やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集 食とリハビリテーション栄養
企画主旨
 編集委員 塩濱奈保子
 リハビリテーション(以下,リハ)栄養はどのようなセッティングでも実践されるべきであり,どの職種も取り組むことができるものである.「食」は食事だけでなく,食行動,食べるための環境,個人の価値観など,多くの視点でとらえることができる.そのため,食を通じて,対象者だけでなく,共に活動するスタッフとも繋がることができる.また,食は多くの方に身近な存在で,関心の高いものである.これらの特性はリハ栄養を実践する際にも重要な要素である.実際に対象者と食事の話で盛り上がり,時には共に悩むこともある.また,食事だけでなく,口腔,食環境,薬剤,リハ,退院支援,地域活動など多職種が食のキーワードでつながる機会は多い.
 管理栄養士の視点では,実際に食事をするために,覚醒状況や呼吸状態,消化吸収や嚥下,口腔などの機能,環境,意欲など,検討すべき事項は多い.食事開始前,開始後ともに適切な評価とケアの実践が求められる.また,リハ栄養で重要な機能や活動,参加すべてに食はかかわっている.食を通じた幅広い視点をもつと,多職種とのつながりが広がり,リハ栄養の実践に結び付くと考えられる.
 本企画では,「食べることに関連する生理機能」「食事と文化・環境」「食べることの支援」の3つの観点からテーマを構成し,日ごろから現場で悩むことが多い食思不振や味覚異常の問題から,地域による食文化の違い,食支援の実際など,多職種が関心を寄せる内容について執筆していただいた.「食」という壮大なテーマのもと,それぞれの専門職が新たな視点を得て,リハ栄養の実践やさらなる発展のきっかけになることを願っている.
特集 食とリハビリテーション栄養
 企画主旨
 【食べることに関連する生理機能】
  (1)高齢者の食欲不振(葛谷雅文)
  (2)味覚障害(任 智美)
  (3)排泄と食事(齋藤嘉子)
  (4)時間栄養学(田原 優)
 【食事と文化・環境】
  (1)食とSDGs(小林富雄)
  (2)日本人の食文化(中澤弥子)
  (3)食品多様性(横山友里)
 【食べることの支援】
  (1)摂食嚥下障害者に対する食支援(清水昭雄)
  (2)病院・施設における食支援(阿部沙耶香 入江 翠・他)
  (3)地域における食支援(荒金英樹 塩濱奈保子・他)

連載
リハビリテーション栄養論文紹介(14)
 (鈴木瑞恵)

【リハ栄養研究の勘所(9)】
 読み手を引きつける英語論文をどう書くか(保田幸子)

原著 脊髄損傷患者における入院中の体重減少率とADL改善との関連─多施設後ろ向きコホート研究─
 (田中 舞 森山大介・他)

 日本リハビリテーション栄養学会 入会のすすめ
 日本リハビリテーション栄養学会誌投稿規定
 次号予告