Preface
わが国ではすでに300年以上前に,実際に口腔内で機能した総義歯が作られていたという歴史的な事実が多くの木製義歯として残されているが,それは誰もがいつでも作れるものでも・得られるものでもなかったはずである.
それがヨーロッパにおけるルネッサンス期以降の科学的な思考に基づく近代歯科医学の発展と取り組みによって,1920年代にはGysiが総義歯学を集大成したとされている.その後の科学技術と歯科材料の発達によるアップデートと歯科医学教育の普及,そして医療制度によって,今日では患者がどこの歯科医院を訪れても,ある程度の使用に耐える総義歯をいつでも作ってもらえる時代となっているといえる.
仕事によるものづくりやサービスは「他人のために」ということで発展し,現代では,他人である“顧客”の安全と安心を含めた満足感が,あらゆる仕事の成否や成功の尺度となり評価される時代となっている.歯科医療においても「使用に耐える総義歯」から「患者満足度の高い総義歯」が求められ,提供されなければならない時代であるといえる.
では,患者満足度の高い総義歯をいつでも作るにはどのようにすればよいのか――すでに多くのすばらしい書籍が出版されているが,本書のPart2では,総義歯臨床経験が少ない歯科医師や歯科技工士であったとしても,その本質的な問題を解決していただけるように,まだ経験年数が少ない歯科医師であった平岡秀樹先生が,その臨床を通して観察し・思考して・学びながら実践してきた延べ5年以上にも及ぶ総義歯治療の初診からのチェアサイドワークの事実の詳細を,ラボサイドとのやりとりも含めて,2,500枚に上るスライドの中から精選して時系列で提示・解説していただいた.
1800年に発見された総義歯が大気圧によって粘膜面に接着し,外そうとしたときにのみ吸着するという,その自然現象による原点に戻り,より生理的な患者の身体の感覚やメカニズムを義歯の調整に活用し,違和感のない総義歯を求めた結果,患者に装着中の総義歯に対して「どうですか?」と問うと,その返事は一言「何ともない」だった.
日常生活の中で,痛くなくよく?めて,笑ったりおしゃべりをしたり,何ら不自由なく使用できる,「大きくもないし,小さくもない」「きつくもないし,ゆるくもない」「高くもないし,低くもない」――これらの感覚を意識して取り出そうとしても,生理的に調和した結果として,「何ともない」になる.本書においてはこの「何ともない」という,患者あるいは顧客満足度を得るための総義歯治療と技術についての本質を,一冊を通して提示できたのではないかと考えている.
さらっと目を通していただいたり,じっくり考えながら読んでいただいたり,実践しながら検証していただいたりとさまざまな使い方ができるように,重要なことは少し重複させながら構成した.ぜひ読者諸氏の総義歯臨床において,経験の長短にかかわらず,患者満足度を追求していただくうえでの一助になれば幸いである.
GraphおよびPart2において,すべての写真の掲載をご快諾いただいた患者のM様に心よりお礼申し上げます.
2014年9月
著者を代表して
堤 嵩詞
わが国ではすでに300年以上前に,実際に口腔内で機能した総義歯が作られていたという歴史的な事実が多くの木製義歯として残されているが,それは誰もがいつでも作れるものでも・得られるものでもなかったはずである.
それがヨーロッパにおけるルネッサンス期以降の科学的な思考に基づく近代歯科医学の発展と取り組みによって,1920年代にはGysiが総義歯学を集大成したとされている.その後の科学技術と歯科材料の発達によるアップデートと歯科医学教育の普及,そして医療制度によって,今日では患者がどこの歯科医院を訪れても,ある程度の使用に耐える総義歯をいつでも作ってもらえる時代となっているといえる.
仕事によるものづくりやサービスは「他人のために」ということで発展し,現代では,他人である“顧客”の安全と安心を含めた満足感が,あらゆる仕事の成否や成功の尺度となり評価される時代となっている.歯科医療においても「使用に耐える総義歯」から「患者満足度の高い総義歯」が求められ,提供されなければならない時代であるといえる.
では,患者満足度の高い総義歯をいつでも作るにはどのようにすればよいのか――すでに多くのすばらしい書籍が出版されているが,本書のPart2では,総義歯臨床経験が少ない歯科医師や歯科技工士であったとしても,その本質的な問題を解決していただけるように,まだ経験年数が少ない歯科医師であった平岡秀樹先生が,その臨床を通して観察し・思考して・学びながら実践してきた延べ5年以上にも及ぶ総義歯治療の初診からのチェアサイドワークの事実の詳細を,ラボサイドとのやりとりも含めて,2,500枚に上るスライドの中から精選して時系列で提示・解説していただいた.
1800年に発見された総義歯が大気圧によって粘膜面に接着し,外そうとしたときにのみ吸着するという,その自然現象による原点に戻り,より生理的な患者の身体の感覚やメカニズムを義歯の調整に活用し,違和感のない総義歯を求めた結果,患者に装着中の総義歯に対して「どうですか?」と問うと,その返事は一言「何ともない」だった.
日常生活の中で,痛くなくよく?めて,笑ったりおしゃべりをしたり,何ら不自由なく使用できる,「大きくもないし,小さくもない」「きつくもないし,ゆるくもない」「高くもないし,低くもない」――これらの感覚を意識して取り出そうとしても,生理的に調和した結果として,「何ともない」になる.本書においてはこの「何ともない」という,患者あるいは顧客満足度を得るための総義歯治療と技術についての本質を,一冊を通して提示できたのではないかと考えている.
さらっと目を通していただいたり,じっくり考えながら読んでいただいたり,実践しながら検証していただいたりとさまざまな使い方ができるように,重要なことは少し重複させながら構成した.ぜひ読者諸氏の総義歯臨床において,経験の長短にかかわらず,患者満足度を追求していただくうえでの一助になれば幸いである.
GraphおよびPart2において,すべての写真の掲載をご快諾いただいた患者のM様に心よりお礼申し上げます.
2014年9月
著者を代表して
堤 嵩詞
Preface
Graph 患者が満足する「何ともない」;痛くなく・外れず・噛める総義歯
患者にとって総義歯が「何ともない」ということ
Part 1 誰でもできる主訴・ニーズのラクラク把握=わかる・みえる 診査・診断
Beginning of This Part 仕事と品質管理,そして顧客満足度
仕事の発生と変遷
工業化社会の変遷と“品質管理”の発生
顧客ニーズの把握から始まる品質管理
歯科医療・歯科技工におけるトータルな品質管理
1.診査における患者の主訴・ニーズ(現状&問題点)把握の重要性
2.分ければラクラク見えてくる患者の主訴・現症の分析―満足してもらえない…なぜ?不具合はどこにある?
患者(=顧客)の主訴・ニーズから読む問題点と原因
診査における現症の客観的な把握
3.分ければラクラク見えてくる現状・問題点の診断
分解すれば見えてくる問題点
上下顎の対顎関係からとらえる総義歯の咬合関係
Column 立体を切断面としてとらえるには
Part 2 誰でもできる 痛くなく外れず噛める「何ともない」総義歯づくり
Beginning of This Part 患者が満足できる 痛くなく外れず噛める「何ともない」総義歯のメカニズム
0.症例提示にあたっての術者のモノローグ
Key Word 「共通言語」
1.初診〜1つ目の本義歯装着までの経過
初診
治療開始のための診査
診査後の診療の流れ
本義歯装着
2.1つ目の本義歯装着後の経過〜再初診
1つ目の本義歯装着後の経過
総義歯再新製のための治療開始
3.治療用義歯製作のための概形印象〜規格模型製作
治療用義歯とは
治療用義歯製作のための概形印象採得
ラボサイドにおける規格模型の製作に対する認識
4.治療用義歯製作のための最終印象〜作業用規格模型製作
総義歯用印象材について
本症例における治療用義歯製作のための最終印象採得
作業用規格模型の製作
Column 復習;口腔内のありのままを印象するには
Column 組織のありのままをとらえる印象法は?――無歯顎前頭面に見る各種印象法と骨および粘膜の関係
5.治療用義歯製作のための咬合採得
総義歯製作における咬合採得の位置づけ
垂直的な咬合採得
水平的な咬合採得
Column 総義歯臨床における顆路測定とゴシックアーチの応用
6.治療用義歯製作のためのワックスデンチャー試適
ワックスデンチャーにおける咬合関係の観察
7.治療用義歯の装着
治療用義歯装着時のチェック
治療用義歯による治療とモチベーション
8.治療用義歯による治療過程
Process A:静的な印象で粘膜に接着することで得られる安定(基礎維持)と,実際に義歯使用時での調整
Process B:動的な印象材を用いて辺縁をシーリングすることで機能的に脱離に対抗させる
9.2つ目の本義歯製作のためのワックスデンチャー試適
ワックスデンチャー試適時(1回目)における審美的要求の芽生え
ワックスデンチャーの再排列→再試適
10.2つ目の本義歯(最終義歯)装着〜経過観察
2つ目の本義歯(最終義歯)装着
装着後の機能確認および咬合調整
治療完了〜定期健診
症例を振り返って
Part 3 患者の情報をそのまま写す 誤差のないラボワーク
Beginning of This Part 無歯顎総義歯の成型精度を向上させるにはどのようなことが必要か
印象採得と成型精度
模型の製作
咬合床の製作
フラスコへの埋没とレジン填入
Technical Note 1:無歯顎総義歯の成型精度を咬合させるにはどのようなことが必要か!?
1.印象体への模型材の注入
総義歯用模型の条件
義歯用模型の精度向上のポイント……印象材の変形の復元とレジンの熱収縮の補正
Procedure 1:義歯用模型の精度を高めるボクシング操作
Technical Note 2:印象への模型材の注入について,大切なこと
2.個人トレーの製作
部位・状態に応じた印象を得るための個人トレーの要件
症例に応じた個人トレーの製作
Procedure 2:粘膜面と義歯床とのより無圧的な関係を得るための個人トレー(インプレッションペースト用個人トレー)
Procedure 3:モデリングコンパウンドの裏装により粘膜面の被圧変位に対して調整を加えるための個人トレー(MCL[modelling compound lining]トレー)
Procedure 4:義歯床の外形採得を主眼とした個人トレー(Max Bosshartによるインプレッションペーストまたはシリコーン印象材用個人トレー)
Technical Note 3:無歯顎総義歯 どのような印象採得が必要か
Technical Note 4:どのような印象材があるのか
3.規格模型の製作
有歯顎時の解剖学的指標から探る無歯顎の咬合平面
規格模型により仮想咬合平面;咬合再構成の目標位置が見える
Column 規格模型誕生のエピソード
Procedure 5:規格模型の製作
Technical Note 5:規格模型にすることで作業用模型上に仮想咬合平面が決まる
4.咬合床の製作
基礎床の成型精度が決め手
Procedure 6:適合のよい基礎床の製作―1.光重合タイプのシート状レジンを用いた製作例
咬合堤は有歯顎時の歯冠部再現が目標
Procedure 7:適合のよい基礎床の製作―2.市販のトレーレジンを用いた製作例
Procedure 8:オリジナルの標準的ワックスリム(咬合堤)の製作法
Procedure 9:標準的ワックスリムを用いた咬合床の製作法
5.人工歯排列
生体の形態・機能と人工歯の形・排列
前歯部人工歯排列における生体に対する形態・機能の調和
臼歯部人工歯排列における生体に対する形態・機能の調和
人工歯排列にかかわる解剖学・生理学
臨床における人工歯排列操作の基本
Procedure 10:咬合床への生体の情報(リップサポートと有歯顎時の歯の植立位置)の移行
Procedure 11:有歯顎時のイメージを形成するためのワックスシェルの製作
Procedure 12:ワックスシェルを用いて有歯顎時の歯の植立時のイメージを形成する(排列の試作)ためのステップ
Procedure 13:歯科医師により指示された人工歯を用いた本排列
6.歯肉形成
デンチャースペースを満たし適正なリップサポートを得るための有歯顎時の歯肉形態の再現
Procedure 14:人工歯排列後のワックスデンチャー試適およびシリコーン印象材のウォッシュとアルタードキャストによる義歯研磨面(polishing surface)の形態の再現
Procedure 15:polishing surfaceへの歯肉形成
Procedure 16:上顎義歯口蓋部の歯肉形成
Column 総義歯製作における生体の形態と機能の再現
7.重合〜咬合調整〜研磨
床用レジンの熱膨張係数と重合成型精度の関係を理解する
成型精度のよいレジン床を得るための重合操作
Procedure 17:治療用義歯製作における埋没・重合操作の流れ
咬合面の重合誤差を補正するリマウント後の人工歯削合〜研磨
Procedure 18:治療用義歯製作における人工歯削合の流れ
8.一手間でエステティックデンチャーへ――誰でも行える総義歯への審美性の付与
患者が総義歯に望む美=装着時の“自然らしさ”
義歯床の色による自然らしさ;美しさの表現
歯肉と歯槽部粘膜の解剖学的特徴を“一手間”かけて表現するデンチャーカラーリング
Procedure 19:数種のレジンのグラデーションによるデンチャーカラーリングのステップ
Column 総義歯技工に不可欠な解剖学的知識
Supplement
1.映像に残されたA.Gysiの総義歯製作
2.いればのたはこと 患者に喜んでもらえる総義歯治療――総義歯設計の基準とその原理について
References
Index
Graph 患者が満足する「何ともない」;痛くなく・外れず・噛める総義歯
患者にとって総義歯が「何ともない」ということ
Part 1 誰でもできる主訴・ニーズのラクラク把握=わかる・みえる 診査・診断
Beginning of This Part 仕事と品質管理,そして顧客満足度
仕事の発生と変遷
工業化社会の変遷と“品質管理”の発生
顧客ニーズの把握から始まる品質管理
歯科医療・歯科技工におけるトータルな品質管理
1.診査における患者の主訴・ニーズ(現状&問題点)把握の重要性
2.分ければラクラク見えてくる患者の主訴・現症の分析―満足してもらえない…なぜ?不具合はどこにある?
患者(=顧客)の主訴・ニーズから読む問題点と原因
診査における現症の客観的な把握
3.分ければラクラク見えてくる現状・問題点の診断
分解すれば見えてくる問題点
上下顎の対顎関係からとらえる総義歯の咬合関係
Column 立体を切断面としてとらえるには
Part 2 誰でもできる 痛くなく外れず噛める「何ともない」総義歯づくり
Beginning of This Part 患者が満足できる 痛くなく外れず噛める「何ともない」総義歯のメカニズム
0.症例提示にあたっての術者のモノローグ
Key Word 「共通言語」
1.初診〜1つ目の本義歯装着までの経過
初診
治療開始のための診査
診査後の診療の流れ
本義歯装着
2.1つ目の本義歯装着後の経過〜再初診
1つ目の本義歯装着後の経過
総義歯再新製のための治療開始
3.治療用義歯製作のための概形印象〜規格模型製作
治療用義歯とは
治療用義歯製作のための概形印象採得
ラボサイドにおける規格模型の製作に対する認識
4.治療用義歯製作のための最終印象〜作業用規格模型製作
総義歯用印象材について
本症例における治療用義歯製作のための最終印象採得
作業用規格模型の製作
Column 復習;口腔内のありのままを印象するには
Column 組織のありのままをとらえる印象法は?――無歯顎前頭面に見る各種印象法と骨および粘膜の関係
5.治療用義歯製作のための咬合採得
総義歯製作における咬合採得の位置づけ
垂直的な咬合採得
水平的な咬合採得
Column 総義歯臨床における顆路測定とゴシックアーチの応用
6.治療用義歯製作のためのワックスデンチャー試適
ワックスデンチャーにおける咬合関係の観察
7.治療用義歯の装着
治療用義歯装着時のチェック
治療用義歯による治療とモチベーション
8.治療用義歯による治療過程
Process A:静的な印象で粘膜に接着することで得られる安定(基礎維持)と,実際に義歯使用時での調整
Process B:動的な印象材を用いて辺縁をシーリングすることで機能的に脱離に対抗させる
9.2つ目の本義歯製作のためのワックスデンチャー試適
ワックスデンチャー試適時(1回目)における審美的要求の芽生え
ワックスデンチャーの再排列→再試適
10.2つ目の本義歯(最終義歯)装着〜経過観察
2つ目の本義歯(最終義歯)装着
装着後の機能確認および咬合調整
治療完了〜定期健診
症例を振り返って
Part 3 患者の情報をそのまま写す 誤差のないラボワーク
Beginning of This Part 無歯顎総義歯の成型精度を向上させるにはどのようなことが必要か
印象採得と成型精度
模型の製作
咬合床の製作
フラスコへの埋没とレジン填入
Technical Note 1:無歯顎総義歯の成型精度を咬合させるにはどのようなことが必要か!?
1.印象体への模型材の注入
総義歯用模型の条件
義歯用模型の精度向上のポイント……印象材の変形の復元とレジンの熱収縮の補正
Procedure 1:義歯用模型の精度を高めるボクシング操作
Technical Note 2:印象への模型材の注入について,大切なこと
2.個人トレーの製作
部位・状態に応じた印象を得るための個人トレーの要件
症例に応じた個人トレーの製作
Procedure 2:粘膜面と義歯床とのより無圧的な関係を得るための個人トレー(インプレッションペースト用個人トレー)
Procedure 3:モデリングコンパウンドの裏装により粘膜面の被圧変位に対して調整を加えるための個人トレー(MCL[modelling compound lining]トレー)
Procedure 4:義歯床の外形採得を主眼とした個人トレー(Max Bosshartによるインプレッションペーストまたはシリコーン印象材用個人トレー)
Technical Note 3:無歯顎総義歯 どのような印象採得が必要か
Technical Note 4:どのような印象材があるのか
3.規格模型の製作
有歯顎時の解剖学的指標から探る無歯顎の咬合平面
規格模型により仮想咬合平面;咬合再構成の目標位置が見える
Column 規格模型誕生のエピソード
Procedure 5:規格模型の製作
Technical Note 5:規格模型にすることで作業用模型上に仮想咬合平面が決まる
4.咬合床の製作
基礎床の成型精度が決め手
Procedure 6:適合のよい基礎床の製作―1.光重合タイプのシート状レジンを用いた製作例
咬合堤は有歯顎時の歯冠部再現が目標
Procedure 7:適合のよい基礎床の製作―2.市販のトレーレジンを用いた製作例
Procedure 8:オリジナルの標準的ワックスリム(咬合堤)の製作法
Procedure 9:標準的ワックスリムを用いた咬合床の製作法
5.人工歯排列
生体の形態・機能と人工歯の形・排列
前歯部人工歯排列における生体に対する形態・機能の調和
臼歯部人工歯排列における生体に対する形態・機能の調和
人工歯排列にかかわる解剖学・生理学
臨床における人工歯排列操作の基本
Procedure 10:咬合床への生体の情報(リップサポートと有歯顎時の歯の植立位置)の移行
Procedure 11:有歯顎時のイメージを形成するためのワックスシェルの製作
Procedure 12:ワックスシェルを用いて有歯顎時の歯の植立時のイメージを形成する(排列の試作)ためのステップ
Procedure 13:歯科医師により指示された人工歯を用いた本排列
6.歯肉形成
デンチャースペースを満たし適正なリップサポートを得るための有歯顎時の歯肉形態の再現
Procedure 14:人工歯排列後のワックスデンチャー試適およびシリコーン印象材のウォッシュとアルタードキャストによる義歯研磨面(polishing surface)の形態の再現
Procedure 15:polishing surfaceへの歯肉形成
Procedure 16:上顎義歯口蓋部の歯肉形成
Column 総義歯製作における生体の形態と機能の再現
7.重合〜咬合調整〜研磨
床用レジンの熱膨張係数と重合成型精度の関係を理解する
成型精度のよいレジン床を得るための重合操作
Procedure 17:治療用義歯製作における埋没・重合操作の流れ
咬合面の重合誤差を補正するリマウント後の人工歯削合〜研磨
Procedure 18:治療用義歯製作における人工歯削合の流れ
8.一手間でエステティックデンチャーへ――誰でも行える総義歯への審美性の付与
患者が総義歯に望む美=装着時の“自然らしさ”
義歯床の色による自然らしさ;美しさの表現
歯肉と歯槽部粘膜の解剖学的特徴を“一手間”かけて表現するデンチャーカラーリング
Procedure 19:数種のレジンのグラデーションによるデンチャーカラーリングのステップ
Column 総義歯技工に不可欠な解剖学的知識
Supplement
1.映像に残されたA.Gysiの総義歯製作
2.いればのたはこと 患者に喜んでもらえる総義歯治療――総義歯設計の基準とその原理について
References
Index