨床工学技士として活用できるレベルの内容であることを目指した.
 2.本書で学ぶ学生のほとんどが「ゆとり教育」出身であり,本書を手に取るまでの初等・中等教育のなかで,本来であれば身の回りに存在する科学的な現象について「十分に考え,推論し,疑問を投じ,他者からの意見を聞き,また考える」という教育経験を受けてきていない場合も少なくない.そうしたタイプの学生の教育に携わる教員にとっても,本書が「教授しやすく,知識・技術の進歩により変更可能な内容・構成である」ように配慮した.
 3.医療現場において,医師や看護師をはじめとするコメディカル職種より臨床工学技士が優位でなければならない点は,「工学的(情報処理能力的)センス」を有することだと常々感じている.「工学的センス」とは,たとえば「PC」は,日常生活の場でも医療現場でも欠かせない情報端末装置として用いられているが,「どうしてインターネットにつながるのか?」,「今自分が使っているデータベースのセキュリティはどのようなシステムで守られているのか?」というような疑問をもつことだといえる.つまり,患者さんの命を預かる医療従事者の一人である臨床工学技士が情報処理技術を活用するうえで,少しでも多くの医療に結びつく「工学的センス」という引き出しを作り,IT化された各種医療機器や病院情報システムなどを安全に運用するための参考になるよう配慮した.
 本書は,従来型の情報処理技術関連の教科書・参考書とは一線を画した内容・構成を目指し,趣向を凝らして執筆していただき,編集を行った.そのため,コンピュータの基礎や技術的解説だけにとらわれずに,「医療に用いられているIT技術を理解し活用できること」を目的として,コンピュータリテラシーからソフト・ハード面で医療機器に応用されているテクノロジーや,実際の医療機器に用いられているシステムに焦点を当てた.
 臨床工学技士を目指す学生諸君のみならず,教育現場の第一線で活躍されている教員の方々におかれても,「臨床に必要な情報処理技術の基礎とネットワーク・セキュリティを理解し,工学的センスをもって臨床でIT技術を活用できる力を養う」手引きとして,本書が臨床工学技士教育向上のために寄与できるものと信じている.
 2010年1月
 菊地 眞
 戸畑裕志
 中島章夫

目次

 「臨床工学講座」の刊行にあたって
 序
第1章 医療と情報技術(IT)
 1 医療におけるIT化の流れ
 2 コンピュータの歴史的発展
 3 医療のIT化を支える技術的側面
 4 医療情報システムとは
 5 医療におけるIT化推進の今後の動向
第2章 ディジタルデータの表し方
 1 数値の表し方
  1 10進数と2進数,8進数,16進数
  2 数の変換
  3 2進数の四則演算
  4 補数
 2 ディジタルデータの表現
  1 ビットとバイト(情報の単位)
  2 数値データ
  3 文字データの表現
  4 画像データの表現
  5 データの圧縮・解凍
  6 誤りチェック
   章末exercise
第3章 論理回路
 1 論理回路の基本
  1 図記号と真理値表
  2 論理代数の定理
  3 基本的論理ゲート
  4 その他の論理回路
  5 正論理・負論理
 2 論理回路の設計
  1 論理代数による簡単化
  2 カルノー図による簡単化
  3 回路の設計
 3 いろいろな論理回路
  1 加算器
  2 加算回路
  3 エンコーダとデコーダ
   章末exercise
第4章 コンピュータの基本構成
 1 コンピュータの基本構成
 2 CPUの基本構成
 3 バス
 4 メモリの機能と種類
 5 入力装置と出力装置
  1 入力装置
  2 出力装置
 6 補助記憶装置
  1 フロッピーディスクとハードディスク
  2 RAID
  3 CD,DVD,BD
  4 不揮発性の半導体メモリ
  5 その他の補助記憶装置
 7 入出力インターフェース
第5章 コンピュータの動作原理
 1 コンピュータの動作原理
 2 コンピュータの起動の仕組み
 3 オペレーティングシステム
  1 OSに関する基本的な概念
  2 OSの役割
 4 プログラミング言語
  1 機械語とアセンブリ言語
  2 高水準言語
  3 コンパイラとインタープリタ
  4 スクリプト言語とマクロ言語
 5 応用ソフトウェア
第6章 プログラミングの基礎
 1 プログラム構築の基本
  1 アルゴリズム
  2 変数とデータの型
  3 プログラムの流れの制御
 2 流れ図(フローチャート)
 3 BASICによるプログラミング入門
  1 簡単な計算
  2 繰り返し
  3 条件による分岐
  4 ループ
  5 手続きと関数
  6 ユークリッドの互除法のプログラム
 4 C言語によるプログラミング
 5 Javaによるプログラミング
 6 LabVIEWによるプログラミング
第7章 データベース
 1 データベースとは
 2 データベース管理システム(DBMS)
 3 データベースの分類
 4 データモデリング(data modeling)の技法
  1 概念モデル(conceptual model)
  2 論理データモデルの種類
 5 データベースの応用技術
  1 データウェアハウス(data warehouse:DWH)
  2 ERP(enterprise resource planning)
  3 CRM(customer relationship management)
  4 ナレッジマネジメント(knowledge management:KM)
  5 マルチメディア・データベース
  6 EDI(electronic data interchange)
  7 サプライチェーンマネジメント(supply chain management:SCM)
 6 データベースによるプログラミング
  1 FileMaker Proによるデータベース構築
  2 Accessによるデータベース構築
  3 医療機器に役立つ公開データベース
第8章 データ通信とネットワーク
 1 データ通信の変遷とその守備範囲
 2 情報理論
 3 有線における通信回線の種類と機能
  1 伝送媒体の種類
  2 アナログ伝送路とディジタル伝送路
  3 ディジタル同期方式
  4 無線における通信方式(変調・復調方式,分割多重方式)
 4 ネットワーク
  1 ネットワークアーキテクチャ
  2 OSI参照モデル
 5 ローカルエリアネットワーク(LAN)
  1 LANとWAN
  2 LANの接続形態(ネットワークトポロジ)の種類と特徴
  3 代表的なLANの種類
  4 LANの接続機器(リピータ,ブリッジ,ルータ,ゲートウェイ)
 6 無線LANの概要
  1 無線LANのネットワーク形態
  2 無線LANの種類
 7 パケット通信
 8 誤り検出方式
  1 正確な情報通信を阻む伝送路の電気雑音や波形歪み
  2 誤り検出と誤り訂正
第9章 コンピュータの組み立てと保守管理
 1 パーソナルコンピュータの構成と種類
  1 コンピュータの種類
  2 コンピュータの基本構成
  3 入出力装置とその接続
 2 パソコンの組み立て
 3 コンピュータの保守管理
  1 ハードウェアの保守管理
  2 ソフトウェアの保守管理
  3 動作異常時の保守
   章末exercise
第10章 コンピュータによる制御
 1 制御の基本
 2 医療機器におけるコンピュータ制御の概要
  1 血液浄化装置
  2 人工呼吸器
  3 循環関連装置
  4 生体情報モニタ関連装置
第11章 コンピュータによる医療機器への応用
 1 医療診断を変革したCT,MRI
 2 遺伝子解明を加速するヒトゲノム計画
 3 カプセル内視鏡
 4 ビジュアル化に貢献するコンピュータ手術支援システム
 5 医療安全・トレーサビリティに役立つ医療機器標準バーコードとネットワーク
第12章 医療情報システム
 1 医療情報システムとは
 2 病院情報システム
  1 病院情報システムの起源(医事会計システム)
  2 病院情報システムの進展(オーダエントリシステムと部門システム)
  3 形態としての病院情報システム
  4 電子化時代の医療情報システム(電子カルテ)
 3 地域医療情報システム
  1 連携時代の医療情報システム
 4 情報通信技術(ICT)の活用による医療情報システムの進化
  1 センサ技術およびデータ解析技術
  2 無線通信技術
  3 ナースコールシステムへの無線通信の導入
  4 ICタグ(radio frequency identefication:RF-ID)
 5 医療情報サービスシステム
  1 医学情報データベース
  2 疾病情報共有システム
  3 在宅監視システム
 6 医療情報システムの基盤
  1 サーバ室の管理基盤
  2 通信システムの安定性維持
 7 今後の医療情報システム
   章末exercise
第13章 IT社会におけるセキュリティと医療現場でのセキュリティ対策
 1 ネットワークにおけるセキュリティ対策
  1 インターネット・ITに潜む危険
  2 情報セキュリティの基本概念
  3 情報システムのセキュリティホール
  4 ウイルス被害とその対策
  5 個人レベルのセキュリティ対策
  6 企業レベルのセキュリティ対策
  7 認証方式の種類と特徴
  8 暗号化とディジタル署名
 2 医療における医療情報の意義
  1 医療情報の特殊性
  2 2つのガイドライン
  3 品質マネジメントシステム
  4 ウイルス対策
  5 不正アクセス対策
  6 情報漏洩対策
  7 情報改ざん対策
 3 情報セキュリティ関連の法律
  1 刑法
  2 不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)
  3 電子署名及び認証業務に関する法律
  4 個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)
 4 知的財産権を守る法律
  1 著作権法
  2 不正競争防止法
 5 迷惑メール関連法
 6 情報セキュリティの国際標準と関連制度
付録
 1 臨床工学技士国家試験出題基準(医用情報処理工学)
   章末exerciseの解答
 索引

Tips
 第2章 ディジタルデータの表し方
  文字化け
  動物の色覚
  ディジタルX線撮影システム
 第3章 論理回路
  身近にある正論理と負論理
  カルノー図による簡単化のポイント
 第4章 コンピュータの基本構成
  割り込み
  論理演算とビット演算
  アダプタカード
  RAM
  ラスタースキャン方式とベクタースキャン方式
  解像度
  プリンタの印刷解像度
  シンクライアント
 第5章 コンピュータの動作原理
  ハードウェアとソフトウェア
  PC(IBM PC/AT互換機)の一般的な起動手順
  メインフレーム
  OSの呼称
  POSIX
  構造化プログラミング
  マークアップ言語
  サーバ用のプログラム
 第6章 プログラミングの基礎
  変数の名前の付け方
  BASIC言語
 第7章 データベース
  OLAP(online analytical processing)
  データマイニング(data mining)
 第11章 コンピュータによる医療機器への応用
  e-Japan重点計画2004
 第12章 医療情報システム
  電子カルテの導入状況
 第13章 IT社会におけるセキュリティと医療現場でのセキュリティ対策
  DoS攻撃
  電子保存の3基準
  ハッカー
  守秘義務
  PDCAサイクル

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編者略歴】
菊地 眞【きくちまこと】
 1969年 慶応義塾大学工学部電気工学科卒業
 1974年 慶応義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻博士課程修了
 1972年 東京女子医科大学医用工学研究施設助手
 1976年 東京女子医科大学医用工学研究施設講師
 1980年 防衛医科大学校医用電子工学講座教授〈2006年4月医用工学講座に改称〉
 2003年 防衛医科大学校防衛医学研究センター長
 2007年 防衛医科大学校副校長(教育担当)
     現在に至る 博士(工学)
戸畑裕志【とばたひろし】
 1978年 福岡大学工学部電子工学科卒業
 1978年 久留米大学病院中央手術部勤務
 2000年 久留米大学病院臨床工学センター技師長
 2007年 九州保健福祉大学保健科学部臨床工学科教授
     現在に至る 臨床工学技士,博士(医学)
中島章夫【なかじまあきお】
 1991年 慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業
 1993年 慶應義塾大学大学院理工学研究科電気工学専攻前期博士課程修了
 1993年 防衛医科大学校医用電子工学講座助手
 1999年 日本工学院専門学校臨床工学科科長
 2006年 東京女子医科大学大学院医学研究科先端生命医科学系専攻後期博士課程修了
 2006年 杏林大学保健学部臨床工学科助教授(先端臨床工学研究室)
 2007年 杏林大学保健学部臨床工学科准教授
 現在に至る 博士(医学)

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日本臨床工学技士教育施設協議会 監修/菊地眞・戸畑裕志・中島章夫 編著/福長一義・菅原俊継・鶴田陽和・酒井順哉・花田英輔・三原弘史・和田則仁・古川俊治 著