やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

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DVDで学ぶ神経内科の摂食嚥下障害
DVDビデオ

定価 8,140円 (本体 7,400円+税10%)
  • 総頁数:132頁
  • 判型:B5判
  • 発行年月:2014年8月
  • ISBN978-4-263-21227-1
  • 注文コード:212270

内容紹介


●代表的な神経内科疾患の嚥下造影や嚥下内視鏡などの症例動画がDVDに多数収録されている.
●動画を補足する解説本は,疾患概念や摂食嚥下障害の特徴など知識の整理に役立つよう簡潔にまとめられている.

序文

序文
 日本人の死因において,肺炎は脳卒中を抜いて2011年に第3位になった.特に高齢者の肺炎の8~9割は誤嚥性肺炎であり,摂食嚥下障害は予後決定因子である.
 摂食嚥下医療における対象疾患の多くは,神経内科疾患である.神経内科疾患における摂食嚥下障害の合併は,急性期脳卒中において30~60%,発症後1か月後では10~20%に残存,筋萎縮性側索硬化症でほぼ100%,パーキンソン病では少なくとも半数以上にみられる.その他の多くの変性疾患や免疫性疾患においても合併する.また,難病医療相談においては,食べることや栄養の相談が少なくない.このように,摂食嚥下障害は予後に関連し,QOLにも大きく影響する.
 神経内科疾患の摂食嚥下障害は,疾患概念や摂食嚥下障害の理解が難しいという印象を医療者側にもたれがちであり,それぞれの医療現場では経験に基づいての対応に苦慮しているのが現状である.その理由のひとつは,医師やメディカルスタッフのための神経内科疾患の摂食嚥下障害のテキストが少ないことである.嚥下造影などの検査を実際に見る機会はさらに少ない.つまり知識の共有がなされていない現状があるのではないだろうか.
 本書は,摂食嚥下医療に熱心に取り組んでいる神経内科医を中心に,主に嚥下造影など「動画で学ぶ」ことを目的に企画された.実際の症例動画を多く提示し,手術療法や装具などについても章を設けた.動画のほとんどが嚥下造影である.実際の医療現場では,嚥下内視鏡も多く併用されているが,運動障害を主症状とする神経内科疾患においては,嚥下造影が理解しやすいと考えたからである.共著者のみならず多方面の先生方にもお願いして貴重な動画をご提供いただいた.心から感謝を申し上げたい.また,できるだけ典型的な動画提示を心がけた結果,アナログ時代のやや荒い画像も含まれているが,ご理解いただけると幸いである.
 本書は当初,若手医師・神経内科医・リハビリテーション医・在宅医などの医師を読者対象として,編集を始めた.しかし,臨床でのメディカルスタッフの関心度も高いことから,チーム医療として摂食嚥下医療にかかわるスタッフの方にも利用していただけるよう工夫した.本書はあくまでも動画が主体で,本文は知識の整理のための補助的な役割を果たすよう簡略化したが,内容は,疾患概念と摂食嚥下障害の特徴を整理してある.
 神経内科疾患の摂食嚥下障害の経過には,急速進行型・慢性進行型・症状変動型などがある.それぞれの疾患の病態と経過を熟知して,的確な医療的ケアプランを立てる.それによって,摂食嚥下障害の合併症である誤嚥,窒息,肺炎,栄養障害を予防し,または,重症化を未然に防ぎ,患者のQOL維持に寄与する.たとえ,進行性疾患であっても,廃用予防と残存機能の活用が,リハビリテーションとして十分な効果をもたらすことを忘れてはならない.
 摂食嚥下医療はトータルケアである.患者の疾患病態と療養環境を把握し,「安全に食べること」と「食を楽しむこと」の両面から,チーム医療としてケアプランを構築することが重要である.
 2014年8月
 兵庫医療大学 野﨑園子


推薦の辞
 巷間,食は歓びと言い,また,医はこころと言う.医学の最高の技術をmedical artと呼ぶ.われわれが日常行う医療は,サイエンス,つまり科学する部分と技術から成り立っている.そしてそれらの根底にはこころがなければならない.摂食嚥下という行為は,人が自ら望んで,ある意味本能的に行っているものであるが,従って根本は生きる,即ち生命の継続を目指すところに本質がある.しかし,食べるという行為は原始的な悦びを秘め,さらに場面が変われば文化,即ち食文化と称される側面までを包含する.
 お手元に届きました冊子は,急速に進歩しつづける医学と医療と技術に基づいた嚥下という機能を中心に置きながら,最終的には食事という文化的であるべき行為をいかにサポートすべきかの解説書でもある.本書では神経・筋疾患に多くの紙面が割かれていて,一般の人には一見してとっつきにくい印象を与えるかもしれない.しかし,恐れず,じっくり中身に目を通していただければ分かるように,そうした神経難病が実に簡潔に分かりやすく解説されている.さらにそれぞれの疾患が示す嚥下障害の特徴の解説を通して,咀嚼嚥下の一連の流れと個別の問題をDVDという動画を通して具体的に理解できる仕組みとなっている.
 即ち,本書は広く専門家の方々から一般の読者まで誰もが,咀嚼嚥下という行為の背景機序から機能障害まで,その種類,そして対策までをそれぞれの疾患ごとに理解できるよう意図された,真に過去類例をみないユニークな企画となっている.これを可能にしているのは長年の蓄積である.
 即ち本書の著者はいずれも長い間,神経難病の専門家であり,かつ嚥下障害という場面に真正面から立ち向かってこられたエキスパートである.こうした長年の蓄積があってこそ初めてなせる業の結実が本書である.
 医療がアートであるという真意は何か,それを知るには医療の根本は何かと尋ねる必要がある.即ち医療の根本は慈悲である.慈悲とは愛と共感のことである.一方アート(技)の本態は芸であり,芸とはこころの表現である.医療がアートである理由は両者がこころを共有するからである.すると心とは何かという問題に突き当たる.心の核心は脳にあるが,それも原型は辺縁系にある生存と喜びの脳の働きである.即ち摂食嚥下という行為は正に生存と喜びの中心に根ざした機能であるのであるから,本書が目指すところは,脳の働きの出口である末梢の咀嚼嚥下機能を観察しながら,実はその奥にある核心部分,即ち脳機能,さらにはこころそのものを理解する所に存在する.
 かくして,食は歓びというのは,古来医食同源と称されてきたように,医療の目標がここに集約されているということを意味する.本書を手にされた読者の方々は,摂食嚥下というあたり前に思ってきた行為に実は身体やこころが示す見事な芸術性が秘められていることに気づかれたと思う.人体の不思議さに改めて感嘆の声をあげたくなるに違いない.最後に,改めて著者の方々に万感の想いを込めて「心から」の敬意を表すものである.
 2014年8月
 鎌ヶ谷総合病院千葉神経難病医療センター(KC-MIND)・センター長
 日本神経筋摂食嚥下栄養研究会(JSDNNM)代表世話人
 湯浅龍彦


推薦の辞
 筋ジストロフィーや神経難病など慢性期の病気が中心だった国立病院機構南九州病院から,がん治療など高度急性期医療の病院に移って一年余りが経つ.先日のこと,開業医の先生から,80歳のパーキンソン病の男性の診断と治療方針について相談を求められた.早速外来に予約していたところ,夜半に救急車で搬入されたという.誤嚥性肺炎で高熱を発し,意識も朦朧とした状態だったようである.
 このようなケースは日常診療のなかでよく経験することで,特に高齢者の神経疾患では誤嚥に伴う肺炎はよく遭遇する出来事である.ところが多くの神経内科医(実は私もその一人であるのだが)は「摂食嚥下障害」についての関心は薄く,言語療法士などにお任せすることが多い.
 本書は「摂食嚥下障害」について,神経内科医のかかわりの重要性を痛感してきた編者の野﨑園子先生を中心に書かれた共著である.筆者らは長年のこの領域での経験から,医師こそが摂食嚥下機能に関心をもち,学んでもらうことが高齢者の嚥下性肺炎を減らせる近道だと確信する.逆な言い方が許されるならば,多くの医師のこの領域での関心の薄さが肺炎を発症させ,患者のQOLを著しく低下させ,コメディカルスタッフを悩ませているのだと看破している.
 本書では摂食嚥下障害をきたしやすい神経内科疾患(脳血管障害を含む)から外科手術まで網羅し,疾患の概要から実際の症例を提示している.そして嚥下造影の動画まで示して,極めてわかりやすい解説を試みている.嚥下造影をよく理解し実践していくことが,重症化を未然に防ぎ患者のQOLの向上に役立つと強調している.
 筆者が序文の最後に書かれている「摂食嚥下医療はトータルケアである.患者の疾患病態と療養環境を把握し,『安全に食べること』と『食を楽しむこと』の両面から,チーム医療としてケアプランを構築することが重要である」という結論は,まさに嚆矢を得たものだと同感できる.
 摂食嚥下障害をきたす疾患の多くは,いわゆる難病の範疇に属する.1972年の難病対策要綱から始まった日本の難病対策は,42年を経て今年「難病の患者に対する医療等に関する法律」として法制化され,2015年から新しい法制度のもとでの難病対策が始まる.
 難病法案の作成にかかわった一人として,このような時代に本書が刊行されることは素晴らしい偶然だと喜んでいる.本書が若手医師・神経内科医・リハビリテーション医・在宅医のみならず,チーム医療を担う多くの医療スタッフに,実践の場で利用されることを願ってやまない.
 2014年8月
 公益社団法人鹿児島共済会南風病院院長
 鹿児島県難病・相談支援センター所長
 福永秀敏

目次

 序文
 推薦の辞

1.摂食嚥下障害の基礎知識
 摂食嚥下障害の概要(DVD1-1~1-4)
 摂食嚥下障害への基本的対応(DVD1-5,1-6)
2.パーキンソン病(PD)
 パーキンソン病の概要
 パーキンソン病の摂食嚥下障害(DVD2-1~2-3)
 パーキンソン病における嚥下造影所見
 摂食嚥下障害対策(DVD2-4,2-5)
3.進行性核上性麻痺(PSP)
 進行性核上性麻痺の概要
 進行性核上性麻痺の摂食嚥下障害
 進行性核上性麻痺における嚥下造影所見(DVD3-1,3-2)
 進行性核上性麻痺における嚥下障害の責任病巣
 摂食嚥下障害対策(DVD3-3~3-6)
4.脊髄小脳変性症(SCD)
 脊髄小脳変性症の概要
 脊髄小脳変性症の摂食嚥下障害
 脊髄小脳変性症における嚥下造影所見(DVD4-1~4-5)
 摂食嚥下障害対策
5.筋萎縮性側索硬化症(ALS)
 筋萎縮性側索硬化症の概要
 筋萎縮性側索硬化症の摂食嚥下障害(嚥下・栄養管理のポイント)(DVD5-1~5-6)
6.球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
 球脊髄性筋萎縮症の概要
 球脊髄性筋萎縮症の摂食嚥下障害(DVD6-1,6-2)
7.筋ジストロフィー(PMD)
 筋ジストロフィーの概要
 Duchenne型筋ジストロフィー(DMD)の摂食嚥下障害(DVD7-1)
 福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)の摂食嚥下障害(DVD7-2,7-3)
 筋強直性ジストロフィー(MD)の摂食嚥下障害(DVD7-4,7-5)
8.皮膚筋炎・多発筋炎・封入体筋炎
 皮膚筋炎・多発筋炎・封入体筋炎の概要
 嚥下障害の病態
 嚥下障害の治療(DVD8-1~8-3)
9.多発性硬化症(MS)
 多発性硬化症の概要
 嚥下障害の特徴(DVD9-1,9-2)
10.重症筋無力症(MG)
 重症筋無力症の概要
 重症筋無力症の摂食嚥下障害(DVD10-1)
 重症筋無力症の摂食嚥下障害対策
11.ギラン・バレー症候群(GBS)
 ギラン・バレー症候群の概要
 ギラン・バレー症候群の摂食嚥下障害(DVD11-1)
 ギラン・バレー症候群の摂食嚥下障害対策
12.認知症
 認知症の概要
 原因となる疾患
 認知症による摂食嚥下障害
 嚥下障害の特徴(DVD12-1)
13.脳血管障害
 脳血管障害の概要
 脳血管障害に伴う摂食嚥下障害(DVD13-1~13-3)
14.嚥下障害の外科治療
 はじめに
 嚥下機能改善手術(DVD14-1)
 誤嚥防止手術(DVD14-2~14-4)
 おわりに
15.嚥下障害のための口腔装置
 Swallow aid (DVD15-1~15-6)
 嚥下補助装置
16.姿勢による変化
 姿勢調整時のポイント
 代表的な姿勢調整の意義と方法(DVD16-1~16-5)
17.バルーン法(バルーン拡張法,バルーン訓練法)
 バルーン法の概要
 適用可能な神経筋疾患(DVD17-1~17-3)
 バルーン法の実際
18.摂食嚥下を助ける装具・自助具
 摂食嚥下における環境整備上の問題点
 嚥下調整食
 調理の負担軽減の提案
付録 神経内科疾患の摂食嚥下障害のまとめ

著者所属/略歴 ※本書が刊行された当時のものです.現在とは異なる場合があります.

【編著者略歴】
野﨑園子【のざきそのこ】
 1980年 大阪大学医学部卒業
 同 年 天理よろづ相談所病院
 1982年 市立豊中病院内科
 1983年 大阪大学医学部第二内科
 1989年 国立療養所(現国立病院機構)刀根山病院神経内科
 1992年 同神経内科 医長
 2004年 国立病院機構徳島病院 臨床研究部長
 2008年 兵庫医療大学リハビリテーション学部 教授
 2011年 兵庫医療大学大学院医療科学研究科 教授 兼任
市原典子【いちはらのりこ】
 1991年 香川医科大学医学部医学科卒業
 1991年 香川医科大学第三内科
 1992年 回生病院内科
 1993年 国立療養所高松病院神経内科
 1998年 同神経内科 医長
 2004年 国立病院機構高松東病院神経内科 医長
 2008年 同神経内科 医長
 2014年 同神経内科 診療部長
     香川大学医学部臨床教授

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野﨑園子・市原典子 編著/磯野千春・平野牧人・中村雄作・藤本保志・巨島文子・舘村卓・三好まみ・山脇正永 著