やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 本書は,『患者さんとスタッフのための 糖尿病教室』,『患者さんとスタッフのための 糖尿病 薬のすべて』,『患者さんとスタッフのための 糖尿病 運動のすすめ』,『患者さんとスタッフのためのペン型インスリン注射のすべて』に続いて,第5作として糖尿病の食事の参考になるように患者さんの立場にたちながら,太田西ノ内病院糖尿病センターの糖尿病療養指導士の資格をもった管理栄養士が,分担し書いた食事療法のわかりやすいテキストです.
 糖尿病治療の3本柱(食事,運動,薬物)のなかで,一番の基本となることが糖尿病の食事です.糖尿病の治療を患者さんと一緒に考えていますと,一番困難なことは食事であることが多いのです.この困難さを少しでも軽くできないか,という思いが本書のスタンスです.
 食事の基本としては,(社)日本糖尿病学会編集の『食品交換表 第6版』がありますが,この『食品交換表』の上手な使い方から解説し,日本の四季に合わせた春夏秋冬のメニューや人間の成長の段階に合わせた食事療法(1型糖尿病から高齢者まで),さらに,糖尿病の食事療法を考えた場合,間食は避けてとおれない問題であり上手な間食のとり方など,痒いところに手の届く内容となっています.
 糖尿病の食事の教育・指導に長い期間,携わってきた管理栄養士たちの経験が生きており,本書の発案から,約2年の時間を費やし刊行にいたった経緯を考えると,感無量であります.
 また,本書の監修者の一人である阿部隆三先生が,2002年10月22日に永遠の眠りにつかれました.本書は,太田西ノ内病院糖尿病センター医療スタッフからの阿部隆三先生への鎮魂書の1つです.
 本書が,糖尿病の患者さんと,糖尿病の食事を指導する医療スタッフに少しでも役立っていただければ望外の喜びです.
 最後に,本書を出版するにあたり,われわれの無理なお願いを聞いていただいた医歯薬出版株式会社,編集に多大なご支援をいただいた山本美和氏と田辺靖始氏に深謝いたします.
 平成16年4月吉日
 太田綜合病院附属太田西ノ内病院 糖尿病センター長 清野弘明
患者さんとスタッフのための 糖尿病 食事のすべて 目次

阿部隆三[監修] 清野弘明[編] 増子マキ子[著]

 ●料理制作/宗像伸子(ヘルスプランニング・ムナカタ主宰)
 ●撮影/古島万理子
 ●スタイリスト/古屋富代
 ●カバーイラスト・本文イラスト/西山 歩(スタジオ・トータス)

 序
 ●四季と行事の料理(1600kcal)

第1週 糖尿病の食事についてマスターしましょう
 糖尿病食はなぜ必要?
 糖尿病食の3原則
 合併症予防のために
 記録をつけてコントロール

第2週 『食品交換表第6版』(日本糖尿病学会編集)をマスターしましょう
 『食品交換表第6版』を役立てましょう
 練習問題
 食品を計量しましょう
 練習問題

第3週 実際に献立を立ててみましょう
 健康を維持していくための5つのポイント
  ステップ1 まず,各「表」から
  ステップ2 献立づくりのポイント
  ステップ3 油との上手な付き合い方
  ステップ4 塩分との上手な付き合い方
  ステップ5 食べすぎ防止の工夫
 食物繊維を多くとりましょう
 低エネルギー食品でもボリュームのある料理

第4週 さあ,つくってみましょう―四季と行事の料理(1600kcal)
 春の料理
 夏の料理
 秋の料理
 冬の料理
 お盆の料理
 お正月の料理

第5週 ライフステージ別の糖尿病食
 子どもの糖尿病食
  ・乳幼児期
  ・学齢期
  ・思春期
  ・学校生活
 妊娠時の糖尿病食
 高齢者の糖尿病食
 肥満者の糖尿病食
 症例
 補食

第6週 し好食品のとり方
 し好品のとり方
 ソフトドリンクと糖尿病
 人工甘味料の活用
 低エネルギーのお菓子
 アルコール飲料と上手に付き合うには

第7週 合併症のある方の食事
 高血圧の方の食事
 高脂血症の方の食事
 糖尿病性腎症の方の食事
 症例

第8週 シックデイ時の食事
 口当たりや消化のよい料理

第9週 外食と上手につきあうコツ
 外食の選び方
 和食
 中華料理
 洋食
 ファストフード
 ファミリーレストラン
 宴会・パーティ
 市販食品を利用した食事管理
 組み合わせ例

座談会 7名の患者さんとともに糖尿病の食生活を語る
 まずは自己紹介
 体重管理について
 食生活の工夫について
 『食品交換表』について
 外食について
 間食について
 低血糖の対処について
 アルコールについて
 買い物について
 家族の協力について

 付録 糖尿病食の宅配