序
超音波医学の進歩に伴い,基礎領域も臨床領域も専門分化されていく傾向にある.専門分化は学問の必然でもある.しかし,専門に分かれていくほどに,全体のバランスがとれた体系を保持しなければならない.超音波医学全体を包括した教科書が求められているとの認識から,『超音波医学』という大系の教科書を作る目的で今回の企画が発足した.しかし,参画した先生方にはお忙しい方も多く,その推進が遅れてしまった.そこで先に,「超音波医学TEXT/基礎超音波医学」を発刊した('98年4月).さらに,臨床領域の各科の分担について進める中で,今回は循環器領域についての部分を第2段として発刊することにした.
循環器領域の超音波については,近年の進歩に目覚しいものがある.診断装置あるいはソフトの進歩は,リアルタイム装置やカラードプラ法の発明をはじめとして,セカンドハーモニックイメージング,デジタルビームフォーマー,血管内超音波,インテグレートバックスキャッター,心機能自動計測,3次元画像,超音波造影法,ストレスエコー法,キネティックモード,等など数えあげるときりがないくらいである.
しかし,目先のことだけでなく,基本を忠実に勉強していけば新たな展望は開けてくるのである.まずは,Mモード,Bモードの基本的画像を理解して,ドプラ法によって血流の流れを知れば,臨床の現場において大いなる力なると信ずる.とくに解剖学,病理学の基礎に立って,循環生理の原理を理解し,各疾患の病態を把握するなら,超音波法の応用は容易になるであろう.
本書の最後に,日本超音波医学会において用いられている,基本的な超音波断面(ラベリング)と基本的な用語について付記して読者の便利に供した.
本書が学生をはじめ研修医の勉学に役に立つことができるなら望外の幸せである.
平成11年9月 著者ら
超音波医学の進歩に伴い,基礎領域も臨床領域も専門分化されていく傾向にある.専門分化は学問の必然でもある.しかし,専門に分かれていくほどに,全体のバランスがとれた体系を保持しなければならない.超音波医学全体を包括した教科書が求められているとの認識から,『超音波医学』という大系の教科書を作る目的で今回の企画が発足した.しかし,参画した先生方にはお忙しい方も多く,その推進が遅れてしまった.そこで先に,「超音波医学TEXT/基礎超音波医学」を発刊した('98年4月).さらに,臨床領域の各科の分担について進める中で,今回は循環器領域についての部分を第2段として発刊することにした.
循環器領域の超音波については,近年の進歩に目覚しいものがある.診断装置あるいはソフトの進歩は,リアルタイム装置やカラードプラ法の発明をはじめとして,セカンドハーモニックイメージング,デジタルビームフォーマー,血管内超音波,インテグレートバックスキャッター,心機能自動計測,3次元画像,超音波造影法,ストレスエコー法,キネティックモード,等など数えあげるときりがないくらいである.
しかし,目先のことだけでなく,基本を忠実に勉強していけば新たな展望は開けてくるのである.まずは,Mモード,Bモードの基本的画像を理解して,ドプラ法によって血流の流れを知れば,臨床の現場において大いなる力なると信ずる.とくに解剖学,病理学の基礎に立って,循環生理の原理を理解し,各疾患の病態を把握するなら,超音波法の応用は容易になるであろう.
本書の最後に,日本超音波医学会において用いられている,基本的な超音波断面(ラベリング)と基本的な用語について付記して読者の便利に供した.
本書が学生をはじめ研修医の勉学に役に立つことができるなら望外の幸せである.
平成11年9月 著者ら
序
I 解剖(千田,伊東)
1.心エコ-図のための心臓・大血管解剖学
2.心・大血管の構成要素
A 心臓
[1]左室
[2]右室
[3]左房
[4]右房
[5]心室中隔
[6]心房中隔
[7]僧帽弁
[8]三尖弁
[9]大動脈弁
[10]肺動脈弁
B 大血管
[1]大動脈
[2]肺動脈
[3]冠動脈
[4]上大静脈
[5]下大静脈
[6]肺静脈
C 心臓の発生学
II 生理(伊東)
III 検査法(A~H:千田,I:和崎・松﨑,J:伊東)
A Mモード心エコー法
B Mモードスキャン法
C 断層心エコー法
D パルスドプラ法
E HPRF法
F 連続波ドプラ法
G ドプラ断層(カラードプラ)法
H コントラストエコー法
I インターベンショナルUS
[1]経食道心エコードプラ法
[2]血管内エコー法
[3]心腔内心エコー法
J 造影US
IV 走査断面(千田)33
A 断層面の表示法
B 胸骨上窩アプローチ
C 胸骨傍アプローチ
[1]胸骨傍――長軸断面,左室長軸断面
[2]胸骨傍――短軸断面,左室短軸断面
[3]胸骨傍――4腔断面
[4]胸骨傍――長軸――右室流入路断面
[5]胸骨傍――長軸――右室流出路断面
D 心尖アプローチ
[1]心尖――長軸断面
[2]第2斜位相当断面
[3]第1斜位相当断面
[4]心尖――左室2腔断面
[5]4腔断面
[6]心尖――下壁基部断面
[7]心尖――右心2腔断面
E 肋骨弓下アプローチ
[1]肋骨弓下――短軸断面
[2]肋骨弓下――4腔断面
[3]肋骨弓下――矢状断面(下大静脈)
[4]肋骨弓下――短軸――右室流出路断面
[5]肋骨弓下――右室流入路――心尖――右室流出路断面
V 疾患
1.先天性奇形――([1][3]~[21]:伊東,[2]:和崎・松﨑)
[1]心室中隔欠損
[2]心房中隔欠損
[3]心内膜床欠損
[4]ファロー四徴症
[5]静脈遺残
[6]エプスタイン奇形
[7]肺静脈還流異常
[8]動脈管開存
[9]バルサルバ洞動脈瘤
[10]大動脈弁下狭窄
[11]三心房心
[12]右室2腔症
[13]両大血管右室起始
[14]大血管転位
[15]単心室
[16]大動脈縮窄
[17]大動脈狭窄
[18]肺動脈弁狭窄
[19]三尖弁閉鎖
[20]その他
(1)Marfan症候群
(2)Hurler症候群
(3)ダウン症候群
(4)Patau症候群
(5)Edward症候群
(6)ターナー症候群
[21]先天性心疾患の診断的アプローチ
2.後天性弁膜症――(羽田)62
[1]僧帽弁狭窄
[2]リウマチ性僧帽弁閉鎖不全
[3]乳頭筋不全症候群
[4]僧帽弁逸脱
[5]腱索断裂
[6]僧帽弁疣贅
[7]石灰化僧帽弁輪
[8]僧帽弁瘤
[9]大動脈弁狭窄
[10]大動脈弁閉鎖不全
[11]三尖弁狭窄
[12]三尖弁閉鎖不全
[13]三尖弁逸脱
[14]三尖弁疣贅
[15]肺動脈弁狭窄
[16]肺動脈弁逆流
[17]肺動脈弁疣贅
[18]人工弁
3.心腫瘍――(羽田)
[1]良性腫瘍
[2]悪性腫瘍
4.心膜疾患――(羽田)
[1]心膜液貯留
[2]心外膜下脂肪
[3]心膜炎
[4]心タンポナーデ
[5]収縮性心膜炎
[6]心膜欠損
5.虚血性心疾患――(田中・松﨑)
[1]虚血性心疾患(IHD)の分類
[2]IHDにおける心エコー法
[3]心エコー法の限界
[4]虚血性心筋の検出
[5]狭心症
[6]心筋梗塞
[7]心筋梗塞の合併症
[8]まとめ
6.川崎病――(高木・松﨑)
7.心筋症――(小西・松﨑)
[1]特発性心筋症
[2]2次性心筋症
8.高血圧心――(小西・松﨑)
9.胸部大動脈疾患――(友近・松﨑)
[1]大動脈解離
[2]真性大動脈瘤
[3]大動脈壁性状
[4]大動脈壁伸展性の評価
[5]開心術時の大動脈クランプによる胸部大動脈内膜面の機械的損傷
10.肺高血圧症――(西村・松﨑)
[1]Mモード心エコ-図法
[2]断層心エコー法
[3]パルスドプラ法
[4]連続波ドプラ法
[5]経食道心エコードプラ法
11.不整脈――(木下・千田)
[1]心室脱分極異常
[2]房室伝導異常
[3]異所性調律
[4]心房細動
[5]心房粗動
[6]ペースメーカー
12.右心系心疾患――(和崎・松﨑)
[1]右室梗塞
[2]右室拡張障害
13.心機能の評価――(A,B:千田,C:和崎・松﨑)
A 左室機能の評価
[1]左室内径
[2]左室容量
[3]左室内径短縮率
[4]駆出率
[5]左室後壁運動と左室拡張能
[6]僧帽弁エコーパターンによる左心機能の評価
[7]ドプラエコー法による心機能評価
B 左房機能の評価
C 右心機能―大静脈血流
VI 集団検診(羽田)
(付1)循環器(心臓)超音波診断像の表示方法
1.基本的考え方
2.心臓の断層像のよび方と標準化
(付2)基礎および循環器超音波医学用語――(伊東・平田)
I 解剖(千田,伊東)
1.心エコ-図のための心臓・大血管解剖学
2.心・大血管の構成要素
A 心臓
[1]左室
[2]右室
[3]左房
[4]右房
[5]心室中隔
[6]心房中隔
[7]僧帽弁
[8]三尖弁
[9]大動脈弁
[10]肺動脈弁
B 大血管
[1]大動脈
[2]肺動脈
[3]冠動脈
[4]上大静脈
[5]下大静脈
[6]肺静脈
C 心臓の発生学
II 生理(伊東)
III 検査法(A~H:千田,I:和崎・松﨑,J:伊東)
A Mモード心エコー法
B Mモードスキャン法
C 断層心エコー法
D パルスドプラ法
E HPRF法
F 連続波ドプラ法
G ドプラ断層(カラードプラ)法
H コントラストエコー法
I インターベンショナルUS
[1]経食道心エコードプラ法
[2]血管内エコー法
[3]心腔内心エコー法
J 造影US
IV 走査断面(千田)33
A 断層面の表示法
B 胸骨上窩アプローチ
C 胸骨傍アプローチ
[1]胸骨傍――長軸断面,左室長軸断面
[2]胸骨傍――短軸断面,左室短軸断面
[3]胸骨傍――4腔断面
[4]胸骨傍――長軸――右室流入路断面
[5]胸骨傍――長軸――右室流出路断面
D 心尖アプローチ
[1]心尖――長軸断面
[2]第2斜位相当断面
[3]第1斜位相当断面
[4]心尖――左室2腔断面
[5]4腔断面
[6]心尖――下壁基部断面
[7]心尖――右心2腔断面
E 肋骨弓下アプローチ
[1]肋骨弓下――短軸断面
[2]肋骨弓下――4腔断面
[3]肋骨弓下――矢状断面(下大静脈)
[4]肋骨弓下――短軸――右室流出路断面
[5]肋骨弓下――右室流入路――心尖――右室流出路断面
V 疾患
1.先天性奇形――([1][3]~[21]:伊東,[2]:和崎・松﨑)
[1]心室中隔欠損
[2]心房中隔欠損
[3]心内膜床欠損
[4]ファロー四徴症
[5]静脈遺残
[6]エプスタイン奇形
[7]肺静脈還流異常
[8]動脈管開存
[9]バルサルバ洞動脈瘤
[10]大動脈弁下狭窄
[11]三心房心
[12]右室2腔症
[13]両大血管右室起始
[14]大血管転位
[15]単心室
[16]大動脈縮窄
[17]大動脈狭窄
[18]肺動脈弁狭窄
[19]三尖弁閉鎖
[20]その他
(1)Marfan症候群
(2)Hurler症候群
(3)ダウン症候群
(4)Patau症候群
(5)Edward症候群
(6)ターナー症候群
[21]先天性心疾患の診断的アプローチ
2.後天性弁膜症――(羽田)62
[1]僧帽弁狭窄
[2]リウマチ性僧帽弁閉鎖不全
[3]乳頭筋不全症候群
[4]僧帽弁逸脱
[5]腱索断裂
[6]僧帽弁疣贅
[7]石灰化僧帽弁輪
[8]僧帽弁瘤
[9]大動脈弁狭窄
[10]大動脈弁閉鎖不全
[11]三尖弁狭窄
[12]三尖弁閉鎖不全
[13]三尖弁逸脱
[14]三尖弁疣贅
[15]肺動脈弁狭窄
[16]肺動脈弁逆流
[17]肺動脈弁疣贅
[18]人工弁
3.心腫瘍――(羽田)
[1]良性腫瘍
[2]悪性腫瘍
4.心膜疾患――(羽田)
[1]心膜液貯留
[2]心外膜下脂肪
[3]心膜炎
[4]心タンポナーデ
[5]収縮性心膜炎
[6]心膜欠損
5.虚血性心疾患――(田中・松﨑)
[1]虚血性心疾患(IHD)の分類
[2]IHDにおける心エコー法
[3]心エコー法の限界
[4]虚血性心筋の検出
[5]狭心症
[6]心筋梗塞
[7]心筋梗塞の合併症
[8]まとめ
6.川崎病――(高木・松﨑)
7.心筋症――(小西・松﨑)
[1]特発性心筋症
[2]2次性心筋症
8.高血圧心――(小西・松﨑)
9.胸部大動脈疾患――(友近・松﨑)
[1]大動脈解離
[2]真性大動脈瘤
[3]大動脈壁性状
[4]大動脈壁伸展性の評価
[5]開心術時の大動脈クランプによる胸部大動脈内膜面の機械的損傷
10.肺高血圧症――(西村・松﨑)
[1]Mモード心エコ-図法
[2]断層心エコー法
[3]パルスドプラ法
[4]連続波ドプラ法
[5]経食道心エコードプラ法
11.不整脈――(木下・千田)
[1]心室脱分極異常
[2]房室伝導異常
[3]異所性調律
[4]心房細動
[5]心房粗動
[6]ペースメーカー
12.右心系心疾患――(和崎・松﨑)
[1]右室梗塞
[2]右室拡張障害
13.心機能の評価――(A,B:千田,C:和崎・松﨑)
A 左室機能の評価
[1]左室内径
[2]左室容量
[3]左室内径短縮率
[4]駆出率
[5]左室後壁運動と左室拡張能
[6]僧帽弁エコーパターンによる左心機能の評価
[7]ドプラエコー法による心機能評価
B 左房機能の評価
C 右心機能―大静脈血流
VI 集団検診(羽田)
(付1)循環器(心臓)超音波診断像の表示方法
1.基本的考え方
2.心臓の断層像のよび方と標準化
(付2)基礎および循環器超音波医学用語――(伊東・平田)