やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

監修のことば

 母子保健学そのものにしても,あるいは具体的な地域における保健サービスである乳幼児健診の目的としても,疾病・異常の早期発見,早期対応(治療・養育や教育)が重要であることに変わりはありませんが,さらにこうした機会に環境などを含めた健康そのものをいっそう向上させるよう目配りと努力をしようという,より前向きな健康づくりがこれからの方向です.「疾病指向」から「健康指向」への意識の転換といってもよいし,「ヘルスプロモーション」という表現でもよいでしょう.
 世界の趨勢をみても,ヘルスプロモーションがこれからの保健活動の中心になりますし,福祉活動にも共通のキーワードだと考えられます.こうした時代の流れに合わせ,ライフサイクルを通じての,ヘルスプロモーションを基盤とした母子栄養のハンドブックとして本書が企画され,日本子ども家庭総合研究所関係者によって執筆されました.それで書名も「母子健康・栄養ハンドブック」と致しました.
 本書の前身は,武藤静子先生が編集された「母子栄養ハンドブック」であり,今回も武藤先生に監修のお言葉をお願いしたのですが,先生のご意向により,立場上,私が取りまとめをさせていただきました.
 これからの健康づくりのためにお役に立つものと考えておりますので,ご利用下さるようお願い申し上げるとともに,不備な点があればご指摘下さいますようお願い申し上げます.さらに時代の要請に応じた改訂を重ねていきたいと存じております.
 2000年2月
 母子愛育会・日本子ども家庭総合研究所所長
 平山宗宏
1 ライフステージにおける母子のからだと栄養の特徴………1

2 母子保健・栄養行政………3
  地域保健………4
   地域保健の体系と地域保健法………4
  母子保健………5
   母子保健法………5
   母子保健に関連する法規………5
   エンゼルプラン………5
   母子保健の実施体制とその役割………6
    1 保健所/6
    2 市町村/7
  主な母子保健サービスの概要………7
    1 健康対策/8
    2 医療援護対策/10
    3 基盤整備対策/10

3 日本人の体位………11
  日本人体位の年次推移………12
  日本人の身長・体重の推計基準値………17

4 日本人の栄養所要量と食品構成………21
  日本人の栄養所要量………22
  エネルギー・脂質・たんぱく質所要量………24
   エネルギー所要量………24
   脂質所要量………24
   たんぱく質所要量………26
  ビタミン・無機質所要量………27
   ビタミン所要量………27
    1 ビタミンA/27
    2 ビタミンD/27
    3 ビタミンE/27
    4 ビタミンB1/27
    5 ビタミンB2/28
    6 ナイアシン/28
    7 ビタミンC/28
  無機質(ミネラル)所要量………28
    1 カルシウム(Ca)/28
    2 鉄(Fe)/29
    3 リン(P)/30
    4 カリウム(K)/30
  食品構成………31
    1 食品構成(試案)/31
    2 食品構成に用いられた食品群別荷重平均成分表/32

5 栄養素等摂取量と食品群別摂取量の年次推移………33
  栄養素等摂取量………34
  食品群別摂取量………36

6 寿命と死因………37
  寿命………38
  死因………40

7 健康増進………43
  健康づくりのための食生活指針………44
  肥満とやせの判定図………45
   基本となる考え方………45
   肥満とやせの判定図の作成………45
  健康づくりのための運動指針(1993),休養指針(1994)………48
   運動指針の基本的な考え方………48
   休養指針の基本的な考え方………48
   健康づくりのための休養とは………48
  健康づくりのための運動所要量(1995)………49
   策定にあたっての考え方………49
   健康づくりのための運動所要量………49
   運動所要量を利用する際の留意事項………50
   健康づくりのために運動を行う際の注意事項………50
   参考資料………50
  健康日本21………52

II 各論

1 妊娠・授乳期のからだと健康………53
  胎児の発育・成長………54
  妊娠に伴う母体の変化………56
   体重………56
   内分泌系の変化………56
   生理機能の変化………57
    1 呼吸系/57
    2 循環系/57
    3 消化器系/57
    4 神経系/57
    5 泌尿器系/57
  胎児への栄養の移行………58
   胎盤膜の物質通過………58
    1 拡散/58
    2 能動輸送/59
    3 生物学的輸送/59
    4 漏出/59
   栄養物質の移行………59
    1 炭水化物/59
    2 脂肪/59
    3 たんぱく質/59
    4 電解質/59
    5 非電解低分子物質/59
  母乳分泌の機序………60
   乳房の発育………60
   乳汁の産生分泌………60
   乳房マッサージ………61
  母性の精神衛生………62
  妊産婦に関する統計………62
   年次別妊産婦死亡率および死亡の原因………62
   諸外国との比較………63

2 妊娠・授乳期の栄養と食生活………65
  栄養所要量と食品構成………66
  妊娠期における食生活上の留意点………66
    1 妊娠前の食生活習慣の是正/66
    2 妊娠中の嗜好の変化/66
    3 ビタミンAの過剰摂取/66
    4 適正な体重増加/66
    5 アルコール,たばこ/66
  妊娠中のトラブルの予防と食生活………68
    1 つわり/68
    2 貧血/68
    3 肥満/71
    4 妊娠中毒症/73
    5 妊娠糖尿病/76
  授乳期の栄養と食生活………79
   乳汁分泌に関与する因子………79
   栄養,食生活上の留意点………79
    1 栄養・食事目標/79
    2 幅広い食物の選択/79
    3 合理的な食生活の営み/79
    4 嗜好飲料の摂取と乳汁の分泌抑制/79
   非授乳婦(人工栄養の場合)の食生活………79
  妊婦・授乳婦の栄養・食生活に関する調査………80
   栄養素等および食品摂取状況の経年変化………80
   妊娠週数別にみた食意識,食品摂取の変化………85
  妊娠・授乳期の献立例………86
   妊婦・授乳婦/86
   貧血/86
   肥満妊婦/87
   妊娠中毒症/87
   点数表を使用した献立例/88

3 乳幼児期のからだと健康………89
  発育・発達………90
   発育・発達の原則………90
   体位………90
   発育の評価………95
   生歯と化骨………96
   生理機能………99
   精神および運動機能………100
  乳幼児に関する統計………106
  子どもの疾病に関する統計………110
  予防接種………113
    1 わが国における予防接種/113
    2 予防接種法/113

4 乳児期の栄養と食生活………115
  母乳栄養………116
   乳汁分泌のメカニズム………116
   母乳の成分組成………117
   母乳の感染防御因子………120
    1 母乳の主な液性免疫機構/120
    2 主な母乳細胞成分の免疫機構/120
    3 小腸内でそのまま働く免疫物質と細胞成長因子/120
    4 母乳の促進/121
    5 乳汁分泌不全の原因/121
   授乳法,分泌量,分泌促進,母乳不足………121
    1 母乳の与え方/121
    2 分泌量/122
    3 母乳不足の徴候/122
   栄養法の推移・推進運動………122
   冷凍母乳………124
   栄養法別身体発育………126
   疫学調査………129
    1 乳児栄養法別死亡率比/129
    2 母乳栄養と人工栄養の罹患率の比較/129
    3 乳幼児突然死症候群(SIDS)と栄養法/130
   母乳栄養の問題………131
    1 ビタミンK欠乏性頭蓋内出血/131
    2 環境汚染と母乳/131
    3 嗜好品と母乳/131
    4 母乳による母子感染/133
    5 わが国における今後の母乳栄養のあり方および対策/133
  人工栄養………134
   乳の成分規格………134
   母乳と牛乳の比較………135
   人工乳(粉乳)の歴史………137
   人工栄養品の種類と適応例………137
    1 人工栄養品の種類/137
    2 人工栄養品の用途と適応症/138
   人工栄養の成分組成………138
    1 各社調製粉乳品に記載されている栄養組成等の特徴/138
   調乳法,授乳法………139
    1 調製粉乳の使用基準/139
    2 無菌操作法/139
    3 終末殺菌法/139
    4 器具の後始末/140
    5 粉乳の取り扱い方/140
    6 乳首の消毒法の検討/141
    7 授乳法/141
   乳首,哺乳瓶………142
    1 乳首の種類と特徴/142
    2 哺乳瓶の種類/142
   粉乳,乳汁中のビタミンおよび細菌の変化………142
    1 ビタミン類の変化/142
    2 殺菌法による細菌の変化/144
    3 保存温度による細菌の変化/144
    4 マイクロ波加熱による殺菌の検討/144
   哺乳量,排便に関する調査………147
  離乳期栄養………149
   離乳の必要性………149
   離乳食の役割………149
   離乳に関する基準………150
    1 改定・離乳の基本(1995)/150
    2 離乳の基本(1980)/152
    3 離乳基本案(1958)/153
   離乳のすすめ方………155
    1 準備の要点/155
    2 離乳各期のすすめ方の要点/155
    3 離乳食の条件/156
    4 離乳期における各食品の使い方/157
    5 離乳のすすめ方に関する調査/159
   乳児の咀嚼と離乳食の調理形態………164
   ベビーフードに関する知識とそれに関する調査………166
    1 ベビーフードの定義/166
    2 ベビーフードの種類/166
    3 ベビーフードの規格/166
    4 ベビーフードの特徴/166
    5 製品の組み合わせ方/167
    6 ベビーフードに関する調査/168
   ベビーフード指針………172
   乳児の栄養素等摂取状況………174
  離乳期の月齢別献立例………179
    5カ月/179
    6カ月/179
    7カ月/180
    8カ月/180
    9カ月/181
    10カ月/181
    11カ月/182
    12〜15カ月/182

5 幼児期の栄養と食生活………185
  栄養所要量と食品構成………186
  食生活の基本………186
   食事の目安………186
    1 たんぱく性食品の用い方/186
    2 穀類,いも類の用い方/186
    3 野菜,果実の用い方/186
    4 油脂の用い方/186
   間食………186
    1 間食の必要性/186
    2 間食の量および与え方/187
    3 好ましい材料/188
    4 市販の菓子の使い方/188
    5 間食の弊害/188
    6 間食の例/188
   幼稚園のお弁当………188
    1 お弁当につめる量/188
    2 調理上の注意/188
    3 衛生上の注意/188
    4 お弁当づくりの負担を軽くする方法/189
    5 お弁当向きの調理法/189
  幼児の栄養素等摂取量に関する調査成績………190
  幼児の間食・夜食に関する調査成績………193
   間食の与え方・間食の内容………193
   間食とむし歯………195
    1 砂糖とむし歯の関係/195
    2 間食からのエネルギー摂取量とむし歯/197
   夜食の摂取状況とその内容………198
  幼児の食事上の問題とそれらに関する調査成績………199
   むら食い,遊び食い,散らかし食い………199
   偏食………200
    1 偏食の定義/200
    2 偏食の矯正に対する考え方/200
    3 子どもの偏食に関する調査/200
    4 偏食の成因/200
    5 偏食の心身に及ぼす影響/200
    6 偏食の予防または矯正/201
    7 嫌いな食品を食べさせる調理の工夫/201
   食欲不振………202
    1 心配ない食欲不振/202
    2 食欲不振の実態とこれに対する意識の変化/202
    3 食欲不振の原因/202
    4 食欲不振児の背景/203
    5 食欲不振に対する対策/203
   咀嚼………204
   欠食,孤食………206
  幼児期の献立例………208
    1日/208
    弁当/208
    間食──手づくり/209
    間食──市販品との組み合わせ/209

6 児童福祉施設の給食………211
  児童を対象とした福祉施設………212
   児童福祉施設の種類および給食区分………212
   児童福祉施設における給食の役割………212
    1 栄養補給/212
    2 食生活習慣のしつけ/212
    3 栄養教育/212
    4 情操教育/212
   児童福祉施設における栄養所要量………212
    1 改正された児童福祉施設における栄養所要量について/213
    2 給食業務指導の重点/213
   各施設給食の特徴………214
    1 精神薄弱者施設/214
    2 身体障害施設/214
    3 児童養護施設/214
    4 乳児院/214
  保育所給食………215
   栄養給与目標………215
   乳児の給食………216
    1 保育所における食事計画および喫食量(比率)/216
    2 保育所における離乳のすすめ方/216
    3 保育所における乳児の栄養基準と献立/219
   保育所における調理業務の委託について………221
   献立例………222
   保育所給食に関する調査………224
    1 栄養士の配置,調理の形態,献立作成,特別保育/224
    2 献立作成/225
    3 特別保育と給食状況/226
   保育所児の栄養・食生活状況………227
    1 栄養素等摂取,摂取献立および食品数,朝・夕食の欠食/227
    2 間食,夜食の摂取状況,嗜好,食事の困りごと/229
    3 保育所における「食教育」の実態/231
  他の施設における給食………234
   重症心身障害児施設………234
    1 重症心身障害児施設の摂食障害の特徴/234
    2 栄養基準および食品構成/234
    3 調理形態上の配慮/234
   その他の施設………236

7 学童・思春期のからだと健康………237
  体位………238
  体力・運動能力・スポーツ………240

8 学童・思春期の栄養と食生活………245
  栄養所要量と食品構成………246
  栄養・食生活の実態………246
   栄養素等摂取量および食品群別摂取量………246
    欠食………248
    間食………249
    夜食………251
    子どもの嗜好………252
    食事環境………253
    ダイエット………254
  学校給食………256
   学校給食の目標………256
   給食指導の内容………256
    1 小学校・中学校の指導書特別活動編/256
    2 学習指導要領/256
   学校給食の実施状況………257
   基準および標準食品構成………258
   学校給食に関する調査………260
  学童・思春期の献立例………263

9 小児期の疾病と食事………265
  小児の主な疾病………266
   疾病構造の変化………266
   望ましい食生活………266
    1 一般小児の食生活/266
    2 小児期からの生活習慣病予防/266
    3 思春期における健康教育/266
   個人個人の疾病予防………266
   低出生体重児………267
    1 栄養法の目標/267
    2 栄養法の目安/267
   乳児の下痢,嘔吐………267
    1 あまり心配ない下痢,嘔吐/267
    2 乳児下痢症に対する栄養法/268
    3 白色便性下痢症(仮性コレラ)/269
    4 乳糖不耐症/269
    5 嘔吐/269
    6 幽門狭窄症/269
   幼児期以後の下痢,嘔吐………269
    1 単一症候性下痢/269
    2 消化不良症(多症候性下痢)/269
    3 アセトン血性嘔吐症(周期性嘔吐症,自家中毒症)/270
   便秘………270
    1 幼若乳児に対する栄養法/271
    2 離乳期の食生活/272
    3 幼児期以後の便秘/272
   風邪………272
    1 食事上の注意/273
    2 風邪の予防/273
   アレルギー疾患………273
    1 アレルギーとは/273
    2 食物アレルギー/273
    3 気管支喘息/275
    4 蕁麻疹 275
   口内炎………276
    1 口内炎の種類/276
    2 食事上の注意/276
    3 食べやすい食品と調理法/276
   う歯(むし歯)………276
    1 小児の歯の機能/276
    2 う歯発症の病因/276
    3 う歯の予防/277
    4 疾病とう歯/277
   肝臓病………277
    1 肝臓の機能/277
    2 肝臓病とは/278
    3 MCT乳,または粉末MCT/278
   腎臓病………278
    1 急性(糸球体)腎炎/278
    2 ネフローゼ症候群/279
    3 慢性腎炎/280
    4 減塩医療用食品/281
   糖尿病………281
    1 病因と症状/281
    2 食事の指針/281
   小児成人病………282
    1 肥満/283
    2 高血圧/284
    3 高脂血症/284
    4 消化性潰瘍/285
   鉄欠乏性貧血………285
   神経性食欲不振症………286
   不定愁訴………286
   先天奇形………286
    1 先天性心疾患/286
    2 口唇裂,口蓋裂/286
   先天性代謝異常………288
    1 フェニルケトン尿症/288
    2 メープルシロップ尿症/290
    3 ホモシスチン尿症/290
    4 ガラクトース血症/290
   主な治療用食品………291
   重症心身障害児………291
    1 食事の多様性/291
    2 食事上の注意/291
    3 経管栄養/292
    4 elemental diet(成分食)/292
    5 ケトン食/292
   検査食………293
    1 潜血食(糞便潜血反応検査食)/293
    2 VMA食(神経芽細胞腫検査食)/293
  疾病のある乳幼児の献立例………294
   下痢(1〜2歳)/294
   周期性嘔吐症(3〜5歳)/294
   便秘(3〜5歳)/295
   風邪(3〜5歳)/295
   卵・牛乳・大豆アレルギー(1〜2歳)/296
   口内炎(1〜2歳)/296
   肝臓病(3〜5歳)/297
   腎炎(5歳)/297
   ネフローゼ症候群(5歳)/298
   糖尿病(3歳)/298
   生活習慣病(3〜5歳)/299
   貧血(3〜5歳)/299
   フェニルケトン尿症(5歳)/300
   ケトン食(3〜5歳)/300

  付録………301
   エネルギー代謝………302
   五大栄養素………305
   栄養素の代謝………312
   人体内の消化・吸収・内分泌………314
   献立・食品・調理………318
   食料需給表………334