やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版改訂の序
 21世紀の栄養士・管理栄養士に期待されるのは,保健・医療・福祉の分野で,生活習慣病の予防,健康増進,疾病の治療などにおいて,より高度な専門知識を生かした栄養指導であると考えられる.このような社会的背景の中で,新しい知見や時代の変化に迅速に対応できるように各専門教科の十分な取得を基礎とし,「アクティブ栄養教育・指導論」で学んだ理論を実践でき得る実習編として2001年に本書を刊行した.
 今回の改訂にあたっては,「日本人の食事摂取基準(2005年版)」が策定されたことに伴い,その考え方に基づく資料により,最新のデータや表現に加筆訂正をし,学生がより使いやすく,より実力アップを目指せるよう配慮した.今後とも諸先生方からのご教示,ご指導を賜れば幸いである.
 2005年2月

補訂の序
 第6版増刷にあたり,「日本人の食事摂取基準(2010年版)」,「日本食品標準成分表2010」などの最新情報をそれぞれの項目に反映させた.学生にとってより活用しやすい,便利に利用できるものをめざして,加筆修正を行った.不備の点,ご指摘,ご教示いただければ幸いである.
 2011年3月
 執筆者一同

まえがき
 21世紀の栄養士に期待される業務内容は,保健・医療・福祉の分野で,健康増進,疾病予防,疾病の治療などにおいて,より高度な専門的知識をいかした栄養指導であると考えられ,栄養士の担う社会的役割は年々増大する傾向にある.
 このような社会的背景のなかで,今回改定された第六次改定日本人の栄養所要量―食事摂取基準―は,生活習慣病の予防対策,国際的標準化への対応が基本的な部分となっている.内容として,過剰摂取による健康への影響を考慮し,許容上限摂取量が示されるなど,新しい考え方が取り入れられている.
 本実習書は,新しい知見や時代の変化に迅速に対応できるように各専門教科の十分な習得を基盤とした実習編とし,栄養指導に要求される基本的な知識や技術について,広範囲にわたってきめ細かな演習課題を設けている.
 本実習書の特徴は,『アクティブ栄養指導論』の実習編として執筆し,基礎編,情報処理,実際編の3部で編集していることにある.
 第I章,第II章は基礎学力として,栄養士業務に最低限要求される栄養価計算,食品構成,食品交換表ならびに献立作成などに関する知識と栄養所要量の求め方など,指導を展開していくうえでの基本的知識について学習するようにした.
 第III章は情報の収集として,実態の把握,統計解析,コンピュータによる情報検索が十分に行えるように演習課題を数多く取り入れた.
 第IV章から第VI章は実際編として,Plan Do Seeに沿った指導案の作成,指導の導入,展開,評価など,より高度な分野の知識,技術の実習を行い,併せてコンピュータを駆使した媒体作成の課題を設けている.実際編のまとめとしては,発表原稿作成を演習課題とした.
 栄養指導の基礎的学習として,栄養士,管理栄養士を目指す学生の実力をつちかう実習書として,広く活用されることを願っている.
 本書の不備な点については,ぜひ,ご指摘ご教示をお願いしたい.
 本実習書の刊行にあたり,医歯薬出版株式会社のご尽力に厚く感謝する.

 平成12年3月吉日
 著者一同
第I章 栄養教育・指導実習の概要
 1. 栄養教育・指導実習の意義
  1)栄養教育・実習の目的
 2. 栄養教育・指導実習の進め方
  1)栄養教育・指導の展開
  2)栄養教育・指導実習の基礎
  3)栄養教育・指導の情報処理
  4)栄養教育・指導の実際
   (1) 栄養教育・指導計画(Plan) (2) 栄養教育・指導の実施(Do) (3) 栄養教育・指導の評価(See,Check)
 3. 栄養教育・指導実習のまとめ
 4. 栄養教育・指導実習の評価
第II章 栄養教育・指導実習の基礎
 1. 栄養価計算
  1)栄養価計算の方法
   (1) 食品成分表 (2) 数値の表示方法 (3) 食品の分類,配列と食品番号
 (4) 収載記号と備考欄収載事項
  2)栄養価計算の実際
 2. 食品構成
  1)食品構成表の作成
   (1) 食品群の分類 (2) 食品群別荷重平均成分値 (3) 栄養比率 (4) 食品構成表の作成 (5) 食事バランスガイド
  2)食品交換表の使い方
   (1) 食品交換表とは (2) 糖尿病食品交換表の使い方
 3. 献立作成
  1)献立作成の要点
  2)献立作成の実際
 4. 日本人の食事摂取基準
  1)食事摂取基準の求め方
   (1) 推定エネルギー必要量 (2) たんぱく質 (3) 脂質 (4) 炭水化物,食物繊維 (5) ビタミン,ミネラル
  2)付加運動によるエネルギー消費
   (1) 付加運動量を求める (2) 最大酸素摂取量を求める (3) 余分な体脂肪の求め方と減量法 (4) 皮下脂肪厚よりの体脂肪量の求め方
第III章 栄養教育・指導の情報処理
 1. 情報の収集
  1)食物摂取状況調査
   (1) 国民健康・栄養調査 (2) 栄養素等摂取状況調査
  2)栄養診断
   (1) 食品群別摂取状況 (2) 栄養比率と摂取量の評価 (3) 摂取食品数 (4) 脂肪酸組成
  3)簡易栄養調査・食習慣調査
  4)食嗜好調査
  5)健康調査
   (1) 自覚症状調査 (2) 日常生活自立度(ADL)
  6)生活状況・意識調査
  7)情報検索
   (1) ホームページからの情報検索 (2) 電子図書館からの文献検索
 2. 統計処理
  1)データの整理と解析
   (1) 度数分布表 (2) ヒストグラム (3) 代表値と散布度 (4) 散布図と相関係数 (5) 質的データのまとめ方
  2)推定と検定
   (1) 推定 (2) 検定
第IV章 栄養教育・指導の実際
 1. 栄養教育・指導の進め方
  1)栄養教育・指導計画(Plan)
  2)栄養教育・指導の実施(Do)
  3)栄養教育・指導の評価(See,Check)
   (1) 個人を対象とした栄養教育・指導
   (2) 集団を対象とした栄養教育・指導
 2. 栄養教育・指導のテクニック
  1)表現法
   (1) 話し方 (2) 教育・指導原稿の書き方
  2)メディアの作成
  3)媒体の種類と用途
  4)コンピュータを活用した媒体作成
第V章 栄養教育・指導の評価
 1. 栄養教育・指導効果の評価(See)
  1)食生活に関する評価
  2)栄養学的評価
  3)臨床学的評価
  4)QOLの側面からみた評価
  5)総合評価
 2. 栄養教育・指導方法の評価
  1)フィードバックテスト
  2)チェックリスト
第VI章 レポートのまとめ方と発表
 1. レポート作成
  1)レポートの内容
  2)レポートの書き方
   (1) 表題 (2) 緒言 (3) 方法 (4) 結果 (5) 考察 (6) 結論 (7) 謝辞 (8) 文献
 2. 発表の留意点

●参考文献