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28巻11号 2019年10月号
特集 各種病態によるサルコペニア・フレイルの治療と予防
特集にあたって
 サルコペニアは高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度等)の低下と定義される.加齢のみが原因の場合は「一次性サルコペニア」,活動不足,疾患(代謝疾患,消耗性疾患等),栄養不良が原因の場合は「二次性サルコペニア」という.65 歳以上で,握力低下または歩行速度低下がある人で,筋肉量を測定し低下がある場合をサルコペニアと診断する.
 フレイルとは,「加齢に伴う予備能力低下のため,ストレスに対する回復力が低下した状態」を表すfrailty の日本語訳として日本老年医学会が提唱した用語である.フレイルは,要介護状態に至る前段階として位置づけられるが,身体的,精神・心理的,社会的脆弱性等の多面的な問題を含む概念である.体重減少,筋力(握力)低下,疲労感,歩行速度低下,身体活動低下の項目のうち,3 つ以上該当すればフレイル,1?2 つ該当すればプレフレイルと診断する.
 サルコペニア・フレイルは専門学会だけでなく,多くの学会のシンポジウム等で取り上げられ,発表演題が多数見受けられる.また,医療関係者だけでなく一般市民の関心も高い.サルコペニア・フレイルは治療や予防が可能な疾患(病態)であり,本特集では,サルコペニア・フレイルを各種病態にわけ,有病率,治療,予防等につき,この分野で造詣が深い先生方に執筆をお願いした.サルコペニアの診断法にはヨーロッパでのEWGSOP(European Working Group onSarcopenia in Older People)とアジアでのAWGS(Asian Working Group for Sarcopenia)が存在するが,わが国ではAWGS が用いられており2019 年度版が公表予定である.
 サルコペニア・フレイルの治療には,栄養と運動の併用がより効果的である.運動器疾患に限れば整形外科学会が提唱しているロコモが存在し,サルコペニア・フレイルとの関係がしばしば問われている.サルコペニアはロコモの一部であり,身体的フレイルとほぼ同義であるが,ロコモと診断される人は,サルコペニア・フレイルの有病率より高い.骨粗鬆症,大腿骨近位部骨折,椎体骨折等の運動器疾患を有する人のサルコペニア・フレイルの有病率は高い.運動習慣や身体活動量が多いほど,サルコペニアやフレイルの発症のリスクは軽減する.
 サルコペニアに肥満を同時に有する状態をサルコペニア肥満という.サルコペニア肥満は,糖尿病やメタボリックシンドロームに関連している.サルコペニア肥満にはレジスタンス運動と有酸素運動を併用すべきであり,効果的な減量と筋量の喪失を防ぐ食事療法が重要である.慢性腎疾患(CKD),COPD,肝疾患を有する人のサルコペニア・フレイルの有病率は高い.これらの疾患では,個々の治療とともに食事療法と運動療法を組み合わせる包括的な対応(リハビリテーション)が必要である.心不全では,カヘキシアに伴う二次性サルコペニアをきたしていることが多く,フレイルの有病率は高い.しかし,まだ報告も少なく,心不全フレイルの評価法は確立していない.栄養介入や運動療法は必要であるが,今後のエビデンスの蓄積が待たれる.
 本特集を熟読すれば,現状でのサルコペニア・フレイルの理解が得られると思う.多くのリハビリテーション関連職種の人たちが関心を持ち,対応することを期待する.(編集委員会)
目 次
サルコペニア・フレイルの概要  葛谷雅文
運動器疾患におけるサルコペニア・フレイル  千田益生,堅山佳美・他
生活習慣病におけるサルコペニア・フレイル  豊島弘一,荒木厚
腎臓,呼吸器,肝疾患におけるサルコペニア・フレイル  海老原覚
心不全におけるサルコペニア・フレイル  足立拓史,山田純生
新連載
運動器・末梢神経の診察テスト法 
1.頚部神経根症および頚部脊髄症の症状誘発テスト  鈴木学,田中靖久 
連載
巻頭カラー  脳画像診断の進歩 
10.PET・SPECT機能画像  長田乾 
リハビリテーション医療における臨床倫理 
3.誤嚥性肺炎を反復した重度嚥下障害遷延症例の臨床倫理  岡本圭史,藤島一郎・他 
現場で生かせるExcelシート付き! リハビリテーション自主トレーニング指導 
13. 失語症の自主トレーニング  森真実也,竹内千尋・他 
ニューカマー リハ科専門医 
  大口恵子 
障害者施設等一般病棟の現状と課題 
7.千葉県千葉リハビリテーションセンターの場合  菊地尚久 
神経生理学の基礎と臨床 
4.体性感覚誘発電位  園生雅弘 
急性期リハビリテーションの実際─なにを、いつ、どのように 
8. 虚血性心疾患  高橋哲也森沢知之・他 
包括的リハビリテーション医療の構成要素としての栄養療法―リハビリテーション科医が知っておくべき基本知識 
14.スポーツにおける食品の機能性  藤見幹太,三浦伸一郎 
心に残ったできごと―リハビリテーション科の現場から 
失敗から学ぶということ  大井直往 
臨床研究 
慢性期脳卒中片麻痺上肢機能障害に対するHybrid CIMTとその有効性  川本定紀
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