原著第2版への序
本書の初版が発行されたのは1983年である.当時を振り返ると,研究レベルは大変低く,特に嚥下の正常・異常についての知識や,摂食・嚥下障害(特に口腔・咽頭期)の評価法やリハビリテーション法については,非常に未熟なレベルであった.その頃の文献では,嚥下は単一の動作と考えられており,食物の種類や状況に応じた随意的な調節によって,嚥下動態が系統的に変化するということもほとんど認識されていなかった.また多くの研究がX線を使ったきわめて簡単なプロトコールで嚥下機能を評価しているのみであったし,神経系の病変や形態異常,頭頚部腫瘍の治療などによってどのような嚥下障害が生じるかもわかっていなかった.また,研究対象が,例えば神経疾患や頭頚部腫瘍患者または嚥下訓練を受けた患者と規定してあっても,病変部位や進行度,回復状況が考慮されていないため,結果として対象症例の背景因子が一致しない論文が多かった.
しかし過去14年の間に,正常嚥下の生理学と障害の病態学に関する研究は広がりまた深まった.1983年当時の研究のレベルが乳幼児期なら,現在は青年期といってよいであろう.ただしまだ完全ではない.
例えば食物の性質や随意的な制御の仕方によって動態全体が変わってくることは正常嚥下についてはわかってきた.しかし嚥下に影響を与える因子のすべてがわかっているわけではなく,例えば,食物の味や患者の意識レベルによる嚥下動態の変化など,重要であるがまだよくわかっていない点が残っている.そのためあるタイプの嚥下障害については,患者の訴えを十分には理解できず,リハビリテーション法もほとんどないのが現状である.
嚥下の口腔期と咽頭期に関するスクリーニング検査法と診断技術,リハビリテーション法に関するこの14年間の進歩には目覚しいものがある.しかし,実際の患者に対する適用の妥当性という意味では,今後の検討が必要である.さらに嚥下運動の生理学と病理学についてもさまざまな方面からの研究が必要であり,また呼吸や音声と嚥下運動との調節機構の解明も不十分である.
本書第2版の執筆はだいぶ以前から友人や同僚に求められていた.なかなか取りかからなかったのは,時間がなかったためだけではなく,この分野の研究が進み,たくさんの新知見が得られつつあるという確信があったからである.本書にその成果をぜひ反映させたいと考えていたし,実際に反映できたものと信じている.またたくさんの新しい情報が得られた今こそ,その情報を分析し,今後の方向性を考えてみるべきときであると考える.
この第2版は学生には教科書として,臨床家には参考書として書かれたものである.すなわち学生には将来の臨床の現場で適切な判断ができるような基礎知識をもってもらうこと,そしてすでに臨床経験のある臨床家には摂食・嚥下障害の評価法とリハビリテーション法に関する新たな知識を提供することを目的としている.さらに本書は,摂食・嚥下障害の評価法とリハビリテーション法の「現状と将来展望」を考慮しつつ,これまでに得られた知識を総括することを目指したものでもある.個人的な臨床経験からいっても,初版では約5000名の患者に関する経験であったが,本書は20,000名以上の臨床経験に基づいたものである.
1983年に出版された初版本と比べると,本書では半分以上の内容が新しくなっている.例えば,評価法や摂食機能療法の決定法,随意的嚥下法,頭部外傷や痴呆と摂食・嚥下障害との関連などについては新たに章を設け,正常嚥下の動態や画像診断法,訓練法については全部書き直した.また初版の内容で「リハビリテーションの進め方」などのようにそのまま残した部分には,1983年以降の新知見を追加して内容を豊富にした.
本書の立場は,上気道の生理機能を「呼吸と摂食・嚥下に関する神経・筋の協調運動」ととらえ,それを基礎にして摂食・嚥下障害の評価やリハビリテーション法を考えようとするものである.呼吸と嚥下の調節は大変重要であり,最近の研究や臨床報告にもこのテーマが多く取り上げられるようになってきている.そこで呼吸と嚥下の関係を評価する方法という形で本書にも記述した.
近年,摂食・嚥下障害に関する認識が広がるにつれ,患者層も小児から成人まで広がり,病院から施設までさまざまな環境で訓練を行なう必要が出てきた.障害児を受け入れる学校も増えており,こういった状況は米国内における医療制度の改正も手伝って一層増加の傾向にある.そこで本書でも学校を含む施設で使用できような評価法や訓練法も取り上げた.
「評価や訓練のために患者の状態をむしろ悪くすることがないようにする」というのが私の変わらない信念である.この中には摂食・嚥下障害の評価や訓練によって,誤嚥のリスクを高くしたり,摂取量の不足による栄養不良の状態にしたりしないということも含まれている.そのため本書の中では,訓練にあたって患者と臨床家の両方の安全を確保するということを一貫して強調した.
なお摂食・嚥下障害の対応法が患者によって異なるのは当然であり,万能な治療・訓練法はない.患者の情報をできるだけ収集し,綿密な検査をな行い,積極的に対応することが,成功の秘訣である.そのためには嚥下の解剖学,生理学についての正しい知識を基礎にして,個々の患者の病態とその原因を正確に分析する能力が必要である.このような観点から本書を利用され,読者が摂食・嚥下障害をもつ患者のよりよい評価・訓練法を見出す手がかりを得,臨床上の諸問題を適切に解決できるようになっていただけることを望んでいる.
最後に,本書の発刊にあたり研究・臨床データの収集や執筆に多大なるご協力を頂いた方々に心からの感謝を申し上げたい.本書の執筆中いつも支えとなり応援してくれたCathy・Lazarus,Sharon・VeisはじめNorthwestern(ノースウエスタン)大学シカゴ校のスタッフ,常に私を補助してくれた秘書のMary・MaloolyとMary・Smessaert,執筆作業中の私の“浮き沈み”にも対処しながら労を惜しまなかったChristima・Smithをはじめとする研究室の勤勉な助手たちにはお礼の言葉もない.また,常によき指導者であり旧友でもある我が恩師Hilda・Fisher,嚥下障害の評価と摂食機能療法という概念を体系化させようとする私を根気強く見守り助言をしてくれた仲間JoAnne・RobbinsとPeter・Kahrilasの両氏には格別の感謝の意を表したい.そして誰よりも私にここまでの経験を積ませてくれた患者の皆さんに深く感謝したい.この分野の仕事を手がけるきっかけを与えていただいただけでなく,今日でも探求心を失わずに走り続けられるのはひとえに患者の皆さんのおかげであると思っている.
Jeri A.Logemann,Ph.D.
日本語版への序
摂食・嚥下障害は多くの疾患によって引き起こされる.摂食・嚥下障害には性別も年齢も,文化の相違や国境もない.摂食・嚥下障害に苦しんでいる患者は多い.本書の日本語版が出版されることを思うにつけ,あらためてこのことを思う.また本書の邦訳は,この分野を理解する臨床家を増やすことに役立つと考える.
本書はこの領域に関心のある臨床家を対象として書いた本である.最新の知見に基づいて,摂食・嚥下の生理学,障害の検査法・診断法からリハビリテーション法までを扱った.
本書では,以下の3項目を特に区別している.
(1) 摂食・嚥下障害のスクリーニング法と診断法;スクリーニング法とはリスクの高い患者を見分けることであり,診断法とは摂食・嚥下障害の原因となっている形態的・機能的な異常を見出すことである.
(2) 摂食・嚥下障害の症状や兆候と,その原因;症状や兆候は,摂食・嚥下障害の原因ではない.症状とその原因は必ずしも一致しない.
(3) 摂食・嚥下障害に対する一般的な対処法と症例に応じた対応;摂食・嚥下障害の病態はさまざまであり,臨床の現場では症例に応じた対応が必要である.
これらの点を念頭において読んでいただければ,理解しやすいと思う.
本書の読者が摂食・嚥下障害について正確な情報を得て,臨床の場面で心のこもった適切な対応ができるようになってくれれば,著者にとっては望外の喜びである.
最後に本書の翻訳にあたって,私の考えや方法を日本の読者に正確に伝えるべく多大な努力を払われた翻訳者の方々に,心よりの感謝を申し上げたい.
2000年4月 Jeri A.Logemann,Ph.D.
監訳者の序
Logemann先生よりEvaluation and Treatment of Swallowing Disorders第2版を執筆中とのお話しを伺ったのは,1997年のクリスマスの頃であった.当時,当教室関係者の間では第1版(1983年出版)を輪読中であった.そのときから本書の内容の豊富さとこの分野のパイオニアとしての力強さに驚嘆していたので,なんとか第2版を邦訳できないかと考え,Logemann先生に連絡したところ快諾が得られた.原書第2版の完成を待って,第1版を輪読中であったメンバーを中心に,さらにLogemann先生のもとで研究を積まれた倉智(旧姓・藤生)雅子氏にも加わっていただいて翻訳に取りかかった.
本書は摂食・嚥下障害について,基礎から臨床まで,幅広い分野を包含している.著者の豊富な臨床経験に基づいた実践的な教科書である.しかし経験則に陥ることなく,基礎的な研究を踏まえて科学的に記述し,根拠に基づいた臨床を追究している.すでにこの分野に従事している関係者にとっては説得力のある参考書として,学生諸君にとっては根拠に基づく医療(evidence based medicine)の実践の書物として,大いに役立つものと期待される.
第2版は第1版と比較すると多くの加筆がなされ内容が刷新されている.また新しい手法や概念も含まれている.そのため訳語の選択や日本語としての表現にやや時間を要し,予定より完成が遅れた.このたびようやく校了のはこびとなったのは,医歯薬出版(株)の齋藤和博氏を始め多数の方々のご支援ご協力によるものである.心より感謝申し上げたい.
本書の翻訳にあたっては,5人の翻訳者とともに正確に記載することに心を配った.しかし,日本語にしたときどうしても論旨が通らないところは,著者の承諾を得て,順序を入れ替えたり,文章を修正した.そのため原文と翻訳との間に不一致のところがあることをあらかじめご了承いただきたい.この点を申し添えて監訳の序としたい.
2000年(平成12年)4月 道 健一 道脇幸博
本書の初版が発行されたのは1983年である.当時を振り返ると,研究レベルは大変低く,特に嚥下の正常・異常についての知識や,摂食・嚥下障害(特に口腔・咽頭期)の評価法やリハビリテーション法については,非常に未熟なレベルであった.その頃の文献では,嚥下は単一の動作と考えられており,食物の種類や状況に応じた随意的な調節によって,嚥下動態が系統的に変化するということもほとんど認識されていなかった.また多くの研究がX線を使ったきわめて簡単なプロトコールで嚥下機能を評価しているのみであったし,神経系の病変や形態異常,頭頚部腫瘍の治療などによってどのような嚥下障害が生じるかもわかっていなかった.また,研究対象が,例えば神経疾患や頭頚部腫瘍患者または嚥下訓練を受けた患者と規定してあっても,病変部位や進行度,回復状況が考慮されていないため,結果として対象症例の背景因子が一致しない論文が多かった.
しかし過去14年の間に,正常嚥下の生理学と障害の病態学に関する研究は広がりまた深まった.1983年当時の研究のレベルが乳幼児期なら,現在は青年期といってよいであろう.ただしまだ完全ではない.
例えば食物の性質や随意的な制御の仕方によって動態全体が変わってくることは正常嚥下についてはわかってきた.しかし嚥下に影響を与える因子のすべてがわかっているわけではなく,例えば,食物の味や患者の意識レベルによる嚥下動態の変化など,重要であるがまだよくわかっていない点が残っている.そのためあるタイプの嚥下障害については,患者の訴えを十分には理解できず,リハビリテーション法もほとんどないのが現状である.
嚥下の口腔期と咽頭期に関するスクリーニング検査法と診断技術,リハビリテーション法に関するこの14年間の進歩には目覚しいものがある.しかし,実際の患者に対する適用の妥当性という意味では,今後の検討が必要である.さらに嚥下運動の生理学と病理学についてもさまざまな方面からの研究が必要であり,また呼吸や音声と嚥下運動との調節機構の解明も不十分である.
本書第2版の執筆はだいぶ以前から友人や同僚に求められていた.なかなか取りかからなかったのは,時間がなかったためだけではなく,この分野の研究が進み,たくさんの新知見が得られつつあるという確信があったからである.本書にその成果をぜひ反映させたいと考えていたし,実際に反映できたものと信じている.またたくさんの新しい情報が得られた今こそ,その情報を分析し,今後の方向性を考えてみるべきときであると考える.
この第2版は学生には教科書として,臨床家には参考書として書かれたものである.すなわち学生には将来の臨床の現場で適切な判断ができるような基礎知識をもってもらうこと,そしてすでに臨床経験のある臨床家には摂食・嚥下障害の評価法とリハビリテーション法に関する新たな知識を提供することを目的としている.さらに本書は,摂食・嚥下障害の評価法とリハビリテーション法の「現状と将来展望」を考慮しつつ,これまでに得られた知識を総括することを目指したものでもある.個人的な臨床経験からいっても,初版では約5000名の患者に関する経験であったが,本書は20,000名以上の臨床経験に基づいたものである.
1983年に出版された初版本と比べると,本書では半分以上の内容が新しくなっている.例えば,評価法や摂食機能療法の決定法,随意的嚥下法,頭部外傷や痴呆と摂食・嚥下障害との関連などについては新たに章を設け,正常嚥下の動態や画像診断法,訓練法については全部書き直した.また初版の内容で「リハビリテーションの進め方」などのようにそのまま残した部分には,1983年以降の新知見を追加して内容を豊富にした.
本書の立場は,上気道の生理機能を「呼吸と摂食・嚥下に関する神経・筋の協調運動」ととらえ,それを基礎にして摂食・嚥下障害の評価やリハビリテーション法を考えようとするものである.呼吸と嚥下の調節は大変重要であり,最近の研究や臨床報告にもこのテーマが多く取り上げられるようになってきている.そこで呼吸と嚥下の関係を評価する方法という形で本書にも記述した.
近年,摂食・嚥下障害に関する認識が広がるにつれ,患者層も小児から成人まで広がり,病院から施設までさまざまな環境で訓練を行なう必要が出てきた.障害児を受け入れる学校も増えており,こういった状況は米国内における医療制度の改正も手伝って一層増加の傾向にある.そこで本書でも学校を含む施設で使用できような評価法や訓練法も取り上げた.
「評価や訓練のために患者の状態をむしろ悪くすることがないようにする」というのが私の変わらない信念である.この中には摂食・嚥下障害の評価や訓練によって,誤嚥のリスクを高くしたり,摂取量の不足による栄養不良の状態にしたりしないということも含まれている.そのため本書の中では,訓練にあたって患者と臨床家の両方の安全を確保するということを一貫して強調した.
なお摂食・嚥下障害の対応法が患者によって異なるのは当然であり,万能な治療・訓練法はない.患者の情報をできるだけ収集し,綿密な検査をな行い,積極的に対応することが,成功の秘訣である.そのためには嚥下の解剖学,生理学についての正しい知識を基礎にして,個々の患者の病態とその原因を正確に分析する能力が必要である.このような観点から本書を利用され,読者が摂食・嚥下障害をもつ患者のよりよい評価・訓練法を見出す手がかりを得,臨床上の諸問題を適切に解決できるようになっていただけることを望んでいる.
最後に,本書の発刊にあたり研究・臨床データの収集や執筆に多大なるご協力を頂いた方々に心からの感謝を申し上げたい.本書の執筆中いつも支えとなり応援してくれたCathy・Lazarus,Sharon・VeisはじめNorthwestern(ノースウエスタン)大学シカゴ校のスタッフ,常に私を補助してくれた秘書のMary・MaloolyとMary・Smessaert,執筆作業中の私の“浮き沈み”にも対処しながら労を惜しまなかったChristima・Smithをはじめとする研究室の勤勉な助手たちにはお礼の言葉もない.また,常によき指導者であり旧友でもある我が恩師Hilda・Fisher,嚥下障害の評価と摂食機能療法という概念を体系化させようとする私を根気強く見守り助言をしてくれた仲間JoAnne・RobbinsとPeter・Kahrilasの両氏には格別の感謝の意を表したい.そして誰よりも私にここまでの経験を積ませてくれた患者の皆さんに深く感謝したい.この分野の仕事を手がけるきっかけを与えていただいただけでなく,今日でも探求心を失わずに走り続けられるのはひとえに患者の皆さんのおかげであると思っている.
Jeri A.Logemann,Ph.D.
日本語版への序
摂食・嚥下障害は多くの疾患によって引き起こされる.摂食・嚥下障害には性別も年齢も,文化の相違や国境もない.摂食・嚥下障害に苦しんでいる患者は多い.本書の日本語版が出版されることを思うにつけ,あらためてこのことを思う.また本書の邦訳は,この分野を理解する臨床家を増やすことに役立つと考える.
本書はこの領域に関心のある臨床家を対象として書いた本である.最新の知見に基づいて,摂食・嚥下の生理学,障害の検査法・診断法からリハビリテーション法までを扱った.
本書では,以下の3項目を特に区別している.
(1) 摂食・嚥下障害のスクリーニング法と診断法;スクリーニング法とはリスクの高い患者を見分けることであり,診断法とは摂食・嚥下障害の原因となっている形態的・機能的な異常を見出すことである.
(2) 摂食・嚥下障害の症状や兆候と,その原因;症状や兆候は,摂食・嚥下障害の原因ではない.症状とその原因は必ずしも一致しない.
(3) 摂食・嚥下障害に対する一般的な対処法と症例に応じた対応;摂食・嚥下障害の病態はさまざまであり,臨床の現場では症例に応じた対応が必要である.
これらの点を念頭において読んでいただければ,理解しやすいと思う.
本書の読者が摂食・嚥下障害について正確な情報を得て,臨床の場面で心のこもった適切な対応ができるようになってくれれば,著者にとっては望外の喜びである.
最後に本書の翻訳にあたって,私の考えや方法を日本の読者に正確に伝えるべく多大な努力を払われた翻訳者の方々に,心よりの感謝を申し上げたい.
2000年4月 Jeri A.Logemann,Ph.D.
監訳者の序
Logemann先生よりEvaluation and Treatment of Swallowing Disorders第2版を執筆中とのお話しを伺ったのは,1997年のクリスマスの頃であった.当時,当教室関係者の間では第1版(1983年出版)を輪読中であった.そのときから本書の内容の豊富さとこの分野のパイオニアとしての力強さに驚嘆していたので,なんとか第2版を邦訳できないかと考え,Logemann先生に連絡したところ快諾が得られた.原書第2版の完成を待って,第1版を輪読中であったメンバーを中心に,さらにLogemann先生のもとで研究を積まれた倉智(旧姓・藤生)雅子氏にも加わっていただいて翻訳に取りかかった.
本書は摂食・嚥下障害について,基礎から臨床まで,幅広い分野を包含している.著者の豊富な臨床経験に基づいた実践的な教科書である.しかし経験則に陥ることなく,基礎的な研究を踏まえて科学的に記述し,根拠に基づいた臨床を追究している.すでにこの分野に従事している関係者にとっては説得力のある参考書として,学生諸君にとっては根拠に基づく医療(evidence based medicine)の実践の書物として,大いに役立つものと期待される.
第2版は第1版と比較すると多くの加筆がなされ内容が刷新されている.また新しい手法や概念も含まれている.そのため訳語の選択や日本語としての表現にやや時間を要し,予定より完成が遅れた.このたびようやく校了のはこびとなったのは,医歯薬出版(株)の齋藤和博氏を始め多数の方々のご支援ご協力によるものである.心より感謝申し上げたい.
本書の翻訳にあたっては,5人の翻訳者とともに正確に記載することに心を配った.しかし,日本語にしたときどうしても論旨が通らないところは,著者の承諾を得て,順序を入れ替えたり,文章を修正した.そのため原文と翻訳との間に不一致のところがあることをあらかじめご了承いただきたい.この点を申し添えて監訳の序としたい.
2000年(平成12年)4月 道 健一 道脇幸博
原著第2版への序
日本語版への序
監訳者の序
翻訳にあたって
第1章 はじめに
1 摂食・嚥下障害の自覚症状と他覚的所見
2 スクリーニング
3 摂食・嚥下障害の続発症
4 チーム医療
5 摂食・嚥下治療中の患者の安全性の確保
6 本書の中心課題
第2章 摂食・嚥下機能のメカニズム
1 摂食・嚥下機能に関する解剖学
2 嚥下の生理学
1.口腔準備期
2.口腔期
3.咽頭期の誘発
4.咽頭期
5.食道期
3 呼吸と嚥下の制御
4 加齢による変化
1.摂食・嚥下運動に関する加齢変化
2.味覚機能の変化
3.呼吸と嚥下の協調と制御機能の変化
5 正常嚥下のバリエーション
1.1回の嚥下量
2.食物の粘性の増加
3.コップからの連続嚥下(コップ飲み)
4.ストローでの飲水
5.一気のみ
6.口腔期の欠落
第3章 摂食・嚥下機能の検査法
1 画像診断法
1.超音波検査
2.ビデオ内視鏡検査
3.X線ビデオ透視(嚥下造影)検査
4.シンチグラフィー
2 画像を用いない検査法
1.筋電図検査(EMG)
2.電気声紋図検査
3.頚部聴診法
4.咽頭期の嚥下圧検査(マノメトリー:manometry)
3 検査の選択
第4章 摂食・嚥下障害とは
1 はじめに
2 X線側面像
1.計測項目
2.口腔準備期の障害
3.口腔期の障害
4.咽頭期の誘発の障害:口腔期から咽頭期への移行
5.咽頭期の障害
6.嚥下の食道期の障害
3 X線正面像
1.口腔準備期の障害
2.咽頭期の障害
第5章 摂食・嚥下障害の評価法
1 スクリーニング検査
1.スクリーニング検査の目的
2.スクリーニング検査の方法
2 ベッドサイドでの検査
1.食物を用いない検査
2.飲食物を用いる検査
3 X線ビデオ透視検査(嚥下透視検査)
1.検査の目的
2.X線ビデオ透視検査の適応
3.検査には摂食機能療法士も立ち会うべきである
4.検査中の患者の姿勢と位置
5.撮影範囲
6.撮影方向と計測項目
7.検査食の種類
8.検査食の与え方
9.検査食の量と与える順番
10.患者への指示
11.検査の基本手技
12.訓練法や代償法の試行
13.X線ビデオ透視検査報告書
第6章 摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション
1 リハビリテーション計画
1.摂食機能療法の適応
2.予後
3.代償法の効果
4.摂食・嚥下障害の重症度
5.指示に従う能力
6.呼吸機能
7.介護者による介助
8.患者の興味と動機づけ
2 経口摂取か非経口摂取か
3 代償法
1.姿勢調節法
2.口腔・咽頭刺激法
3.一口量の調節
4.食物の種類を限定する方法
5.歯科補綴装置
4 訓練法
1.直接訓練と間接訓練
2.訓練内容の決定
5 病態に応じた摂食機能療法
1.口腔準備期の障害に対する対応
2.口腔期の障害に対する対応
3.咽頭期の障害に対する対応
4.食道期の障害に対する対応
6 その他の事項
1.姿勢の調節と随意的嚥下法の併用
2.バイオフィードバック療法
3.いつリハビリテーションを開始すべきか
4.維持療法
5.食事時間と訓練時間
6.グループ訓練
7.個人の嗜好
8.食事に関する摂食機能療法士の役割
9.摂食・嚥下障害に対する内科的治療
10.外科的方法
7 施設に応じた対応
1.救急病院における対応
2.学校における対応
3.養護施設(老人ホーム)での対応
4.在宅看護における対応
8 まとめ
第7章 口腔・咽頭癌治療後の摂食・嚥下障害
1 治療前の歯科検診
2 口腔・咽頭癌のTNM分類
3 口腔・咽頭癌に対する手術法
4 切除術後の再建方法
5 口腔癌術後患者のリハビリテーションその必要性と手技
6 中咽頭癌術後患者のリハビリテーションその必要性と手技
7 リハビリテーション計画
1.リハビリテーションの開始にあたって
2.治療前のカウンセリング
3.術後の訓練スケジュール
8 切除法や再建法と摂食・嚥下障害の関連性
1.舌の切除
2.口底前方部の切除
3.口底側方部の複合切除,または舌根部の切除
9 放射線治療後の摂食・嚥下障害
10 口腔・咽頭癌患者に対する摂食機能療法の原則
第8章 喉頭癌術後患者の摂食・嚥下障害
1 喉頭癌に対する治療
2 喉頭癌の発生部位による治療法の相違と治療後の摂食・嚥下障害
1.声門上癌と摂食・嚥下障害
2.声門癌と摂食・嚥下障害
3.喉頭全摘出後の摂食・嚥下障害
3 放射線治療後の摂食・嚥下障害
4 喉頭癌患者の摂食・嚥下障害に対する治療のガイドライン
第9・10章を始めるにあたって
1 神経疾患による摂食・嚥下障害
2 神経疾患患者に対する摂食機能療法の概論
3 神経学的疾患で集中治療室にいる患者の評価
第9章 非進行性の神経疾患による摂食・嚥下障害
1 脳卒中後の摂食・嚥下障害
1.病変部位による症状の相違
2.多発性の病変による摂食・嚥下障害
3.脳卒中後の嚥下機能の回復
4.脳卒中後の摂食・嚥下障害に関するその他の因子
5.脳卒中患者に対する摂食機能療法
2 閉鎖性頭部外傷患者の摂食・嚥下障害
1.摂食・嚥下障害の直接的原因
2.摂食・嚥下障害の病態
3.摂食機能療法の原則
4.摂食・嚥下障害の病態に応じた対応
3 頚髄損傷患者の摂食・嚥下障害
1.摂食・嚥下障害の病態
2.脊髄損傷患者に対するX線ビデオ透視検査
3.Cervical bracing
4.頚椎前方固定術(anterior cervical fusion)後の摂食・嚥下障害
4 脳幹や脳神経に対する手術後にみられる摂食・嚥下障害
1.脳幹部に対する手術後の摂食・嚥下障害
2.脳神経腫瘍切除後の摂食・嚥下障害
5 急性脊髄前角炎(ポリオ)による摂食・嚥下障害
6 Guillain-Barre´(ギラン・バレー)症候群における摂食・嚥下障害
7 脳性麻痺患者の摂食・嚥下障害
8 自律神経障害による摂食・嚥下障害Riley-Day(ライリー・デイ)症候群
第10章 神経変性疾患の摂食・嚥下障害
1 神経疾患や神経・筋機構の異常による摂食・嚥下障害
1.Alzheimer(アルツハイマー)病
2.痴呆を主徴とするその他の疾患
3.運動ニューロン障害
4.Parkinson(パーキンソン)病
5.ポストポリオ症候群でみられる摂食・嚥下障害
6.多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)
7.重症筋無力症(myasthenia gravis)
8.筋ジストロフィー症
9.ジストニア(dystonia)
10.多発筋炎(polymyositis),皮膚筋炎(dermatomyositis)
11.神経疾患の初発症状としての摂食・嚥下障害のまとめ
2 その他の疾患による摂食・嚥下障害
1.慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)
2.慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)
第11章 摂食・嚥下障害に対する外科的,内科的治療
1 原因療法としての手術や薬物投与
1.頚椎体前縁の骨増殖(骨棘)の切除
2.手術による声帯閉鎖機能の改善
3.喉頭挙上不全に対する喉頭挙上手術(舌骨吊り上げ術)
4.手術後の瘢痕に対する食道ブジー
5.輪状咽頭筋切除術
6.輪状咽頭筋へのボツリヌス製剤の注射
2 慢性化した誤嚥に対する対症療法としての外科的処置
1.喉頭蓋披裂部縫合術
2.声帯縫着術
3.仮声帯縫着術
4.気管食道吻合術(laryngeal bypass)
5.気管切開術(tracheotomy)
6.喉頭全摘出術(total laryngectomy)
3 非経口的栄養摂取法
1.経鼻栄養(経管栄養)
2.皮膚咽頭瘻(pharyngostomy)
3.食道瘻(esophagostomy)
4.胃瘻(gastrostomy)
5.空腸瘻(jejunostomy)
6.胃底皺襞形成術(fundoplication)―逆流防止手術(antire ux surgery)
7.非経口摂取法の選択基準
4 薬物療法
第12章 診断と対処法の決定
1 前提条件
2 臨床上要求される判断とは
1.摂食・嚥下障害があるのか
2.摂食・嚥下機能の精査が必要か
3.検査中に試行してみるべき代償法
4.摂食・嚥下訓練の適応があるか
5.食事中に行なう訓練とそれ以外の時間に行なう訓練の区別
6.訓練の終了時期
7.摂食・嚥下障害のケアをいつからアシスタントに任せるか
8.訓練法の選択
9.摂食・嚥下障害の原因疾患についての専門医への紹介
3 適切な判断と医療倫理学的諸問題
第13章 摂食・嚥下障害に対するチーム医療
1 チーム医療の必要性
2 摂食・嚥下チームの構成メンバー
3 X線ビデオ透視検査システムの設立
4 摂食・嚥下チームのメンバー間の連絡方法
5 医療経済学からみたチームアプローチ
6 院内教育
第14章 摂食・嚥下リハビリテーションの将来のために
1 客観的評価法の確立
2 リハビリテーションの効果の客観的判定のために
1.障害の重症度と改善度の定量化
2.検査方法の標準化
3.被検者の選択基準
4.プロトコールの作成
3 摂食機能療法士の自己研修
4 将来展望
*付表 X線ビデオ透視検査評価表
*和文索引
*欧文索引
日本語版への序
監訳者の序
翻訳にあたって
第1章 はじめに
1 摂食・嚥下障害の自覚症状と他覚的所見
2 スクリーニング
3 摂食・嚥下障害の続発症
4 チーム医療
5 摂食・嚥下治療中の患者の安全性の確保
6 本書の中心課題
第2章 摂食・嚥下機能のメカニズム
1 摂食・嚥下機能に関する解剖学
2 嚥下の生理学
1.口腔準備期
2.口腔期
3.咽頭期の誘発
4.咽頭期
5.食道期
3 呼吸と嚥下の制御
4 加齢による変化
1.摂食・嚥下運動に関する加齢変化
2.味覚機能の変化
3.呼吸と嚥下の協調と制御機能の変化
5 正常嚥下のバリエーション
1.1回の嚥下量
2.食物の粘性の増加
3.コップからの連続嚥下(コップ飲み)
4.ストローでの飲水
5.一気のみ
6.口腔期の欠落
第3章 摂食・嚥下機能の検査法
1 画像診断法
1.超音波検査
2.ビデオ内視鏡検査
3.X線ビデオ透視(嚥下造影)検査
4.シンチグラフィー
2 画像を用いない検査法
1.筋電図検査(EMG)
2.電気声紋図検査
3.頚部聴診法
4.咽頭期の嚥下圧検査(マノメトリー:manometry)
3 検査の選択
第4章 摂食・嚥下障害とは
1 はじめに
2 X線側面像
1.計測項目
2.口腔準備期の障害
3.口腔期の障害
4.咽頭期の誘発の障害:口腔期から咽頭期への移行
5.咽頭期の障害
6.嚥下の食道期の障害
3 X線正面像
1.口腔準備期の障害
2.咽頭期の障害
第5章 摂食・嚥下障害の評価法
1 スクリーニング検査
1.スクリーニング検査の目的
2.スクリーニング検査の方法
2 ベッドサイドでの検査
1.食物を用いない検査
2.飲食物を用いる検査
3 X線ビデオ透視検査(嚥下透視検査)
1.検査の目的
2.X線ビデオ透視検査の適応
3.検査には摂食機能療法士も立ち会うべきである
4.検査中の患者の姿勢と位置
5.撮影範囲
6.撮影方向と計測項目
7.検査食の種類
8.検査食の与え方
9.検査食の量と与える順番
10.患者への指示
11.検査の基本手技
12.訓練法や代償法の試行
13.X線ビデオ透視検査報告書
第6章 摂食・嚥下障害に対するリハビリテーション
1 リハビリテーション計画
1.摂食機能療法の適応
2.予後
3.代償法の効果
4.摂食・嚥下障害の重症度
5.指示に従う能力
6.呼吸機能
7.介護者による介助
8.患者の興味と動機づけ
2 経口摂取か非経口摂取か
3 代償法
1.姿勢調節法
2.口腔・咽頭刺激法
3.一口量の調節
4.食物の種類を限定する方法
5.歯科補綴装置
4 訓練法
1.直接訓練と間接訓練
2.訓練内容の決定
5 病態に応じた摂食機能療法
1.口腔準備期の障害に対する対応
2.口腔期の障害に対する対応
3.咽頭期の障害に対する対応
4.食道期の障害に対する対応
6 その他の事項
1.姿勢の調節と随意的嚥下法の併用
2.バイオフィードバック療法
3.いつリハビリテーションを開始すべきか
4.維持療法
5.食事時間と訓練時間
6.グループ訓練
7.個人の嗜好
8.食事に関する摂食機能療法士の役割
9.摂食・嚥下障害に対する内科的治療
10.外科的方法
7 施設に応じた対応
1.救急病院における対応
2.学校における対応
3.養護施設(老人ホーム)での対応
4.在宅看護における対応
8 まとめ
第7章 口腔・咽頭癌治療後の摂食・嚥下障害
1 治療前の歯科検診
2 口腔・咽頭癌のTNM分類
3 口腔・咽頭癌に対する手術法
4 切除術後の再建方法
5 口腔癌術後患者のリハビリテーションその必要性と手技
6 中咽頭癌術後患者のリハビリテーションその必要性と手技
7 リハビリテーション計画
1.リハビリテーションの開始にあたって
2.治療前のカウンセリング
3.術後の訓練スケジュール
8 切除法や再建法と摂食・嚥下障害の関連性
1.舌の切除
2.口底前方部の切除
3.口底側方部の複合切除,または舌根部の切除
9 放射線治療後の摂食・嚥下障害
10 口腔・咽頭癌患者に対する摂食機能療法の原則
第8章 喉頭癌術後患者の摂食・嚥下障害
1 喉頭癌に対する治療
2 喉頭癌の発生部位による治療法の相違と治療後の摂食・嚥下障害
1.声門上癌と摂食・嚥下障害
2.声門癌と摂食・嚥下障害
3.喉頭全摘出後の摂食・嚥下障害
3 放射線治療後の摂食・嚥下障害
4 喉頭癌患者の摂食・嚥下障害に対する治療のガイドライン
第9・10章を始めるにあたって
1 神経疾患による摂食・嚥下障害
2 神経疾患患者に対する摂食機能療法の概論
3 神経学的疾患で集中治療室にいる患者の評価
第9章 非進行性の神経疾患による摂食・嚥下障害
1 脳卒中後の摂食・嚥下障害
1.病変部位による症状の相違
2.多発性の病変による摂食・嚥下障害
3.脳卒中後の嚥下機能の回復
4.脳卒中後の摂食・嚥下障害に関するその他の因子
5.脳卒中患者に対する摂食機能療法
2 閉鎖性頭部外傷患者の摂食・嚥下障害
1.摂食・嚥下障害の直接的原因
2.摂食・嚥下障害の病態
3.摂食機能療法の原則
4.摂食・嚥下障害の病態に応じた対応
3 頚髄損傷患者の摂食・嚥下障害
1.摂食・嚥下障害の病態
2.脊髄損傷患者に対するX線ビデオ透視検査
3.Cervical bracing
4.頚椎前方固定術(anterior cervical fusion)後の摂食・嚥下障害
4 脳幹や脳神経に対する手術後にみられる摂食・嚥下障害
1.脳幹部に対する手術後の摂食・嚥下障害
2.脳神経腫瘍切除後の摂食・嚥下障害
5 急性脊髄前角炎(ポリオ)による摂食・嚥下障害
6 Guillain-Barre´(ギラン・バレー)症候群における摂食・嚥下障害
7 脳性麻痺患者の摂食・嚥下障害
8 自律神経障害による摂食・嚥下障害Riley-Day(ライリー・デイ)症候群
第10章 神経変性疾患の摂食・嚥下障害
1 神経疾患や神経・筋機構の異常による摂食・嚥下障害
1.Alzheimer(アルツハイマー)病
2.痴呆を主徴とするその他の疾患
3.運動ニューロン障害
4.Parkinson(パーキンソン)病
5.ポストポリオ症候群でみられる摂食・嚥下障害
6.多発性硬化症(multiple sclerosis;MS)
7.重症筋無力症(myasthenia gravis)
8.筋ジストロフィー症
9.ジストニア(dystonia)
10.多発筋炎(polymyositis),皮膚筋炎(dermatomyositis)
11.神経疾患の初発症状としての摂食・嚥下障害のまとめ
2 その他の疾患による摂食・嚥下障害
1.慢性関節リウマチ(rheumatoid arthritis;RA)
2.慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)
第11章 摂食・嚥下障害に対する外科的,内科的治療
1 原因療法としての手術や薬物投与
1.頚椎体前縁の骨増殖(骨棘)の切除
2.手術による声帯閉鎖機能の改善
3.喉頭挙上不全に対する喉頭挙上手術(舌骨吊り上げ術)
4.手術後の瘢痕に対する食道ブジー
5.輪状咽頭筋切除術
6.輪状咽頭筋へのボツリヌス製剤の注射
2 慢性化した誤嚥に対する対症療法としての外科的処置
1.喉頭蓋披裂部縫合術
2.声帯縫着術
3.仮声帯縫着術
4.気管食道吻合術(laryngeal bypass)
5.気管切開術(tracheotomy)
6.喉頭全摘出術(total laryngectomy)
3 非経口的栄養摂取法
1.経鼻栄養(経管栄養)
2.皮膚咽頭瘻(pharyngostomy)
3.食道瘻(esophagostomy)
4.胃瘻(gastrostomy)
5.空腸瘻(jejunostomy)
6.胃底皺襞形成術(fundoplication)―逆流防止手術(antire ux surgery)
7.非経口摂取法の選択基準
4 薬物療法
第12章 診断と対処法の決定
1 前提条件
2 臨床上要求される判断とは
1.摂食・嚥下障害があるのか
2.摂食・嚥下機能の精査が必要か
3.検査中に試行してみるべき代償法
4.摂食・嚥下訓練の適応があるか
5.食事中に行なう訓練とそれ以外の時間に行なう訓練の区別
6.訓練の終了時期
7.摂食・嚥下障害のケアをいつからアシスタントに任せるか
8.訓練法の選択
9.摂食・嚥下障害の原因疾患についての専門医への紹介
3 適切な判断と医療倫理学的諸問題
第13章 摂食・嚥下障害に対するチーム医療
1 チーム医療の必要性
2 摂食・嚥下チームの構成メンバー
3 X線ビデオ透視検査システムの設立
4 摂食・嚥下チームのメンバー間の連絡方法
5 医療経済学からみたチームアプローチ
6 院内教育
第14章 摂食・嚥下リハビリテーションの将来のために
1 客観的評価法の確立
2 リハビリテーションの効果の客観的判定のために
1.障害の重症度と改善度の定量化
2.検査方法の標準化
3.被検者の選択基準
4.プロトコールの作成
3 摂食機能療法士の自己研修
4 将来展望
*付表 X線ビデオ透視検査評価表
*和文索引
*欧文索引