「最新臨床検査学講座」の刊行にあたって
1958年に衛生検査技師法が制定され,その教育の場からの強い要望に応えて刊行されたのが「衛生検査技術講座」であります.その後,法改正およびカリキュラム改正などに伴い,「臨床検査講座」(1972),さらに「新編臨床検査講座」(1987),「新訂臨床検査講座」(1996)と,その内容とかたちを変えながら改訂・増刷を重ねてまいりました.
2000年4月より,新しいカリキュラムのもとで,新しい臨床検査技師教育が行われることとなり,その眼目である“大綱化“によって,各学校での弾力的な運用が要求され,またそれが可能となりました.「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」という教育内容とその目標とするところは,従前とかなり異なったものになりました.そこで弊社では,この機に「臨床検査学講座」を刊行することといたしました.臨床検査技師という医療職の重要性がますます高まるなかで,“技術”の修得とそれを応用する力の醸成,および“学”としての構築を目指して,教育内容に沿ったかたちで有機的な講義が行えるよう留意いたしました.
その後,ガイドラインが改定されればその内容を取り込みながら版を重ねてまいりましたが,2013年に「国家試験出題基準平成27年版」が発表されたことにあわせて紙面を刷新した「最新臨床検査学講座」を刊行することといたしました.新シリーズ刊行にあたりましては,臨床検査学および臨床検査技師教育に造詣の深い山藤 賢先生,高木 康先生,奈良信雄先生,三村邦裕先生,和田骼u先生を編集顧問に迎え,シリーズ全体の構想と編集方針の策定にご協力いただきました.各巻の編者,執筆者にはこれまでの「臨床検査学講座」の構成・内容を踏襲しつつ,最近の医学医療,臨床検査の進歩を取り入れることをお願いしました.
本シリーズが国家試験出題の基本図書として,多くの学校で採用されてきました実績に鑑みまして,ガイドライン項目はかならず包含し,国家試験受験の知識を安心して習得できることを企図しました.国家試験に必要な知識は本文に,プラスアルファの内容は側注で紹介しています.また,読者の方々に理解されやすい,より使いやすい,より見やすい教科書となるような紙面構成を目指しました.本「最新臨床検査学講座」により臨床検査技師として習得しておくべき知識を,確実に,効率的に獲得することに寄与できましたら本シリーズの目的が達せられたと考えます.
各巻テキストにつきまして,多くの方がたからのご意見,ご叱正を賜れば幸甚に存じます.
2015年春
医歯薬出版株式会社
第2版の序
遺伝子解析技術の急速な進展により,がんや遺伝性疾患を中心に,多くの疾患の染色体異常や遺伝子変異に基づく分子病態が明らかになった.これに伴い,診断に染色体検査や遺伝子関連検査が必須となる疾患が増えた.2019年には,がん組織標本から抽出したDNA検体から,多数のがん関連遺伝子の変異を一括して解析するがんゲノム医療が保険診療で行われるようになった.この検査結果に基づいて,個々のがん患者の遺伝子変異に適した分子標的治療薬を選択する個別化医療が可能となった.感染症に対する病原体核酸検査は以前から結核などで用いられていたが,2019年末に出現した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により,PCR法がその診断に必須の検査として一般市民にも周知されるようになった.一方,ヒト遺伝情報は究極の個人情報であり,その倫理面での対応も重要性が増している.こうした医療現場の変化に伴い,臨床検査に携わる者は,染色体検査や遺伝子関連検査を熟知する必要がある.
法律においても,従来の「臨床検査技師等に関する法律」では,遺伝子関連検査は検体検査の一次分類ではなく,一次分類の3つの項目の中の二次分類として分散していた.分類を現状と一致させ,検査の品質と精度を確保する必要性もあり,2018年に法改正が行われ,「遺伝子関連・染色体検査」が一次分類として独立した.また,厚生労働省が作成した「臨床検査技師国家試験出題基準 令和3年版」においても,遺伝子関連検査の新たな小項目が加えられた.
こうした遺伝子関連・染色体検査の医療,教育,行政における進展に対応させるため,「遺伝子・染色体検査学」を医療や教育の一線で活躍中の執筆者により内容を一新させて,第2版として改訂することになった.本書は,大学や専門学校など臨床検査技師養成施設での講義や実習の教科書,あるいは,臨床検査技師国家試験の受験参考書としての水準に合わせているが,医療施設での検査業務や研究施設での遺伝子・染色体研究の実用書としても十分に役立つ内容となっている.
遺伝学や分子生物学の用語は時代とともに変わったり,複数の同義語が併存したりして混乱することがある.たとえば,「優性・劣性」という用語が誤った差別意識をもたらすため改訂すべきであるという議論が起こり,「顕性・潜性」に変わりつつある.本書で用いた用語は,臨床検査技師国家試験出題基準,日本医学会「医学用語辞典」,日本人類遺伝学会「遺伝学用語改訂のお知らせ」,日本遺伝学会「遺伝単」などに基づいて選択したが,今後も変わる可能性がありうる.
本書が遺伝子関連・染色体検査の普及と発展に少しでも寄与できれば幸いである.
2020年12月
著者を代表して 東田修二
序
遺伝子検査,染色体検査は,数多い臨床検査のなかでも比較的新しい分野である.染色体検査は遺伝子検査よりも古く,Down症候群等の先天性疾患の診断や慢性骨髄性白血病におけるフィラデルフィア染色体の検出など,臨床医学に応用されてきた.それでも,必ずしもすべての検査施設で実施されていたわけではなく,専門の研究室で検査されるなど,他の臨床検査ほどには普及していなかった.
しかし,遺伝医学,分子生物学等が急速に発展するにつれ,染色体あるいは遺伝子レベルで病態が解析されるようになり,診断,治療に応用されることが多くなってきた.こうした背景から,「遺伝子・染色体検査学」が臨床検査技師養成のためのテキストとして,1999年に初めて刊行された.ただ,当時は臨床検査に正規に組み入れるには時期尚早との意見もあり,本シリーズ「臨床検査学講座」の別巻として出版された.
その後,遺伝子検査学,染色体検査学はともに長足の発展を遂げ,臨床医学にもはや欠かせない重要な臨床検査となった.そこで,2002年には正式に「臨床検査学講座」の一科目として刊行され,臨床検査技師教育に利用されることとなり,医学・医療の発展を逐次取り入れ,増刷を重ねてきた.
このたび,本シリーズが「最新臨床検査学講座」に刷新されるにあたり「遺伝子・染色体検査学」も装いを新たにすることにした.最新の情報を盛り込んだのはもちろんであるが,「国家試験出題基準平成27年版」にあわせることにした.さらに,読者がより理解しやすくなるよう,構成を一新し,かつ2色刷りを取り入れるなどの工夫もした.臨床検査技師に必ずしも必要ではないかもしれないが,知っておいた方が便利な記載などは側注にした.
なお,平成23年版の国家試験出題基準「IV章 臨床化学」(遺伝子関連)と「VI章 臨床血液学」(染色体関連)に含まれていた遺伝子・染色体の部分は,平成27年版の新しい国家試験出題基準では,「I章 臨床検査総論」のなかに,病因・生体防御検査学という節として,独立させて扱うこととなった.本書に合わせてご利用いただくと,より理解が深まると考える.
本書を是非ご活用いただき,遺伝子検査,染色体検査の応用に役立てていただきたいと願う.
本書の企画・編集にあたっては,日本臨床検査学教育協議会の先生方,医歯薬出版株式会社編集部の多大なるご協力をいただいた.ここに深謝する.
2015年1月
著者を代表して 奈良信雄
1958年に衛生検査技師法が制定され,その教育の場からの強い要望に応えて刊行されたのが「衛生検査技術講座」であります.その後,法改正およびカリキュラム改正などに伴い,「臨床検査講座」(1972),さらに「新編臨床検査講座」(1987),「新訂臨床検査講座」(1996)と,その内容とかたちを変えながら改訂・増刷を重ねてまいりました.
2000年4月より,新しいカリキュラムのもとで,新しい臨床検査技師教育が行われることとなり,その眼目である“大綱化“によって,各学校での弾力的な運用が要求され,またそれが可能となりました.「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」という教育内容とその目標とするところは,従前とかなり異なったものになりました.そこで弊社では,この機に「臨床検査学講座」を刊行することといたしました.臨床検査技師という医療職の重要性がますます高まるなかで,“技術”の修得とそれを応用する力の醸成,および“学”としての構築を目指して,教育内容に沿ったかたちで有機的な講義が行えるよう留意いたしました.
その後,ガイドラインが改定されればその内容を取り込みながら版を重ねてまいりましたが,2013年に「国家試験出題基準平成27年版」が発表されたことにあわせて紙面を刷新した「最新臨床検査学講座」を刊行することといたしました.新シリーズ刊行にあたりましては,臨床検査学および臨床検査技師教育に造詣の深い山藤 賢先生,高木 康先生,奈良信雄先生,三村邦裕先生,和田骼u先生を編集顧問に迎え,シリーズ全体の構想と編集方針の策定にご協力いただきました.各巻の編者,執筆者にはこれまでの「臨床検査学講座」の構成・内容を踏襲しつつ,最近の医学医療,臨床検査の進歩を取り入れることをお願いしました.
本シリーズが国家試験出題の基本図書として,多くの学校で採用されてきました実績に鑑みまして,ガイドライン項目はかならず包含し,国家試験受験の知識を安心して習得できることを企図しました.国家試験に必要な知識は本文に,プラスアルファの内容は側注で紹介しています.また,読者の方々に理解されやすい,より使いやすい,より見やすい教科書となるような紙面構成を目指しました.本「最新臨床検査学講座」により臨床検査技師として習得しておくべき知識を,確実に,効率的に獲得することに寄与できましたら本シリーズの目的が達せられたと考えます.
各巻テキストにつきまして,多くの方がたからのご意見,ご叱正を賜れば幸甚に存じます.
2015年春
医歯薬出版株式会社
第2版の序
遺伝子解析技術の急速な進展により,がんや遺伝性疾患を中心に,多くの疾患の染色体異常や遺伝子変異に基づく分子病態が明らかになった.これに伴い,診断に染色体検査や遺伝子関連検査が必須となる疾患が増えた.2019年には,がん組織標本から抽出したDNA検体から,多数のがん関連遺伝子の変異を一括して解析するがんゲノム医療が保険診療で行われるようになった.この検査結果に基づいて,個々のがん患者の遺伝子変異に適した分子標的治療薬を選択する個別化医療が可能となった.感染症に対する病原体核酸検査は以前から結核などで用いられていたが,2019年末に出現した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により,PCR法がその診断に必須の検査として一般市民にも周知されるようになった.一方,ヒト遺伝情報は究極の個人情報であり,その倫理面での対応も重要性が増している.こうした医療現場の変化に伴い,臨床検査に携わる者は,染色体検査や遺伝子関連検査を熟知する必要がある.
法律においても,従来の「臨床検査技師等に関する法律」では,遺伝子関連検査は検体検査の一次分類ではなく,一次分類の3つの項目の中の二次分類として分散していた.分類を現状と一致させ,検査の品質と精度を確保する必要性もあり,2018年に法改正が行われ,「遺伝子関連・染色体検査」が一次分類として独立した.また,厚生労働省が作成した「臨床検査技師国家試験出題基準 令和3年版」においても,遺伝子関連検査の新たな小項目が加えられた.
こうした遺伝子関連・染色体検査の医療,教育,行政における進展に対応させるため,「遺伝子・染色体検査学」を医療や教育の一線で活躍中の執筆者により内容を一新させて,第2版として改訂することになった.本書は,大学や専門学校など臨床検査技師養成施設での講義や実習の教科書,あるいは,臨床検査技師国家試験の受験参考書としての水準に合わせているが,医療施設での検査業務や研究施設での遺伝子・染色体研究の実用書としても十分に役立つ内容となっている.
遺伝学や分子生物学の用語は時代とともに変わったり,複数の同義語が併存したりして混乱することがある.たとえば,「優性・劣性」という用語が誤った差別意識をもたらすため改訂すべきであるという議論が起こり,「顕性・潜性」に変わりつつある.本書で用いた用語は,臨床検査技師国家試験出題基準,日本医学会「医学用語辞典」,日本人類遺伝学会「遺伝学用語改訂のお知らせ」,日本遺伝学会「遺伝単」などに基づいて選択したが,今後も変わる可能性がありうる.
本書が遺伝子関連・染色体検査の普及と発展に少しでも寄与できれば幸いである.
2020年12月
著者を代表して 東田修二
序
遺伝子検査,染色体検査は,数多い臨床検査のなかでも比較的新しい分野である.染色体検査は遺伝子検査よりも古く,Down症候群等の先天性疾患の診断や慢性骨髄性白血病におけるフィラデルフィア染色体の検出など,臨床医学に応用されてきた.それでも,必ずしもすべての検査施設で実施されていたわけではなく,専門の研究室で検査されるなど,他の臨床検査ほどには普及していなかった.
しかし,遺伝医学,分子生物学等が急速に発展するにつれ,染色体あるいは遺伝子レベルで病態が解析されるようになり,診断,治療に応用されることが多くなってきた.こうした背景から,「遺伝子・染色体検査学」が臨床検査技師養成のためのテキストとして,1999年に初めて刊行された.ただ,当時は臨床検査に正規に組み入れるには時期尚早との意見もあり,本シリーズ「臨床検査学講座」の別巻として出版された.
その後,遺伝子検査学,染色体検査学はともに長足の発展を遂げ,臨床医学にもはや欠かせない重要な臨床検査となった.そこで,2002年には正式に「臨床検査学講座」の一科目として刊行され,臨床検査技師教育に利用されることとなり,医学・医療の発展を逐次取り入れ,増刷を重ねてきた.
このたび,本シリーズが「最新臨床検査学講座」に刷新されるにあたり「遺伝子・染色体検査学」も装いを新たにすることにした.最新の情報を盛り込んだのはもちろんであるが,「国家試験出題基準平成27年版」にあわせることにした.さらに,読者がより理解しやすくなるよう,構成を一新し,かつ2色刷りを取り入れるなどの工夫もした.臨床検査技師に必ずしも必要ではないかもしれないが,知っておいた方が便利な記載などは側注にした.
なお,平成23年版の国家試験出題基準「IV章 臨床化学」(遺伝子関連)と「VI章 臨床血液学」(染色体関連)に含まれていた遺伝子・染色体の部分は,平成27年版の新しい国家試験出題基準では,「I章 臨床検査総論」のなかに,病因・生体防御検査学という節として,独立させて扱うこととなった.本書に合わせてご利用いただくと,より理解が深まると考える.
本書を是非ご活用いただき,遺伝子検査,染色体検査の応用に役立てていただきたいと願う.
本書の企画・編集にあたっては,日本臨床検査学教育協議会の先生方,医歯薬出版株式会社編集部の多大なるご協力をいただいた.ここに深謝する.
2015年1月
著者を代表して 奈良信雄
口絵:染色体を並べてみよう―核型分析
第1章 遺伝子の基礎
I 細胞の構造と機能
1 生物の基本単位としての細胞
2 細胞の構造と機能
1)細胞膜
2)核
3)小胞体,リボソーム
4)ゴルジ装置(体)
5)ミトコンドリア
6)細胞質
7)中心体
3 細胞分裂
1)体細胞分裂
2)減数分裂
4 細胞周期
II 遺伝子
1 核酸
1)核酸の基本構造
2)核酸の高分子構造
2 核酸代謝
1)核酸の合成
2)核酸の分解
3 遺伝子の構造と機能
1)DNAの構造
2)RNA
3)ミトコンドリアDNA
4 クロマチンの構造
5 DNAの複製
1)複製
2)DNA複製の校正
3)遺伝子の損傷と修復
6 遺伝情報の伝達と発現
1)転写
2)翻訳
3)遺伝子発現の調節
4)蛋白質合成
第2章 染色体の基礎
I 染色体とは
II 分裂中期核と間期核における染色体の構造
1 分裂中期核
1)セントロメアと動原体
2)テロメア:直鎖状ヒトゲノムDNAの末端の特徴的な構造
2 間期核
3 ユークロマチンとヘテロクロマチン
III 体細胞分裂と減数分裂における染色体の分離様式の違い
1 体細胞分裂における染色体の凝縮と姉妹染色分体の分離
2 減数分裂における相同染色体の対合・分離
3 減数分裂による多様性の獲得
1)減数分裂時の対合・交差・キアズマ
2)交差・組換えのメカニズム
3)X染色体とY染色体の対合
4)配偶子形成と減数分裂の進行
IV 染色体の分類
1 染色体分類・命名に関する規約
2 核型分析
1)分染法開発以前
2)分染法開発以降
V 染色体地図と遺伝子マッピング
1 遺伝子マッピング
2 染色体地図(遺伝子地図)
VI 遺伝子発現量の補正:X染色体の不活化
1 X染色体の不活化現象
2 X染色体の不活化のメカニズム
3 X染色体不活化の時期
4 X染色体の不活化とXクロマチン,ドラムスティック
5 X染色体不活化を免れる遺伝子
6 不活化X染色体と複製時期
VII 染色体異常
1 先天性異常と後天性異常
2 数的異常
1)倍数性の異常
2)異数性の異常
3)核内倍加と多倍体化
4)片親性ダイソミー
3 構造異常
1)転座(相互転座)
2)欠失
3)挿入
4)重複
5)逆位
6)環状染色体
7)同腕染色体
4 親の性差による遺伝子発現の違い:ゲノムインプリンティング(刷り込み)
第3章 遺伝子関連検査の基本
I 遺伝子関連検査の種類
1 病原体遺伝子検査
2 体細胞遺伝子検査
3 生殖細胞系列遺伝子検査
II 遺伝子関連検査の手法
1 サザンブロット法
1)サザンブロット法の原理
2)制限酵素処理
3)プローブの標識
4)サザンブロット法の応用
2 PCR法
1)PCR法の意義
2)PCR法の原理
3)定性RT-PCR法
4)PCRを応用した解析法
3 リアルタイムPCR法
1)リアルタイムPCR法の原理
2)リアルタイムPCR法による定量解析
3)定量RT-PCR法
4)高解像度融解曲線解析
4 デジタルPCR法
5 PCR以外の核酸増幅法
1)LAMP法
2)TMA法
6 ノザンブロット法
7 シークエンス解析
1)ダイターミネーター法の原理
2)ダイターミネーター法の手順
8 マイクロサテライト解析
9 DNAマイクロアレイ法
1)網羅的な遺伝子の発現解析
2)遺伝子多型解析
3)アレイCGH法
10 FISH法
11 次世代シークエンス法
III 診療における遺伝子関連検査
1 感染症
1)ウイルス性肝炎
2)抗酸菌感染症
2 血液疾患
1)慢性骨髄性白血病
2)その他の血液腫瘍
3 固形腫瘍
1)乳がん,肺がん,大腸がん
2)家族性腫瘍
4 遺伝性疾患
5 個人識別
IV 遺伝子関連検査の精度管理
1 精度管理の考え方
2 精度管理の方法
第4章 染色体検査の基本
I 染色体検査法
II 分染法に基づく染色体検査
1 細胞培養〜標本作製
1)検査対象
2)検査材料・採取時期
3)培養法
4)細胞回収
5)標本作製
2 分染法
1)Q分染法
2)G分染法
3)R分染法
4)C分染法
5)NOR分染法
6)姉妹染色分体分染法
7)高精度分染法
3 染色体核型解析・核型表記
1)核型解析
2)核型表記
3)核型記載について注意が必要な例
III fluorescence in situ hybridization(FISH)法に基づく染色体検査
1 核酸ハイブリダイゼーションを原理とする方法
2 ハイブリダイゼーションからin situハイブリダイゼーションへ─技術的背景
3 in situハイブリダイゼーションの種類
4 FISH法
1)FISH法に利用される標本の種類と基本的操作法
2)変性・ハイブリダイゼーション(アニーリング)・洗浄に影響する因子
3)プローブの種類
4)蛍光シグナルと細胞周期
5)FISHシグナル検出の種類
6)組織切片標本と細胞核の切断:FISHシグナル観察時の注意点
IV マイクロアレイ法
1)CGHアレイ
2)SNPアレイ
V 先天性染色体異常:染色体異常症
1 常染色体異常
1)トリソミー
2)モノソミー
2 性染色体異常
1)Turner症候群
2)Klinefelter症候群
3)脆弱X症候群
3 隣接遺伝子症候群
1)Angelman症候群
2)Prader-Willi症候群
3)Williams症候群
4)Smith-Magenis症候群
5)Miller-Dieker症候群
6)DiGeorge症候群
4 インプリンティングと疾患
5 染色体不安定症候群
1)Fanconi貧血
2)Bloom症候群
3)ICF症候群
4)PCS/MVA1症候群
VI 後天性染色体異常:がんにおける染色体異常
1 白血病・リンパ腫
1)診断・分類に反映される染色体異常
2)病型特異的な染色体転座による分子メカニズム
3)腫瘍で初めて発見された染色体異常:フィラデルフィア(Ph)染色体
2 固形腫瘍
1)2ヒット説
2)2ヒット説と遺伝性腫瘍
3)SNPアレイとLOH
4)ゲノム不安定性
5)軟部腫瘍における染色体異常
3 融合遺伝子形成における染色体構造と遺伝子転写方向
VII 核型進化
第5章 遺伝子関連検査の実践
I 遺伝子関連検査に用いる試薬
II 遺伝子関連検査用機器とその保守管理
1 クリーンベンチ
2 炭酸ガス培養装置
3 恒温水槽,恒温器
4 電気泳動装置
5 遠心分離装置
6 滅菌装置
1)オートクレーブ
2)乾熱滅菌装置
7 顕微鏡
8 写真撮影装置
9 水の精製装置
10 分光光度計
11 核酸増幅装置
12 ブロッティング装置
13 シークエンサ
14 次世代シークエンサ
15 遺伝子関連検査に用いるその他の器具
III 検体の取扱い
1 検体採取と前処理
1)血液の血球検体
2)骨髄穿刺液
3)血清検体
4)生検検体
5)ホルマリン固定パラフィン包埋検体
6)喀痰
7)口腔粘膜細胞
2 DNA抽出
1)フェノール-クロロホルム法
2)シリカメンブレン(スピンカラム)法
3 RNA抽出
1)AGPC法
2)シリカメンブレン(スピンカラム)法
4 核酸の濃度測定
IV PCR法の実践
1 プライマーの作製
2 PCR法の手順
3 ゲル電気泳動
1)アガロースゲル電気泳動
2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動
4 トラブルシューティング
1)陽性コントロールでPCR産物が得られない
2)陽性となるべき検体でPCR産物が得られない
3)陰性コントロールでもPCR産物が生じる
4)非特異的なPCR産物(目的としない複数のバンド)が生じる
V 定性RT-PCR法の実践
1 プライマーの作製
2 逆転写反応
3 PCRとゲル電気泳動
VI 定量RT-PCR法の実践
第6章 染色体検査の実践
I 細胞培養・標本作製
1 細胞培養
1)培地の調整(クリーンベンチ内で操作する)
2)滅菌
2 末梢血リンパ球を用いる場合の注意点
1)採血時の抗凝固剤
2)検体量
3)検体保存
3 培養手順
1)細胞数
2)紡錘糸形成阻害剤添加
4 標本作製(細胞取り上げ)手順
1)準備(試薬)
2)低張処理:赤血球の溶血と有核細胞の膨化
3)固定
4)展開
5)乾燥(エージング)
II 染色
1 Giemsa染色による単染色
2 G分染法
3 Q分染法
4 C分染法
III 解析(G分染法)
IV FISH法
1 カルノア固定液を用いたFISH法
2 メイギムザ染色標本を用いたFISH法
3 頬粘膜細胞を用いたFISH法
4 パラフィン固定標本を用いたFISH法
V FISHの解析
第7章 遺伝子診療における臨床検査
I 遺伝子診療の基礎
1 遺伝型と表現型
2 バリアント(変異と多型,変異原を含む)
1)バリアント
2)遺伝毒性と変異原性
3 遺伝の法則
1)メンデルの法則
2)連鎖
4 遺伝形式
1)単一遺伝子疾患
2)多因子遺伝性疾患
3)染色体異常
5 家系図の描き方
6 遺伝カウンセリング
1)定義
2)基本理念
3)遺伝カウンセリングの特徴
4)使ってはいけない言葉
II 遺伝子診断
1 病原体核酸検査
2 体細胞遺伝子検査
3 遺伝学的検査
1)罹患者検査・診断
2)発症前検査・診断
3)保因者検査・診断
4)新生児マス・スクリーニング検査
5)出生前検査・診断
4 ファーマコゲノミクス
5 コンパニオン診断
6 がんゲノム医療
7 遺伝子診断のメリットとデメリット
1)遺伝子診断のメリット
2)遺伝子診断のデメリット
8 遺伝子診療に求められる人材
III 遺伝子治療
1 治療の目的
2 細胞へのDNA導入法
1)ウイルスベクター
2)非ウイルスベクター
3 遺伝子治療の対象疾患
4 遺伝子治療の問題点
1)ベクターによる有害反応
2)悪性腫瘍の発生誘導
3)必須遺伝子の不活化
IV 移植・再生医療
1 移植医療
2 再生医療
第8章 遺伝学的検査と倫理的課題
I 遺伝学的検査とは
II 遺伝学的検査の実施と各種指針
1 医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン
2 遺伝学的検査受託に関する倫理指針
3 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
参考文献
索引
第1章 遺伝子の基礎
I 細胞の構造と機能
1 生物の基本単位としての細胞
2 細胞の構造と機能
1)細胞膜
2)核
3)小胞体,リボソーム
4)ゴルジ装置(体)
5)ミトコンドリア
6)細胞質
7)中心体
3 細胞分裂
1)体細胞分裂
2)減数分裂
4 細胞周期
II 遺伝子
1 核酸
1)核酸の基本構造
2)核酸の高分子構造
2 核酸代謝
1)核酸の合成
2)核酸の分解
3 遺伝子の構造と機能
1)DNAの構造
2)RNA
3)ミトコンドリアDNA
4 クロマチンの構造
5 DNAの複製
1)複製
2)DNA複製の校正
3)遺伝子の損傷と修復
6 遺伝情報の伝達と発現
1)転写
2)翻訳
3)遺伝子発現の調節
4)蛋白質合成
第2章 染色体の基礎
I 染色体とは
II 分裂中期核と間期核における染色体の構造
1 分裂中期核
1)セントロメアと動原体
2)テロメア:直鎖状ヒトゲノムDNAの末端の特徴的な構造
2 間期核
3 ユークロマチンとヘテロクロマチン
III 体細胞分裂と減数分裂における染色体の分離様式の違い
1 体細胞分裂における染色体の凝縮と姉妹染色分体の分離
2 減数分裂における相同染色体の対合・分離
3 減数分裂による多様性の獲得
1)減数分裂時の対合・交差・キアズマ
2)交差・組換えのメカニズム
3)X染色体とY染色体の対合
4)配偶子形成と減数分裂の進行
IV 染色体の分類
1 染色体分類・命名に関する規約
2 核型分析
1)分染法開発以前
2)分染法開発以降
V 染色体地図と遺伝子マッピング
1 遺伝子マッピング
2 染色体地図(遺伝子地図)
VI 遺伝子発現量の補正:X染色体の不活化
1 X染色体の不活化現象
2 X染色体の不活化のメカニズム
3 X染色体不活化の時期
4 X染色体の不活化とXクロマチン,ドラムスティック
5 X染色体不活化を免れる遺伝子
6 不活化X染色体と複製時期
VII 染色体異常
1 先天性異常と後天性異常
2 数的異常
1)倍数性の異常
2)異数性の異常
3)核内倍加と多倍体化
4)片親性ダイソミー
3 構造異常
1)転座(相互転座)
2)欠失
3)挿入
4)重複
5)逆位
6)環状染色体
7)同腕染色体
4 親の性差による遺伝子発現の違い:ゲノムインプリンティング(刷り込み)
第3章 遺伝子関連検査の基本
I 遺伝子関連検査の種類
1 病原体遺伝子検査
2 体細胞遺伝子検査
3 生殖細胞系列遺伝子検査
II 遺伝子関連検査の手法
1 サザンブロット法
1)サザンブロット法の原理
2)制限酵素処理
3)プローブの標識
4)サザンブロット法の応用
2 PCR法
1)PCR法の意義
2)PCR法の原理
3)定性RT-PCR法
4)PCRを応用した解析法
3 リアルタイムPCR法
1)リアルタイムPCR法の原理
2)リアルタイムPCR法による定量解析
3)定量RT-PCR法
4)高解像度融解曲線解析
4 デジタルPCR法
5 PCR以外の核酸増幅法
1)LAMP法
2)TMA法
6 ノザンブロット法
7 シークエンス解析
1)ダイターミネーター法の原理
2)ダイターミネーター法の手順
8 マイクロサテライト解析
9 DNAマイクロアレイ法
1)網羅的な遺伝子の発現解析
2)遺伝子多型解析
3)アレイCGH法
10 FISH法
11 次世代シークエンス法
III 診療における遺伝子関連検査
1 感染症
1)ウイルス性肝炎
2)抗酸菌感染症
2 血液疾患
1)慢性骨髄性白血病
2)その他の血液腫瘍
3 固形腫瘍
1)乳がん,肺がん,大腸がん
2)家族性腫瘍
4 遺伝性疾患
5 個人識別
IV 遺伝子関連検査の精度管理
1 精度管理の考え方
2 精度管理の方法
第4章 染色体検査の基本
I 染色体検査法
II 分染法に基づく染色体検査
1 細胞培養〜標本作製
1)検査対象
2)検査材料・採取時期
3)培養法
4)細胞回収
5)標本作製
2 分染法
1)Q分染法
2)G分染法
3)R分染法
4)C分染法
5)NOR分染法
6)姉妹染色分体分染法
7)高精度分染法
3 染色体核型解析・核型表記
1)核型解析
2)核型表記
3)核型記載について注意が必要な例
III fluorescence in situ hybridization(FISH)法に基づく染色体検査
1 核酸ハイブリダイゼーションを原理とする方法
2 ハイブリダイゼーションからin situハイブリダイゼーションへ─技術的背景
3 in situハイブリダイゼーションの種類
4 FISH法
1)FISH法に利用される標本の種類と基本的操作法
2)変性・ハイブリダイゼーション(アニーリング)・洗浄に影響する因子
3)プローブの種類
4)蛍光シグナルと細胞周期
5)FISHシグナル検出の種類
6)組織切片標本と細胞核の切断:FISHシグナル観察時の注意点
IV マイクロアレイ法
1)CGHアレイ
2)SNPアレイ
V 先天性染色体異常:染色体異常症
1 常染色体異常
1)トリソミー
2)モノソミー
2 性染色体異常
1)Turner症候群
2)Klinefelter症候群
3)脆弱X症候群
3 隣接遺伝子症候群
1)Angelman症候群
2)Prader-Willi症候群
3)Williams症候群
4)Smith-Magenis症候群
5)Miller-Dieker症候群
6)DiGeorge症候群
4 インプリンティングと疾患
5 染色体不安定症候群
1)Fanconi貧血
2)Bloom症候群
3)ICF症候群
4)PCS/MVA1症候群
VI 後天性染色体異常:がんにおける染色体異常
1 白血病・リンパ腫
1)診断・分類に反映される染色体異常
2)病型特異的な染色体転座による分子メカニズム
3)腫瘍で初めて発見された染色体異常:フィラデルフィア(Ph)染色体
2 固形腫瘍
1)2ヒット説
2)2ヒット説と遺伝性腫瘍
3)SNPアレイとLOH
4)ゲノム不安定性
5)軟部腫瘍における染色体異常
3 融合遺伝子形成における染色体構造と遺伝子転写方向
VII 核型進化
第5章 遺伝子関連検査の実践
I 遺伝子関連検査に用いる試薬
II 遺伝子関連検査用機器とその保守管理
1 クリーンベンチ
2 炭酸ガス培養装置
3 恒温水槽,恒温器
4 電気泳動装置
5 遠心分離装置
6 滅菌装置
1)オートクレーブ
2)乾熱滅菌装置
7 顕微鏡
8 写真撮影装置
9 水の精製装置
10 分光光度計
11 核酸増幅装置
12 ブロッティング装置
13 シークエンサ
14 次世代シークエンサ
15 遺伝子関連検査に用いるその他の器具
III 検体の取扱い
1 検体採取と前処理
1)血液の血球検体
2)骨髄穿刺液
3)血清検体
4)生検検体
5)ホルマリン固定パラフィン包埋検体
6)喀痰
7)口腔粘膜細胞
2 DNA抽出
1)フェノール-クロロホルム法
2)シリカメンブレン(スピンカラム)法
3 RNA抽出
1)AGPC法
2)シリカメンブレン(スピンカラム)法
4 核酸の濃度測定
IV PCR法の実践
1 プライマーの作製
2 PCR法の手順
3 ゲル電気泳動
1)アガロースゲル電気泳動
2)ポリアクリルアミドゲル電気泳動
4 トラブルシューティング
1)陽性コントロールでPCR産物が得られない
2)陽性となるべき検体でPCR産物が得られない
3)陰性コントロールでもPCR産物が生じる
4)非特異的なPCR産物(目的としない複数のバンド)が生じる
V 定性RT-PCR法の実践
1 プライマーの作製
2 逆転写反応
3 PCRとゲル電気泳動
VI 定量RT-PCR法の実践
第6章 染色体検査の実践
I 細胞培養・標本作製
1 細胞培養
1)培地の調整(クリーンベンチ内で操作する)
2)滅菌
2 末梢血リンパ球を用いる場合の注意点
1)採血時の抗凝固剤
2)検体量
3)検体保存
3 培養手順
1)細胞数
2)紡錘糸形成阻害剤添加
4 標本作製(細胞取り上げ)手順
1)準備(試薬)
2)低張処理:赤血球の溶血と有核細胞の膨化
3)固定
4)展開
5)乾燥(エージング)
II 染色
1 Giemsa染色による単染色
2 G分染法
3 Q分染法
4 C分染法
III 解析(G分染法)
IV FISH法
1 カルノア固定液を用いたFISH法
2 メイギムザ染色標本を用いたFISH法
3 頬粘膜細胞を用いたFISH法
4 パラフィン固定標本を用いたFISH法
V FISHの解析
第7章 遺伝子診療における臨床検査
I 遺伝子診療の基礎
1 遺伝型と表現型
2 バリアント(変異と多型,変異原を含む)
1)バリアント
2)遺伝毒性と変異原性
3 遺伝の法則
1)メンデルの法則
2)連鎖
4 遺伝形式
1)単一遺伝子疾患
2)多因子遺伝性疾患
3)染色体異常
5 家系図の描き方
6 遺伝カウンセリング
1)定義
2)基本理念
3)遺伝カウンセリングの特徴
4)使ってはいけない言葉
II 遺伝子診断
1 病原体核酸検査
2 体細胞遺伝子検査
3 遺伝学的検査
1)罹患者検査・診断
2)発症前検査・診断
3)保因者検査・診断
4)新生児マス・スクリーニング検査
5)出生前検査・診断
4 ファーマコゲノミクス
5 コンパニオン診断
6 がんゲノム医療
7 遺伝子診断のメリットとデメリット
1)遺伝子診断のメリット
2)遺伝子診断のデメリット
8 遺伝子診療に求められる人材
III 遺伝子治療
1 治療の目的
2 細胞へのDNA導入法
1)ウイルスベクター
2)非ウイルスベクター
3 遺伝子治療の対象疾患
4 遺伝子治療の問題点
1)ベクターによる有害反応
2)悪性腫瘍の発生誘導
3)必須遺伝子の不活化
IV 移植・再生医療
1 移植医療
2 再生医療
第8章 遺伝学的検査と倫理的課題
I 遺伝学的検査とは
II 遺伝学的検査の実施と各種指針
1 医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン
2 遺伝学的検査受託に関する倫理指針
3 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
参考文献
索引