やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社



 2002年10月は,わが国の科学の歴史にとって記念すべきときとなった.二人の日本人が同時にノーベル賞を受賞することになったからである.小柴昌俊氏はニュートリノの分野で物理学賞を,田中耕一氏は生化学の分野で化学賞を受賞された.お二人の偉大な科学者に心から祝福するとともに,とりわけ田中氏の受賞は,生化学の研究と教育に携わるわれわれにとっても大きな意味をもとう.
 変革の時代にあって,歯科,医科をとりまく環境は激変しつつある.コアカリキュラムの導入や講座の統廃合,再編成など,生化学をとりまく教育環境も変化の波に曝されないわけにはいかない.各大学での生化学の実習内容は多岐にわたっており,これらを一冊の実習書にもとめることはきわめて困難である.執筆の先生方の御努力と御協力を得て,試行錯誤を繰り返し,最近ようやくその内容も一応の確立をみるに至ったので,実習書として上梓することができた.
 本書は各大学の実習内容にできる限り対応できるようにしたが,まだまだ不十分な点はあると思う.従来の生化学実習内容から,最近の遺伝子操作の実験まで含まれており,各大学の実習内容,設備に応じて,本書を利用していただければと考えている.
 最後に,出版にあたって御協力いただいた牧野和彦氏をはじめ医歯薬出版(株)の方々に深謝する.とくに,本書の出版計画のときから,献身的にお世話いただいた元社員の渡辺 完氏に心からのお礼を述べる.
 2002年10月 郡山にて
 堀内 登
 実習についての一般的注意事項と機器の使用法 堀内 登

第1章 生体成分 堀内 登・阿部匡聡
 イントロダクション
  I.血液成分の定量
  II.尿検査
  III.糖の定性反応

第2章 タンパク質の定量
 イントロダクション 加藤節子
  I.紫外部吸収法(UV法) 加藤節子
  II.Coomassie Brilliant Blue法(色素結合法) 加藤節子
  III.Biuret法 加藤節子
  IV.Lowry法 加藤節子
  V.ミクロケルダール法(Kjeldahl法) 田辺孝子

第3章 タンパク質の分画(血液タンパク質に関する実験) 田辺孝子
 イントロダクション
  I.血漿(血清)タンパク質の分画
  II.血漿(血清)タンパク質の電気泳動
  III.赤血球とヘモグロビンに関する実験

第4章 DNAの実験
 イントロダクション 藤本健吾
  I.染色体DNAの抽出 藤本健吾
  II.DNAの紫外吸収スペクトルと吸光度260nmと280nm 藤本健吾
  III.核酸構成成分のクロマトグラフィーによる分離 大井田新一郎
  IV.DNAの電気泳動と制限酵素地図 藤本健吾

第5章 細胞内小器官の分画とミトコンドリアの呼吸 深江 允
 イントロダクション
  I.細胞内小器官の分画
  II.ミトコンドリアの呼吸

第6章 酵素反応速度と阻害
 イントロダクション 根本孝幸
  I.コハク酸脱水素酵素 堀内 登
  II.アルカリホスファターゼ 友村明人
  III.唾液アミラーゼ 根本孝幸

第7章 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による遺伝子実験
 イントロダクション 根本孝幸
  I.口腔粘膜のコラーゲン遺伝子の増幅 堀内 登・阿部匡聡
  II.毛髪のGAPDH遺伝子の増幅 友村明人
  III.アメロゲニン遺伝子の増幅 大井田新一郎

第8章 結合組織中の有機成分
 イントロダクション 深江 允
  I.コラーゲンに関する実験 山越康雄
  II.プロテオグリカンに関する実験 山越康雄

第9章 硬組織に関する実験
 イントロダクション 佐藤詔子
  I.カルシウム(Ca)の定量(OCPC法) 佐藤詔子
  II.リン(P)の定量(Fiske-Subbarow法変法) 佐藤詔子
  III.ヒドロキシアパタイトの溶解度積 深江 允
  IV.エライザ法によるアメロゲニンの定量 大井田新一郎

第10章 唾液とプラークに関する実験
 イントロダクション 稲葉明美
  I.唾液タンパク質のSDS電気泳動と免疫化学法 稲葉明美
  II.唾液中のアミラーゼの精製 堀内 登
  III.唾液,プラークの乳酸産生能(酵素法による乳酸の定量) 田辺孝子

 索引