序文
歯周病に対する一般の関心は以前にも増して高くなってきているように思われる.それに伴い歯科医療のなかにおける歯周治療の占める役割は,以前よりはるかに高くなってきている.一方,歯周組織および歯周治療についての研究が数多く行われ,歯周病学の発達は目ざましいものがある.特にプラーク中に存在する細菌の病因性がかなり明確にされてきた.また,このような背景を基として歯周治療は系統だって行われるようになった.
そのなかでも,プラークコントロールの重要性については十分に認識されるようになり,プラークコントロールを行わない歯周治療は考えられなくなってきた.プラークの歯面への付着を防止すること,すなわちプラークコントロールは口腔の疾患を予防する1つの方法として,かつては考えられていたが,現在では予防とともに歯周治療の重要な処置方法であることが認識されるようになった.プラークコントロールの方法も,かつては歯ブラシによる方法のみが考えられていたが,現在では種々の方法が考えられるようになってきている.このようにプラークコントロールを行うことが日常の臨床で要求されるが,患者の状態は一様ではない.またプラークコントロールの方法も種々あるので,どのような方法をどのような患者に適応したらよいかなど,いろいろ困惑することがある.
本書は従来の教科書に書かれているようなプラークコントロールの方法など基本的な事項については教科書などに譲ることとし,プラークコントロールを実際に行うときの考え方,臨床で遭遇する諸問題に対応する方法など,臨床に直接に関係する事項について編集した.日常の臨床でのお役に立つことがあれば望外の喜びである.
最後に,ご多忙中ご執筆いただいた諸先生方に深謝申し上げるとともに,本書の発行に際しいろいろご協力いただいた医歯薬出版株式会社と編集にいろいろご尽力いただいた池内,牧野両氏に厚く御礼申しあげます.
1993年4月 編者代表 末田 武
歯周病に対する一般の関心は以前にも増して高くなってきているように思われる.それに伴い歯科医療のなかにおける歯周治療の占める役割は,以前よりはるかに高くなってきている.一方,歯周組織および歯周治療についての研究が数多く行われ,歯周病学の発達は目ざましいものがある.特にプラーク中に存在する細菌の病因性がかなり明確にされてきた.また,このような背景を基として歯周治療は系統だって行われるようになった.
そのなかでも,プラークコントロールの重要性については十分に認識されるようになり,プラークコントロールを行わない歯周治療は考えられなくなってきた.プラークの歯面への付着を防止すること,すなわちプラークコントロールは口腔の疾患を予防する1つの方法として,かつては考えられていたが,現在では予防とともに歯周治療の重要な処置方法であることが認識されるようになった.プラークコントロールの方法も,かつては歯ブラシによる方法のみが考えられていたが,現在では種々の方法が考えられるようになってきている.このようにプラークコントロールを行うことが日常の臨床で要求されるが,患者の状態は一様ではない.またプラークコントロールの方法も種々あるので,どのような方法をどのような患者に適応したらよいかなど,いろいろ困惑することがある.
本書は従来の教科書に書かれているようなプラークコントロールの方法など基本的な事項については教科書などに譲ることとし,プラークコントロールを実際に行うときの考え方,臨床で遭遇する諸問題に対応する方法など,臨床に直接に関係する事項について編集した.日常の臨床でのお役に立つことがあれば望外の喜びである.
最後に,ご多忙中ご執筆いただいた諸先生方に深謝申し上げるとともに,本書の発行に際しいろいろご協力いただいた医歯薬出版株式会社と編集にいろいろご尽力いただいた池内,牧野両氏に厚く御礼申しあげます.
1993年4月 編者代表 末田 武
I 歯周病治療の失敗はプラークコントロールの失敗による……2
1 プラークコントロールの必要性,種類およびモチベーション……14
2 歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラーク……20
3 デンチャープラークとは……25
II 歯肉縁上のプラークコントロールの効果を高めるには……26
1 術者の100%磨きの意義……29
2 歯ブラシはどのように設計されているか……35
3 ブラッシング圧をどう考えるか……40
4 手用歯ブラシ以外の清掃用具……44
5 歯肉縁下プラークコントロールをどのように考えるか……49
6 プラークコントロールのプログラムをどう組み立てるか……60
7 化学的プラークコントロールの展望……65
III プラークコントロールを行う上で臨床で遭遇する諸問題……66
1 ブラッシングと出血……68
2 歯肉マッサージを考える……69
3 嘔吐反射について……70
4 歯頚部知覚過敏のある患者には……76
5 ブラッシングによる外傷……78
6 歯磨剤をどう使うか……81
IV 症例別にみた初期治療時のプラークコントロールの実際……82
1 単純性歯肉炎……86
2 歯肉疼痛を伴う歯周疾患……94
3 高度増殖性歯肉炎……97
4 カルシウム拮抗型降圧剤による歯肉増殖症……100
5 矯正治療とプラークコントロール……102
6 矯正治療中の歯肉炎……104
7 限局型若年性歯周炎……108
8 広範型若年性歯周炎……112
9 アタッチメントロスの少ない成人性歯周炎……117
10 アタッチメントロスの多い成人性歯周炎……122
11 歯列不正のある成人性歯周炎……129
12 露出した下顎大臼歯の根分岐部について……130
13 露出した上顎大臼歯の根分岐部について……136
14 少数歯残存のある場合……140
15 高度に動揺のある歯に対するプラークコントロール……142
16 高度の歯の動揺がみられる場合……144
17 複雑な部分床義歯が装着されている場合……150
18 ブリッジが装着されている場合……153
19 ポーラス・ハイドロキシアパタイト顆粒インプラントの症例……156
20 インプラントのプラークコントロール……158
21 インプラントとプラークコントロール……161
V プラークコントロールはどこまで行っているか……193
VI 特殊なケースのプラークコントロール……194
1 歯周外科処置後のプラークコントロール……200
2 寝たきり老人・入院中の患者のプラークコントロール……205
3 身体障害者のプラークコントロール……209
VII メインテナンス時のプラークコントロール……221
索引
1 プラークコントロールの必要性,種類およびモチベーション……14
2 歯肉縁上プラークと歯肉縁下プラーク……20
3 デンチャープラークとは……25
II 歯肉縁上のプラークコントロールの効果を高めるには……26
1 術者の100%磨きの意義……29
2 歯ブラシはどのように設計されているか……35
3 ブラッシング圧をどう考えるか……40
4 手用歯ブラシ以外の清掃用具……44
5 歯肉縁下プラークコントロールをどのように考えるか……49
6 プラークコントロールのプログラムをどう組み立てるか……60
7 化学的プラークコントロールの展望……65
III プラークコントロールを行う上で臨床で遭遇する諸問題……66
1 ブラッシングと出血……68
2 歯肉マッサージを考える……69
3 嘔吐反射について……70
4 歯頚部知覚過敏のある患者には……76
5 ブラッシングによる外傷……78
6 歯磨剤をどう使うか……81
IV 症例別にみた初期治療時のプラークコントロールの実際……82
1 単純性歯肉炎……86
2 歯肉疼痛を伴う歯周疾患……94
3 高度増殖性歯肉炎……97
4 カルシウム拮抗型降圧剤による歯肉増殖症……100
5 矯正治療とプラークコントロール……102
6 矯正治療中の歯肉炎……104
7 限局型若年性歯周炎……108
8 広範型若年性歯周炎……112
9 アタッチメントロスの少ない成人性歯周炎……117
10 アタッチメントロスの多い成人性歯周炎……122
11 歯列不正のある成人性歯周炎……129
12 露出した下顎大臼歯の根分岐部について……130
13 露出した上顎大臼歯の根分岐部について……136
14 少数歯残存のある場合……140
15 高度に動揺のある歯に対するプラークコントロール……142
16 高度の歯の動揺がみられる場合……144
17 複雑な部分床義歯が装着されている場合……150
18 ブリッジが装着されている場合……153
19 ポーラス・ハイドロキシアパタイト顆粒インプラントの症例……156
20 インプラントのプラークコントロール……158
21 インプラントとプラークコントロール……161
V プラークコントロールはどこまで行っているか……193
VI 特殊なケースのプラークコントロール……194
1 歯周外科処置後のプラークコントロール……200
2 寝たきり老人・入院中の患者のプラークコントロール……205
3 身体障害者のプラークコントロール……209
VII メインテナンス時のプラークコントロール……221
索引