序文
この教科書は,言語聴覚士を目指す皆さんに人体のつくり(構造)とはたらき(機能)を学んでいただくために用意したものです.言語聴覚士は,医師やその他の医療従事者と共に,患者さんの言語や聴覚に関係した症状をやわらげ,日常生活あるいは社会生活を営んでいくうえでの障害を取り除くことが仕事です.多くの患者さんは言語に関する症状以外にも,病気から生じる様々な悩みを抱えています.また,言語とは一見関係のないようなからだの部分の異常から,言語に関する症状が出ていることもあるでしょう.
したがって,言語聴覚士は言語だけを扱っていればよいのではなく,患者さんの全身の状態を理解したうえで,医療の一翼を担っていかなければなりません.本書はそのために,からだのなかの言語に関係する部分をある程度詳しく扱うと同時に,それ以外の部分についても広く解説し,からだ全体のつくりとはたらきが見渡せるように,構成を考えました.
また,図表や箇条書きで済ませるのではなく,できる限り内容を文章で表現して,様々な器官が互いにどのように関係しあっているかを,順を追って学べるように記述しました.授業では時間に制約があって,先生にすべての内容を説明してもらえるとは限りません.そうしたときでも自分で残りの部分を補って,全体像を捉えていただければと思います.
各章の最後にある確認問題は,本文や図を参照すれば必ず解答できるようになっています.穴埋め問題は正解を巻末(188 ページ)に掲載しましたが,説明問題はあえて模範解答を示していません.どの程度詳しく調べて説明するか,またどのような順序でまとめるか,正しい答えが一通りとは限りません.本文中の該当個所を探すだけでなく,参考文献も調べて自分なりの解答をつくってください.
本書は言語聴覚士への勉強の最初のステップに過ぎません.全身のしくみを理解したうえで,本シリーズの他の教科書を参考に,さらに深く学んでいただくよう願っています.
本書をつくるにあたり,防衛医科大学校解剖学講座の松井利康博士には全章に目を通して数多くのご意見をいただき,文章や図を理解しやすく修正することができました.編集担当者には何年にもわたって根気よくお付き合いいただき,共に本書をつくっていただきました.この場を借りてお礼を申し上げます.
2014年11月
小林 靖
この教科書は,言語聴覚士を目指す皆さんに人体のつくり(構造)とはたらき(機能)を学んでいただくために用意したものです.言語聴覚士は,医師やその他の医療従事者と共に,患者さんの言語や聴覚に関係した症状をやわらげ,日常生活あるいは社会生活を営んでいくうえでの障害を取り除くことが仕事です.多くの患者さんは言語に関する症状以外にも,病気から生じる様々な悩みを抱えています.また,言語とは一見関係のないようなからだの部分の異常から,言語に関する症状が出ていることもあるでしょう.
したがって,言語聴覚士は言語だけを扱っていればよいのではなく,患者さんの全身の状態を理解したうえで,医療の一翼を担っていかなければなりません.本書はそのために,からだのなかの言語に関係する部分をある程度詳しく扱うと同時に,それ以外の部分についても広く解説し,からだ全体のつくりとはたらきが見渡せるように,構成を考えました.
また,図表や箇条書きで済ませるのではなく,できる限り内容を文章で表現して,様々な器官が互いにどのように関係しあっているかを,順を追って学べるように記述しました.授業では時間に制約があって,先生にすべての内容を説明してもらえるとは限りません.そうしたときでも自分で残りの部分を補って,全体像を捉えていただければと思います.
各章の最後にある確認問題は,本文や図を参照すれば必ず解答できるようになっています.穴埋め問題は正解を巻末(188 ページ)に掲載しましたが,説明問題はあえて模範解答を示していません.どの程度詳しく調べて説明するか,またどのような順序でまとめるか,正しい答えが一通りとは限りません.本文中の該当個所を探すだけでなく,参考文献も調べて自分なりの解答をつくってください.
本書は言語聴覚士への勉強の最初のステップに過ぎません.全身のしくみを理解したうえで,本シリーズの他の教科書を参考に,さらに深く学んでいただくよう願っています.
本書をつくるにあたり,防衛医科大学校解剖学講座の松井利康博士には全章に目を通して数多くのご意見をいただき,文章や図を理解しやすく修正することができました.編集担当者には何年にもわたって根気よくお付き合いいただき,共に本書をつくっていただきました.この場を借りてお礼を申し上げます.
2014年11月
小林 靖
第1章 からだの構造と機能の基本
1 人,人間,人類,ヒト
2 構造と機能
3 人体の階層性
4 人体を構成する分子
5 細胞
1 細胞膜 2 核 3 リボソーム 4 小胞体 5 ゴルジ装置
6 リソソーム 7 細胞骨格 8 線毛 9 鞭毛 10 中心小体
11 微絨毛 12 接着装置
6 遺伝子とその発現
7 細胞の分裂
8 細胞の興奮
9 組織とそのはたらき
1 上皮組織 2 支持組織 3 筋組織 4 神経組織
10 基本的な用語
第2章 骨格系
1 骨格系のはたらき
2 全身の骨格
3 骨の構造
4 骨の連結
1 不動性連結 2 可動性連結
5 体幹の骨
1 脊柱 2 その他の椎骨の特徴 3 肋骨 4 胸骨 5 胸郭
6 上肢の骨
1 上肢帯の骨 2 上腕と前腕の骨 3 手の骨
7 下肢の骨
1 下肢帯の骨 2 大腿と下腿の骨 3 足の骨
8 頭蓋
1 頭蓋を構成する骨 2 頭蓋腔とその内外を結ぶ孔 3 眼窩
4 鼻腔・副鼻腔と口腔
第3章 筋 系
1 骨格筋のはたらき
2 骨格筋の構造
3 速筋と遅筋
4 筋収縮の種類
5 筋系の付属器官
6 体幹の筋
7 上肢の筋
8 下肢の筋
9 頭頸部の筋
第4章 循環器系
1 体循環と肺循環
2 心臓の基本構造
3 冠状動脈(冠動脈)と心臓静脈
4 刺激伝導系
5 心周期
6 心電図
7 血管の構造と機能
1 動脈,静脈,毛細血管の特徴 2 血圧
8 循環の調節
9 全身に分布する動脈
10 全身に分布する静脈
11 胎児期の血液循環
12 リンパ系
1 リンパ管 2 リンパ節 3 リンパ本幹と胸管
13 脾臓
第5章 血液と免疫系
1 血液のはたらき
2 血液の成分
1 血球・血漿・血清 2 血球の分類とその由来
3 赤血球と酸素の運搬
4 血漿の成分
5 血漿と二酸化炭素の輸送
6 血小板と血液の凝固
7 白血球と免疫機能
1 顆粒球のはたらき 2 単球とマクロファージのはたらき
3 リンパ球のはたらき 4 サイトカイン
8 リンパ節
9 胸腺
第6章 呼吸器系
1 呼吸器系のはたらき
2 呼吸器系の器官
3 鼻
4 咽頭
5 喉頭
1 喉頭とは 2 喉頭の軟骨 3 喉頭の筋 4 喉頭の神経支配
6 気管と気管支
7 肺
1 肺の外形と区分 2 ガス交換
8 呼吸運動
9 気道と換気
10 胸膜
第7章 消化器系
1 消化器系のはたらき
2 消化器系の器官
3 消化管の基本構造
4 口
1 口腔 2 歯 3 舌 4 唾液腺
5 咽頭
6 食道
7 胃
8 小腸
1 十二指腸 2 空腸と回腸
9 大腸
1 盲腸 2 結腸 3 直腸
10 肝臓
11 胆汁の経路と作用
12 膵臓
13 腹膜と腹膜腔
第8章 泌尿器系
1 泌尿器系のはたらき
2 泌尿器系の器官
3 体内の液体の組成
4 腎臓
1 腎臓の位置と外景 2 腎臓の内部構造 3 腎小体 4 尿細管
5 対向流系の作用 6 集合管 7 腎臓の血管
8 尿量と体液量の調節 9 エリスロポエチン
5 尿管
6 膀胱
7 尿道
第9章 生殖器系
1 生殖器系のはたらき
2 生殖器系の器官
3 減数分裂
4 男性生殖器
1 精巣 2 精巣上体 3 精管 4 精嚢 5 前立腺
6 尿道球腺 7 外生殖器 8 精子の貯蔵と射精
5 女性生殖器
1 卵巣 2 卵管 3 子宮 4 腟 5 外生殖器
6 乳房と乳腺
7 女性の性周期
8 個体発生
第10章 内分泌系
1 内分泌系のはたらき
2 内分泌系の器官
3 下垂体
4 視床下部
5 松果体
6 甲状腺
7 副甲状腺(上皮小体)
8 副腎
9 膵臓
10 性腺(精巣と卵巣)
11 消化管
12 その他
第11章 感覚器系
1 感覚器系のはたらき
1 感覚種 2 閾値と感覚強度 3 順応性 4 感覚神経
2 嗅覚
3 皮膚感覚
1 皮膚の構造 2 皮膚感覚
4 固有感覚
5 視覚
1 光刺激 2 眼球 3 焦点の調節と異常 4 色覚異常
5 眼球付属器
6 聴覚と平衡感覚
1 外耳・中耳・内耳 2 前庭と半規管 3 蝸牛
7 味覚
第12章 神経系
1 神経系のはたらき
2 神経系の部分
3 神経系を構成する細胞
1 神経細胞 2 支持細胞
4 神経細胞の興奮
1 膜電位 2 興奮の伝導 3 興奮の伝達
5 脳と脊髄の区分
6 脊髄の構造
7 脊髄神経
8 反射
9 脳幹
10 脳神経
11 小脳
12 間脳
13 終脳
1 大脳基底核 2 大脳皮質 3 一次感覚野と連合野
4 連合野と海馬 5 連合野と運動野
14 感覚の伝導路
1 皮膚感覚の伝導路 2 視覚の伝導路 3 聴覚の伝導路
15 随意運動の伝導路
16 脳波と睡眠
17 自律神経系
18 髄膜と脳室
文献
確認問題の正解
サイドメモ
浸透圧
内分泌細胞の腫瘍
和文索引
欧文索引
1 人,人間,人類,ヒト
2 構造と機能
3 人体の階層性
4 人体を構成する分子
5 細胞
1 細胞膜 2 核 3 リボソーム 4 小胞体 5 ゴルジ装置
6 リソソーム 7 細胞骨格 8 線毛 9 鞭毛 10 中心小体
11 微絨毛 12 接着装置
6 遺伝子とその発現
7 細胞の分裂
8 細胞の興奮
9 組織とそのはたらき
1 上皮組織 2 支持組織 3 筋組織 4 神経組織
10 基本的な用語
第2章 骨格系
1 骨格系のはたらき
2 全身の骨格
3 骨の構造
4 骨の連結
1 不動性連結 2 可動性連結
5 体幹の骨
1 脊柱 2 その他の椎骨の特徴 3 肋骨 4 胸骨 5 胸郭
6 上肢の骨
1 上肢帯の骨 2 上腕と前腕の骨 3 手の骨
7 下肢の骨
1 下肢帯の骨 2 大腿と下腿の骨 3 足の骨
8 頭蓋
1 頭蓋を構成する骨 2 頭蓋腔とその内外を結ぶ孔 3 眼窩
4 鼻腔・副鼻腔と口腔
第3章 筋 系
1 骨格筋のはたらき
2 骨格筋の構造
3 速筋と遅筋
4 筋収縮の種類
5 筋系の付属器官
6 体幹の筋
7 上肢の筋
8 下肢の筋
9 頭頸部の筋
第4章 循環器系
1 体循環と肺循環
2 心臓の基本構造
3 冠状動脈(冠動脈)と心臓静脈
4 刺激伝導系
5 心周期
6 心電図
7 血管の構造と機能
1 動脈,静脈,毛細血管の特徴 2 血圧
8 循環の調節
9 全身に分布する動脈
10 全身に分布する静脈
11 胎児期の血液循環
12 リンパ系
1 リンパ管 2 リンパ節 3 リンパ本幹と胸管
13 脾臓
第5章 血液と免疫系
1 血液のはたらき
2 血液の成分
1 血球・血漿・血清 2 血球の分類とその由来
3 赤血球と酸素の運搬
4 血漿の成分
5 血漿と二酸化炭素の輸送
6 血小板と血液の凝固
7 白血球と免疫機能
1 顆粒球のはたらき 2 単球とマクロファージのはたらき
3 リンパ球のはたらき 4 サイトカイン
8 リンパ節
9 胸腺
第6章 呼吸器系
1 呼吸器系のはたらき
2 呼吸器系の器官
3 鼻
4 咽頭
5 喉頭
1 喉頭とは 2 喉頭の軟骨 3 喉頭の筋 4 喉頭の神経支配
6 気管と気管支
7 肺
1 肺の外形と区分 2 ガス交換
8 呼吸運動
9 気道と換気
10 胸膜
第7章 消化器系
1 消化器系のはたらき
2 消化器系の器官
3 消化管の基本構造
4 口
1 口腔 2 歯 3 舌 4 唾液腺
5 咽頭
6 食道
7 胃
8 小腸
1 十二指腸 2 空腸と回腸
9 大腸
1 盲腸 2 結腸 3 直腸
10 肝臓
11 胆汁の経路と作用
12 膵臓
13 腹膜と腹膜腔
第8章 泌尿器系
1 泌尿器系のはたらき
2 泌尿器系の器官
3 体内の液体の組成
4 腎臓
1 腎臓の位置と外景 2 腎臓の内部構造 3 腎小体 4 尿細管
5 対向流系の作用 6 集合管 7 腎臓の血管
8 尿量と体液量の調節 9 エリスロポエチン
5 尿管
6 膀胱
7 尿道
第9章 生殖器系
1 生殖器系のはたらき
2 生殖器系の器官
3 減数分裂
4 男性生殖器
1 精巣 2 精巣上体 3 精管 4 精嚢 5 前立腺
6 尿道球腺 7 外生殖器 8 精子の貯蔵と射精
5 女性生殖器
1 卵巣 2 卵管 3 子宮 4 腟 5 外生殖器
6 乳房と乳腺
7 女性の性周期
8 個体発生
第10章 内分泌系
1 内分泌系のはたらき
2 内分泌系の器官
3 下垂体
4 視床下部
5 松果体
6 甲状腺
7 副甲状腺(上皮小体)
8 副腎
9 膵臓
10 性腺(精巣と卵巣)
11 消化管
12 その他
第11章 感覚器系
1 感覚器系のはたらき
1 感覚種 2 閾値と感覚強度 3 順応性 4 感覚神経
2 嗅覚
3 皮膚感覚
1 皮膚の構造 2 皮膚感覚
4 固有感覚
5 視覚
1 光刺激 2 眼球 3 焦点の調節と異常 4 色覚異常
5 眼球付属器
6 聴覚と平衡感覚
1 外耳・中耳・内耳 2 前庭と半規管 3 蝸牛
7 味覚
第12章 神経系
1 神経系のはたらき
2 神経系の部分
3 神経系を構成する細胞
1 神経細胞 2 支持細胞
4 神経細胞の興奮
1 膜電位 2 興奮の伝導 3 興奮の伝達
5 脳と脊髄の区分
6 脊髄の構造
7 脊髄神経
8 反射
9 脳幹
10 脳神経
11 小脳
12 間脳
13 終脳
1 大脳基底核 2 大脳皮質 3 一次感覚野と連合野
4 連合野と海馬 5 連合野と運動野
14 感覚の伝導路
1 皮膚感覚の伝導路 2 視覚の伝導路 3 聴覚の伝導路
15 随意運動の伝導路
16 脳波と睡眠
17 自律神経系
18 髄膜と脳室
文献
確認問題の正解
サイドメモ
浸透圧
内分泌細胞の腫瘍
和文索引
欧文索引