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DENTAL CLINICAL SERIES
BASIC Periodontics 2
重度歯周病罹患歯への対応・1歯から口腔,そして人へ・歯周病治療のためのシステム・4人の症例から

北川原健 編著
発行時参考価格 8,000円
  • 総頁数:216頁 / カラー
  • 判型:A4判変
  • 発行年月:2002年8月
  • ISBN978-4-263-45180-9
  • 注文コード:451800

内容紹介

重度な歯周病罹患歯に対して術後経過を提示しながら,診断から治療までを問題別に示す.さらに,1歯から口腔単位でどう診るか,また,スタッフや制度にもふれ,個体差・個人差に着目した実践的歯周治療のノウハウを紹介.

序文

DENTAL CLINICAL SERIES BASIC
Periodontics 2
序

 第1巻を出してから3年近くが経過した.その間にお読みくださった方からさまざまなご感想をいただいた.そのなかで特に印象に残ったものは,一昨年秋に,在京の歯科大学6年に在学中の学生さんからいただいたお電話であった.
 「卒業を控え,学校に残るか開業医に勤務するか迷っています.この本では,4人の著者のうち3人は大学には残らなかったと書いてありますが,大学で勉強しなかった方がこういう臨床をやっていることに興味があります.診療室を見学させていただけませんか?」という主旨のものであった.
 学生時代にこの本を手にしていただいたことに感心するとともに,こんな形での影響力があることに責任を感じた.卒業して最初にどんな環境に身をおくのかは,それからのその人の歯科医人生をかなり左右すると感じているからである.
 ここ数年,特にこの歯周病分野の情報はあふれんばかりである.それにもかかわらず,私どものように歯周病の基礎を大学で学んだ経験のないものがこの本を上梓しようとした“想い“を振り返ってみると,はっきりとは申し上げられないが,いま提供されている情報だけでは歯周病治療を日常臨床に取り入れることは難しい……と感じていたことがそうさせたのではないかと思っている.それはいきなり開業医という臨床現場に足を踏み入れて,そのなかで理想と現実の狭間でもがいてきたものの体験からでた“勘”なのかもしれない.
 「“システム”を作らなければ歯周病治療を日常臨床に根付かせることはできない!」と1巻でもこの2巻でも何度もくり返している.その点に触れられている成書はあまり目にしないし,長期にわたる経過を呈示し,そこから歯周病の病態と予後について考察したものにもあまりお目にかからない.私ども開業医にできることはその2点について述べることだと一貫して考え続けてきたが,もとよりかなり偏りや抜けがあることは自認している.
 4人の著者はおかれた環境も性格もかなり違うものの集まりであるが,共通しているのは“経過“を形として残していることである.“経過”からものを考えることのおもしろさをこの本から感じていただきたい……,それが私たちの一番の願いなのである.
 この本作りは5年間にわたるプレッシャーの連続であった.1日たりともこの本のことを忘れたことはなかったので,これで楽にはなるのであろうが,冒頭に述べたような責任を負っていくことは覚悟している.
 それにしても,優秀な若い仲間3人との仕事は楽しいものであった.これからは彼らの時代であろう.
 2002年8月 北川原 健

DENTAL CLINICAL SERIES BASIC
序

 6年間の歯学教育を終えていよいよ臨床と向き合ったとき,いいようのない不安を感ずるということは,いつの時代でも変わらない.歯学教育のカリキュラムや方法,期間や制度の問題を検討しても,それはこれからの課題であって,いま目前にある問題が解決されるわけではない.ともかく,現在どうすべきかを考えなければならない.これからの長い道のりを,どんな目標に向かって,どんなふうに進んでいけばよいのか? だれでもが一度は立ち止まり,考え,道標を探そうとする,ちょうどそんな所に1本の蝋燭を灯せれば,といった思いから本シリーズは誕生した.
 良くも悪しくも現代社会の潮流はますます速さを増し,それに同調して歯科医学を取り巻く情勢の流れも速い.歯科医師になれば,すぐにその流れのただなかに立たされる.情報の選択に失敗すると,そのどれもがすぐにでも自分の臨床に必要不可欠だと思い込むことになる.不安の多くは先端技術への過剰反応にある.だが当面,最先端の医学を知らなければ臨床がなりたたないわけではない.医療を支える基本は,決して流行を追うことにあるのではない.むしろ,人間と向き合う臨床医学の底流は,その大部分がしっかりと根をおろして,短期間のうちに変わることは少ない.
 次々に湧き出てくる新しい情報に比べ,すでに確立されている理論と術式は,一見陳腐に見えるかもしれない.しかしこれらは,長い臨床のなかで多くの努力と叡智のもとに育まれた結果築かれてきたものである.そうした結果は大切にしたい.そのためには,まずそれがどんな知識であり,どんな技術であるのかを選択する目が必要である.そのうえで,この変わらぬ部分の知識と技術をしっかりと自分のものにすることが,本当の自信を獲得するための基盤となる.
 読後感として,このシリーズの前半の巻は多少基本的にすぎると思うかもしれないが,もしそう感じたとすれば,それは編者の意図するところであり,それが必要な理由は上述したとおりである.大学で教わった各科の基本も頻繁に顔を出すが,そこに経験豊富な臨床家が加える臨床的基本も随所に盛り込まれているはずである.
 理論と実際は大きくかけ離れることはないが,だからといって決して同じではない.イ後3~5年はこのギャップが悩みの種になるだろう.しかし,この3~5年の経験は辛いがとても重要だ.こんな悩みを経験せずに飛躍することはありえない.本書はこのような経験をどのように考え,解決すべきかの入門書でもある.執筆に加わっていただいた先輩諸氏も,出発点は皆“卒直後”であり,同じ経験をしてきたはずである.経験し,思考し,実践したからこそ,ユニークな臨床手法が用いられているのだ.
 もちろん,単に経験さえ積めば,臨床のすべてが解決されるわけではない.治療の意味と手段の適応を考え,細心の注意をはらった経験だけがものをいう.
 本書にはそんな経験の積み重ねが満載されている.お役に立てることを心から願ってやまない.
 1992年11月 鈴木 尚・宮地建夫

目次

序

(1) 重度歯周病罹患歯への対応
 1.骨縁下ポケットの診断と治療方針チャート 難しい骨縁下ポケットの治療にも,頭を整理して取り組もう 千葉 英史
 2.歯周治療の可能性と限界 治癒のかたちに思いをはせよう 北川原 健
 3.抜 根 そのリスクと効果を考えよう 千葉 英史
 4.骨の扱い 骨整形と骨削除 永田 省藏
 5.再生療法 進化しつづける再生療法 佐々木 勉
 6.歯の移動 歯は動く,歯を動かす 北川原 健
 7.下顎根分岐部病変への対応 小臼歯2本と考えれば難しくはない 千葉 英史
 8.上顎根分岐部病変への対応 3カ所の根分岐部,対応は多様 千葉 英史
 9.歯肉歯槽粘膜形成術(MGS)適応の診断 歯周環境を改善する 永田 省藏
(2) 1歯から口腔,そして人へ
 1.オリエンテーション 再び歯周病治療の特性について 北川原 健
 2.歯周病患者の個体差 患者の体は一人ひとり違う 千葉 英史
 3.力の見方 炎症とともに,外傷性に働く力を見すごさないように 北川原 健
 4.咬合性外傷 プラークの悪しき相棒,合併すると手ごわい 佐々木 勉
 5.咬合調整 削るばかりが咬合調整ではない 佐々木 勉
 6.ブラキシズム ちょっとてごわい歯周組織の見えざる敵 佐々木 勉
 7.歯の評価と補綴 補綴する場合には,注意が必要 永田 省藏
 8.顎位の与え方 重度の歯周疾患では,咬合位の不確かな例も多い 永田 省藏
 9.ガイドの与え方 ガイドの診断と調整 永田 省藏
 10.プロビジョナルレストレーション 診断と治療方針のために 北川原 健
 11.治療計画 大きくとらえる,細かく診る,そして考えよう 千葉 英史
(3) 歯周病治療のためのシステム
 1.対患者 歯周病に対する想いを近づける 北川原 健
 2.対スタッフ モチベーションと,同じ方向を向いていることの大切さ 北川原 健
 3.対医療制度 健康保険制度のもとでの歯周病治療 北川原 健
 4.Supportive Periodontal Therapy 治療終了時がスタート,患医共同で口腔健康を守ろう 佐々木 勉
(4) 4人の症例から
 1.保存的で控えめな治療を行った回復力の高いケース 千葉 英史
 2.回復力が低→高に転じたと思われるケース 千葉 英史
 3.全顎的に歯の動揺があるケース 佐々木 勉
 4.固定性補綴物の可能性を示すケース 佐々木 勉
 5.咬合崩壊に対し二重冠方式のクロスアーチスプリントを用いたケース 永田 省藏
 6.歯周組織の改善とパーシャルデンチャーによる欠損補綴のケース 永田 省藏
 7.初診から32年の経過から 北川原 健
 8.症例の解説 千葉 英史

 参考文献・参考図書
 使用器材一覧
 執筆者一覧

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編著者略歴】
北川原 健(きたがわらたけし)
 1943年 長野県に生まれる
 1968年 東京医科歯科大学歯学部卒業
 1968年 北川原歯科医院勤務
 1996年 同医院院長
 北川原歯科医院
 1.チームワークの歯科診療をめざして.GC,1982.
 2.動揺歯の固定とテンポラリーレストレーション.日本歯科評論,523:1986.
 3.歯周病患者から学んだこと.DENTAL MOOK現代の歯科臨床9「臨床診断」.医歯薬出版,1987.
 4.根分岐部病変と患者へのアプローチ.歯界展望,71(7):1988.
 5.歯苦歯苦―歯槽膿漏激闘編.医歯薬出版,1989.
 6.歯苦歯苦―知らんべだった私.医歯薬出版,1989.
 7.生体のもつ再生能と治癒・歯牙の移動の観察から.補綴臨床別冊「診断と治癒像を探る」,1989.
 8.歯根膜は生きている―臨床的アプローチ(上・下).歯界展望,81(1),(2):1993.
 9.歯の移動と固定.治癒の病理―臨床編―,医歯薬出版,1994.
 10.私のフォローアップへの考え方.補綴臨床別冊「口腔ケアのためのフォローアップシステム」,1996.
 自己紹介
 2003年に還暦を迎えることになってしまった.20歳代の後半に始動し,30歳代は闇雲に走り,40歳代ではそれまで散らかしてしまったものを整理し,50歳代でそれを成熟させてきたように思う.一番大切なのは「30歳代に走る」ことなのではないだろうか.いまは「60歳台をどう過ごすのか……」しきりとそれを考える毎日を過ごしている.
佐々木 勉(ささきつとむ)
 1954年 北海道に生まれる
 1979年 北海道大学歯学部卒業
 1979年 東日本学園大学歯学部第一保存学教室(加藤 ■教授)に入局
 1982年 池田歯科クリニック勤務
 1985年 札幌市にて開業 札幌臨床歯科研究会会員
 もとまちデンタルオフィス
 1.精神薄弱成人の口腔清掃指導,2ヶ月間の指導による臨床的変化について.北海道歯科医師会誌,36:1981.
 2.基本的な治療計画の立て方.歯科ジャーナル,15(6):1982.
 3.日常臨床における根分岐部病変に対する取り組み方とその実際<上,中,下>歯界展望,62(2,3,4):1983.
 4.若い開業医の理想と現実(上,下).歯界展望,70(3,4):1987.
 5.世代交代のなかで研究会のあるべき姿を模索して! 歯界展望,8(2):1993.
 6.欠損補綴に対する考え方・咬合回復の臨床的基準を求めて.歯界展望,83(2):1994.
 7.歯周治療と補綴処置のインターディプシナリー.クインテッセンス別冊,1996.
 8.根分岐部病変の処置.歯界展望別冊,1996.
 9.歯周組織のトラブルの分析とその対応.日本歯科評論,664,1998.
 10.歯周病にかかわる力の問題 その1,2.日歯医師会誌,55(2,3):2002.
 編者の眼
 この5年間を通じて,原稿が一番早くできあがるのはつねに彼であった.しかも実にわかりやすくて,歯周病治療に対して頭の整理がされているということなんだな……と納得.しかし「真面目なんだか不真面目なんだかよくわからない……」という疑問はとうとう最後まで解けなかった.
千葉英史(ちばひでふみ)
 1957年 東京都に生まれる
 1982年 東京医科歯科大学歯学部卒業
 1987年 千葉県我孫子市にて開業 火曜会会員
 千葉歯科医院
 1.少数歯残存症例におけるコーヌステレスコープの応用(共同執筆).日歯医師会誌,42(7)~(9):1989.
 2.歯周病患者の個体差.歯界展望,86(3):1995.
 3.一次固定,二次固定をめぐって(共同執筆).日歯医師会誌,49(11):1997.
 4.歯周病治療から歯科臨床の基本を考える 1~9.歯界展望,91(4)~(6),92(1)~(6):1998.
 5.歯の動揺―その臨床的評価と対応.補綴臨床,31(3):1998.
 6.X線撮影レベルアップ講座 1~3.歯科衛生士,24(8~10):2000.
 7.デンタルX線写真の質の安定を図る.日歯医師会誌,54(1):2001.
 8.患者の個体差を考慮した歯周病治療 1,2.ザ・クインテッセンス,20(7~8):2001.
 編者の眼
 第1巻のこのコーナーで「10年たったら彼の臨床データは日本の歯科医療の財産になる……」と書いたが,2年でそのときがきてしまった.最近発表する症例報告のほとんどが,私が「経過」のなかからものをいえると思っている8年を越えている.しかも資料揃えの精緻さ,ドキュメンテーションの的確さにおいて,いまや日本有数であろう.あと10年たったらどうなっちゃうんだ……?
永田省藏(ながたしょうぞう)
 1955年 熊本県に生まれる
 1979年 日本歯科大学歯学部卒業
 1985年 熊本市にて開業 KDM会員
 永田歯科クリニック
 1.咬合崩壊を伴う症例における咬合挙上.ザ・クインテッセンス,9(11):1990.
 2.パーシャルデンチャーの維持歯における歯周環境の改善.日本臨床歯周病談話会会誌,10:1992.
 3.Eichner B4症例に対し,異なった負担様式により補綴臨床を行った2症例の経過と問題点.補綴臨床,26(2):1993.
 4.補綴の目標を問い直す(3)・欠損が進行しても補綴の目標は同じか.補綴臨床,27(1):1994.
 5.臨床における顎位の設定の疑問から.補綴臨床,28(2):1995.
 6.欠損補綴症例の術後経過から―パーシャルデンチャーの維持装置を考える(1,2).歯界展望,87(4),(5):1996.
 7.デンタルプレスケールを通して欠損歯列をみる.補綴臨床,29(4):1996.
 8.骨縁下欠損への対応―咬合性外傷に対する対応を中心に.日本臨床歯周病談話会会誌,14:1996.
 9.欠損歯列のリスクファクターと処置方針~症例の棲み分けをめぐって(I~VII).日本歯科評論,658~662,664,666:1998.
 10.欠損補綴法におけるコーヌス・テレスコープの臨床的位置づけ.ザ・クインテッセンス,18(4):1999.
 11.下顎位とガイドの捉え方と設定法.歯界展望,94(1)~96(2):1999~2000
 12.欠損補綴診断のベースを採る「咬合支持」の臨床像.ザ・クインテッセンス,21(1):2002.
 編者の眼
 最近,「アンテリアジグを使った咬合採得」で脚光?を浴びているが,もともと彼は「図形」にある特有のセンスをもち合わせているのだと最近感じることが多い.発想それ自体が「絵」のなかからでてきているように思える.発表される論文の図なども徹夜してでも自分で書くと聞いているし,その美しさには感心させられてしまう.人は見かけによらないものだ.

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北川原健 編著/佐々木勉・千葉英史・永田省藏 著

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