やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序
 『日本食品大事典カラー写真CD-ROM付』を2008年に刊行してから,すでに5年を経過した.その間TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加など,日本の食を巡る国際情勢も目まぐるしく変化した.このような世界的視野に立っての,食と健康,食と安全等の意識が一層高まりつつある.安全で美味しい日本の食品は,世界的にも改めてその真価が高く評価されつつある.また,そうさせるためにも,日本の食品各分野の全体像を把握し,かつ,個々の食品の種類(品種も含め),歴史,成分特性から調理法に至るまでの細やかな情報を満載した本書の重要性は,より大きいといえるだろう.さらに,国内でも食品に関する法律・規格・表示基準などの改正も行われ,それらも踏まえて,今回の改訂となった.
 また,CD-ROMでは,収載写真の追加(差し替えも含む)とともに,新たに80項目ほどの食品の追加をし,更なる充実を図った.これにより収載写真は300枚ほどを刷新して,総計3,000枚余りとなり,書籍・CD-ROM合わせての収載食品は約2,700食品になった.用語解説部の480項目と合わせて全収載項目は3,180項目ほどになっている.
 今後も時代の変化に対応するため,更なる内容の充実を図りたいと考えている.本書が世界に誇る日本の食品の体系的解説書として,また,日常の食に関するさまざまな疑問に答える参考書として,食に関係のある専門家・学生・医療・教育関係の方々,さらに,食と健康に関心を持つすべての人々に広く利用され,役立てていただければ幸いである.
 2013年6月
 平 宏和
 田島 眞
 安井明美

改訂の序(カラー写真CD-ROM付版発行の序)
 本書『日本食品大事典カラー写真CD-ROM付』は,前身である『新編日本食品事典』(1982年刊)・『日本食品大事典』(2003年刊)をさらに発展・充実させたものである.『新編日本食品事典』では,収載食品のごく一部のカラー写真が掲載され,『日本食品大事典』では,食品の理解を助けるための図版を入れるにとどまった.本書においてはじめて,収載食品のほとんどをカラー写真で,CD-ROMにすることができた.
 『日本食品大事典』刊行後,食と健康・食の安全などの意識がより一層高まり,食品の正しい知識が求められるようになっている.本CD-ROMでは,本書収載食品の写真のほか,新規食品を追加して,その解説と写真を収載し,また,2005年公表の『五訂増補日本食品標準成分表』の成分値も閲覧できる.
 本書CD-ROMに収載された写真は,2,700枚ほどである.また,新規追加項目として,話題の食品,新たに市場に出てきた食品などを中心に86項目を追加した.今後,さらなる食品写真の追加を含め,内容の充実を図りたいと考えている.
 本書が,食に関係のある専門家・学生,また医療関係の方々,さらに食に関心を持つすべての人々に広く利用され,前版にもまして役立てていただければ幸いである.
 なお,今回の写真収集にあたっては,80余りの個人・団体・会社などの多大な御協力と御援助をいただいた.収載写真にそのお名前を明示するとともに,CD-ROM写真提供者・協力者一覧を記し,厚く御礼を申し上げる.
 2008年1月
 平 宏和
 田島 眞
 安井明美

序文
 本書の前身である『新編日本食品事典』が刊行されてから,すでに20有余年が経過した.その間,政治・経済・文化・社会の変動は著しく,食の分野でも大きな変化がみられた.まず,技術の面では,野菜・果実などの育種・栽培,食品の加工・貯蔵などの進歩により,新品種に加え,様々な食品が次々と市場に出回るようになった.また,輸入食品は種類・量が著しく増加し,店頭に並んでいる.このような背景から,2000年に改訂された『五訂日本食品標準成分表』の収載食品数は,前版に比べて大幅に増加している.
 次に,消費者の健康志向の高まりがみられる.高齢社会の出現とともに生活習慣病の予防という面からも,食に健康機能を求めるようになった.栄養学の進歩により食品の生理機能が明らかにされ,保健機能食品や健康食品といった,従来のジャンルにない新しい食品も登場してきている.さらにバイオテクノロジーの進展に伴う食の生産方式の変化もある.究極の技術といわれた遺伝子組み換え技術が利用されるようになり,優良家畜を生産するクローン技術も実用化されるようになった.
 一方,食品の安全性に対する不信も醸成した.O157による食品汚染,狂牛病と恐れられるBSE(牛海綿状脳症)感染牛の国内での発生など,新たな食への不安が広まってきている.このように,食品をめぐる問題は益々重要になっている.
 古来より食材となる動・植物は基本的には変化していない.古代人にも現代人にも米は米であり,麦は麦である.本書では,この間の食と人との長いかかわりの歴史を振り返り,調理や文化的背景などの記載にも心がけた.また,『五訂日本食品標準成分表』に収載されたすべての食品と,市場で一般にみられる食品についてもできる限り取り上げて解説した.その結果,書名も『日本食品大事典』とすることとした.本書が,栄養士,調理師など,食の専門家に限らず,医師・歯科医師を含む医療従事者,学生ならびに食に関心のあるすべての方々に役立っていただければ幸いである.
 本書を出版するにあたっては,旧著の執筆内容を参考にさせていただいた.各先生に心から感謝をするとともに,本書の執筆に御協力いただいた多くの先生方,また,長期間にわたる編集作業にご尽力をいただいた医歯薬出版編集部竹内大,宮川佳子の両氏に厚く御礼申し上げる.
 平成15年1月
 杉田浩一
 平 宏和
 田島 眞
 安井明美


 編集委員の一人である杉田浩一先生が,本書刊行の直前に御逝去されました.謹んで御冥福をお祈り致します.
1.穀類
 穀類 小麦加工品
2.いもおよびでん粉類
 いも類 でん粉類
3.砂糖および甘味類
 糖質甘味料 非糖質甘味料
4.豆類
 豆類 大豆加工品
5.種実類
6.野菜類
 野菜類 山菜類 ハーブ類 漬物類
7.果実類
8.きのこ類
9.藻類
10.魚介類
 魚類 貝類 甲殻類,いか・たこ類ほか 水産練り製品
11.肉類
 肉類 肉類加工品
12.卵類
13.乳類
 乳類 乳製品
14.油脂類
 植物油脂 動物油脂 加工食用油脂
15.菓子類
 和菓子類 中華菓子類 洋菓子類
16.嗜好飲料類
 アルコール飲料類 非アルコール飲料類
17.調味料および香辛料類
 調味料 香辛料
18.加工食品・その他の食品類
 加工食品類 その他の食品類
19.用語解説
 第3版・改訂の序/口絵(1)〜(16)/序文/凡例/参考文献 索引

 CD-ROMについて