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27巻12号 2018年11月号
特集 自律神経障害 Up to Date
特集にあたって
 超大型台風の記録的強風が吹き荒れた翌日の10 月1 日,素晴らしいニュースが飛び込んできた.京都大学特別教授,本庶佑先生のノーベル生理学・医学賞受賞である.PD-1 分子の発見により,全く新しいがん免疫治療の道を開いた功績によるものだ.わが国のがん研究者の間では,至極当然,むしろ遅すぎたと感じる方が多いようだが,わが国の免疫研究レベルの高さを世界に示したということで,多くの国民に歓喜と誇りを与えたに違いない.
 本特集の石川論文に紹介されている高峰譲吉がアドレナリンを初めて分離抽出したのは1900 年である.ノーベル賞の授与が始まったのが1901 年であり,その後の自律神経研究への多大な貢献を考えると,こちらも当然ノーベル賞にふさわしい業績と思えるのだが,1930 年代までの受賞者はすべて欧米人である.残念ながら当時は東洋人ということだけで候補にすらならなかったのかもしれない.
 その後も「わが国の多数の研究者の貢献があった」自律神経が今回の特集テーマである.
 Langley が自律神経と命名したのが1898 年ということで,ほんの120 年前であることに驚かされる.基礎医学教育では,解剖学でも生理学でも自律神経の扱いは少なかったという印象がある.すべての生命活動の制御にかかわる機能の重要さに比べて,医学教育でそれに見合った扱いを受けてこなかったのは,その機能,構造が容易に目に見えない(理解できない)ためではないかと思われる.その状況も朝比奈論文によれば近年の画像診断,遺伝子診断の進歩により,新たな展開が期待される状況にあるということで,自律神経活動の『見える化』も遠くないと感じた.
 人間の生活機能を分析し操作するリハビリテーション(以下リハ)医学では,自律神経の理解は極めて重要である.リハ治療が最も難渋する疾患の一つ,重症の自律神経ニューロパチーの患者さんは起立性低血圧のため座ることができず,消化器症状のため十分な栄養を確保できず,羞明や口腔乾燥のために見ること,話すことも不快になり,活動全般が著しく制限される.主治医は自律神経がわれわれの生活にいかに深くかかわっているかを思い知らされるのである.
 本特集ではリハ科の対象疾患で特に自律神経障害が問題となる神経変性疾患,脊髄損傷,高齢者を取り上げ,それぞれ第一線で活躍する先生方に執筆を依頼した.最新の知見と豊富な臨床経験に基づくリハ診療の実際について解説をいただき,実臨床で指針として活用できる充実の内容となった.
 リハ医療について自律神経のフィルターを通して見直してみるのも一興である.
 本号の発刊に合わせたかのように10 月25〜26日にさいたま市で第71 回日本自律神経学会総会が開催される.読むだけでワクワクするシンポジウムのテーマは,1)パーキンソン病の自律神経障害,2)循環器領域への自律神経の関わりを見直す,3)自律神経と消化管−脳腸相関における自律神経の役割を考える,4)自律神経系と内分泌:薬理学的アプローチから,5)ストレスに対する呼吸応答のメカニズム,6)痛みと情動・自律反応,7)神経障害と排尿・畜尿障害−神経因性膀胱をとらえる,8)脳脊髄液減少症と体位性頻脈症候群,9)睡眠と自律神経である.
 自律神経学の広く,奥深い,そして夢のある世界が垣間見えるではありませんか. (編集委員会)
目 次
自律神経障害− オーバービュー  石川義弘
自律神経障害の診断  朝比奈正人
神経変性疾患の自律神経障害  中馬孝容
脊髄損傷の自律神経障害  横山絵里子
高齢者の自律神経障害  海老原覚
新連載
心に残ったできごと―リハビリテーション科の現場から 
わが国初の脳死肺移植患者の術前後のリハビリテーション担当医として  上月正博 
連載
巻頭カラー  医療職に知ってもらいたい 移動・移乗補助用具 
5.スタンディングリフト  粂田哲人,山崎哲司 
現場で生かせるExcelシート付き! リハビリテーション自主トレーニング指導 
2.脳血管疾患 麻痺手の自主トレーニング  清水雅裕 
リハビリテーション医療が支える障がい者スポーツ―現状と課題  5.障害とスポーツの現状C 
聴覚障害者がスポーツをする際の注意点  石川浩太郎 
基礎研究がリハビリテーション医療を変える 
8.脳卒中後の気分障害に対する治療アプローチを基礎の観点から考える−脳循環代謝改善薬のニセルゴリンについて−  伊藤英明,豊平由美子・他 
医療的ケア児・重症心身障害児(者)への在宅地域生活支援 
5.学校現場における医療的ケアの現状と課題  大山衣絵 
ニューカマー リハ科専門医 
  工藤大輔 
包括的リハビリテーション医療の構成要素としての栄養療法―リハビリテーション科医が知っておくべき基本知識 
3.慢性心不全と栄養療法  衣笠良治 
最近の人工関節置換術と術後のリハビリテーション 
4.最近の解剖学的人工肩関節置換術と術後のリハビリテーションの工夫  末永直樹,松本尚 
歴史への誘惑 
第59回 啓蒙主義時代の『養生訓』  江藤文夫 

臨床経験 
回復期リハビリテーション病棟転院時に高次脳機能障害を有した抗NMDA受容体脳炎患者の復職までの過程  和田義敬,諸富伸夫・他
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自律神経障害 Up to Date
27巻12号 2018年11月15日
月刊(B5判,100頁)
定価 2,640円(本体 2,400円+税10%)
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