やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 本書には,糖尿病とともに生きる人々にセルフマネジメントのための教育を提供する際のコツがまとめられています.個別指導および糖尿病教室での集団指導において,患者さんを生涯にわたってサポートするためのヒントを取り上げました.本書の内容には,ミシガン大学糖尿病リサーチ・トレーニングセンターの糖尿病療養指導士たちの理念,経験,そして実践が反映されています.本書が皆さんの臨床の現場でお役に立つことを願って止みません.
監訳のことば
 糖尿病は,しばしば「自己管理の病気である」と言われる.糖尿病の治療の最も重要な3つの柱である食事療法・運動療法・インスリンを含む薬物療法のいずれも,「自己管理」そのものであり,またこの「自己管理」は通常,生涯にわたって必要だからである.この糖尿病の自己管理を支援するのが糖尿病自己管理教育であり,これが本書の主題の「糖尿病のセルフマネジメント教育」の意味するところである.訳者が“自己管理”という訳をあえて避け“セルフマネジメント”としたのは,“自己管理”という言葉が“自己責任”という言葉につながりかねず,「自己管理」が患者と医療者の共同作業であるという意味合いが失われかねないことに配慮した結果である.
 糖尿病のセルフマネジメント教育には,糖尿病教室のような集団指導や個別の療養指導などが含まれるが,糖尿病治療の中でのセルフマネジメント教育の位置づけは,他の病気の治療に比べても極めて大きく,ユニークでもある.日本糖尿病学会の認定教育施設の認定要件でも「患者教育プログラム」「糖尿病教室のプログラム」が必須とされているのも,我が国で制度発足以来5年という短期間に 11,778 名もの糖尿病療養指導士が誕生したのも,糖尿病セルフマネジメント教育の重要性にその源がある.
 本書『療養指導を変える 糖尿病セルフマネジメント教育101のコツ』は,糖尿病教育において数々の実績を有し糖尿病のセルフマネジメント教育にエンパワーメントの考え方を提唱した米国の糖尿病教育心理学者 Robert M.Andersonと糖尿病専門教育看護師の Martha Mitchell Funnelが中心にまとめられた“101 Tips for Diabetes Self-Management Education“ の日本語版である.また本書は,訳者が昨年翻訳出版した『行動変化をうながす 糖尿病エンパワーメント101のコツ』“101 Tips for Behavior Change in Diabetes Education” の姉妹版でもある.前書と同じく,エンパワーメントの理念に基づきつつ,「糖尿病教室」や「個別教育」の実際のアプローチやコツがQ&Aという形式でていねいに述べられている.「糖尿病教室」や「個別教育」で何(what)を教えるかを取り上げた類書は多いかと思われるが,本書では教育や指導の場面で患者さんとどう関わっていくべきか(how)の部分に力点があるところがユニークである.
 米国の「糖尿病教室」と我が国の「糖尿病教室」とがその参加者,内容,運営の形式において,異なるところが多々あるとはいえ,本書に盛り込まれている101のコツの多くは,我が国の糖尿病セルフマネジメント教育に関わる医師,療養指導士,コメディカルがさまざまな場面で遭遇したことがある事例ではないだろうか.たとえば,「糖尿病セルフマネジメント教育で燃え尽きたような気持ちになってしまった時どうすればよいのか」「集団指導と個別指導をどう組み合わせていったらよいのか」「糖尿病教室で沈黙が訪れ,気まずい雰囲気になった時どう議論を盛り上げたらよいのか」「なぜ私がこんなに一生懸命やっているのに患者さんがセルフマネジメントをもっと大事に考えてくれないのか」等々,である.日々患者さんと向き合って努力を続けている医療者が,セルフマネジメント教育をどう進めていったらよいのか悩んだり,時には燃え尽きたような気持ちになりかけた時に,本書と前書をあわせて“202 のコツ”に戻っていただければ,「そうそうと膝を打ったり」「目からウロコが落ちたり」することがきっとたくさんあると確信している.患者さんは悩み,支援を求めているからこそ,個別教育であろうと,糖尿病教室であろうと,あなたの前にあらわれているのである.一見コンプライアンスの悪い患者さんでも決して突き放さず,我慢も重ね地道に努力した結果,少しでもセルフマネジメントをできるようになった時に患者さんと分かち合う喜びを大切にしたい.
 本書の翻訳は全て,『行動変化をうながす 糖尿病エンパワーメント101のコツ』と同様,東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科の大橋健博士が行った.大橋氏はエネルギーに満ちあふれた新進気鋭の優秀な医師であるが,幅広い糖尿病の臨床経験を持ち,多くの糖尿病患者さんと真剣に向き合ってきた.同時に,糖尿病セルフマネジメント教育のあり方についても熱心に模索を続ける中で,「エンパワーメント」「セルフマネジメント教育」の理念やその実現に深い関心を持ってきた.このような大橋氏の情熱と見識は,氏が我が国のこの領域においてリーダーとして活躍することを強く予感させる.本書が我が国の糖尿病のセルフマネジメント教育に携わる医師,療養指導士,コメディカルに勇気を与え,我が国の「糖尿病教育の向上」「糖尿病教室の改善」につながることを期待したい.
 2006年1月
 東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授
 門脇 孝
 ・はじめに
 ・監訳のことば
 ・本書を読んで下さる方へ

■糖尿病セルフマネジメント教育プログラムを作る―DIABETES SELF-MANAGEMENT EDUCATION PROGRAM DEVELOPMENT―
 1 糖尿病セルフマネジメント教育のナショナル・スタンダードとは何ですか?
 2 どうすれば私の糖尿病セルフマネジメント教育プログラムに対して医療費の給付を受けることができるでしょうか?
 3 私の糖尿病教室の参加者にはお年寄りがたくさんいます.メディケアからの保険給付を受けるにはどうすればよいでしょうか?
 4 教育ニーズのアセスメントとは何ですか?なぜ,それが糖尿病教育プログラムのために重要なのですか?
 5 新しく糖尿病教室を始めることになりました.カリキュラム作りには自信がありますが,ぜひ私のプログラムの価値が認められ,地域で活用されるようにしたいと思います.効果的に教育ニーズのアセスメントをするには,どうすればよいでしょうか?
 6 私の地域の多くのドクター.行政.保険会社は「糖尿病セルフマネジメント教育は効果がない」と言います.どう反論すればよいでしょうか?
■ビジョンを定める―DEFINING YOUR VISION―
 7 多くの組織がミッション・ステートメントや理念を掲げています.ミッション・ステートメントを作ることは,私たちの糖尿病教室のスタッフにとっても役に立ちますか?
 8 どうすれば私たち糖尿病教室スタッフにとってのミッションを見極め,うまく文章にできるでしょうか?
 9 糖尿病教育に対する私のビジョンは,エンパワーメントの理念に合致します.どうすれば,自分の糖尿病セルフマネジメント教育プログラムがエンパワーメントアプローチに沿ったものだと自信を持って言えるでしょうか?
■カリキュラムをデザインする―DESIGNING THE CURRICULUM―
 10 新たに糖尿病教室を立ち上げるように言われています.既存のカリキュラムを購入すべきか,それともオリジナルを作るべきでしょうか?
 11 患者エンパワーメントのビジョンに基づいて,問題指向型の教育プログラムを作りたいと思っています.そうしたプログラムを作るにはどのような方法がありますか?
 12 私の問題指向型のカリキュラムがきちんとナショナル・スタンダードを満たし,保険の給付が受けられるようにするにはどんな注意が必要ですか?
 13 上司から,糖尿病教室の学習目標を書くように言われました.効果的な学習目標を掲げる際のアドバイスがありますか?
 14 糖尿病教室の学習目標を書いてみたら,1時間のクラスなのに16個になってしまいました.多すぎますよね.何個くらいの目標がちょうどよいのでしょうか?
■プログラムを評価する―EVALUATINGYOURPROGRAM―
 15 糖尿病セルフマネジメント教育のプログラムを評価しなくてはなりません.どこから始めればよいでしょうか?
 16 どのような項目が糖尿病セルフマネジメント教育に対するアウトカム指標となりうるでしょうか?
 17 参加者のためにもなり,プログラム評価の目的にも役立つような形で参加者の行動目標達成の記録を残すにはどうすればよいでしょうか?
 18 糖尿病セルフマネジメント教育のナショナル・スタンダードには,継続的質改善(CQI)を実施することと書いてあります.CQIとは何ですか?
■アドバイザー重量会を作る,活用する―CHOOSING AND USING YOUR ADVISORY COMMITTEE―
 19 糖尿病セルフマネジメント教育のナショナル・スタンダードを満たすには,アドバイザー委員会が必要です.アドバイザー委員会の目的は何ですか?
 20 アドバイザー委員会にはどのような専門家に参加してもらえばよいのでしょうか?
 21 アドバイザー委員会にはぜひ患者さんにも参加してもらおうと思うのですが,前回の委員会ではその方は議論に加わっていませんでした.もっと積極的に関わってもらうために私にできることがありますか?
 22 私の糖尿病教室に対して,地域のドクターの積極的な参加とサポートを促すにはどうすればよいでしょうか?
 23 アドバイザー委員会で議長を務めます.委員会成功の秘訣は?
 24 アドバイザー委員会の出席率が非常に悪くて因っています.どうしたらもっと出席してもらえるでしょうか?
■プログラムのマーケテイング戦略―MARKETING YOUR PROGRAM―
 25 本当に地域の皆さんのお役に立てそうな糖尿病教室を立ち上げました.どのように宣伝を始めればよいでしょうか?
 26 糖尿病教室のパンフレットを配ったのですが,あまり反応がありません.もっといいパンフレットを作るコツがありますか?
 27 予算制限があります.プレゼント・グッズを配って教室を宣伝するのは,予算の有効活用になりますか?
 28 地元のマスコミは,今までのところ私たちの新しい教育プログラムの宣伝に協力してくれていますが,いずれ忘れられてしまわないかと心配です.どうすれば,関係を保つことができるでしょうか?
■療養指導士の問題と悩み―EDUCATOR ISSUES AND CONCERNS―
 29 糖尿病教室を担当するようになったばかりで,何から手をつければよいのかわかりません!まず,何をすればよいでしょうか?
 30 療養指導士としてスキルアップし,糖尿病のケアと教育について学び続けるにはどうすればよいでしょうか?
 31 療養指導士をしていて,時々,誰も私の仕事の価値を認めてくれていないのではないかと思ってしまうことがあります.どうすれば周りの人たちに自分の仕事の価値を認めてもらえますか?
 32 療養指導士として働く上で必要なサポートを受けるには,どうすればよいですか?
 33 療養楷遵十をしていて「バーンアウト(燃之尽き)」してしまいそうな時があります.患者さんとその家族には,どうしても最高のケアと教育を提供したいのです.どうすればよいでしょう?
■教育ニーズのアセスメント―ASSESSING EDUCATlONAL NEEDS―
 34 クラスの人数が多いので,授業の前に一人一人のアセスメントを確認する時間がありません.教え方を考える上で,授業中に簡単にできるアセスメントはありませんか?
 35 なぜこの教室に参加したのか質問すると,「先生に言われたから」という方が時々います.それでは何の役にも立たないのではないかと心配です.どうするのが一番でしょうか?
 36 診断されたばかりの患者さんが出席していると,いつも心配になります.糖尿病という病気にどの程度向き合えているか,どう判断すればよいでしょうか?
■テーマ別の問題点―CONTENT-SPECCFICISSUES―
 37 どうしたら心理社会的なテーマを上手に取り上げられるか悩んでいます.何かアイデアがあるでしょうか?
 38 検査値やその意味には興味のない患者さんばかりです.どうすれば興味を持ってもらえるでしょうか?
 39 HbAICは長期間の血糖コントロールの指標で,最近2〜3カ月の血糖の平均だと説明しています.なかなかぴんと来ない人が多いようです.どうすればよいでしょうか?
 40 患者さんと何かに取り組んでいると,同じことでもある時はうまくいき,ある時はうまくいかないことがあります.どうすればよいでしょう? たとえば,運動に合わせて調整をする時など,毎回血糖値の反応が異なります.
 41 患者さんの中には自分に注射しようとすると,パニックになってしまう人がいます.どうすればよいでしょうか?
 42 大勢の前で性に関する話をしようとすると恥ずかしくて仕方ありません.どうすればもっと楽に話せるでしょうか?
 43 看護師なので,食事療法のことはあまり詳しくありません.それなのに,今度の糖尿病教室では全部一人で教える必要があります.食事療法の授業を始める簡単な方法がありますか?
 44 「何を食べればよいですか?」と聞かれました.何と答えればよいでしょう?
 45 カーボ・カウンティングで皆さん悪戦苦闘しています.もっと簡単に理解できる方法はないでしょうか?
 プラスワンA 合併症の話をしても誰も耳を貸してくれません.とても大事な話だと思います.どうすればもっと興味を持ってもらえるでしょう?
■一人一人のニーズに応える―MEETING INDIVIDUAL NEEDS―
 46 糖尿病や他の病気を治すために民間療法を信奉している患者さんがいます.いわゆる代替療法の使用についてアセスメントするにはどうすればよいでしょうか?
 47 ハーブやビタミン,サプリメント食品などの販促品を持ち込む人がいたり,効果があるかどうかわからない民間療法の話をされたりするとストレスです.糖尿病教室ではどう扱えばよいでしょうか?
 48 著しく視力の低下している患者さんがいます.どうすれば視力障害に十分配慮した糖尿病教室にできるでしょうか?
 49 受診のたびに同じ説明を繰り返さなくてはならない患者さんがいます.聞こえの問題があるのか,どのようにすればわかりますか?
 50 お年寄りの患者さんの多くは聞こえの問題があります.聴力障害のある方を指導する際のアドバイスがありますか?
 プラスワンB 糖尿病治療のために必要な物品や薬剤を購入する経済的余裕があるかどうか,どうすればわかるでしょうか?
 プラスワンC 患者さんにはさまざまなニーズがあります.一方で,役に立つ手段もいろいろありそうです.患者さんが必要とする手立てを見つけるにはどうすればよいでしょうか?
■文化的背景への配慮―CULTURAL COMPETENCY―
 51 糖尿病教室では,さまざまな文化的背景に配慮する必要があると聞きました.どういうことでしょうか?
 52 患者さんの中には,自分とは異なる文化的背景を持った方がいますさまざまな文化に配慮していることが示せるような形で異なる文化の影響をアセスメントするには,どうすればよいでしょうか?
 53 自分とは異なる文化的背景を持った患者さんのためのクリニックで糖尿病の療養指導を始めたところです.患者さんたちの文化的背景に合った糖尿病教室にしたいと思います.患者さんたちの文化や伝統を知るにはどうすればよいでしょう?
 54 信仰は糖尿病とうまくつき合うための大事な要素ではないかと思っています.糖尿病教室の中で,宗教について取り上げるにはどうすればよいでしょうか?
 55 ディスカッションの中で,患者さんから宗教や精神的なテーマを持ち出されると嫌な気分になります.患者さんにとっては重要なことだと思うので,もっと気持ちよく扱えるようになりたいのです.何かアドバイスがありますか?
■特殊なケースのニーズに応える―MEETING THE NEEDS OF SPECIAL POPULATlONS―
 56 外来や教室参加者の中で子どもの患者さんが増えています.大人相手は得意なのですが,小さな子どもや10代の人たちが相手だと自信がありません.
 57 糖尿病と診断されたばかりの子どもの家族に指導する場合,さまざまなニーズや感情が錯綜します.何かよいアプローチがありますか?
 58 1型糖尿病と診断された子どもの家族の場合,気持ちの整理のお手伝いが一段落したら,次にどんなところから指導を始めれば,余計なプレッシャーを与えずにすむでしょうか?
 59 小さな子どもや10代の人たちを指導する際,他には誰に参加してもらうべきでしょうか?
 60 糖尿病の子どもの食生活に問題がある場合,何か家族の役に立つものがありますか?
 61 小学校高学年や中高生に合併症の話をするには,どうすればよいですか?怖い思いはさせたくないのですが.
 62 妊娠中の療養指導で何か重要なポイントがありますか?
 63 私の糖尿病教室には,大勢のお年寄りが参加しています.もっとお年寄りのために役立つ授業にするには,どんなことができるでしょうか?
 プラスワンD 教室にお年寄りの介護をしている方が同席されることがあります.そういう方とうまく関わる上で,特に注意することがありますか?
■教材―EDUCATlONAL MATERIALS―
 64 糖尿病の療養指導では,リテラシーが問題になることがあります.患者さんにリテラシーの問題があるかどうか,どうすればわかるでしょうか?
 65 識字率の低いコミュニティーで働いています.適切な教材を選んだり,作るにはどうすればよいでしょうか?
 66 患者さんに喜ばれる印刷教材とは,どんなものでしょうか?
 67 優れた印刷教材が数多くあります.糖尿病教室の教材を選ぶ際,どんな基準で(正確さ以外に)選ぶのがよいでしょうか?
 68 糖尿病教室用の印刷教材はたくさんあります.それでもオリジナルを作った方がよい場合があるのでしょうか?
 69 特定の患者層を対象にしているので.試しにオリジナルのテキストを作っみようかと思っています.役に立つ教材にするためには,どんなステップを踏めばよいでしょうか?
 70 ポスターやプリントのアイデアがいろいろあるのですが,プロが作ったものと並べられると見栄えが悪くて困っています.何かアイデアがありますか?
 71 「百聞は一見にしかず」といいます.写真や図などを最大限に活用するアイデアがありますか?
 72 予算が限られています.食事指導をするのに,安くて簡単な視覚教材がありますか?
 プラスワンE ビデオの活用は効果的な学習を促します.糖尿病教室では,どのようなタイミングでビデオを使うのがよいでしょう?
 プラスワンF インターネットを使っている患者さんが多いのですが,なかなかよい情報にアクセスできないようです.何かお手伝いできることがあるでしょうか?
■教室の上手な進め方―FAClLTATING GROUP SESSlONS―
 73 これまで1対1で指導をしていましたが,今度糖尿病教室の担当になりました.教室でも個別指導と同じような成果を上げるにはどうすればよいでしょうか?
 74 新しく糖尿病教室を始める際,参加者の緊張をほぐすためのアイスブレイクにはどんな方法がよいでしょうか?
 75 授業の復習のために宿題を出すのはどうでしょうか?
 76 糖尿病教室での集団指導を始めたばかりです.全員参加を促し,クラスの運営をスムーズにするための基本ルールのようなものがありますか?
 77 おとなしくてあまり発言しない患者さんの参加を促すような手段がありますか?そういう人たちをあえて指名しても,どうもうまくいかないようです.
 78 話し出すと止まらない人がいて,他の人が発言できません.どうすればよいでしょうか?
 79 他人にアドバイスしたがる患者さんがいます.どうしたものでしょうか?
 80 最近気づいたことなのですが,クラスで誰かに質問した時,答えが出るまで待てないのです.なかなか悪い癖が直りません.何かよいアドバイスはありませんか?
 81 ディスカッションで沈黙が続くと,途方に暮れてしまいます.ディスカッションがスムーズに続くようにするための工夫がありますか?
 82 患者さんは自分の糖尿病の話をしたがるものです.それを教育のためのトレーニングとして有効に活用するにはどうすればよいでしょうか?
 プラスワンG 一連の授業が終わる頃には.個人的なレベルで参加者どうしの鮮が生まれるようです.ただ,プログラムの最後の最後で起こることなので,もったいない気がします.どうすれば,もっと早い段階で参加者どうしのつながりを深めることができるでしょうか?
■教えるスキルを磨く―ENHANCING TEACHING SKILLS―
 83 療養指導士は患者の専門性(patients'expertise)を認める必要があるという話を読みました.それは糖尿病教室の修了テストのことですか?
 84 学びの瞬間(teachablemoment)を最大限に活用せよと言われました.具体的にはどんなことでしょうか?
 85 糖尿病教室の参加者は,授莱開始後15分から20分もすると飽きてくるようです.集中力を維持するためにはどうすればよいでしょうか?
 86 糖尿病教室が終わったら,教わったことをすぐに忘れてしまうのではないかと心配です.忘れないようにするための工夫がありますか?
 87 ばっちり講義したつもりなのに,何だかみんなきょとんとしています.何とかならないものでしょうか?
 88 ユーモアを交えて楽しくお話している人がいるようです.ユーモアを使ってクラスを楽しくするにはどうすればよいでしょうか?
 89 糖尿病治療の中で自分にとって大切なものは何かディスカッションしてもらったことがあるのですが,今一つでした.どうすればもっと盛り上がるでしょうか?
 90 参加者の知識を確認しようとしてクラスで質問しても(「どうして低血糖になるかどなたか教えてください」などと)なかなか答えてくれません.どうすれば?
 91 沈黙が苦手です.糖尿病教育の中で,沈黙が大事なことがあるのでしょうか?
 92 糖尿病教育の中でいつ,どのように物語を使うのがよいか,何かアドバイスがありますか?
 プラスワンH 子どもが国語の先生から聞いてきたことなのですが,アナロジーや比喩を使うと教えやすく,理解も進むそうです.これは糖尿病教育にも当てはまりますか?
 I 糖尿病教室にロールプレイを取り入れることができると伺いました.いつ,どのように使うのがよいかアドバイスがありますか?
■むずかしい患者―CHALLENGING PATIENTS―
 93 参加者の中には,別のところから糖尿病に関する間違った情報を聞いている人がよくいます.どのように教えたら,私の方がプロだと思ってもらえるでしょうか?
 94 患者さんが誤った糖尿病の知識を持っている場合,それをどのように伝えるのがよいでしょうか?
 95 授業中にある患者さんが他の患者さんに誤った情報を伝えた場合,どのように対応するのがよいですか?
 96 時々質問されても答えがわからないことがあります.何と言うべきでしょうか?
 97 あるテーマに閲する授業では.患者さんの方が私よりも詳しいことが何度かありました.皆さんから療養指導士失格と思われるのではないかと自信をなくしています.そんな場合,どうすべきなのでしょうか?
 98 面談の間.二私が一方的に話してしまうことがあります.特に,教えることがたくさんあると思うとなおさらです.どうすれば一緒に過ごす時間を最大限に活用できるでしょうか?
 99 糖尿病教室を担当するたびに,一人か二人来なくなる方がいます.クラスでの態度や数少ない発言を聞いていると,うつなのではないかと心配です.糖尿病教室への出席は何か役に立っているのでしょうか.お考えを聞かせてください.
 100 うつの患者さんを専門家に紹介したところ,幸いにも治療を受けてくれています.うつの治療を補うような糖尿病教室にするにはどうすればよいでしょうか?
 101 患者さんの中には,特に食事や運動などのセルフマネジメントの状況について,正直に教えてくれない方がいます.どうすれば,本当のことを教えてほしいとわかってもらえるでしょうか?
 プラスワンJ 糖尿病のケアに真剣に取り組まない患者さんを見るとストレスです.何かアドバイスは?

 ・著者紹介
 ・訳者あとがき