やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 薬理学は難しいと考えている学生が多いようです.しかし,臨床で働くようになってから,もっと薬理学を勉強しておけば良かったと切実に思うという話も卒業生からよく聞きます.薬理学の難しさは,解剖学,生理学,生化学,病理学などの基礎医学の知識と,臨床医学の知識が薬の作用を理解するために必要なことと,たくさんの薬の名前を覚えなければならないことにあるように思います.
 そこで,この本ではQ&Aの形で,薬理学全体を幅広い知識をベーに把握できることと,必要な薬物名と用語名を網羅し,自然に記憶できることを目指し,看護師教育のカリキュラムと看護師国家試験の問題をベースにし,実際の服薬指導の場面を念頭に構成しました.さらに,医学部,歯学部,薬学部の学生の知識整理にも,臨床現場で働いておられる現役の医療職者の方の知識確認にも十分利用できるように配慮しました.
 本書が国家試験の準備だけでなく,薬理学が好きになるきっかけになり,医療職者が医療現場で,それぞれの立場から適切な薬物療法の確立に寄与できることに少しでも役立てば望外の喜びです.
 最後に,この本は医歯薬出版の竹内大さんとの長年の個人的なおつきあいの延長上で企画ができあがり,研究室のスタッフの協力のおかげでそれを実現することができました.深く謝意を表します.
 平成16年2月
 大和谷 厚
○×問題でマスター 薬理学 もくじ

 序
 本書の特徴と使い方

第1章 薬物と薬剤
 1.薬の種類
 2.剤 形
 3.処 方 箋
 4.服薬指導
第2章 薬物に対する生体の反応
 1.用法・用量
 2.薬物受容体
 3.主作用と副作用
第3章 薬物の体内動態
 1.吸 収
 2.分 布
 3.代 謝
 4.排 泄
 5.薬物血中濃度
 6.薬物相互作用
第4章 投与方法と薬理作用
 1.経口投与
 2.非経口投与
  2.1 注射
  2.2 吸入
  2.3 直腸内適用
  2.4 経皮適用
  2.5 局所的適用
第5章 主な治療薬とその特徴
 1.末梢神経作用薬
  1.1 自律神経作用薬
  1.2 筋弛緩薬
  1.3 局所麻酔薬
 2.中枢神経作用薬
  2.1 全身麻酔薬
  2.2 向精神薬
  2.3 パーキンソン病治療薬
  2.4 抗てんかん薬
  2.5 オピオイド鎮痛薬
 3.消 炎 薬
  3.1 非ステロイド性解熱鎮痛薬
  3.2 抗アレルギー薬
  3.3 副腎皮質ステロイド薬
 4.循環器疾患治療薬
  4.1 強心薬
  4.2 狭心症治療薬
  4.3 不整脈治療薬
  4.4 高血圧治療薬
  4.5 高脂血症治療薬……4.6 利尿薬
  4.7 血液に作用する薬物
 5.消化器疾患治療薬
  5.1 制吐薬
  5.2 健胃消化薬
  5.3 消化性潰瘍治療薬
  5.4 鎮痙薬
  5.5 止痢薬
  5.6 下剤
  5.7 肝・胆・膵疾患治療薬
 6.呼吸器疾患治療薬
  6.1 鎮咳去痰薬……6.2 気管支拡張薬
 7.内分泌・代謝疾患治療薬
  7.1 糖尿病治療薬
  7.2 甲状腺疾患治療薬
  7.3 脳下垂体ホルモン
  7.4 生殖器系に作用する薬物
  7.5 骨粗鬆症治療薬
  7.6 痛風治療薬
  7.7 ビタミン欠乏症治療薬
 8.感染症治療薬
  8.1 化学療法
  8.2 抗生物質
  8.3 抗菌薬
  8.4 抗結核薬
  8.5 抗ウイルス薬
  8.6 抗真菌薬
  8.7 抗原虫薬・駆虫薬
 9.悪性腫瘍治療薬
  9.1 アルキル化薬
  9.2 代謝拮抗薬
  9.3 抗生物質
  9.4 植物アルカロイド
  9.5 白金錯化合物
  9.6 ホルモン
  9.7 その他の抗癌剤
第6章 薬物中毒
 1.急性中毒
 2.依存症と禁断症状
第7章 薬物療法
 1.服薬状況の把握・コンプライアンス
 2.プラセボ効果
 3.療養者に対する服薬方法の工夫と指導
 4.医療者の連携
 5.高齢者・小児・妊婦の薬物療法
  5.1 加齢と薬物作用
  5.2 小児への投与
  5.3 妊婦への投与
 索引