やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 厳しい冬が過ぎ,お年寄りやスタッフの風邪がひと通り落ち着くころ,ある日突然,「チョットチョット」と呼ばれ,「リーダー(主任)になってくれない」と上司から言われます.高校や専門学校を卒業して勤務2,3年の若さで,はじめて「リーダー」という職種を考えます.
 でも「なぜわたしが?」「リーダー(主任)って何するの?」「ただ忙しくなるだけでは?」と,不安感が募るばかりではありませんか?この本では,介護老人保健施設「ききょうの郷」および「鶴舞乃城」(ともに静岡県)で業務改善を行った際に,新しく台頭してきた若手リーダーの成長ぶりを追いながら,「はじめてのケアリーダー」に必要とされる事項を,事例や参考資料を掲載しながらわかりやすく整理してみました.
 本来,ケアリーダーとはおもしろい仕事です.ケアの本当のおもしろさを実感したければ,ぜひこの「リーダー職」に正面から挑戦し,そして「あなたらしいケアリーダー」をつくり上げてみてください.
 そして,リーダーでなくても,入職して3年目の壁にぶつかりそうなあなたのお役に,少しでもたてればとも思います.
 この本の右頁に〈Self Reform〉の欄を設けました.あなた自身をふり返えるキッカケとして使ってみてください.
 高口光子
 杉田真記子
 はじめに
1 突然「リーダー(主任)になって」と言われたら
 1─1 なぜ「あなた」は任命されたのか
 1─2 なぜ「リーダー」は必要なのか?
 1─3 ききょうの郷のリーダーたち 平野さん・渡辺さんの場合
2 はじめてのリーダー(主任)としてやるべきこと一覧
3 就任前にやるべきこと
 3─1 家族に相談
  3─1─1 帰りが遅くなる
  3─1─2 変則的な勤務がある
  3─1─3 家族の協力が必要(電話が施設から入る)
  3─1─4 自分の意志である
 3─2 体調の確認
  3─2─1 治療が必要な病気は治療する(予想できる対策をする)
  3─2─2 継続治療・注意が必要ならばその条件を明確にする
  3─2─3 自分の生活リズムをつくる
 3─3 心がまえ
  3─3─1 最低年はがんばる
  3─3─2 予想される困難を目標にする
  3─3─3 どんなケアをしたいのかを自分に問う
  3─3─4 人事と経営(給与)に関することは,当事者以外には誰にも言わない
 3─4 上司に相談
  3─4─1 自分の心配なことはすべて申し上げ,基本的な考えかたを確認する
  3─4─2 子ども・家族の理解
  3─4─3 結婚・引越し
  3─4─4 病気
  3─4─5 能力
  3─4─6 人間関係
  3─4─7 相談を通じて上司との関係をつくる
4 就任後1年以内にやるべきこと
 4─1 業務
  4─1─1 業務とは
  4─1─2 業務を把握することの必要性
  4─1─3 ステップ1:各勤務(早出/遅出/日勤/夜勤など)の動きを把握する
  4─1─4 ステップ2:各勤務の動きにくいところ(弱点)を把握できる
  4─1─5 ステップ3:各勤務の問題点が整理できる
  4─1─6 ステップ4:各勤務の提案や調整が実施できる
 4─2 会議
  4─2─1 会議とは
  4─2─2 会議に参加することの必要性
  4─2─3 ステップ1:会議の種類を知る
  4─2─4 ステップ2:会議の内容を正しく現場に伝えられる
  4─2─5 ステップ3:現場の意見を取りまとめて報告・発言できる
  4─2─6 ステップ4:発言や決定事項を徹底して実行できる
 4─3 勤務表
  4─3─1 勤務表とは
  4─3─2 勤務表を作成することの必要性
  4─3─3 ステップ1:勤務表の作成の原則を知る
  4─3─4 ステップ2:スタッフの希望/業務内容/組合せにあわせた勤務表作成ができる
  4─3─5 ステップ3:突然の勤務変更(病欠/退職など)に対応できる
  4─3─6 ステップ4:利用者状況に合わせ,リーダーの意志をもった勤務表が作成できる
 4─4 就業規則
  4─4─1 就業規則とは
  4─4─2 就業規則を理解することの必要性
  4─4─3 ステップ1:規則をしっかりと読む
  4─4─4 ステップ2:規則に関するスタッフの疑問(給与/休暇など)に確実に答えられる
  4─4─5 ステップ3:規則に当てはまるスタッフ(退職/産休/非常勤など)の対応に関し上司に報告・検討できる
  4─4─6 ステップ4:就業規則を使いこなせる(懲罰規定に則った退職勧告など)
 4─5 記録
  4─5─1 記録とは
  4─5─2 記録を充実することの必要性
   ・利用者の記録
  4─5─3 ステップ1:利用者の一次情報(顔と名前など)を把握する
  4─5─4 ステップ2:ケアプランのおおまかな方向性が把握できる
  4─5─5 ステップ3:相談員・ケアマネジャーとの連携のもとケアプラン/サービスプランが実施できる
  4─5─6 ステップ4:サービス担当者会議で積極的な発言/提案ができる
   ・業務の記録
  4─5─7 ステップ1:各種届出書(遅刻/早退/有休/欠勤/病欠/服務変更/物品請求)を確認し提出する
  4─5─8 ステップ2:記録に基づきスタッフ指導ができる
  4─5─9 ステップ3:事故報告記録/苦情受付記録/委員会活動報告の各記録が把握できる
  4─5─10ステップ4:記録の訂正/書きかたの指導/記録保管ができる
 4─6 申し送り
  4─6─1 申し送りとは
  4─6─2 申し送りを行うことの必要性
  4─6─3 ステップ1:従来の方法で継続して行う
  4─6─4 ステップ2:リーダー自身の情報収集をもとにスタッフへの確実な伝達ができる
  4─6─5 ステップ3:個別注目ケースや委員会活動などへ,リーダー自身の意見と問いかけができる
  4─6─6 ステップ4:当日業務のポイントをトピックスとして伝えられる
 4─7 スタッフ面接
  4─7─1 スタッフ面接とは
  4─7─2 スタッフ面接を実施することの必要性
  4─7─3 ステップ1:リーダーとしてスタッフ一人一人と初回面接を行う
  4─7─4 ステップ2:スタッフ一人一人の希望が把握できる
  4─7─5 ステップ3:各スタッフの下期目標の確認ができる
  4─7─6 ステップ4:今年度の反省と次年度の目標が設定できる
5 就任後2,3年以内にやるべきこと
 5─1 大まかな目標
 5─2 スケジュール
6 それでも何をしたらよいかわからないリーダーへ
 6─1 あいさつを変える
 6─2 勤務表をちゃんと作ろう
 6─3 会議に参加しよう
 6─4 クレーム対応は誰よりも先に誰よりも熱心に取り組もう
 6─5 入職・退職に関わる,立ち会う,確認する
 6─6 上司報告の仕方を体得しよう
 6─7 他部署を知る
7 資料編
 7─1 実話編
  7─1─1 ナツさんのターミナルケア
  7─1─2 個別の認知症にあわせた業務の変更(上岡さんのケース)
  7─1─3 認知症棟の「私物戻し」と「カギ開け」
  7─1─4 スタッフが足りない! 辞めていく新人が多い!
  7─1─5 佐藤さんのターミナルケア(医師との対立のなかで……)
  7─1─6 非常に強い帰宅願望の認知症のお年寄り(花さんのケース)
  7─1─7 新人担当者をいかしたサービスプランの作成(山本さんのケース)
  7─1─8 どんなお年寄りでも受け入れる覚悟(仲田さんのケース)
  7─1─9 藤田さんの床ずれ
  7─1─10 クレームとリーダーの日勤張りつき(ショートステイの対応)
  7─1─11 皮膚病の持田さんと実習生の田中くん(組み合わせの大切さ)
  7─1─12 トイレの近い鈴木さんと新人の山下さん(組み合わせの大切さ)
 7─2 参考書式様式
  7─2─1 ケアプラン(施設サービス計画書1)第1表
  7─2─2 ケアプラン(施設サービス計画書2)第2表
  7─2─3 ケアプラン(週間サービス計画表)第3表
  7─2─4 サービスプラン(看護介護計画書)タイプA・B
  7─2─5 個人記録(例:鶴舞乃城)
  7─2─6 各種記録・届出様式(例:鶴舞乃城)
   (1)休日勤務届 (2)遅刻・早退・外出・欠勤・特休届 (3)時間外勤務届 (4)服務変更届 (5)物品請求届 (6)会議開催届 (7)会議報告書 (8)事故報告書 (9)研修出張届 (10)研修出張報告書 (11)企画書(稟議書) (12)企画報告書