やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

図説シリーズ・普及版の発行に際して

 1960年代後半から1970年代後半にかけて,電子顕微鏡やX線・γ線などの放射線,さらにはMRIなどの物理的検索,また,酵素法やアミノ酸分析,組織化学・酵素学的染色などの化学的検索方法の発達は著しく,多くの生理機能の解明がなされ,基礎医学に携わる者は勿論,co-Medicalの部門に関係する諸兄姉にとっても,からだ全体としてそのすべてを理解することの難しさが痛感されていた.
 当時,東京慈恵会医科大学の生理学教室から東海大学体育学部に移り,さらに1974年,医学部に転じ,生理学の教鞭をとっていた私としては,この精密で難解なヒトのからだの生理的機能や,運動による変動,さらには生理機能の変調による症候,種々の疾病の病態,その栄養学的見地からの解析などを,より簡明に解説し,これらをさらに深く追究する端緒になればと考え,この図説シリーズの発刊を企図したのである.
 すなわち,本シリーズの姿勢は,からだの仕組みから解説した生理・解剖学部門,体内で栄養素がいかに利用されて行くかを解説した栄養・生化学部門,さらに病気の仕組みと栄養・代謝との関係から解説した病態生理・栄養学的部門を骨子として,一貫して著述されている.また,精密で難解なヒトのからだの構造や働き,運動や病気の成立ちなどを,視覚的にもより理解され易くするため,全巻を通じて,左ページに図表を纏め,右ページでそれを解説する形式をとり,これを一つの単位として幾つかの単位を纏め,一つの生理機能を理解できるようにと努力したのである.
 さて,本シリーズは,ほぼ20年前の1979年に上梓された第一作『からだの仕組みと働き』に始まり,以来,1981年に症候の病態生理ともいうべき『病気の成立ちとからだ I』,さらに1982年には『運動の仕組みと応用』,1983年に疾患別病態生理である『病気の成立ちとからだ II』,1997年に『運動・スポーツの功と罪』,さらに臓器・組織別に解剖と生理との関連を追究した『ヒトのからだ』を刊行して,この一連のシリーズ全6冊を完結させた.
 しかし,この約20年間のうちにも医学に関連した諸学問の進歩は著しく,初版で10〜22刷を重ねたのちすべて改定第2版を発行した.その総数は13万7千余部にも及び,各方面にわたる教育・研究者の諸兄姉あるいは学生諸君に多大のご支持を戴いていることは感謝にたえない.
 なお,本書の最大の目的の一つは,これから学問を学ぼうとする人達の格好の入門書たらんことにあり,これ以上の学問的研究については各個の専門書を参照されたい.
 さて,今回,これらの実績を踏まえ,より多くの読者の入門書として利用されんことを考え,また,医歯薬出版株式会社の意向もあって,その内容を変えることなく,より価格を抑えた新装丁による本シリーズ普及版の発行を企図した.この普及版シリーズが,前シリーズと共に,皆様のお役に立つことを願ってやまない次第である.
 2001年8月22日 日本体育大学大学院研究科長室にて 中野昭一

第2版の出版にあたって

 本書は,図説シリーズの一環として,運動の仕組みと働きを科学的に解説するための入門書として役立てばという意図の下に執筆された.
 幸いにして本書も第1版が13刷に達し,その都度ある程度の改訂を行っているものの,その後,科学の発展に伴う新事実や知見が報告され,また,読者諸兄姉より多くのご示唆も戴き,今回,全面的な見直しを行い,改訂第2版の出版を行うことになった.
 さて,初版の“はじめに”でも述べてあるように,運動はヒトの生理機能すべてを動員するといっても過言ではないというほどの働きである.したがって,そのすべてを解説するためには膨大な紙面を要することになる.ここに本書の目的とする視覚を利用した簡潔な解説によって,解剖・生理学はもとより,生化学,栄養,測定評価,社会体育と,きわめて多方面からの総合的な解説を試みたのである.
 第2版でも,体力と運動,運動に対応した生理機能の変化を基礎として,とくに近年,解明が進められてきている運動に対応した消化・吸収・代謝などのほか,伊藤朗教授による体内の生化学的変化,波多野義郎教授による運動の測定・評価,池田義雄教授による病気と運動などについても改訂され,随所に新知見が加えられた.
 また,運動と栄養は新たに藤井穂波先生に,若くして夭折された正 貞彦教授に代わり,若い宮崎康文教授による社会体育と運動の項が導入された.
 いずれにしても,第2版では,第1版と全体としての流れは変わらないものの,本書の目的とする運動に対する科学的なアプローチとして,さらに新知見を加え,より全般的な理解を深めるべく工夫を加え,いわゆる教科書,副読本としての責を果たすことができればと考えている.
 なお,本書を編纂するに当たって,多くの先輩・諸兄姉の論文,著書,その他ゥら多くのご教示を戴いている.心から感謝の意を捧げるとともに,これらの図書などを,本書より詳細な教科書,研究書として推薦する次第である.
 また,本書は,多くの人たちのご好意を受けており,個々に感謝の辞を述べることはなかなか難しい.ここに私を生理学への道へご教導戴いた恩師,先輩の方々に感謝の意を捧げるとともに,本書の企画・出版に際して多大なご助力を戴いた医歯薬出版株式会社に感謝し,図版の作成者に謝意を表する次第である.
 1996年5月22日 日本体育大学スポーツ医学研究室にて 中野昭一

はじめに

 近年,発育期の学童生徒の体格が向上しているにもかかわらず,運動の不足などから体力の向上がみられず,中高年者では,その体力を維持するため,日常生活以外に運動を行うことの必要性が盛んに論じられている.
 しかし,運動といっても多くの種類があり,それを行う方法やその強度,持続時間などの違いによって,ヒトのからだに与える影響の異なってくることはいうまでもない.
 したがって,運動を行う場合には,それぞれの目的に沿った運動を選択する必要があろう.すなわち,自ら運動を行う場合はもとより,運動を指導する立場にある人達にとっては,まず,その運動の仕組みをよく理解することが先決であり,からだに対する影響の違いを熟知していてこそ,その運動の効用を十分に発揮させることが可能となるわけである.
 しかし,全身運動はヒトの生理機能すべてを動員するといっても過言ではないほどのきわめて総合的な働きであり,短期間にこれらのすべてを理解することはなかなか難しい.しかも,運動に関する専門書は,それぞれ個々の専門分野について科学的に微に入り細を穿ったものが多く,これらを総合的な知識として修得するためには,膨大な知識と勉強を要求されるという感を与えることは否めない.
 そこで本書は,運動の仕組みを身体運動の基礎となる生理機能や体内における生化学的変化の面から解析するとともに,運動に対応した栄養,また,その運動の測定評価,社会体育との関連,さらには病気と運動など,身体運動を中心として多方面からの総合的な解析を試みたのである.
 すなわち,本書は運動をはじめて学ぼうとする人たちにとって,まず,それを総合的知識として捉え,その概要を把握するための恰好な入門書として役立てばという意図の下に執筆されている.なお,本書は既に発行されている「図説・からだの仕組と働き」「図説・病気の成立ちとからだ」などの“図説シリーズ”の一環として発行されたもので,その特徴とするところは,第1に,各項の視覚的理解を促すことを目的として,左頁にできうる限り簡明にその内容を図,表としてまとめ,右頁でその解説を行い,各頁ごとあるいは2〜3頁で一つの機能,一つの事柄を理解できるように努力したことにある.もちろん,紙面の都合もあって,必ずしも筆者らの意図をすべて反映しているとはいえず,また,筆者らの力及ばなかった点も多く,反省すべき点も数多く存在している.今後さらに,先輩諸先生方のご指摘,ご教示を賜わり,漸次,改訂していきたいと考えているしだいである.
 しかし,本書の目的とする運動の総合的な理解という点では,いわゆる教科書,あるいは副読本としての責を果たしうるものではないかと考えている.
 なお,本書を編纂するに当たって,先輩諸兄姉の論文,著書,その他から多くのご教示を頂いており,心から感謝の意を捧げるとともに,本書に引用させて頂いた図書,文献,少なくも座右にあった図書を,各編の終りに掲げ,これらの図書を本書よりさらに進んだ教科書,研究書として推薦するしだいである.
 また,本書は多くの人たちのご好意を受けており,個々に感謝の辞を述べることは不可能に近い.しかし,私を生理学への道へご教導頂いた東京慈恵会医科大学の故杉本良一教授,生理学の名取禮二学長,内科学の阿部正和教授,さらには東海大学医学部長佐々木正五教授に心から感謝の意を捧げるとともに,種々ご援助頂いた教室の獣医師矢吹千佳子嬢に感謝したい.
 なお,本書の企画,出版に際して多大なご助力を頂いた医歯薬出版株式会社および本書の図版製作に当たって頂いた高橋雄作氏に謝意を表するしだいである.
 昭和57年8月 東海大学医学部生理学教室にて 中野昭一
I 体力と運動(中野)
1章 体力と加齢現象と寿命
 1.体力とは
    1)防衛体力と行動体力
    2)運動と生理機能
 2.加齢現象と寿命
    1)身体的機能の年齢的推移
    2)加齢による反応時間の分布
    3)加齢による最高心拍数の変化
    4)ヒトの寿命
2章 運動と筋力
 1.筋力とは
    1)等尺性収縮と等張性収縮
    2)最大筋力と持久筋力
 2.運動と呼吸・心臓循環系,神経系との関連
3章 運動と姿勢
 1.運動感覚
 2.平衡感覚
 3.運動と反射
4章 運動の必要性
 1.運動の生理機能に及ぼす影響
 2.生理機能の面からみた運動の必要性
    1)呼吸・心臓循環系および脳・神経系の賦活
    2)生理機能における使いすぎの萎縮と使わないでいる萎縮
    3)運動の成人病予防に対する効果
5章 運動を行うときの原則
 1.メディカルチェックの必要性
 2.6つの原則
    1)過負荷の原則
    2)個別性の原則
    3)漸進性の原則
    4)継続性の原則
    5)全面性の原則
    6)自覚性の原則

II 運動に対応する生理機能の変化(1〜6章 /中野,7〜10章 /栗原)
1章 成長と形態の発達
 1.成長,発育とは
    1)成長の区分
    2)ヒトの相対的成長
    3)体格指数
 2.成長に影響を与える因子
    1)内的因子
    2)外的因子
 3.発育に及ぼす運動および栄養の影響
2章 運動と呼吸機能
 1.呼吸とは
 2.呼吸器と呼吸運動
    1)呼吸器
    2)呼吸運動
 3.全肺気量(肺容量)
    1)肺活量と残気量
    2)成人の肺活量
 4.換気量と換気率
    1)成人の換気能力
    2)1秒量と1秒率
 5.肺胞および組織に関するガス交換
    1)ガス交換の仕組み
    2)呼吸商とは
 6.血液によるガスの運搬
    1)酸素の運搬
    2)炭酸ガスの運搬
 7.呼吸運動の調節
    1)呼吸の神経性(反射的)調節
    2)呼吸の化学的調節
 8.運動による呼吸数と換気量の変動
    1)呼吸数と換気量
    2)運動の種類と換気量
    3)トレーニングと呼吸数
 9.運動時の酸素摂取
    1)運動時の酸素需要量と酸素摂取量
    2)酸素借と酸素負債との関係
    3)死点(デッドポイント)とセコンドウインド
    4)運動強度と酸素需要量
    5)酸素消費量と換気
 10.呼吸機能とトレーニング
    1)肺活量の変化
    2)呼吸数の変化
    3)換気量の変化
    4)酸素摂取量の変化
    5)酸素借と酸素負債の変化
    6)呼吸効率
3章 運動と心臓循環機能
 1.心臓の構造と機能
    1)心臓の構造
    2)心筋の特性
    3)心拍動の仕組み-刺激伝導系とポンプ作用
    4)心臓にみられる電位変化と心電図
    5)心臓の周期と種々の生理機能
    6)心拍動リズムの異常-不整脈
    7)心 音
    8)心拍動を調節する仕組み
    9)心拍出量
 2.血 圧
    1)血圧とは
    2)最大血圧,最小血圧,平均血圧
    3)血圧の正常範囲
    4)動脈血圧を決定する因子
    5)血圧を左右する生理的状態
    6)高血圧を招来する因子
    7)血圧を調節する仕組み
    8)脈 拍
 3.血液循環の仕組み
    1)血液の流れと血流速度
    2)静脈還流
 4.運動の心臓循環に対する影響
    1)運動による心拍数の変動
    2)運動による心拍出量の変動
    3)運動時における血流配分
    4)心拍出量の増加と静脈還流
    5)酸素の運搬と心臓機能
    6)運動と血圧の変動
4章 運動と消化・吸収
 1.消化器系とは
 2.消化の機序
    1)消化機能と消化液の一般性状
    2)消化器系の神経支配
    3)消化液の分泌とその仕組み
    4)消化器系の運動
    5)食物の消化管内通過時間
    6)管腔内消化と膜消化
    7)糖質の消化
    8)蛋白質の消化
    9)脂肪の消化
 3.吸収の機序
    1)栄養素の吸収
    2)吸収の経路
    3)吸収の機序
    4)吸収の部位
    5)糖質の吸収
    6)蛋白質の吸収
    7)脂肪の吸収
    8)その他の吸収
 4.運動と消化・吸収
    1)身体運動の調節機構と消化・吸収
    2)運動中における消化・吸収機能の推移
    3)運動後における消化・吸収機能の推移
5章 運動と内分泌
 1.主な内分泌腺とホルモンの種類
 2.ホルモンの機能
    1)ホルモンの一般作用
    2)恒常性維持に対する内分泌系の役割
    3)ストレッサーとしての運動に対応する体内変化の概説--ストレス学説(汎適応症候群)
 3.運動と内分泌機能
    1)加齢による内分泌機能の変化
    2)副腎髄質ホルモンの分泌と運動
    3)副腎皮質ホルモンの分泌
    4)成長ホルモン,テストステロンおよびインスリンの分泌と運動
    5)運動に関係する内分泌機能とその役割
6章 運動と体温の調節
 1.体温とその調節機能
    1)体温の役割と正常体温
    2)体熱の平衡とその調節
    3)体温が一定に保たれる理由
 2.体温に及ぼす環境温度の影響
    1)気温と体温の調節
    2)高温環境と体温
    3)低温環境と体温
 3.運動と体温の変動
    1)ウォーミングアップと筋温・体温の上昇
    2)全力疾走と体温の変動
    3)マラソン走行時の放熱量
 4.運動と発汗
    1)発汗と汗腺
    2)温熱性発汗,精神性発汗
    3)運動時の発汗
7章 運動における神経系の働き
 1.神経系の概念
 2.中枢神経と末梢神経系
 3.ニューロンとシナプスの構造と働き
    1)ニューロンの構造
    2)シナプスの働き
    3)シナプスにおける伝達物質
 4.神経の興奮と伝達の仕組み
    1)静止膜電位とは
    2)ドナンの膜平衡
    3)静止膜電位と活動電位
    4)Na-Kポンプ
 5.随意運動と運動神経
    1)錐体路系と錐体外路系
    2)脊髄と運動神経
 6.神経筋接合部
    1)神経筋接合部における刺激の特徴
    2)終板部における電気的活動
 7.運動の調節機構
    1)脊髄の機能と反射
    2)小脳による運動の制御機構
    3)前庭感覚による姿勢の保持と加速度の感知
    4)平衡障害
8章 運動における自律神経系の働き
 1.自律神経系の概念と構造
    1)自律神経系とは
    2)自律神経系の構造
 2.自律神経支配の特徴
    1)自律性支配
    2)二重支配
    3)拮抗性支配
    4)相反性神経支配
    5)緊張性支配
 3.自律神経における情報の伝達
    1)自律神経線維の走行とコリン作動性およびノルアドレナリン作動性神経
    2)ニコチン様作用とムスカリン様作用
 4.運動時における自律神系の働き
9章 運動における筋肉の働き
 1.筋肉の構造
    1)横紋筋と平滑筋
    2)骨格筋と骨格筋細胞の特徴
    3)筋細胞の特徴
    4)筋原線維の特徴
    5)筋のタイプ
 2.筋収縮の仕組み
    1)筋の電気的活動
    2)興奮-収縮連関機構
    3)滑走説
 3.収縮の型
 4.筋収縮の力学
    1)長さ-張力関係
    2)負荷-速度関係
 5.筋の仕事と熱産生
    1)仕 事
    2)熱産生
 6.筋収縮の化学
    1)筋収縮におけるATPの分解と再合成
    2)ATPを維持している機構
    3)ATPを得るためのエネルギー源
 7.身体運動と筋肉の特性
    1)筋収縮の名称
    2)見かけの力と真の力
    3)筋張と筋力
    4)パワー
    5)速い運動と遅い運動
    6)緩徐筋と速動筋の分化
    7)運動が筋に及ぼす影響
10章 運動と排泄の機能
 1.腎臓の役割
 2.腎臓の構造
    1)腎小体
    2)糸球体
    3)髄 質
    4)尿細管
 3.腎の機能
    1)腎小体の働き
    2)尿細管の働き
 4.腎臓の血流
 5.排尿の機構
 6.運動時における腎機能の変化
    1)腎血漿流量と糸球体ろ過量の変化
    2)尿量の変化
    3)電解質の排泄
    4)蛋白尿と血色素尿

III 運動時のからだの生化学的仕組みとその動態(伊藤)
1章 運動時のからだの生化学的仕組みとその基礎知識
 1.運動時の生化学的仕組み
 2.人体を構成する元素
 3.活性酸素の理解に必要な知識
    1)活性酸素とは
    2)運動による活性酸素の増加
    3)抗酸化酵素・物質
2章 運動時のエネルギー産生と消費の仕組み
 1.運動に必要なエネルギー源
    1)運動に必要なエネルギー源の種類と産生量
    2)運動に必要なエネルギー源の貯蔵
    3)運動で消費したエネルギー源の計算法
 2.運動時のエネルギー産生
    1)無酸素エネルギー産生
    2)有酸素エネルギー産生
3章 運動時の糖質代謝の仕組みとその動態
 1.糖質の種類
 2.糖質の消化と吸収
 3.糖質代謝の仕組み
 4.糖質エネルギー源の利用
 5.糖質摂取と血糖値の動態
 6.糖質摂取後の各種強度の運動が血糖値に及ぼす影響
 7.運動時の血糖値の動員
 8.食事療法および運動療法と耐糖能
4章 運動時の脂質代謝の仕組みとその動態
 1.脂質の種類
 2.脂質の消化と吸収
 3.脂質代謝の仕組み
 4.体脂肪と血中脂質
    1)血中脂質の動態
    2)血中コレステロールの動態
    3)血中遊離脂肪酸値の動態
    4)脂質摂取後の運動と血中中性脂肪値
    5)高脂血症と運動との関係
5章 運動時の蛋白代謝の仕組みとその動態
 1.蛋白質およびアミノ酸の種類
    1)蛋白質の種類
    2)アミノ酸の種類
    3)アミノ酸価
 2.蛋白質の消化と吸収
 3.蛋白質代謝と仕組み
    1)蛋白質分解
    2)蛋白質合成
    3)アミノ酸分解
    4)アミノ酸合成
    5)ホルモン,ヘム蛋白合成
 4.運動時の血漿アミノ酸の動態
6章 運動時のプリン体代謝の仕組みとその動態
 1.プリン体の種類
 2.プリン体の合成と分解
 3.プリン体代謝の問題点
 4.高尿酸血症の原因と誘因
 5.運動性高尿酸現象とその発現機序
    1)運動性高尿酸現象とは
    2)運動性高尿酸現象の発現機序
    3)血中尿酸値の日内リズム
    4)各種運動強度と血中尿酸値
 6.高尿酸血症の予防と改善法
7章 運動時の水分および電解質代謝の仕組みとその動態
 1.体水分量,体水分の補給と排泄
    1)体水分量
    2)体水分の補給と排泄
 2.運動と水分
    1)運動時の体温調節と発汗
    2)スポーツ選手の1日の体水分の出納
    3)運動時の脱水
    4)運動時の腎機能
    5)運動時の血中水分
    6)運動時の耐暑・耐水性への適応
 3.練習時と試合時の水分補給
    1)水分量と含有成分
    2)補給水分の温度と味
    3)環境条件,個人差と補給水分
    4)練習終了と試合終了後の水分補給
8章 運動時の酵素の働きとその動態
 1.酵素の働きと種類
 2.運動とLDH
 3.運動とCPK
 4.運動とGOT,GPT
 5.運動とその他の血清酵素活性値
9章 運動時のホルモンの働きとその動態
 1.蛋白系ホルモン
    1)カテコールアミン
    2)インスリン
    3)グルカゴン
    4)成長ホルモン
    5)トリヨードサイロニンとサイロキシン
    6)副甲状腺ホルモン
    7)抗利尿ホルモン
 2.ステロイド系ホルモン
    1)グルココルチコイド
    2)ミネラルコルチコイド
    3)男性ホルモン
    4)女性ホルモン
10章 運動時の酸・塩基平衡の仕組みとその動態
 1.酸性化とアルカリ性化の仕組み
 2.血液の酸・塩基平衡の変化
 3.緩衝作用
    1)重炭酸系緩衝作用
    2)リン酸系緩衝作用
    3)蛋白系緩衝作用
    4)ヘモグロビン系緩衝作用
 4.炭酸の排出と重炭酸イオンの産生
 5.運動時のpHの変化
    1)運動時の代謝性アシドーシス
    2)運動時の呼吸性アシドーシス
    3)運動時の代謝性アルカローシス
    4)運動時の呼吸性アルカローシス

IV 運動と栄養(1〜2章 /中野,3〜7章 /藤井)
1章 栄養に関する基礎的事項
 1.からだの成分
 2.食物の成分
 3.日本人の栄養所要量
2章 運動とエネルギー代謝
 1.エネルギー代謝とは
 2.食物のエネルギー計算
 3.基礎代謝とエネルギー代謝
    1)人体代謝量の測定
    2)基礎代謝
    3)基礎代謝率
    4)食物の特異動的作用
    5)エネルギー代謝率
    6)エネルギー所要量
    7)活動代謝と生活活動指数
 4.運動時の筋肉中のエネルギー産生
    1)筋肉におけるエネルギー産生の仕組み
    2)筋肉内へのグリコーゲンの補給
 5.運動時のエネルギー供給と栄養の補給
    1)運動強度によるエネルギー供給の差異とその割合
    2)運動後におけるエネルギー補給の問題
3章 からだと栄養
 1.ライフステージと栄養
    1)ヒトの一生と栄養
    2)乳幼児期の栄養
    3)学童・思春期の栄養
    4)青年・壮年期の栄養
    5)高齢期の栄養
    6)妊産婦・授乳婦の栄養
 2.食生活の改善と疾病予防
    1)健康管理と食生活
    2)食生活の変遷
    3)食生活の指針
    4)運動と休養
4章 食物と栄養
 1.食品の成分と栄養価
    1)食品とその成分
    2)食品成分表
    3)食品中の特殊な成分
    4)食品のエネルギー
 2.各種食品の特徴
    1)各種食品の特徴
    2)食品分類
 3.食品とからだ
    1)アルカリ性食品と酸性食品
    2)動物性食品と植物食品
    3)特定保健用食品
    4)食物の消化と調理法
5章 運動・スポーツにおける栄養素の役割
 1.栄養素とエネルギー代謝
    1)運動・スポーツと栄養素
    2)運動・スポーツにおけるエネルギー代謝
 2.運動における蛋白質の役割
 3.運動における脂質の役割
 4.運動における糖質の役割
 5.運動におけるビタミンの役割
 6.運動におけるミネラルの役割
    1)カルシウム
    2)鉄
    3)その他のミネラル
 7.運動における水の役割
    1)水の生理的な働き
    2)水の必要量
    3)脱水による障害
6章 スポーツをする人の食事
 1.スポーツをする人の栄養補給
    1)食事のタイミング
    2)スポーツ(試合)時の食事のポイント
    3)運動・スポーツ時における水分補給
 2.スポーツの種類と栄養補給
    1)有酸素的スポーツの栄養補給
    2)気酸素的スポーツの栄養補給
    3)混合型スポーツの栄養補給
    4)インターバルトレーニングでの栄養補給
    5)グリコーゲンローディング
7章 スポーツにおける体重調整
 1.体重調整の原則
 2.体重調整のための食事計画
 3.体重増加のための食事計画

V 運動の測定とその評価(波多野)
1章 運動量の測定とその評価
 1.運動量を求める式
    1)運動量の概念
    2)無酸素的反応による運動と有酸素的反応による運動
    3)運動量=運動強度×持続時間
 2.エネルギー代謝率と消費エネルギー
    1)基礎代謝量とその測定
    2)エネルギー代謝率とその求め方
 3.タイムスタディの方法
    1)タイムスタディとその実施上の留意点
    2)タイムスタディによるエネルギー算出例
 4.Metsと酸素需要量
    1)Mets法とは
    2)Mets標示法の利点とその応用例
 5.その他の運動強度表示法
    1)運動強度と心拍数・脈拍数
    2)最大心拍数と個人差
    3)自覚運動強度
2章 体力の測定と診断
 1.体力テストの意味
    1)防衛体力とその指標
    2)運動関連体力と体力テスト
    3)健康関連体力
    4)体力テストの意義
 2.体力評価の観点
    1)文部省のスポーツテストとその評価基準
    2)競技スポーツ選手の体力評価
    3)中高年者の体力評価
    4)全身持久性の簡便型テスト
    5)幼児・少年期の体力評価
3章 運動処方と健康づくりの運動
 1.運動処方とは
    1)運動負荷テストの原理
    2)運動負荷テストにおけるエンドポイント
    3)典型的な運動処方
 2.運動療法
    1)運動療法の意義
    2)運動療法実施上の注意と対象範囲
    3)運動療法実施の手順
    4)望まれる新しい運動療法の指導者
    5)疾患別の運動療法
 3.トレーニングの原則
    1)ルーの法則と負荷漸増の原理
    2)トレーニングの限界性
    3)筋力トレーニング効果の年齢変化とトレーニングのポイント
    4)運動不足の影響とトレーニングの効果
 4.健康づくりの運動の条件
    1)各年代における運動のポイント
    2)厚生省による運動所要量
    3)健康づくりの運動の特徴
 5.健康づくりと体重コントロール
    1)運動を伴う減量の必要性
    2)有効運動エネルギー消費量の計算
    3)負のエネルギーバランスの考え方
    4)体重1kgは7,000kcal
 6.歩行数からみた運動量
    1)運動量を歩行数で測定する意義
    2)歩数計の意味
    3)歩・走行の各種測定結果
    4)歩行歩数の測定例
 7.1日に必要な運動量の目安
 8.各種スポーツの特性とその効果
    1)個人に適合したスポーツと各種スポーツの特性
    2)各種強度の運動の効果
 9.エアロビクス点数表
    1)運動のエアロビクス点数表
    2)歩行運動によるエアロビクス点数表
    3)簡単な点数制における運動日誌

VI 社会体育の面からみた運動(宮崎)
1章 社会体育と運動
 1.社会体育の意義
 2.スポーツへの関心
    1)スポーツ活動の現状
    2)スポーツを行う理由・行わない理由
    3)国際的スポーツ大会の関心
2章 社会体育の条件
 1.個人的な条件
    1)意欲
    2)時間的条件
    3)経済的条件
 2.社会的な条件
    1)施設
    2)スポーツ行事
    3)スポーツクラブ
    4)指導者
3章 社会体育と指導者
 1.文部省の社会体育指導者資格付与制度
    1)制度の概略
    2)事業認定を受けた審査事業の内容
 2.厚生省のアクティブ80ヘルスプラン
    1)制度の概略
    2)アクティブ80ヘルスプランに位置づけられた運動指導者
 3.労働省のトータル・ヘルス・プローモーション・プラン
    1)制度の概要
    2)トータル・ヘルス・プローモーション・プランの運動指導者
 4.その他の指導者
    1)社会体育担当職員
    2)スポーツ主事
    3)体育指導委員

VII 病気と運動(池田)
1章 運動不足の疾病に及ぼす影響
 1.現代社会と運動不足
 2.運動の生理と病理
    1)運動の生理効果
    2)運動不足があると
2章 循環器疾患と運動
 1.高血圧に対する運動効果
    1)血圧と運動
    2)血圧を支配する物理的要因
    3)高血圧症における運動療法の適応
 2.心臓病の運動療法
    1)虚血性心臓病の予防を前提に
    2)虚血性心臓病のリスクファクター
    3)狭心症の治療と運動
    4)心筋梗塞のリハビリテーション
    5)アメリカ心臓病協会による心臓発作を減らす5つの方法
3章 呼吸器疾患と運動
 1.呼吸器疾患の運動療法
    1)運動負荷と息切れ
    2)慢性呼吸不全の運動療法
    3)気管支喘息と呼吸筋鍛練法
4章 消化器疾患と運動
 1.胃・十二指腸潰瘍と運動の意義
    1)消化性潰瘍の診断
    2)治療の原則と運動の意義
 2.肝臓病における運動の適応
    1)肝臓病における治療の方針
    2)急性肝炎の運動プログラム
    3)体重調整と運動--脂肪肝の場合
 3.運動による便秘症対策
    1)便秘の原因
    2)便秘の種類
    3)腹圧を高めるための工夫
    4)運動療法の実際
5章 代謝疾患と運動
 1.糖尿病の運動療法
    1)糖尿病の正しい理解
    2)糖尿病の病型と治療法の選択
    3)血糖コントロールに及ぼす運動の効果
    4)糖尿病における運動療法の実際
 2.肥満の予防と治療における運動の役割
    1)肥満の仕組み
    2)消費エネルギー量を高めるために
    3)目標は1日1万歩--歩数計の活用
 3.高脂血症に及ぼす運動効果
    1)血液脂質の異常
    2)運動による血液脂質の変化
    3)HDLコレステロールが増加する仕組み
6章 骨・関節疾患と運動
 1.腰痛症に対する腰痛体操の効果とその実際
    1)いわゆる腰痛症とは
    2)腰痛体操の効果
    3)腰痛体操--実施上の準備と実際--
 2.リハビリテーションを中心とした慢性関節リウマチの運動療法
    1)慢性関節リウマチとは
    2)運動療法がすすめられる理由
    3)RAによる手指ならびに足の変形
    4)リハビリテーションの実際
 3.スポーツ外傷
    1)スポーツ外傷の防止
    2)スポーツ外傷とスポーツ障害
    3)頻度の多い外傷・障害と対策
    4)スポーツ外傷の治療
7章 神経・筋疾患と運動療法
脳卒中のリハビリテーション
    1)機能障害の評価法
    2)運動療法の効果
    3)リハビリテーションの実際

VIII 運動と活性酸素(中野)
活性酸素の生成と消去
 1.活性酸素種とは
 2.フリーラジカル・活性酸素種の生成と,その作用
 3.生体内におけるフリーラジカル,ことに活性酸素種の消去
 4.フリーラジカル・活性酸素種産生系と,その消去系とのバランス
 5.フリーラジカル・活性酸素種と運動
 6.からだ全体としてのCo-ordination