序
生活習慣病や要介護状態の予防において,身体活動の推進は極めて重要な柱となっています.とくに,働き盛り世代に広がる高血圧症や糖尿病,高齢期に顕在化する認知症,フレイルやサルコペニアは,健康寿命の延伸を阻む大きな要因であり,その予防と改善は国民的課題といえます.これらに対応するうえで,食事支援とともに身体活動支援を一体的に進めることが,地域や職域で活動する管理栄養士に強く求められています.近年,多くの疾患において「栄養と運動の併用アプローチ」の有効性が広く認識されており,臨床現場では管理栄養士が患者から運動に関する質問を受ける機会も増えています.特定健診や栄養指導の場面では,身体活動支援も求められています.
一方で,身体活動支援の実施には課題が存在します.人的資源の制約により指導が十分に行き届かない現場の課題,そして身体活動・運動の実施が患者自身の意思や行動変容に依存するという対象者側の課題です.こうした状況においては,管理栄養士が栄養指導と併せて基本的な身体活動支援を担い,食事と運動を一体的に提供することが,より実践的かつ効果的な支援につながると考えられます.
本書『はじめてとりくむ身体活動支援 Ver.2─健康寿命延伸のための栄養と運動』は,2019年に刊行された初版を改訂し,令和5年に公表された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」「アクティブガイド2023」や最新の疾患ガイドラインの内容を反映しました.最新の科学的エビデンスや政策の動向を取り入れるとともに,管理栄養士が現場で即活用できるよう,ライフステージや健康状態に応じた実践方法を整理し,具体的な事例や工夫を豊富に紹介しています.支援者自身が「できることから始める」視点をもち,対象者の行動変容を着実に後押しすることを目的としています.
なによりも,本書の執筆には,わが国の身体活動・運動の指導や研究に最前線で取り組む専門家が参加してくださいました.本書が,管理栄養士の皆さまにとって,メタボリックシンドロームやフレイルをはじめとした健康課題に取り組む際の心強い指針となり,地域や職域における健康寿命延伸の推進に貢献することを心から願っています.
早稲田大学スポーツ科学学術院
宮地元彦
生活習慣病や要介護状態の予防において,身体活動の推進は極めて重要な柱となっています.とくに,働き盛り世代に広がる高血圧症や糖尿病,高齢期に顕在化する認知症,フレイルやサルコペニアは,健康寿命の延伸を阻む大きな要因であり,その予防と改善は国民的課題といえます.これらに対応するうえで,食事支援とともに身体活動支援を一体的に進めることが,地域や職域で活動する管理栄養士に強く求められています.近年,多くの疾患において「栄養と運動の併用アプローチ」の有効性が広く認識されており,臨床現場では管理栄養士が患者から運動に関する質問を受ける機会も増えています.特定健診や栄養指導の場面では,身体活動支援も求められています.
一方で,身体活動支援の実施には課題が存在します.人的資源の制約により指導が十分に行き届かない現場の課題,そして身体活動・運動の実施が患者自身の意思や行動変容に依存するという対象者側の課題です.こうした状況においては,管理栄養士が栄養指導と併せて基本的な身体活動支援を担い,食事と運動を一体的に提供することが,より実践的かつ効果的な支援につながると考えられます.
本書『はじめてとりくむ身体活動支援 Ver.2─健康寿命延伸のための栄養と運動』は,2019年に刊行された初版を改訂し,令和5年に公表された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」「アクティブガイド2023」や最新の疾患ガイドラインの内容を反映しました.最新の科学的エビデンスや政策の動向を取り入れるとともに,管理栄養士が現場で即活用できるよう,ライフステージや健康状態に応じた実践方法を整理し,具体的な事例や工夫を豊富に紹介しています.支援者自身が「できることから始める」視点をもち,対象者の行動変容を着実に後押しすることを目的としています.
なによりも,本書の執筆には,わが国の身体活動・運動の指導や研究に最前線で取り組む専門家が参加してくださいました.本書が,管理栄養士の皆さまにとって,メタボリックシンドロームやフレイルをはじめとした健康課題に取り組む際の心強い指針となり,地域や職域における健康寿命延伸の推進に貢献することを心から願っています.
早稲田大学スポーツ科学学術院
宮地元彦
序
おさえておきたい 理論編
なぜ,管理栄養士が身体活動支援を行うのか(宮地元彦)
身体活動・運動の定義と評価法
管理栄養士に必要な身体活動・運動に関する知識とスキル
身体活動と食事,両方の指導が必要
運動生理学・生化学の基礎
まとめ
健康寿命延伸のための身体活動(津下一代)
健康寿命の動向と必要な対策
メタボ・フレイルと健康寿命
ライフステージとエネルギー収支バランス
メタボと特定保健指導
フレイルと保健事業(高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施)
まとめ
身体活動支援にかかわるアセスメント(吉田 司・山田陽介)
はじめに
メタボの判定
フレイルの判定
ロコモの判定
サルコペニアの判定
疾患予防と改善のための身体活動のエビデンス
疾患をもつ人が運動するうえでの留意事項(小熊祐子)
はじめに
慢性疾患を有する人のエビデンス─健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
安全・安心に身体活動を行うために
行動科学的アプローチ
英国の慢性疾患を有する人向けのコンセンサス・ステートメント─利益はリスクを上回る
まとめ
肥満と代謝異常(中田由夫)
肥満とは?
肥満改善に向けて
まとめ
高血圧(前田清司)
高血圧
高血圧と心血管疾患リスク
運動と高血圧
高血圧の発症機序
運動による高血圧の予防・改善の機序
高血圧の予防・改善のための運動プログラム
認知機能低下(島田裕之)
健康寿命と認知症
運動による認知機能向上のメカニズム
運動と認知機能の関係(観察研究)
運動による認知機能の向上(介入研究)
複合的介入による認知機能の向上
運動による認知症発症抑制
進行予防としての認知症に対する運動療法
今後の課題
サルコペニア(山田 実)
サルコペニアとは
サルコペニアの要因
サルコペニアの判定
骨量の評価
筋質の評価
サルコペニアに対する介入
おわりに
座りすぎ・座りっぱなしの実態・悪影響とその対策(岡 浩一朗)
はじめに
わが国の成人における座りすぎ・座りっぱなしの実態
座りすぎ・座りっぱなしの悪影響
成人に対する座位行動指針の策定動向
座りすぎ・座りっぱなし対策の現状
おわりに─座位行動研究における今後の課題
やってみよう! 実践編
さあ,からだを動かしてみましょう(宮地元彦)
わが国の身体活動・運動の現状
身体活動・運動の重要性
身体活動・運動支援実施における安全対策
生活活動を増やすメリット
その気にさせる支援法(原田和弘)
運動・身体活動は習慣化がむずかしい
その気にさせる支援のポイント1:習慣化を段階的にとらえる
その気にさせる支援のポイント2:実際面と感情面の両方から支援を行う
その気にさせる支援のポイント3:その気になる決め手の違いを考慮する
その気にさせる支援のポイント4:運動・身体活動のよい面に目を向ける
その気にさせる支援のポイント5:時間的な負担感を考慮する
その気にさせる支援のポイント6:無理なく上手に続けるコツをつかむ
その気にさせる支援のポイント7:継続への自信を高める支援をする
日常生活でできる消費エネルギーアップ(田中茂穂)
身体活動によるエネルギー消費量の大きさと内訳
生活活動の重要性
身体活動量のアセスメント
メッツ(metabolic equivalent:MET)
生活活動の実践例
有酸素性運動―ウォーキングとジョギング(坂本 誠)
はじめに
自分に合った運動強度と運動量の見つけ方
ウォーキング
ジョギング(スロージョギング(R))
いろいろなウォーキングとランニング
安全対策
Coffee break 楽しむことも一歩一歩!
レジスタンストレーニング(谷本道哉)
レジスタンストレーニング実施の基本と注意点
器具を使わない10種目のレジスタンストレーニング
ヨガとストレッチング(綿本 彰)
ヨガやストレッチング実施の基本と注意点
誰にでもできる簡単な10種目のポーズ紹介
索引
おさえておきたい 理論編
なぜ,管理栄養士が身体活動支援を行うのか(宮地元彦)
身体活動・運動の定義と評価法
管理栄養士に必要な身体活動・運動に関する知識とスキル
身体活動と食事,両方の指導が必要
運動生理学・生化学の基礎
まとめ
健康寿命延伸のための身体活動(津下一代)
健康寿命の動向と必要な対策
メタボ・フレイルと健康寿命
ライフステージとエネルギー収支バランス
メタボと特定保健指導
フレイルと保健事業(高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施)
まとめ
身体活動支援にかかわるアセスメント(吉田 司・山田陽介)
はじめに
メタボの判定
フレイルの判定
ロコモの判定
サルコペニアの判定
疾患予防と改善のための身体活動のエビデンス
疾患をもつ人が運動するうえでの留意事項(小熊祐子)
はじめに
慢性疾患を有する人のエビデンス─健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
安全・安心に身体活動を行うために
行動科学的アプローチ
英国の慢性疾患を有する人向けのコンセンサス・ステートメント─利益はリスクを上回る
まとめ
肥満と代謝異常(中田由夫)
肥満とは?
肥満改善に向けて
まとめ
高血圧(前田清司)
高血圧
高血圧と心血管疾患リスク
運動と高血圧
高血圧の発症機序
運動による高血圧の予防・改善の機序
高血圧の予防・改善のための運動プログラム
認知機能低下(島田裕之)
健康寿命と認知症
運動による認知機能向上のメカニズム
運動と認知機能の関係(観察研究)
運動による認知機能の向上(介入研究)
複合的介入による認知機能の向上
運動による認知症発症抑制
進行予防としての認知症に対する運動療法
今後の課題
サルコペニア(山田 実)
サルコペニアとは
サルコペニアの要因
サルコペニアの判定
骨量の評価
筋質の評価
サルコペニアに対する介入
おわりに
座りすぎ・座りっぱなしの実態・悪影響とその対策(岡 浩一朗)
はじめに
わが国の成人における座りすぎ・座りっぱなしの実態
座りすぎ・座りっぱなしの悪影響
成人に対する座位行動指針の策定動向
座りすぎ・座りっぱなし対策の現状
おわりに─座位行動研究における今後の課題
やってみよう! 実践編
さあ,からだを動かしてみましょう(宮地元彦)
わが国の身体活動・運動の現状
身体活動・運動の重要性
身体活動・運動支援実施における安全対策
生活活動を増やすメリット
その気にさせる支援法(原田和弘)
運動・身体活動は習慣化がむずかしい
その気にさせる支援のポイント1:習慣化を段階的にとらえる
その気にさせる支援のポイント2:実際面と感情面の両方から支援を行う
その気にさせる支援のポイント3:その気になる決め手の違いを考慮する
その気にさせる支援のポイント4:運動・身体活動のよい面に目を向ける
その気にさせる支援のポイント5:時間的な負担感を考慮する
その気にさせる支援のポイント6:無理なく上手に続けるコツをつかむ
その気にさせる支援のポイント7:継続への自信を高める支援をする
日常生活でできる消費エネルギーアップ(田中茂穂)
身体活動によるエネルギー消費量の大きさと内訳
生活活動の重要性
身体活動量のアセスメント
メッツ(metabolic equivalent:MET)
生活活動の実践例
有酸素性運動―ウォーキングとジョギング(坂本 誠)
はじめに
自分に合った運動強度と運動量の見つけ方
ウォーキング
ジョギング(スロージョギング(R))
いろいろなウォーキングとランニング
安全対策
Coffee break 楽しむことも一歩一歩!
レジスタンストレーニング(谷本道哉)
レジスタンストレーニング実施の基本と注意点
器具を使わない10種目のレジスタンストレーニング
ヨガとストレッチング(綿本 彰)
ヨガやストレッチング実施の基本と注意点
誰にでもできる簡単な10種目のポーズ紹介
索引














