序
歯科医療界では今,CAD/CAM,3Dプリンティング,レーザーシンタリングといった先端コンピュータテクノロジーを活用し,精密な補綴装置を製作することが世界的に大きな潮流となっています.さらに,口腔内スキャナー(Intraoral Scanner:IOS)による光学印象,カリエス検知システム,デジタル色調分析などの技術も,すでに臨床に不可欠な要素となっており,現代歯科医療を語るうえでデジタル技術の導入を避けて通ることはできません.
もともと欧米諸国でのデジタル技術導入の理念は,日本人が誇る「ものづくり」の精神と通じるもので,高度なパフォーマンスと安定性を兼ね備えた歯科医療を広く患者に提供することに主眼が置かれてきました.そして近年,日本でもデジタル技術の積極的な活用が一般化しつつあります.その背景には,金属価格の高騰やジルコニアに代表される新素材の優れた特性,患者と臨床チームの協働体制を効率化する必要性などがありますが,究極的には「より質の高い口腔修復を実現したい」という,歯科臨床家が本質的に抱いている“本能”に行きつくのだと思います.
本書は,ドイツのmgo社(以前のteamwork media社の統合先)の『teamwork』誌および『dental dialogue』誌で発表された諸論文を基盤としています.収録されている論考はいずれも近年発表された最新知見に基づいて,革新的技術を背景として執筆されたもので,現代歯科医療の先端的な臨床展開を体現しています.具体的には,シングルセントラルジルコニアクラウン,インプラント支持スクリュー固定型歯肉付きフルアーチ・ジルコボンド補綴,インプラント支持型ドルダーバー付きジルコニア・フルアーチ上部構造,外傷患者への前歯部抜歯即時インプラント補綴や,インプラント修復による顎補綴装置製作の実例などを詳しく解説しています.また,「切削加工」と「3Dプリント」の臨床的比較や,口腔内スキャナーを応用したデジタルワークフローの検証も,特に注目すべき内容です.
私見を述べますと,いかにデジタル技術が発展しようとも,根本的に重要なことは「歯と口腔組織そのものを愛する」という姿勢だと考えています.私自身,長年のドイツ滞在を通じ,当初は言語の壁に苦悩しました.短期滞在であれば表面的な英語でも支障はありませんが,その国の人々の精神に触れ,その本質を深く理解するには現地語の習得が不可欠です.そして言語を深く学ぶためには,その言語を日常的に使わざるを得ない環境に身を置くことが大切です.しかし,何よりも重要なのは,その国を愛し,そこで暮らす人々を敬う心だと感じています.その思いが満たされれば,言語習得は自然に進んでいくのです.歯科医療においても同様で,「歯を深く愛する姿勢」こそが,より高い次元の口腔修復を実現しようとする歯科臨床家の普遍的な志向につながるのだと思います.
以上は,私自身の経験と知見から得た,ささやかな証言にすぎませんが,本書が次世代を担う歯科医師,歯科技工士の皆さまにとって一つの灯火となり,未来の歯科医療の地平を照らす光となるならば,これ以上の喜びはありません.
大畠一成 Ztm.Kazunari Ohata
有限会社Dental Labor Gross
歯科技工士マイスター&シルバーマイスター称号
歯科医療界では今,CAD/CAM,3Dプリンティング,レーザーシンタリングといった先端コンピュータテクノロジーを活用し,精密な補綴装置を製作することが世界的に大きな潮流となっています.さらに,口腔内スキャナー(Intraoral Scanner:IOS)による光学印象,カリエス検知システム,デジタル色調分析などの技術も,すでに臨床に不可欠な要素となっており,現代歯科医療を語るうえでデジタル技術の導入を避けて通ることはできません.
もともと欧米諸国でのデジタル技術導入の理念は,日本人が誇る「ものづくり」の精神と通じるもので,高度なパフォーマンスと安定性を兼ね備えた歯科医療を広く患者に提供することに主眼が置かれてきました.そして近年,日本でもデジタル技術の積極的な活用が一般化しつつあります.その背景には,金属価格の高騰やジルコニアに代表される新素材の優れた特性,患者と臨床チームの協働体制を効率化する必要性などがありますが,究極的には「より質の高い口腔修復を実現したい」という,歯科臨床家が本質的に抱いている“本能”に行きつくのだと思います.
本書は,ドイツのmgo社(以前のteamwork media社の統合先)の『teamwork』誌および『dental dialogue』誌で発表された諸論文を基盤としています.収録されている論考はいずれも近年発表された最新知見に基づいて,革新的技術を背景として執筆されたもので,現代歯科医療の先端的な臨床展開を体現しています.具体的には,シングルセントラルジルコニアクラウン,インプラント支持スクリュー固定型歯肉付きフルアーチ・ジルコボンド補綴,インプラント支持型ドルダーバー付きジルコニア・フルアーチ上部構造,外傷患者への前歯部抜歯即時インプラント補綴や,インプラント修復による顎補綴装置製作の実例などを詳しく解説しています.また,「切削加工」と「3Dプリント」の臨床的比較や,口腔内スキャナーを応用したデジタルワークフローの検証も,特に注目すべき内容です.
私見を述べますと,いかにデジタル技術が発展しようとも,根本的に重要なことは「歯と口腔組織そのものを愛する」という姿勢だと考えています.私自身,長年のドイツ滞在を通じ,当初は言語の壁に苦悩しました.短期滞在であれば表面的な英語でも支障はありませんが,その国の人々の精神に触れ,その本質を深く理解するには現地語の習得が不可欠です.そして言語を深く学ぶためには,その言語を日常的に使わざるを得ない環境に身を置くことが大切です.しかし,何よりも重要なのは,その国を愛し,そこで暮らす人々を敬う心だと感じています.その思いが満たされれば,言語習得は自然に進んでいくのです.歯科医療においても同様で,「歯を深く愛する姿勢」こそが,より高い次元の口腔修復を実現しようとする歯科臨床家の普遍的な志向につながるのだと思います.
以上は,私自身の経験と知見から得た,ささやかな証言にすぎませんが,本書が次世代を担う歯科医師,歯科技工士の皆さまにとって一つの灯火となり,未来の歯科医療の地平を照らす光となるならば,これ以上の喜びはありません.
大畠一成 Ztm.Kazunari Ohata
有限会社Dental Labor Gross
歯科技工士マイスター&シルバーマイスター称号
序
審美補綴
保存的修復における両側中切歯の審美改善
デジタルワークフローによるジルコニアクラウンの補綴装置製作
(Dr.Andrea Savi,Dr.Narco Tamani,Dr.Aido Crescini,Ztm.Vincento Castellano,Ztm.Matteo Mazza)
上顎前歯部の審美改善における“短期決戦型”のチームワーク
結婚式を直前に控えた若年層女性患者の症例
(Dr.Alina Lazar,Ztm.Ralf Dahl)
天然歯への挑戦
若年患者の上顎左側中切歯を作り直した症例
(Andrea Chatzimpatzakis)
患者の個性を可及的に活かした審美補綴修復治療の臨床例
Esthetic clinical case presentation
(Dr.Martin Gollner,Dr.Jochen Aliuas,Ztm.Stefan Picha)
インプラント
インプラント修復による補綴装置の製作実例
精度と安全性を担保するためのデジタル法のススメ
(Dr.Detlef Hildebrand)
スポーツ中の外傷を負った患者への前歯部抜歯即時インプラント補綴症例
デジタルソリューションを用いた治療・技工のチームワーク
(Ztm.Constanze Reil,Dr.Andreas Habash,Prof.Dr.Michael Stimmelmayr)
保存不可能な前歯患部へのインプラント埋入
そのプレ・トリートメントコンセプトを考える
(Dr.Stephanie Wirnharter)
包括的インプラント補綴におけるジルコニアの審美追求
VITA 7Z Multi Translucentを用いたワークフローの提案
(Lukas Wichnalek,Norbert Wichnalek,Arbnor Saraci,Patricia Strimb,Dr.Georg Bayer)
クリニカルスタディ
スプリント製作で優位性を有するのはどちらか?
「切削加工」と「3Dプリント」の臨床的比較検証
(PD Dr.Alexey Unkovskiy,Prof.Dr.Florian Beuer,Bardia Saadat Sarmadi,Philipp Simeon,Dr.-Ing.Franziska Schmidt)
アライナー治療の適応判断と臨床報告
歯科矯正領域におけるデジタル化の恩恵について
(PD Dr.Christoph Reichert)
口腔内スキャナーのモニタリング機能を検証する
デジタルワークフローにおける患者本位の新展開
(Priv.-Doz.Dr.Maximiliane Amelie Schlenz,Dr.Katja Jung,Prof.Dr.Carolina Ganss,Prof.Dr.Bernd Wostamen,Priv.-Doz.Dr.Nelly Schulz-Weidner)
審美補綴
保存的修復における両側中切歯の審美改善
デジタルワークフローによるジルコニアクラウンの補綴装置製作
(Dr.Andrea Savi,Dr.Narco Tamani,Dr.Aido Crescini,Ztm.Vincento Castellano,Ztm.Matteo Mazza)
上顎前歯部の審美改善における“短期決戦型”のチームワーク
結婚式を直前に控えた若年層女性患者の症例
(Dr.Alina Lazar,Ztm.Ralf Dahl)
天然歯への挑戦
若年患者の上顎左側中切歯を作り直した症例
(Andrea Chatzimpatzakis)
患者の個性を可及的に活かした審美補綴修復治療の臨床例
Esthetic clinical case presentation
(Dr.Martin Gollner,Dr.Jochen Aliuas,Ztm.Stefan Picha)
インプラント
インプラント修復による補綴装置の製作実例
精度と安全性を担保するためのデジタル法のススメ
(Dr.Detlef Hildebrand)
スポーツ中の外傷を負った患者への前歯部抜歯即時インプラント補綴症例
デジタルソリューションを用いた治療・技工のチームワーク
(Ztm.Constanze Reil,Dr.Andreas Habash,Prof.Dr.Michael Stimmelmayr)
保存不可能な前歯患部へのインプラント埋入
そのプレ・トリートメントコンセプトを考える
(Dr.Stephanie Wirnharter)
包括的インプラント補綴におけるジルコニアの審美追求
VITA 7Z Multi Translucentを用いたワークフローの提案
(Lukas Wichnalek,Norbert Wichnalek,Arbnor Saraci,Patricia Strimb,Dr.Georg Bayer)
クリニカルスタディ
スプリント製作で優位性を有するのはどちらか?
「切削加工」と「3Dプリント」の臨床的比較検証
(PD Dr.Alexey Unkovskiy,Prof.Dr.Florian Beuer,Bardia Saadat Sarmadi,Philipp Simeon,Dr.-Ing.Franziska Schmidt)
アライナー治療の適応判断と臨床報告
歯科矯正領域におけるデジタル化の恩恵について
(PD Dr.Christoph Reichert)
口腔内スキャナーのモニタリング機能を検証する
デジタルワークフローにおける患者本位の新展開
(Priv.-Doz.Dr.Maximiliane Amelie Schlenz,Dr.Katja Jung,Prof.Dr.Carolina Ganss,Prof.Dr.Bernd Wostamen,Priv.-Doz.Dr.Nelly Schulz-Weidner)















