やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特集 急性期のリハビリテーション栄養
企画主旨
 編集委員 高畠英昭
 急性期病院では,患者の体力や機能が低下しないように,早期からリハビリテーションが行われる.また,適切な栄養管理は合併症の予防や早期回復には不可欠である.急性期におけるリハビリテーション栄養は重要であるにもかかわらず,亜急性期や回復期ほど十分に実施されているとは言いがたい.急性期では身体侵襲に起因する異化亢進や栄養摂取不足により,また,治療の必要上の食事摂取の制約等から,患者の栄養状態が急速に悪化することがある.急性期の患者は安静制限の指示やカニューレーション,身体機能の低下等により,リハビリテーションプログラムの実施が難しい場合がある.
 これらの問題に対して,医師・看護師・リハビリテーションスタッフ・管理栄養士等,異なる専門職が連携し,患者の状態に合わせた適切な栄養計画とリハビリテーションの立案や調整が必要である.そのために,患者の病状に即した個別化されたケアプランの策定を専門的なリハビリテーションや栄養知識をもつスタッフにより行われることが理想であるが,急性期では,原疾患の治療やバイタルサインなど全身状態の安定が優先されるあまり,栄養管理やリハビリテーションは後回しにされたり,十分にその実施が行われなかったりする.
 本号の特集では,これらの問題の解決に少しでも近づけるように,さまざまな疾患における治療・リハビリテーション・栄養のエキスパートに,最新の問題点や対応策について執筆を依頼した.急性期のリハビリテーション栄養の現状や今後取り組まなければならない課題等を病態別に明らかにすることで,急性期のリハビリテーション栄養の実践につながることを期待する.
特集 急性期のリハビリテーション栄養
 巻頭言
 企画主旨
 【外科】
  (1)肥満外科手術と栄養,リハビリテーション(金高賢悟 小林慎一朗・他)
  (2)消化管手術(ERAS(R))(佐藤 弘 宮脇 豊・他)
  (3)整形外科(骨折)(井上達朗)
 【内科】
  (1)脳卒中急性期のリハビリテーション栄養(小野寺英孝)
  (2)急性心不全(鈴木規雄)
  (3)急性呼吸不全(泉野浩生)
  (4)急性腎障害(原 将之)
  (5)肥満の集中治療(宮城朋果)
 【実践編】
  (1)重症患者でのリハビリテーション栄養─ICUから退院まで(東別府直紀)
  (2)急性期におけるリハ栄養の障壁と対策(鈴木裕也)

連載
【リハ栄養研究の勘所(8)】
 AI黎明期におけるエビデンスの探し方(湯浅秀道)

リハビリテーション栄養論文紹介(13)
 (長野文彦)

症例報告 Nutritional management and rehabilitation for myasthenia gravis patient with malnutrition:A case report
 (Naoko Watanabe,Hidetaka Wakabayashi et al)

ポジションペーパー 心理面のリハビリテーション栄養:日本リハビリテーション栄養学会によるポジションペーパー
 (若林秀隆 森 隆志・他)

症例報告 栄養介入と中高強度レジスタンストレーニングを含む包括的な介入により身体機能,嚥下機能の改善が認められた脳梗塞・誤嚥性肺炎後の一症例
 (小林壮太 金井 崇・他)

症例報告 左副咽頭間隙腫瘍術後患者の嚥下障害の改善に理学療法士の介入が有効であった一例
 (赤ア将太 吉村芳弘・他)

 日本リハビリテーション栄養学会 入会のすすめ
 第13回日本リハビリテーション栄養学会学術集会 抄録集
 日本リハビリテーション栄養学会誌投稿規定
 次号予告