序
人々の関心が健康寿命の延伸におかれ,全人的な視点から生活の場に応じた医療が安心かつ安全に提供されることが期待されている.同時に,わかりやすい医療行為の説明と対象者のニーズに応じた効果的な実践活動が求められている.
エビデンスに基づく医療(evidence based medicine:EBM)は,世界中で大きな期待をもって受け容れられ,その概念は急速に拡がっていった.EBMとは,エビデンスを用いた意思決定を行う際の情報処理の過程を指し,対象者と医療者とのコミュニケーションの媒体でもある.エビデンスとして,臨床疫学に基づくリサーチエビンデスの重要性が指摘されているが,これは医療者の経験や病態生理学による理論的な根拠を否定するものではなく,むしろ,リサーチエビデンスを付加することによって,一層透明で明快な臨床判断を行おうとするものである.したがって,よりよいEBMを実践するためには,質の高いリサーチエビデンスを集積することは重要であるが,それ以上に,エビデンスをいかに活用するかが大切となる.また,医療の現場でEBMを一層活用することによって,対象者が安心して主体的な役割を果たすことで,真の意味での対象者中心の医療が実現することが期待される.
EBMとは,本来,ヘルスケアにおける意思決定を表し,医師の意思決定のみを示したものではない.専門領域をつけたEB○○という表現は,介入の手段や帰結指標としての代用ポイントが異なる点を意図したものかも知れない.ここで重要な点は,対象者に共通した介入目標のなかで,各専門職がいかなる独自性をもった臨床思考過程に基づいた意思決定を行い,その際に重要なエビデンスがどのようなものであるかを明らかにすることにある.
そこで,本書においては『エビデンスに基づく理学療法―活用と臨床思考過程の実際―』と題し,理学療法の臨床思考過程を明らかにしつつ,その思考過程のなかで重要なエビデンスを整理することを狙いとした.その目標は,エビデンスの活用,EBMの活用によって,対象者の勇気と自信をもった行動の変容と維持を支援することにある.理学療法におけるEBMを確立することは,理学療法の独自性を明確にし,理学療法学を確立するための重要な要素になると考えられる.また,質の高い標準化を促し,養成課程を含めた生涯学習のツールになることが期待される.
編集にあたっては,実に多くの注文をつけたが,すべての執筆者には最後まで真摯に対応いただいた.労を惜しまれなかった各位に改めて厚く御礼申し上げる.
本書は,臨床実践に携わる多くの関係者に加えて,学内教育においても積極的に活用されるならば編集者にとってこれにまさる喜びはない.
2008年5月
内山 靖
人々の関心が健康寿命の延伸におかれ,全人的な視点から生活の場に応じた医療が安心かつ安全に提供されることが期待されている.同時に,わかりやすい医療行為の説明と対象者のニーズに応じた効果的な実践活動が求められている.
エビデンスに基づく医療(evidence based medicine:EBM)は,世界中で大きな期待をもって受け容れられ,その概念は急速に拡がっていった.EBMとは,エビデンスを用いた意思決定を行う際の情報処理の過程を指し,対象者と医療者とのコミュニケーションの媒体でもある.エビデンスとして,臨床疫学に基づくリサーチエビンデスの重要性が指摘されているが,これは医療者の経験や病態生理学による理論的な根拠を否定するものではなく,むしろ,リサーチエビデンスを付加することによって,一層透明で明快な臨床判断を行おうとするものである.したがって,よりよいEBMを実践するためには,質の高いリサーチエビデンスを集積することは重要であるが,それ以上に,エビデンスをいかに活用するかが大切となる.また,医療の現場でEBMを一層活用することによって,対象者が安心して主体的な役割を果たすことで,真の意味での対象者中心の医療が実現することが期待される.
EBMとは,本来,ヘルスケアにおける意思決定を表し,医師の意思決定のみを示したものではない.専門領域をつけたEB○○という表現は,介入の手段や帰結指標としての代用ポイントが異なる点を意図したものかも知れない.ここで重要な点は,対象者に共通した介入目標のなかで,各専門職がいかなる独自性をもった臨床思考過程に基づいた意思決定を行い,その際に重要なエビデンスがどのようなものであるかを明らかにすることにある.
そこで,本書においては『エビデンスに基づく理学療法―活用と臨床思考過程の実際―』と題し,理学療法の臨床思考過程を明らかにしつつ,その思考過程のなかで重要なエビデンスを整理することを狙いとした.その目標は,エビデンスの活用,EBMの活用によって,対象者の勇気と自信をもった行動の変容と維持を支援することにある.理学療法におけるEBMを確立することは,理学療法の独自性を明確にし,理学療法学を確立するための重要な要素になると考えられる.また,質の高い標準化を促し,養成課程を含めた生涯学習のツールになることが期待される.
編集にあたっては,実に多くの注文をつけたが,すべての執筆者には最後まで真摯に対応いただいた.労を惜しまれなかった各位に改めて厚く御礼申し上げる.
本書は,臨床実践に携わる多くの関係者に加えて,学内教育においても積極的に活用されるならば編集者にとってこれにまさる喜びはない.
2008年5月
内山 靖
序
序章 エビデンスに基づく理学療法
エビデンスに基づく理学療法-現状と課題 (内山 靖)
1 プロローグ-臨床疫学によるエビデンスは特別な概念か
2 今,求められていること
1.専門職に必要な素養
2.現代医療に期待されていること
3.現代医療に求められること
3 誤解を解くことから始まった-わが国のEBMの啓発・普及
4 エビデンスとEBMの違い
1.エビデンス
(1)エビデンスとは
(2)診療ガイドライン
(3)クリニカルパス
(4)ふたたびエビデンスとは
2.EBM
(1)EBMとは
(2)手 順
5 EBMの活用に必要なこと
6 理学療法における臨床思考過程
1.医療における理学療法とリハビリテーション
2.疾病・障害モデル
(1)国際分類
(2)理学療法介入モデル
3.症候障害学
7 理学療法組織としての取り組み
1.世界理学療法連盟
2.日本理学療法士協会
8 エピローグ
I エビデンスに基づく医療
1 EBMの現状と課題 (名郷直樹)
1 EBMの活用と思考過程
1.EBM誕生の背景
2.EBMは活用されているか
3.なぜ活用されないのか
4.筆者自身の経験から
5.グループ学習
(1)スモールグループとファシリテーター
(2)症例の決定
(3)アイスブレーク
(4)実際の進め方
6.能率的な情報収集と批判的吟味
(1)ACP Journal Club,Evidence-Based Medicine
(2)コクランライブラリ
(3)PEDro
7.臨床現場での反復
8.EBM実践の障害
9.置き換えるのではなく付け加える
10.臨床研究をする側に立つ必要性
2 EBMにおける医師と患者のギャップ
1.医師だけの問題なのか
2.エビデンスが示すもの
3.明確なエビデンスとは何か
(1)何を有効な治療と思うか
(2)統計学のいう「明確なエビデンス」
(3)連続変数の解釈
(4)いわゆる,明確なエビデンス
4.何が明らかになったのか
5.オスラー
6.さまざまな不確実性
7.医学と医療――言葉の問題
8.エビデンスという言葉
9.さまざまな文脈とエビデンス
10.EBMと不確実性
11.コミュニケーションとしてのEBM
2 リハビリテーションにおけるEBM (里宇明元)
1 リハにおけるEBMの現状
2 リハにおけるリサーチエビデンス集積の困難性
1.エビデンスの情報源
2.リハ医療における効果研究のむずかしさ
3.リハにおける診療ガイドラインの動向
(1)診療ガイドラインとは
(2)リハ関係の診療ガイドライン
(3)リハガイドラインの必要な姿
3 リハにおける臨床判断の特徴
1.臨床判断とは
2.リハにおける臨床判断
4 主要な領域についての具体的なエビデンス
1.脳卒中
(1)臨床的問題の選択
(2)エビデンスの収集
(3)エビデンスのレベル分け
(4)エビデンステーブルの作成
(5)推奨の作成
(6)ガイドラインの評価
(7)改訂作業と課題
2.呼吸器疾患
(1)ガイドラインで示されたエビデンス
(2)系統的レビューからみた効果
3.脳性麻痺
(1)総 説
(2)RCT
(3)系統的レビュー
II 理学療法における代表的な臨床思考過程
1 課題志向型アプローチ (臼田 滋)
1 課題志向型アプローチの背景理論
1.運動制御のシステムモデル
2.生態学的アプローチ
3.動的システム理論
4.運動発達におけるシステムモデル
2 障害モデルの変遷
1.Nagiのモデル
2.ICIDH:国際障害分類
3.NCMRRのモデル
4.IOMのモデル
5.ICF:国際生活機能分類
3 課題志向型アプローチにおける臨床思考過程
1.運動行動(制御)のシステムモデル
2.トップダウンな臨床思考過程
(1)役割遂行能力(参加制約),活動制限と機能的制限
(2)機能的運動課題の選択と課題の分析
(3)個人のシステム(機能障害と個人因子)と環境のシステム
4 課題志向型アプローチの介入原則
5 エビデンスの担保・確立のための具体的な方策と展望
1.臨床研究の必要性
2.帰結評価指標の選択と開発
3.対象者の自己申告(主観)による帰結評価
2 理学療法臨床における動作分析 (佐藤房郎)
1 臨床における動作分析のとらえかた
2 動作分析の情報処理過程
1.問題点を見極める観察から解釈までの過程
2.治療的な介入を含む仮説検証の過程
3.介入効果で治療戦略と運動学習の可能性を判断する過程
3 観察の視点と分析のポイント
1.観察により筋活動をとらえる
2.運動課題によって規定される要素を理解する
3.身体質量との関係で筋活動の意味を解釈する
4.不利益な活動を判断する
4 臨床における動作分析の実際
1.症例検討会における動作分析と治療戦略の決定
2.2回目の症例検討会
3.分析結果と解釈
5 科学的な根拠に基づく動作分析を確立するために
1.観察能力育成のための標準化された教育システムの構築
2.正常な動作のメカニズムと病理に起因して起こりうる変化に関する知識の集約
3.仮説を証明する検査手技の確立
4.学術的に定義された用語の使用
5.標準化された評価様式と適切なデータ処理
6 おわりに
3 理学療法における臨床推論と実践的教育ツール (河西理恵)
1 理学療法における臨床推論
1.臨床推論モデルの変遷
2.理学療法士に必要な臨床推論能力
3.臨床推論過程-仮説演繹法
2 planning sheet(計画シート)とは
3 臨床推論とEBM
4 対象者の主観・語りによる理学療法 (片岡保憲・宮本省三)
1 身体意識の変容
2 対象者が何を失っているのかを知るための主観分析
3 治療に応用するための主観分析
1.知覚能力の向上を目指す上で欠かすことのできない主観分析
2.行為をどのようにシミュレーションしているかを知る上での主観分析
4 主観分析の可能性
5 エビデンス確保のための展望
5 EBPTの取り組み (木村貞治)
1 EBPTの概念
2 エビデンスを「つかう」
1.ステップ1:担当患者の臨床問題や疑問点の定式化
2.ステップ2:担当患者の臨床問題に関する情報の検索
PEDroの概要
3.ステップ3:得られた情報の批判的吟味
4.ステップ4:得られた情報の患者への適用検討
5.ステップ5:理学療法としての介入結果の評価
3 エビデンスを「つくる」,「つたえる」
4 EBPTの推進に向けての今後の課題
III エビデンスに基づく理学療法の実際
Part 1 疾患・病態別
【神経系】
1 脳血管障害(急性期から回復期) (小島 肇)
●はじめに
1.脳血管障害のリハビリテーションとは
2.脳血管障害の理学療法の現状は
3.EBMをどう実践するか
4.論文の読み方
●関連するシステマティック・レビュー
1.The impact of physical therapy on functional outcomes after stroke:what's the evidence?
2.Physiotherapy treatment approaches for recovery of postural control and lower limb
●関連する診療ガイドライン
1.日本脳卒中治療ガイドライン2004
2.National Clinical Guidelines for Stroke.Second edition,Royal College of Physicians 2004
運動制御の改善(リコメンデーション)
●関連する(連携)パス
1.施設内クリニカルパスの実例
2.地域連携パスの実例
3.In-hospital care pathways for stroke
●エビデンスの適用
1.ケースシナリオ1
STEP1 患者の問題の定式化
STEP2 情報収集
STEP3 批判的吟味
STEP4 患者への適用
2.ケースシナリオ2
STEP1 患者の問題の定式化
STEP2 情報収集
STEP3 批判的吟味
STEP4 患者への適用
●おわりに
2 脳血管障害(慢性期から維持期) (原田和宏)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.理学療法の臨床疫学的エビデンスの検索
2.論文の選択基準
3.レビューの手順
4.結 果
5.考 察
●関連する診療ガイドライン
●関連する(連携)パス
1.脳卒中維持期の体力低下に関するパス
2.脳卒中維持期におけるリハビリテーションの形態
3.連携パスのキーワード
●エビデンスの適用
1.維持期における適用のポイント
2.脳卒中の長期機能予後の典型像
3.理学療法介入の適用
(1)地域での在宅者の機能向上例
(2)バランス障害を有する症例への地域での介入例
4.対象者へのアプローチ
5.適用の制限
●おわりに
3 パーキンソン病 (長澤 弘)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
1.薬物療法の情報を得る
2.理学療法介入
●関連する(連携)パス
1.病期の進行段階に応じた理学療法パス
●エビデンスの適用
1.Hoehn & Yahrの重症度分類別理学療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化
(4)結 果
(5)考 察
2.日内変動の大きい症例に対する運動療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化
(4)結 果
(5)考 察
3.臨床徴候ごとの目的別運動療法
(1)歩行練習
(2)基本動作練習
(3)ストレッチング
(4)転倒予防
(5)呼吸理学療法
(6)嚥下障害に対する理学療法
●おわりに
4 脳性麻痺 (新田 收)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.国内の文献
2.海外の文献
●関連する診療ガイドライン
1.リハビリテーション
2.NICUにおける呼吸理学療法
3.脳性麻痺の障害構造
●関連する(連携)パス
地域連携パス
(1)NICU
(2)小児病棟
(3)母子入院
(4)外来通院
(5)地域通園施設
●エビデンスの適用
1.独歩獲得を目標とした短下肢装具の処方
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
2.ADL自立向上を目的とした車いす動作指導
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
●おわりに
【運動器系】
5 大腿骨頸部骨折 (藤田博暁)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.加速的リハビリテーションに関する研究
2.筋力強化に関する研究
3.術後の荷重・脱臼に関する研究
4.歩行能力に関する研究
5.生命予後に関する研究
6.機能的予後予測
7.在宅リハビリテーションに関する研究
8.骨折予防に関する研究
●関連する診療ガイドライン
●関連するクリニカルパス
1.理学療法の介入時期
2.早期荷重
3.脱臼予防の外転保持枕
●エビデンスの適用
1.加速的リハビリテーションの適用例1
(1)症例紹介
(2)症例の主な現病歴
(3)術後の経過
(4)考 察
2.加速的リハビリテーションの適用例2
(1)症例紹介
(2)症例の主な現病歴
(3)術後の経過
(4)考 察
3.脳卒中片麻痺症例の骨折
(1)症例紹介
(2)症例の主な現病歴
(3)術後の経過
(4)考 察
●おわりに
6 変形性膝関節症 (坂本雅昭)
●はじめに
1.概 説
(1)疫 学
(2)関連学会の対応と現状
2.病態と治療
(1)病 態
(2)治 療
3.膝OAに関する国内外の評価指標
●関連するシステマティック・レビュー
1.国内における膝OAに関するシステマティック・レビュー
(1)保存療法におけるSLRの効果
(2)歩行練習と等張性膝伸展運動の効果比較
2.海外における膝OAに関するシステマティック・レビュー
(1)概 要
(2)対 象
(3)方 法
(4)結 果
(5)まとめ
●関連する診療ガイドライン
1.診療ガイドラインの意義
2.ガイドラインの紹介
(1)オランダ理学療法士協会ガイドライン
(2)欧州リウマチ協会ガイドライン
(3)米国老年医学会によるガイドライン
(4)米国整形外科学会臨床ガイドライン
(5)オーストラリア理学療法士協会ガイドライン
●関連する(連携)パス
1.膝OAに関するパス
2.TKAのパスと理学療法に関するパスの概略
(1)ベッドサイド期(術前,術後1日)
(2)部分・全荷重期(術後2〜7日)
(3)応用歩行・動作獲得期(術後2〜3週,退院)
●エビデンスの適用
1.TKA術後に術創部周辺の運動時痛とROM制限に対する超音波の適応とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の問題点
(3)課題の定式化
(4)情報収集
(5)批判的吟味
(6)患者への適用吟味
(7)理学療法介入
(8)結 果
(9)考察と展望
2.変形性膝関節症に対する足底板の適応とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の問題点
(3)課題の定式化
(4)情報収集および批判的吟味
(5)患者への適用吟味
(6)理学療法介入
(7)結 果
(8)考察と展望
●おわりに
7 頸髄症 (樋口大輔)
●はじめに
1.病 態
(1)定 義
(2)圧迫要因と好発部位
2.症 状
(1)運動障害
(2)感覚障害
(3)膀胱直腸障害
(4)その他の障害
3.経 過
(1)生命予後
(2)機能予後
(3)病理学的進展様式
●関連するシステマティック・レビュー
1.保存療法の効果および経過
2.手術療法の効果および経過
(1)心身機能・構造
(2)活動・参加
(3)機能予後の予測因子
3.理学療法を含む術後療法の可能性
●関連する診療ガイドライン
1.診 断
2.治 療
(1)保存療法
(2)手 術
●関連する(連携)パス
1.病院Aにおけるパス
2.病院間でのパスの比較
(1)術 前
(2)術後早期
(3)離床時期
(4)理学療法の進め方
3.パス上での理学療法の詳細な流れ
(1)理学療法の目的
(2)理学療法評価
(3)理学療法介入
●エビデンスの適用
1.トレッドミル歩行練習の適用とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
2.感覚再教育の適用とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
●おわりに
8 関節リウマチ (阿部敏彦)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.運動と動作
2.物理療法
(1)温熱療法
(2)電気療法
(3)レーザー療法
(4)温泉療法
3.装 具
(1)特製靴とインソール
(2)頸椎装具
4.関節保護
5.患者教育
6.多職種によるチームケア
●関連する診療ガイドライン
1.治療のガイドライン
2.日本におけるRA治療ガイドライン
3.RA治療の概略と治療目標
4.RA患者の初期評価と治療の開始
5.経過観察と疾患活動性の評価
6.手術の方法と治療プラン
(1)上肢の手術療法
(2)下肢の手術療法
(3)頸椎の手術療法
7.理学療法の実際
(1)目的と基本的な考え方
(2)病状把握と障害評価
(3)理学療法の種類と適応
8.装具療法(頸椎および下肢関節)の実際
9.家庭におけるリハビリテーション
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.RA患者に対するTKA施行後の膝機能回復および実用歩行獲得における他関節手術の影響
(1)目 的
(2)対象と方法
(3)結 果
(4)考 察
2.RA患者に対する人工肘関節形成術の理学療法-関節可動域の推移
(1)目 的
(2)対象と方法
(3)結 果
(4)考 察
●おわりに
9 腰痛症 (伊藤俊一・隈元庸夫)
●はじめに
1.病態の定義
2.腰痛をきたすおもな整形外科疾患の症状
(1)主な疾患の症状
(2)運動障害・知覚障害
3.経 過
(1)急性腰痛
(2)慢性腰痛
●関連するシステマティック・レビュー
1.診 断
2.評 価
(1)Waddel sign
(2)Red flagsとYellow flags
(3)pain drawings
(4)VAS
(5)SF-36
(6)Roland-Morris disability questionnaire(RDQ)およびOswestry disability index(ODI)
(7)SLRテスト
(8)反射検査
3.介 入
(1)急性腰痛
(2)慢性腰痛
●関連する診療ガイドライン
1.最新の腰痛ガイドライン
2.ガイドラインとその効果
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.症例プロフィール
2.担当患者に関する臨床疑問・問題の定式化
3.初期評価
(1)疼 痛
(2)関節可動域テスト
(3)筋力検査
(4)感 覚
(5)反 射
(6)ストレステスト
(7)座位・立位アライメント
(8)ADL
(9)腰痛疾患治療成績判定基準(日整会)
(10)日常生活活動(点)
(11)QOL
(12)その他
4.問題点
5.プログラム
6.ゴール
7.経 過
8.最終評価(開始4週後)理学療法終了時結果
9.考 察
●おわりに
【循環器系】
10 狭心症・心筋梗塞 (高橋哲也)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.O'Connorらのシステマティック・レビュー
2.Jolliffeらのシステマティック・レビュー
3.Taylorらのシステマティック・レビュー
4.運動療法以外の効果についてのシステマティック・レビュー
5.まとめ
●関連する診療ガイドライン
1.運動療法の適応と禁忌
2.リスクの層別化
3.運動療法の実際1(有酸素運動)
4.運動療法の実際2(レジスタンストレーニング)
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.症例紹介
2.エビデンスの適用
3.経 過
●おわりに
11 慢性心不全 (松永篤彦・松本卓也)
●はじめに
1.病 態
(1)定義(心不全とは)
(2)心不全のステージ
(3)生活機能制限(NYHAの機能分類,運動耐容能低下の機序)
2.心不全に対する理学療法介入のポイント
●関連するシステマティック・レビュー
1.運動療法に関するエビデンス
(1)運動療法の適応基準
(2)運動処方(運動の種類,運動強度および頻度)に関するエビデンス
(3)運動療法の効果に関するエビデンス
2.疾患管理(食事指導,運動指導,服薬指導など)に関するエビデンス
●関連する診療ガイドライン
1.慢性心不全の病態と診断
(1)総 論
(2)心機能不全診断の実際
(3)神経体液因子
(4)末梢循環障害
(5)活動能力(運動能力)
(6)増悪因子
2.慢性心不全の治療
(1)一般管理(疾患管理)
(2)薬物治療
(3)非薬物治療
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.入院期における間歇的トレーニングの適応と効果
(1)症例紹介
(2)介入時における医学的情報と理学療法評価の統合と解釈
(3)問題点の整理
(4)課題の定式化とエビデンスの適用
(5)結 果
(6)考 察
●おわりに
12 大血管・末梢血管疾患 (渡辺 敏)
≪大血管疾患≫
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
●おわりに
≪末梢血管疾患≫
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
●おわりに
【呼吸器系】
13 慢性呼吸不全 (神津 玲)
●はじめに
1.概 念
(1)定 義
(2)基礎疾患
(3)疫 学
2.臨床症状と病態
(1)換気障害
(2)ガス交換障害
(3)心循環系障害
(4)病的呼吸困難
(5)骨格筋機能障害
3.治療と予後
(1)治療方針
(2)予 後
●関連するシステマティック・レビュー
1.慢性呼吸不全患者の治療と管理における理学療法の位置づけと意義
2.運動療法
(1)持久力トレーニング
(2)筋力トレーニング
(3)運動療法の補助的手段
3.コンディショニング
(1)呼吸練習
(2)呼吸筋トレーニング
(3)気道クリアランス法
(4)胸郭可動域練習
●関連する診療ガイドライン
1.慢性呼吸不全に対する診療ガイドラインの現況
2.理学療法の適応
3.評 価
4.治療介入の実際
(1)コンディショニングの方法論と進め方
(2)運動療法の進め方
(3)運動療法の補助的手段
(4)呼吸リハビリテーションプログラムにおけるその他の手段
(5)導入プログラム後のフォローアップ
5.アウトカムへの影響
6.COPD以外の慢性呼吸器疾患における効果
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.呼吸困難の著明なCOPD患者に対するコンディショニングの適応とその効果
(1)症例紹介
(2)主な問題点
(3)問題の定式化,情報収集および批判的吟味と症例への適用
(4)結果と考察
2.高度のEIHを呈するCOPD患者に対する運動時酸素投与の適応とその効果
(1)症例紹介
(2)主な問題点
(3)問題の定式化,情報収集および批判的吟味と症例への適用
(4)結果と考察
●おわりに
【代謝系】
14 糖尿病 (石黒友康)
●はじめに
1.わが国の糖尿病の実態
2.糖尿病の治療・予防
3.糖尿病と理学療法とのかかわり
●関連するシステマティック・レビュー
1.糖尿病に対する運動療法
2.運動療法の効果
3.運動療法の実際
4.糖尿病予防としての運動の効果
(1)The 6-year Malmo feasibility study
(2)Nurses' Health Study
(3)Da Qing IGT and Diabetes Study
(4)Diabetes Prevention Study(DPP)
5.合併症がある糖尿病患者の運動療法
(1)糖尿病網膜症と運動療法
(2)糖尿病腎症と運動療法
(3)糖尿病神経障害と運動療法
(4)血糖コントロール不良時の運動療法
6.運動療法の理論的根拠
(1)身体運動と糖代謝
(2)運動時骨格筋の糖取り込み
●関連する診療ガイドライン
(1)運動療法の開始
(2)2型糖尿病における運動療法
(3)1型糖尿病における運動療法
(4)合併症などがある患者における運動療法
(5)薬物治療中の糖尿病患者における運動療法
(6)糖尿病患者の運動療法における一般的な注意
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.糖尿病足病変に対する理学療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
2.神経障害を有する患者の理学療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
●おわりに
【虚弱高齢者】
15 虚弱高齢者 (大渕修一)
●はじめに
1.虚弱高齢者の定義
2.Lawtonの高齢者の能力分類を用いた定義
3.虚弱高齢者の特徴
●関連するシステマティック・レビュー
1.運動器の機能低下に対するシステマティック・レビュー
2.尿失禁に対する運動療法のシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
1.変形性関節症
2.尿失禁
(1)行動療法
(2)膀胱練習
(3)骨盤底筋リハビリテーション
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.コンディショニング期
2.筋力増強期
3.機能的トレーニング期
4.効 果
●おわりに
Part2 症状別
1 関節可動域 (板場英行)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.関節固定・不動による組織変化と治療理論
2.関節可動制限に対するストレッチングの意義と効果
3.関節可動制限に対する関節モビライゼーションのエビデンス
4.関節可動域に対する物理療法のエビデンス
5.関節可動に対する持続的他動運動のエビデンス
6.関節可動運動反復回数のエビデンス
●関連する治療ガイドライン
1.運動機能障害とは?
2.発症から時間的経過による治療目的と治療手段のあり方は?
3.関節可動治療時の痛みは必発か?
4.臨床における機能的無痛可動域の意義は?
5.関節可動治療の方向は制限側が有効か?
6.関節モビライゼーションのあり方は?
7.運動病理学的モデルによる障害把握がなぜ必要か?
8.運動を制御,認知する能力低下改善の重要性は?
9.関節可動治療のフローチャートは?
●関節可動障害治療における現状の課題と展望
2 筋 力 (岡西哲夫)
●はじめに
●筋力とは何か
●エビデンスに基づく筋力のとらえ方
●高齢者の筋力介入の目的とは何か
1.エビデンスの歴史的意義と帰結予測
2.高齢者の筋力介入に関するRCTの吟味
3.鍛えられた筋力は何のために使用されるのか
●高齢者の筋力と機能・活動とはどのように関連しているのか
●高齢者の活動にとって効果的な介入とは何なのか
1.パワーの介入効果について
2.課題志向的アプローチの効果
●まとめ
3 持久性 (有薗信一)
●はじめに
●運動習慣がない人,持久性が低い人の持久性
1.エビデンス
(1)持久性
(2)持久性に対するトレーニングの方法のエビデンス
2.ガイドライン
3.ACSMのガイドラインによる介入方法
4.運動療法
(1)ウォームアップ
(2)運動療法
(3)持久力トレーニング
(4)レクリエーション
(5)クールダウン
(6)エネルギーの消費目標
(7)プログラムの進行速度
●心疾患の持久性
1.心疾患の持久性に対する運動療法のエビデンス
2.ガイドライン
3.ガイドラインによる介入方法
(1)強 度
(2)時 間
(3)頻 度
(4)進 行
●呼吸器疾患の持久性
1.呼吸器疾患の持久性に対する運動療法のエビデンス
2.ガイドライン
3.ガイドラインによる介入方法
(1)呼吸リハビリテーションマニュアル
(2)GOLD
●脳血管障害患者の持久性
1.脳卒中の持久性に対する運動療法のエビデンス
2.ガイドラインとガイドラインによる介入方法
(1)運動療法のゴール
(2)強 度
(3)時 間
(4)頻 度
(5)運動の種類
●高齢者の持久性
1.ガイドラインとガイドラインによる介入方法
(1)強 度
(2)時 間
(3)頻 度
(4)進 行
(5)疾患などを有する場合の考慮する点
●現状の課題と展望
4 バランス (望月 久)
●バランスのとらえかた
●バランス改善に対する運動療法介入のエビデンス
1.Provinceらによるレビュー:FICSTの事前メタ分析(1995)
2.Best Practice Guide for the Prevention of Falls among Seniors Living in the Community,Canada(2001)
3.高齢者の転倒予防に対する介入についてのCochrane Review,2003
4.Changらによるレビュー(2004)
5.高齢者のバランス能力改善に対する運動療法についてのCochrane Review,2007
6.高齢者の転倒予防やバランス能力改善についての運動療法アプローチ
●バランス改善に対する理学療法の考え方や理論的背景
1.運動課題の難易度と効果の課題特異性
2.反射・階層理論に基づくアプローチ
3.システム理論に基づくアプローチ
4.課題志向型アプローチ
5.認知-運動的アプローチ
6.適応的または外部調整的アプローチ
●バランスに関する現状の課題と展望
5 歩 行 (橋立博幸)
●はじめに
●歩行練習方法と理学療法の介入効果の評価と介入の実際
●脳卒中歩行障害に対する介入効果
1.下肢筋力増強運動
2.トレッドミル歩行
3.部分免荷トレッドミル歩行
4.バイオフィードバック療法
●その他の疾患の歩行障害に対する理学療法介入
1.パーキンソン病
2.脊髄損傷
3.大腿骨頸部・転子部骨折
●課題と展望
6 嚥 下 (吉田 剛)
●はじめに
●日本の脳卒中治療ガイドライン2004にみる嚥下障害に対するリハビリテーションのエビデンスと現状との乖離
1.評 価
2.取り組み方法
3.栄養摂取方法
4.治療方法
5.その他
●嚥下分野で筋力強化に焦点を当てた最新レビュー
1.舌筋力強化
2.呼吸筋筋力強化
3.努力嚥下
4.食塊濃度(粘性)の調整
5.メンデルソン手技
6.舌突出嚥下
7.頭部挙上練習(Shaker法:舌骨上筋強化法)
8.動的課題,機能的課題,機能予備能の必要性
9.PAP
10.Lee Silverman Voice Treatment(LSVT)
●理学療法士が行った介入研究
●嚥下運動障害の病態についての研究データ
1.頸部との関係
(1)Stambolis Vらのデータ
(2)筆者らの未発表データ
2.病期による特徴
3.姿勢および嚥下運動阻害因子と嚥下障害重症度との関係
(1)舌運動に影響を与える姿勢および頸部条件
(2)CVDによる嚥下運動障害と運動機能との関係
●嚥下に対する理学療法介入として選択することが薦められる治療は?
1.嚥下反射促通
(1)感覚障害の評価と治療
(2)機能的口腔ケア
(3)嚥下反射誘発手技
2.喉頭挙上運動
(1)筋力強化
(2)保持収縮
(3)課題志向型アプローチ
(4)電気刺激療法
(5)喉頭運動阻害因子へのアプローチ
3.舌運動
4.構音課題を用いた嚥下障害への課題志向型アプローチ
5.呼吸理学療法
●現状の課題と展望
7 疼 痛 (鈴木重行)
●痛 み
●痛みの評価の困難性
●疼痛に対する理学療法研究の評価尺度
1.研究集団
2.介 入
3.効 果
4.データ処理
●疼痛に対する理学療法の介入効果
1.運動療法
2.物理療法
(1)温熱療法
(2)超音波療法
(3)レーザー光線療法
(4)電気刺激療法
(5)牽引療法
●腰痛管理のガイドライン
1.急性腰痛(4週以内)
2.亜急性腰痛(4〜12週)
3.慢性腰痛(12週以上)
●まとめ
8 痙縮・痙縮筋 (松田 梢)
●はじめに
1.痙縮とは
2.理学療法における痙縮概念に対する歴史的変遷
●理学療法の介入効果
1.ストレッチング・ポジショニング
2.物理療法
(1)温熱療法
(2)寒冷療法
(3)電気刺激療法
3.運動療法
(1)筋力増強運動
(2)有酸素運動
4.装具療法
(1)上肢装具
(2)機能的装具
(3)下肢装具
5.薬物療法
●現状の課題と展望
1.筋力増強運動は痙縮を悪化させるのか?
2.まとめ
IV エビデンスの作成 一層の活用のために
1 理学療法における帰結評価 (小林 武)
1 理学療法における帰結評価とICF
2 変数と測定
1.直接測定による帰結評価
2.間接測定による帰結評価
3 ICFに沿った帰結評価
1.健康状態(変調または病気)
2.心身機能・身体構造(機能障害)
(1)体 格
(2)柔軟性
(3)運動機能
(4)呼吸・循環
(5)嚥 下
(6)痛 み
(7)高次脳機能
(8)発 達
3.活動と参加(活動制限と参加制約)
(1)バランス
(2)上肢機能
(3)起居・移乗・移動動作
(4)歩 行
(5)ADL
(6)handicap
4.健康観・QOL
(1)包括的尺度
(2)主観的幸福感・生活満足度
(3)疾患特異的QOL尺度
4 おわりに
2 RCT研究 (島田裕之)
1 なぜRCTが必要なのか?
2 なぜ理学療法分野においてRCTが行われにくいのか?
3 RCTは最終段階で実施する
4 研究計画立案において留意する点
1.目的の明確化
2.対象の選択
3.割り付け方法
4.盲検化
5.症例数
6.解 析
5 RCTによる研究実施タイムスケジュール
1.ステップ1:研究計画
2.ステップ2:研究資源の獲得
3.ステップ3:倫理的問題の審査
4.ステップ4:スタッフの調整
5.ステップ5〜11:研究の実施
6.ステップ12:報告書,論文作成
6 結果の分析と提示
3 シングルケーススタディ (石倉 隆)
1 シングルケーススタディの意義
2 シングルケーススタディ実施のポイント
1.独立変数の選択
2.従属変数の選択
(1)妥当性・客観性
(2)敏感性
(3)現実性
3.第1基礎水準測定期とその期間
4.操作導入期と従属変数測定間隔
5.第2基礎水準測定期とその解釈
6.測定結果の分析
7.研究結果の一般化
3 基本的なシングルケーススタディのデザイン
1.反復型実験計画-ABAB型デザイン
2.非反復型実験計画-AB型デザイン
4 シングルケーススタディの研究計画-AB型デザインの実例をとおして
1.仮説の設定
2.デザインの選択
3.独立変数と従属変数の選択
4.従属変数測定間隔の設定
5.基礎水準測定期の期間
6.操作導入期の開始と期間
5 シングルケーススタディの実行-AB型デザインの実例をとおして
1.基礎水準測定期の従属変数測定
2.操作導入期の従属変数測定
3.測定結果の分析
4 臨床疫学に関する統計 (平岡浩一)
1 臨床疫学とは
2 臨床疫学データの一般的な統計処理
3 検査測定値の統計的検証
1.信頼性
2.妥当性
3.反応性
4 治療効果判定
1.RCT
2.メタ分析
3.メタ分析によるシステマティック・レビュー599
5 予後予測
1.多変量解析による予後予測
2.予後予測の実例
6 リハビリテーション介入の効率に関する統計的検証
7 まとめ
索 引
序章 エビデンスに基づく理学療法
エビデンスに基づく理学療法-現状と課題 (内山 靖)
1 プロローグ-臨床疫学によるエビデンスは特別な概念か
2 今,求められていること
1.専門職に必要な素養
2.現代医療に期待されていること
3.現代医療に求められること
3 誤解を解くことから始まった-わが国のEBMの啓発・普及
4 エビデンスとEBMの違い
1.エビデンス
(1)エビデンスとは
(2)診療ガイドライン
(3)クリニカルパス
(4)ふたたびエビデンスとは
2.EBM
(1)EBMとは
(2)手 順
5 EBMの活用に必要なこと
6 理学療法における臨床思考過程
1.医療における理学療法とリハビリテーション
2.疾病・障害モデル
(1)国際分類
(2)理学療法介入モデル
3.症候障害学
7 理学療法組織としての取り組み
1.世界理学療法連盟
2.日本理学療法士協会
8 エピローグ
I エビデンスに基づく医療
1 EBMの現状と課題 (名郷直樹)
1 EBMの活用と思考過程
1.EBM誕生の背景
2.EBMは活用されているか
3.なぜ活用されないのか
4.筆者自身の経験から
5.グループ学習
(1)スモールグループとファシリテーター
(2)症例の決定
(3)アイスブレーク
(4)実際の進め方
6.能率的な情報収集と批判的吟味
(1)ACP Journal Club,Evidence-Based Medicine
(2)コクランライブラリ
(3)PEDro
7.臨床現場での反復
8.EBM実践の障害
9.置き換えるのではなく付け加える
10.臨床研究をする側に立つ必要性
2 EBMにおける医師と患者のギャップ
1.医師だけの問題なのか
2.エビデンスが示すもの
3.明確なエビデンスとは何か
(1)何を有効な治療と思うか
(2)統計学のいう「明確なエビデンス」
(3)連続変数の解釈
(4)いわゆる,明確なエビデンス
4.何が明らかになったのか
5.オスラー
6.さまざまな不確実性
7.医学と医療――言葉の問題
8.エビデンスという言葉
9.さまざまな文脈とエビデンス
10.EBMと不確実性
11.コミュニケーションとしてのEBM
2 リハビリテーションにおけるEBM (里宇明元)
1 リハにおけるEBMの現状
2 リハにおけるリサーチエビデンス集積の困難性
1.エビデンスの情報源
2.リハ医療における効果研究のむずかしさ
3.リハにおける診療ガイドラインの動向
(1)診療ガイドラインとは
(2)リハ関係の診療ガイドライン
(3)リハガイドラインの必要な姿
3 リハにおける臨床判断の特徴
1.臨床判断とは
2.リハにおける臨床判断
4 主要な領域についての具体的なエビデンス
1.脳卒中
(1)臨床的問題の選択
(2)エビデンスの収集
(3)エビデンスのレベル分け
(4)エビデンステーブルの作成
(5)推奨の作成
(6)ガイドラインの評価
(7)改訂作業と課題
2.呼吸器疾患
(1)ガイドラインで示されたエビデンス
(2)系統的レビューからみた効果
3.脳性麻痺
(1)総 説
(2)RCT
(3)系統的レビュー
II 理学療法における代表的な臨床思考過程
1 課題志向型アプローチ (臼田 滋)
1 課題志向型アプローチの背景理論
1.運動制御のシステムモデル
2.生態学的アプローチ
3.動的システム理論
4.運動発達におけるシステムモデル
2 障害モデルの変遷
1.Nagiのモデル
2.ICIDH:国際障害分類
3.NCMRRのモデル
4.IOMのモデル
5.ICF:国際生活機能分類
3 課題志向型アプローチにおける臨床思考過程
1.運動行動(制御)のシステムモデル
2.トップダウンな臨床思考過程
(1)役割遂行能力(参加制約),活動制限と機能的制限
(2)機能的運動課題の選択と課題の分析
(3)個人のシステム(機能障害と個人因子)と環境のシステム
4 課題志向型アプローチの介入原則
5 エビデンスの担保・確立のための具体的な方策と展望
1.臨床研究の必要性
2.帰結評価指標の選択と開発
3.対象者の自己申告(主観)による帰結評価
2 理学療法臨床における動作分析 (佐藤房郎)
1 臨床における動作分析のとらえかた
2 動作分析の情報処理過程
1.問題点を見極める観察から解釈までの過程
2.治療的な介入を含む仮説検証の過程
3.介入効果で治療戦略と運動学習の可能性を判断する過程
3 観察の視点と分析のポイント
1.観察により筋活動をとらえる
2.運動課題によって規定される要素を理解する
3.身体質量との関係で筋活動の意味を解釈する
4.不利益な活動を判断する
4 臨床における動作分析の実際
1.症例検討会における動作分析と治療戦略の決定
2.2回目の症例検討会
3.分析結果と解釈
5 科学的な根拠に基づく動作分析を確立するために
1.観察能力育成のための標準化された教育システムの構築
2.正常な動作のメカニズムと病理に起因して起こりうる変化に関する知識の集約
3.仮説を証明する検査手技の確立
4.学術的に定義された用語の使用
5.標準化された評価様式と適切なデータ処理
6 おわりに
3 理学療法における臨床推論と実践的教育ツール (河西理恵)
1 理学療法における臨床推論
1.臨床推論モデルの変遷
2.理学療法士に必要な臨床推論能力
3.臨床推論過程-仮説演繹法
2 planning sheet(計画シート)とは
3 臨床推論とEBM
4 対象者の主観・語りによる理学療法 (片岡保憲・宮本省三)
1 身体意識の変容
2 対象者が何を失っているのかを知るための主観分析
3 治療に応用するための主観分析
1.知覚能力の向上を目指す上で欠かすことのできない主観分析
2.行為をどのようにシミュレーションしているかを知る上での主観分析
4 主観分析の可能性
5 エビデンス確保のための展望
5 EBPTの取り組み (木村貞治)
1 EBPTの概念
2 エビデンスを「つかう」
1.ステップ1:担当患者の臨床問題や疑問点の定式化
2.ステップ2:担当患者の臨床問題に関する情報の検索
PEDroの概要
3.ステップ3:得られた情報の批判的吟味
4.ステップ4:得られた情報の患者への適用検討
5.ステップ5:理学療法としての介入結果の評価
3 エビデンスを「つくる」,「つたえる」
4 EBPTの推進に向けての今後の課題
III エビデンスに基づく理学療法の実際
Part 1 疾患・病態別
【神経系】
1 脳血管障害(急性期から回復期) (小島 肇)
●はじめに
1.脳血管障害のリハビリテーションとは
2.脳血管障害の理学療法の現状は
3.EBMをどう実践するか
4.論文の読み方
●関連するシステマティック・レビュー
1.The impact of physical therapy on functional outcomes after stroke:what's the evidence?
2.Physiotherapy treatment approaches for recovery of postural control and lower limb
●関連する診療ガイドライン
1.日本脳卒中治療ガイドライン2004
2.National Clinical Guidelines for Stroke.Second edition,Royal College of Physicians 2004
運動制御の改善(リコメンデーション)
●関連する(連携)パス
1.施設内クリニカルパスの実例
2.地域連携パスの実例
3.In-hospital care pathways for stroke
●エビデンスの適用
1.ケースシナリオ1
STEP1 患者の問題の定式化
STEP2 情報収集
STEP3 批判的吟味
STEP4 患者への適用
2.ケースシナリオ2
STEP1 患者の問題の定式化
STEP2 情報収集
STEP3 批判的吟味
STEP4 患者への適用
●おわりに
2 脳血管障害(慢性期から維持期) (原田和宏)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.理学療法の臨床疫学的エビデンスの検索
2.論文の選択基準
3.レビューの手順
4.結 果
5.考 察
●関連する診療ガイドライン
●関連する(連携)パス
1.脳卒中維持期の体力低下に関するパス
2.脳卒中維持期におけるリハビリテーションの形態
3.連携パスのキーワード
●エビデンスの適用
1.維持期における適用のポイント
2.脳卒中の長期機能予後の典型像
3.理学療法介入の適用
(1)地域での在宅者の機能向上例
(2)バランス障害を有する症例への地域での介入例
4.対象者へのアプローチ
5.適用の制限
●おわりに
3 パーキンソン病 (長澤 弘)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
1.薬物療法の情報を得る
2.理学療法介入
●関連する(連携)パス
1.病期の進行段階に応じた理学療法パス
●エビデンスの適用
1.Hoehn & Yahrの重症度分類別理学療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化
(4)結 果
(5)考 察
2.日内変動の大きい症例に対する運動療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化
(4)結 果
(5)考 察
3.臨床徴候ごとの目的別運動療法
(1)歩行練習
(2)基本動作練習
(3)ストレッチング
(4)転倒予防
(5)呼吸理学療法
(6)嚥下障害に対する理学療法
●おわりに
4 脳性麻痺 (新田 收)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.国内の文献
2.海外の文献
●関連する診療ガイドライン
1.リハビリテーション
2.NICUにおける呼吸理学療法
3.脳性麻痺の障害構造
●関連する(連携)パス
地域連携パス
(1)NICU
(2)小児病棟
(3)母子入院
(4)外来通院
(5)地域通園施設
●エビデンスの適用
1.独歩獲得を目標とした短下肢装具の処方
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
2.ADL自立向上を目的とした車いす動作指導
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
●おわりに
【運動器系】
5 大腿骨頸部骨折 (藤田博暁)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.加速的リハビリテーションに関する研究
2.筋力強化に関する研究
3.術後の荷重・脱臼に関する研究
4.歩行能力に関する研究
5.生命予後に関する研究
6.機能的予後予測
7.在宅リハビリテーションに関する研究
8.骨折予防に関する研究
●関連する診療ガイドライン
●関連するクリニカルパス
1.理学療法の介入時期
2.早期荷重
3.脱臼予防の外転保持枕
●エビデンスの適用
1.加速的リハビリテーションの適用例1
(1)症例紹介
(2)症例の主な現病歴
(3)術後の経過
(4)考 察
2.加速的リハビリテーションの適用例2
(1)症例紹介
(2)症例の主な現病歴
(3)術後の経過
(4)考 察
3.脳卒中片麻痺症例の骨折
(1)症例紹介
(2)症例の主な現病歴
(3)術後の経過
(4)考 察
●おわりに
6 変形性膝関節症 (坂本雅昭)
●はじめに
1.概 説
(1)疫 学
(2)関連学会の対応と現状
2.病態と治療
(1)病 態
(2)治 療
3.膝OAに関する国内外の評価指標
●関連するシステマティック・レビュー
1.国内における膝OAに関するシステマティック・レビュー
(1)保存療法におけるSLRの効果
(2)歩行練習と等張性膝伸展運動の効果比較
2.海外における膝OAに関するシステマティック・レビュー
(1)概 要
(2)対 象
(3)方 法
(4)結 果
(5)まとめ
●関連する診療ガイドライン
1.診療ガイドラインの意義
2.ガイドラインの紹介
(1)オランダ理学療法士協会ガイドライン
(2)欧州リウマチ協会ガイドライン
(3)米国老年医学会によるガイドライン
(4)米国整形外科学会臨床ガイドライン
(5)オーストラリア理学療法士協会ガイドライン
●関連する(連携)パス
1.膝OAに関するパス
2.TKAのパスと理学療法に関するパスの概略
(1)ベッドサイド期(術前,術後1日)
(2)部分・全荷重期(術後2〜7日)
(3)応用歩行・動作獲得期(術後2〜3週,退院)
●エビデンスの適用
1.TKA術後に術創部周辺の運動時痛とROM制限に対する超音波の適応とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の問題点
(3)課題の定式化
(4)情報収集
(5)批判的吟味
(6)患者への適用吟味
(7)理学療法介入
(8)結 果
(9)考察と展望
2.変形性膝関節症に対する足底板の適応とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の問題点
(3)課題の定式化
(4)情報収集および批判的吟味
(5)患者への適用吟味
(6)理学療法介入
(7)結 果
(8)考察と展望
●おわりに
7 頸髄症 (樋口大輔)
●はじめに
1.病 態
(1)定 義
(2)圧迫要因と好発部位
2.症 状
(1)運動障害
(2)感覚障害
(3)膀胱直腸障害
(4)その他の障害
3.経 過
(1)生命予後
(2)機能予後
(3)病理学的進展様式
●関連するシステマティック・レビュー
1.保存療法の効果および経過
2.手術療法の効果および経過
(1)心身機能・構造
(2)活動・参加
(3)機能予後の予測因子
3.理学療法を含む術後療法の可能性
●関連する診療ガイドライン
1.診 断
2.治 療
(1)保存療法
(2)手 術
●関連する(連携)パス
1.病院Aにおけるパス
2.病院間でのパスの比較
(1)術 前
(2)術後早期
(3)離床時期
(4)理学療法の進め方
3.パス上での理学療法の詳細な流れ
(1)理学療法の目的
(2)理学療法評価
(3)理学療法介入
●エビデンスの適用
1.トレッドミル歩行練習の適用とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
2.感覚再教育の適用とその効果
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
●おわりに
8 関節リウマチ (阿部敏彦)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.運動と動作
2.物理療法
(1)温熱療法
(2)電気療法
(3)レーザー療法
(4)温泉療法
3.装 具
(1)特製靴とインソール
(2)頸椎装具
4.関節保護
5.患者教育
6.多職種によるチームケア
●関連する診療ガイドライン
1.治療のガイドライン
2.日本におけるRA治療ガイドライン
3.RA治療の概略と治療目標
4.RA患者の初期評価と治療の開始
5.経過観察と疾患活動性の評価
6.手術の方法と治療プラン
(1)上肢の手術療法
(2)下肢の手術療法
(3)頸椎の手術療法
7.理学療法の実際
(1)目的と基本的な考え方
(2)病状把握と障害評価
(3)理学療法の種類と適応
8.装具療法(頸椎および下肢関節)の実際
9.家庭におけるリハビリテーション
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.RA患者に対するTKA施行後の膝機能回復および実用歩行獲得における他関節手術の影響
(1)目 的
(2)対象と方法
(3)結 果
(4)考 察
2.RA患者に対する人工肘関節形成術の理学療法-関節可動域の推移
(1)目 的
(2)対象と方法
(3)結 果
(4)考 察
●おわりに
9 腰痛症 (伊藤俊一・隈元庸夫)
●はじめに
1.病態の定義
2.腰痛をきたすおもな整形外科疾患の症状
(1)主な疾患の症状
(2)運動障害・知覚障害
3.経 過
(1)急性腰痛
(2)慢性腰痛
●関連するシステマティック・レビュー
1.診 断
2.評 価
(1)Waddel sign
(2)Red flagsとYellow flags
(3)pain drawings
(4)VAS
(5)SF-36
(6)Roland-Morris disability questionnaire(RDQ)およびOswestry disability index(ODI)
(7)SLRテスト
(8)反射検査
3.介 入
(1)急性腰痛
(2)慢性腰痛
●関連する診療ガイドライン
1.最新の腰痛ガイドライン
2.ガイドラインとその効果
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.症例プロフィール
2.担当患者に関する臨床疑問・問題の定式化
3.初期評価
(1)疼 痛
(2)関節可動域テスト
(3)筋力検査
(4)感 覚
(5)反 射
(6)ストレステスト
(7)座位・立位アライメント
(8)ADL
(9)腰痛疾患治療成績判定基準(日整会)
(10)日常生活活動(点)
(11)QOL
(12)その他
4.問題点
5.プログラム
6.ゴール
7.経 過
8.最終評価(開始4週後)理学療法終了時結果
9.考 察
●おわりに
【循環器系】
10 狭心症・心筋梗塞 (高橋哲也)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.O'Connorらのシステマティック・レビュー
2.Jolliffeらのシステマティック・レビュー
3.Taylorらのシステマティック・レビュー
4.運動療法以外の効果についてのシステマティック・レビュー
5.まとめ
●関連する診療ガイドライン
1.運動療法の適応と禁忌
2.リスクの層別化
3.運動療法の実際1(有酸素運動)
4.運動療法の実際2(レジスタンストレーニング)
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.症例紹介
2.エビデンスの適用
3.経 過
●おわりに
11 慢性心不全 (松永篤彦・松本卓也)
●はじめに
1.病 態
(1)定義(心不全とは)
(2)心不全のステージ
(3)生活機能制限(NYHAの機能分類,運動耐容能低下の機序)
2.心不全に対する理学療法介入のポイント
●関連するシステマティック・レビュー
1.運動療法に関するエビデンス
(1)運動療法の適応基準
(2)運動処方(運動の種類,運動強度および頻度)に関するエビデンス
(3)運動療法の効果に関するエビデンス
2.疾患管理(食事指導,運動指導,服薬指導など)に関するエビデンス
●関連する診療ガイドライン
1.慢性心不全の病態と診断
(1)総 論
(2)心機能不全診断の実際
(3)神経体液因子
(4)末梢循環障害
(5)活動能力(運動能力)
(6)増悪因子
2.慢性心不全の治療
(1)一般管理(疾患管理)
(2)薬物治療
(3)非薬物治療
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.入院期における間歇的トレーニングの適応と効果
(1)症例紹介
(2)介入時における医学的情報と理学療法評価の統合と解釈
(3)問題点の整理
(4)課題の定式化とエビデンスの適用
(5)結 果
(6)考 察
●おわりに
12 大血管・末梢血管疾患 (渡辺 敏)
≪大血管疾患≫
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
●おわりに
≪末梢血管疾患≫
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
●おわりに
【呼吸器系】
13 慢性呼吸不全 (神津 玲)
●はじめに
1.概 念
(1)定 義
(2)基礎疾患
(3)疫 学
2.臨床症状と病態
(1)換気障害
(2)ガス交換障害
(3)心循環系障害
(4)病的呼吸困難
(5)骨格筋機能障害
3.治療と予後
(1)治療方針
(2)予 後
●関連するシステマティック・レビュー
1.慢性呼吸不全患者の治療と管理における理学療法の位置づけと意義
2.運動療法
(1)持久力トレーニング
(2)筋力トレーニング
(3)運動療法の補助的手段
3.コンディショニング
(1)呼吸練習
(2)呼吸筋トレーニング
(3)気道クリアランス法
(4)胸郭可動域練習
●関連する診療ガイドライン
1.慢性呼吸不全に対する診療ガイドラインの現況
2.理学療法の適応
3.評 価
4.治療介入の実際
(1)コンディショニングの方法論と進め方
(2)運動療法の進め方
(3)運動療法の補助的手段
(4)呼吸リハビリテーションプログラムにおけるその他の手段
(5)導入プログラム後のフォローアップ
5.アウトカムへの影響
6.COPD以外の慢性呼吸器疾患における効果
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.呼吸困難の著明なCOPD患者に対するコンディショニングの適応とその効果
(1)症例紹介
(2)主な問題点
(3)問題の定式化,情報収集および批判的吟味と症例への適用
(4)結果と考察
2.高度のEIHを呈するCOPD患者に対する運動時酸素投与の適応とその効果
(1)症例紹介
(2)主な問題点
(3)問題の定式化,情報収集および批判的吟味と症例への適用
(4)結果と考察
●おわりに
【代謝系】
14 糖尿病 (石黒友康)
●はじめに
1.わが国の糖尿病の実態
2.糖尿病の治療・予防
3.糖尿病と理学療法とのかかわり
●関連するシステマティック・レビュー
1.糖尿病に対する運動療法
2.運動療法の効果
3.運動療法の実際
4.糖尿病予防としての運動の効果
(1)The 6-year Malmo feasibility study
(2)Nurses' Health Study
(3)Da Qing IGT and Diabetes Study
(4)Diabetes Prevention Study(DPP)
5.合併症がある糖尿病患者の運動療法
(1)糖尿病網膜症と運動療法
(2)糖尿病腎症と運動療法
(3)糖尿病神経障害と運動療法
(4)血糖コントロール不良時の運動療法
6.運動療法の理論的根拠
(1)身体運動と糖代謝
(2)運動時骨格筋の糖取り込み
●関連する診療ガイドライン
(1)運動療法の開始
(2)2型糖尿病における運動療法
(3)1型糖尿病における運動療法
(4)合併症などがある患者における運動療法
(5)薬物治療中の糖尿病患者における運動療法
(6)糖尿病患者の運動療法における一般的な注意
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.糖尿病足病変に対する理学療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
2.神経障害を有する患者の理学療法
(1)症例紹介
(2)症例の主な課題
(3)課題の定式化,情報収集とその適用
(4)結 果
(5)考 察
●おわりに
【虚弱高齢者】
15 虚弱高齢者 (大渕修一)
●はじめに
1.虚弱高齢者の定義
2.Lawtonの高齢者の能力分類を用いた定義
3.虚弱高齢者の特徴
●関連するシステマティック・レビュー
1.運動器の機能低下に対するシステマティック・レビュー
2.尿失禁に対する運動療法のシステマティック・レビュー
●関連する診療ガイドライン
1.変形性関節症
2.尿失禁
(1)行動療法
(2)膀胱練習
(3)骨盤底筋リハビリテーション
●関連する(連携)パス
●エビデンスの適用
1.コンディショニング期
2.筋力増強期
3.機能的トレーニング期
4.効 果
●おわりに
Part2 症状別
1 関節可動域 (板場英行)
●はじめに
●関連するシステマティック・レビュー
1.関節固定・不動による組織変化と治療理論
2.関節可動制限に対するストレッチングの意義と効果
3.関節可動制限に対する関節モビライゼーションのエビデンス
4.関節可動域に対する物理療法のエビデンス
5.関節可動に対する持続的他動運動のエビデンス
6.関節可動運動反復回数のエビデンス
●関連する治療ガイドライン
1.運動機能障害とは?
2.発症から時間的経過による治療目的と治療手段のあり方は?
3.関節可動治療時の痛みは必発か?
4.臨床における機能的無痛可動域の意義は?
5.関節可動治療の方向は制限側が有効か?
6.関節モビライゼーションのあり方は?
7.運動病理学的モデルによる障害把握がなぜ必要か?
8.運動を制御,認知する能力低下改善の重要性は?
9.関節可動治療のフローチャートは?
●関節可動障害治療における現状の課題と展望
2 筋 力 (岡西哲夫)
●はじめに
●筋力とは何か
●エビデンスに基づく筋力のとらえ方
●高齢者の筋力介入の目的とは何か
1.エビデンスの歴史的意義と帰結予測
2.高齢者の筋力介入に関するRCTの吟味
3.鍛えられた筋力は何のために使用されるのか
●高齢者の筋力と機能・活動とはどのように関連しているのか
●高齢者の活動にとって効果的な介入とは何なのか
1.パワーの介入効果について
2.課題志向的アプローチの効果
●まとめ
3 持久性 (有薗信一)
●はじめに
●運動習慣がない人,持久性が低い人の持久性
1.エビデンス
(1)持久性
(2)持久性に対するトレーニングの方法のエビデンス
2.ガイドライン
3.ACSMのガイドラインによる介入方法
4.運動療法
(1)ウォームアップ
(2)運動療法
(3)持久力トレーニング
(4)レクリエーション
(5)クールダウン
(6)エネルギーの消費目標
(7)プログラムの進行速度
●心疾患の持久性
1.心疾患の持久性に対する運動療法のエビデンス
2.ガイドライン
3.ガイドラインによる介入方法
(1)強 度
(2)時 間
(3)頻 度
(4)進 行
●呼吸器疾患の持久性
1.呼吸器疾患の持久性に対する運動療法のエビデンス
2.ガイドライン
3.ガイドラインによる介入方法
(1)呼吸リハビリテーションマニュアル
(2)GOLD
●脳血管障害患者の持久性
1.脳卒中の持久性に対する運動療法のエビデンス
2.ガイドラインとガイドラインによる介入方法
(1)運動療法のゴール
(2)強 度
(3)時 間
(4)頻 度
(5)運動の種類
●高齢者の持久性
1.ガイドラインとガイドラインによる介入方法
(1)強 度
(2)時 間
(3)頻 度
(4)進 行
(5)疾患などを有する場合の考慮する点
●現状の課題と展望
4 バランス (望月 久)
●バランスのとらえかた
●バランス改善に対する運動療法介入のエビデンス
1.Provinceらによるレビュー:FICSTの事前メタ分析(1995)
2.Best Practice Guide for the Prevention of Falls among Seniors Living in the Community,Canada(2001)
3.高齢者の転倒予防に対する介入についてのCochrane Review,2003
4.Changらによるレビュー(2004)
5.高齢者のバランス能力改善に対する運動療法についてのCochrane Review,2007
6.高齢者の転倒予防やバランス能力改善についての運動療法アプローチ
●バランス改善に対する理学療法の考え方や理論的背景
1.運動課題の難易度と効果の課題特異性
2.反射・階層理論に基づくアプローチ
3.システム理論に基づくアプローチ
4.課題志向型アプローチ
5.認知-運動的アプローチ
6.適応的または外部調整的アプローチ
●バランスに関する現状の課題と展望
5 歩 行 (橋立博幸)
●はじめに
●歩行練習方法と理学療法の介入効果の評価と介入の実際
●脳卒中歩行障害に対する介入効果
1.下肢筋力増強運動
2.トレッドミル歩行
3.部分免荷トレッドミル歩行
4.バイオフィードバック療法
●その他の疾患の歩行障害に対する理学療法介入
1.パーキンソン病
2.脊髄損傷
3.大腿骨頸部・転子部骨折
●課題と展望
6 嚥 下 (吉田 剛)
●はじめに
●日本の脳卒中治療ガイドライン2004にみる嚥下障害に対するリハビリテーションのエビデンスと現状との乖離
1.評 価
2.取り組み方法
3.栄養摂取方法
4.治療方法
5.その他
●嚥下分野で筋力強化に焦点を当てた最新レビュー
1.舌筋力強化
2.呼吸筋筋力強化
3.努力嚥下
4.食塊濃度(粘性)の調整
5.メンデルソン手技
6.舌突出嚥下
7.頭部挙上練習(Shaker法:舌骨上筋強化法)
8.動的課題,機能的課題,機能予備能の必要性
9.PAP
10.Lee Silverman Voice Treatment(LSVT)
●理学療法士が行った介入研究
●嚥下運動障害の病態についての研究データ
1.頸部との関係
(1)Stambolis Vらのデータ
(2)筆者らの未発表データ
2.病期による特徴
3.姿勢および嚥下運動阻害因子と嚥下障害重症度との関係
(1)舌運動に影響を与える姿勢および頸部条件
(2)CVDによる嚥下運動障害と運動機能との関係
●嚥下に対する理学療法介入として選択することが薦められる治療は?
1.嚥下反射促通
(1)感覚障害の評価と治療
(2)機能的口腔ケア
(3)嚥下反射誘発手技
2.喉頭挙上運動
(1)筋力強化
(2)保持収縮
(3)課題志向型アプローチ
(4)電気刺激療法
(5)喉頭運動阻害因子へのアプローチ
3.舌運動
4.構音課題を用いた嚥下障害への課題志向型アプローチ
5.呼吸理学療法
●現状の課題と展望
7 疼 痛 (鈴木重行)
●痛 み
●痛みの評価の困難性
●疼痛に対する理学療法研究の評価尺度
1.研究集団
2.介 入
3.効 果
4.データ処理
●疼痛に対する理学療法の介入効果
1.運動療法
2.物理療法
(1)温熱療法
(2)超音波療法
(3)レーザー光線療法
(4)電気刺激療法
(5)牽引療法
●腰痛管理のガイドライン
1.急性腰痛(4週以内)
2.亜急性腰痛(4〜12週)
3.慢性腰痛(12週以上)
●まとめ
8 痙縮・痙縮筋 (松田 梢)
●はじめに
1.痙縮とは
2.理学療法における痙縮概念に対する歴史的変遷
●理学療法の介入効果
1.ストレッチング・ポジショニング
2.物理療法
(1)温熱療法
(2)寒冷療法
(3)電気刺激療法
3.運動療法
(1)筋力増強運動
(2)有酸素運動
4.装具療法
(1)上肢装具
(2)機能的装具
(3)下肢装具
5.薬物療法
●現状の課題と展望
1.筋力増強運動は痙縮を悪化させるのか?
2.まとめ
IV エビデンスの作成 一層の活用のために
1 理学療法における帰結評価 (小林 武)
1 理学療法における帰結評価とICF
2 変数と測定
1.直接測定による帰結評価
2.間接測定による帰結評価
3 ICFに沿った帰結評価
1.健康状態(変調または病気)
2.心身機能・身体構造(機能障害)
(1)体 格
(2)柔軟性
(3)運動機能
(4)呼吸・循環
(5)嚥 下
(6)痛 み
(7)高次脳機能
(8)発 達
3.活動と参加(活動制限と参加制約)
(1)バランス
(2)上肢機能
(3)起居・移乗・移動動作
(4)歩 行
(5)ADL
(6)handicap
4.健康観・QOL
(1)包括的尺度
(2)主観的幸福感・生活満足度
(3)疾患特異的QOL尺度
4 おわりに
2 RCT研究 (島田裕之)
1 なぜRCTが必要なのか?
2 なぜ理学療法分野においてRCTが行われにくいのか?
3 RCTは最終段階で実施する
4 研究計画立案において留意する点
1.目的の明確化
2.対象の選択
3.割り付け方法
4.盲検化
5.症例数
6.解 析
5 RCTによる研究実施タイムスケジュール
1.ステップ1:研究計画
2.ステップ2:研究資源の獲得
3.ステップ3:倫理的問題の審査
4.ステップ4:スタッフの調整
5.ステップ5〜11:研究の実施
6.ステップ12:報告書,論文作成
6 結果の分析と提示
3 シングルケーススタディ (石倉 隆)
1 シングルケーススタディの意義
2 シングルケーススタディ実施のポイント
1.独立変数の選択
2.従属変数の選択
(1)妥当性・客観性
(2)敏感性
(3)現実性
3.第1基礎水準測定期とその期間
4.操作導入期と従属変数測定間隔
5.第2基礎水準測定期とその解釈
6.測定結果の分析
7.研究結果の一般化
3 基本的なシングルケーススタディのデザイン
1.反復型実験計画-ABAB型デザイン
2.非反復型実験計画-AB型デザイン
4 シングルケーススタディの研究計画-AB型デザインの実例をとおして
1.仮説の設定
2.デザインの選択
3.独立変数と従属変数の選択
4.従属変数測定間隔の設定
5.基礎水準測定期の期間
6.操作導入期の開始と期間
5 シングルケーススタディの実行-AB型デザインの実例をとおして
1.基礎水準測定期の従属変数測定
2.操作導入期の従属変数測定
3.測定結果の分析
4 臨床疫学に関する統計 (平岡浩一)
1 臨床疫学とは
2 臨床疫学データの一般的な統計処理
3 検査測定値の統計的検証
1.信頼性
2.妥当性
3.反応性
4 治療効果判定
1.RCT
2.メタ分析
3.メタ分析によるシステマティック・レビュー599
5 予後予測
1.多変量解析による予後予測
2.予後予測の実例
6 リハビリテーション介入の効率に関する統計的検証
7 まとめ
索 引