やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

日本語版に寄せて

 私はわくわくしながら自分の教科書であるEndoscopic Evaluation and Treatment of Dysphagiaの日本語版への序文を書いています.私の本が「翻訳に値する内容である」とされたことは大変名誉なことです.なぜなら翻訳作業は非常に苦労の多い仕事だからです.……本当に大変でした!私は藤島先生から「Pepto Bismolとは何ですか?薬ですか?ソーダ水ですか?それとも……?」とか「sippy cupはどのような形をしていますか?」という質問をされたことを思い出すとクスクス笑ってしまいます.通俗的な本を書こうとしたつもりはないのですが,ついアメリカの俗語を使ってしまっていたのです.
 さて,日本の皆様は嚥下障害の領域でいつも重要な仕事をしておられます.私はこの日本語版が良い刺激となって嚥下障害患者さんの評価と治療にもっと内視鏡が利用されるようになることを願っています.
 私の臨床では内視鏡は不可欠なものとなっています.私は内視鏡で多くの患者さんを観察することにより,正常な嚥下,嚥下障害,喉頭機能,気道防御などたくさんのことを学んできました.そしてFEESは世界中で使用されるようになり,今や嚥下障害の臨床において標準の手技となっています.内視鏡は,解剖学的構造を直接目で見ることができ,嚥下機能を洞察する際に役立つということが,耳鼻咽喉科医,言語治療士,歯科医師や他の専門家によって認められています.臨床家と研究者は違う分野でありながら,内視鏡検査を共有することによって今までよりももっと協力して仕事をするようになってきています.日本の皆様の間にもFEESがもっと広まり,同じように臨床と基礎の研究協力が進めば良いと思っています.
 私は読者の皆様には,この本を読んで,嚥下と嚥下障害のことを少しでも学んでくださることを期待しています.さらに,もっと大事なこととして,FEESの導入により,皆様がより良い臨床家や研究者になり,多くの患者さんがこの検査から恩恵を受けられるようになることを願ってやみません.
 2002年8月15日
 Susan E.Langmore

訳者の序

 本書は「内視鏡は嚥下障害の評価と治療に不可欠である」というメッセージに貫かれている.まず,手にとるとすぐに多数の内視鏡写真が目に飛び込んできて,咽頭で起こるあらゆる嚥下の様子が視覚的に理解できる.そして,文章をじっくり読めば今まで知らなかった嚥下のメカニズムや嚥下障害の病態整理を詳しく学ぶことができる.我々はこれまでは嚥下造影で嚥下を理解し,病態の解析や治療方針の選択を行ってきたが,もはや「嚥下造影は嚥下障害の唯一のゴールドスタンダードではない」ということも本書を読めばわかってくる.嚥下造影と内視鏡の比較が随所で行われ,両者は互いに補完しあう検査であるとされている.数年前から日本でも嚥下の内視鏡検査が行われているが,本書のように内視鏡を徹底的に用いて嚥下障害を評価し,治療につなげるような試みはなされてこなかった.この本の出現は日本の嚥下障害の評価と治療の体系を変える可能性を感じさせる.
 本書はサンフランシスコ大学のSuzan E.Langmore先生によって執筆,編集されたものである.先生は昨年(2001)の日本摂食・嚥下リハビリテーション学会にGuest Speakerとして来日され,嚥下障害におけるEBMについて講演された.さらに引き続いて本年(2002)の同学会で嚥下障害の内視鏡検査(FEES)についてご講演いただくことになっている.この時期に合わせて翻訳を出版できることは訳者らにとって大きな喜びであるとともに,FEESを理解するためにたいへん好都合であると思われる.少しでも多くの方に嚥下障害の内視鏡検査を正しく理解していただければ幸いである.
 さて,現状では内視鏡も嚥下造影もどちらかというと悪いところを発見するための検査(診断的検査)として使用されることが多い.そもそも医学において検査の位置づけは「病気を診断するため」であることが多いため,医師はどうしても,疾病診断(病名を決める)ないし,機能診断(どこが悪いかを決める)を重視する傾向にある.しかし,嚥下障害の治療の場合,特にリハビリテーション的視点に立つとこれでは不十分である.具体的にどこがどのように悪いかを診断した後に,「どのようにすれば良いか」を検査し,どの方法がもっとも効果的かを評価しなければならない.これは治療的検査と呼ばれる.最近,嚥下造影では治療的検査が大切であると強調されることが多くなったが,全く同じことが嚥下の内視鏡検査についてもいえるのであり,この本を読むとそのことがよく理解できる.
 Suzan E.Langmore先生はSpeech Language Pathologist(米国の言語治療士,SLP)である.内視鏡の欠点である嚥下の瞬間が見えないことに対して,SLPの知識と技術を駆使し,「嚥下をしない課題」(発声や舌の運動課題などの非嚥下課題)を用いて咽頭,喉頭の機能評価を行うことでその欠点を補っている.本書は内視鏡を実際に用いて嚥下障害の診療を行っている医師が訳を分担して行ったが,非嚥下課題によって嚥下に関して多くの情報が得られることを知ったことは大きな驚きであった.本書ではFEESには必ずSLPが同席する必要があると明言されている.本邦でも言語聴覚士の方々が嚥下障害の治療に熱心に取り組んでおられるが,本書によって嚥下内視鏡の知識に精通して,検査をする医師の強力なパートナーとなってくださることを切望する.
 なお,出版社のご厚意で日本語版(本書)の価格は原著(約96ドル)に比べてかなり安く設定することが出来た.多くの方が手にとって読んで頂ければ幸いである.また,わかりにくい箇所は適宜訳注をつけるようにし,第5章,第6章の評価表は理解を助けるために訳とともに原表をそのまま掲載した.Langmore先生の来日に合わせて急いで翻訳作業を進めたため不十分のところもあると思う.お気づきの点があれば忌憚のないご意見をいただきたい.
 最後になりましたが,翻訳をすすめるに当たり著者のSuzan E.Langmore先生に疑問点をご教示いただき,日本語版への序文をいただきました.綿森淑子先生,金子芳洋先生,川西秀徳先生,小島千枝子先生,刈安誠先生,柴本勇先生には訳語についてご教示いただきました.聖隷三方原病院の嚥下チームの皆様にもいろいろご意見をいただきました.深謝いたします.
 2002年8月藤島一郎

序文

 もし10年前に内視鏡を使って嚥下障害を評価したり管理する本を書いてほしいと頼まれても,私にはその自信がなかったと思う.FEESという略語は1988年に作られ,当初,われわれの復員軍人省病院だけで使用されるものと思っていた.しかし,数年でこの手技は広く受け入れられ,今日では世界中に広まっている.FEESワークショップが定期的に開催され,上級者向けのワークショップも行われようとしている.これらのコースにおける私のテキストは次第に厚くなり一冊の本が書ける量になり,ここにその本が誕生したのである.
 この本はさまざまな分野の臨床家や研究者,学生-特に言語療法と耳鼻咽喉科領域-で,口腔咽頭嚥下障害の患者を評価し治療するために,内視鏡の役割を理解したいと思っている人のために書かれた.このために,しばしば内視鏡の説明を超えて他の手技に言及したり,雑多な病態の嚥下異常に議論が及んでいる.その結果,この本にはタイトルから想像されるよりはるかに多くの正常と異常の嚥下について書いてある.臨床場面で内視鏡を使用しない一部の研究者や臨床家のなかには,この手技には限界があり,解剖学的構造や声帯機能を直接評価することには有用だとしても,その他の点では透視検査より劣っていると考えている.一方,FEESを実際行っている臨床家はこの手技が他の検査に比べて多くの利点と特徴を有していることを理解している.検査中に劇的な所見が見られたり,多数の特徴的な発見があるなどFEESは臨床家にとって大変役に立つ.しかしFEESが透視検査より優れているということがこの本の目的ではない.両者は互いに補完しあうものである.2つの検査はともに価値が高くそれぞれ使用する臨床場面が異なるだけである.透視検査は多くの本で記載されているが,内視鏡については触れられることが少ないためにこの本が必要なのである.
 私にとって幸運だったのは,幅広く嚥下障害の優れた臨床家や研究者が加わって,多くの章を担当してくれたことである.これらの人々の協力でこの本はきわめて充実した.また,言語聴覚士と耳鼻咽喉科医が加わってくれたこともこの本の視野を広くし,医師とそれ以外の職種の読者にも役立つ本になったと思っている.締め切りに向けて格闘してきた結果,著者らは困難をともにした友となり,いまこの本の誕生を楽しみにしている.
 執筆者はそれぞれ専門分野の経験を生かして優れた原稿を書いてくれた.Tim McCullenとDouglas Van DaeleはMcCullen先生自身の原画つきで正常解剖と生理を担当してくれた.彼らは同僚の消化器科医・Satio Rao先生とともに胃食道逆流における喉頭の特徴について短い章を担当してくれた.私の友人であり退役軍人医療センターの同僚である Joe Murrayは内視鏡検査の過程を説明し,どのように内視鏡を操作すれば最良の検査が行えるかを教えてくれた.Steven LederとClarence Sasakiは頭頸部癌の患者およびその気管切開患者においてFEESを用いた研究と臨床経験を説明してくれた.Paul Willing,Claire Miller,Dana Thompson-Link,Colin Rudolphは小児領域におけるFEES使用の先駆者であり,幼児と子どもにおける優れた使用について書いてくれた.高齢者の領域ではCathy Pelletierがナーシングホームの患者への広い経験を書いてくれた.最後にJonathan AvivとSarah Kaplanと私が嚥下評価に使用する内視鏡の安全性に関する研究と文献の解説を行った.Aviv先生は私と一緒にFEESの補助として直接感覚機能を評価するFEESSTのプロトコールを書いてくれた.
 共著者が書いた章を補うために,基礎知識の解説,正常嚥下の内視鏡検査,嚥下障害患者の内視鏡評価,異常所見の解釈,嚥下障害の治療など核となる章を私が執筆した.FEESの典型的なプロトコールやスコアーシートも本に掲載した.これからFEESを始める臨床家のお役に立てば幸いである.
 私がこの本を書いた目的は,この本が細部にわたる広範な情報を学生や研究者に提供して,嚥下障害の領域に興味を抱いてもらうことと,実際に臨床家の参考書として使用されることである.本書が包括的な教科書として読まれ,内視鏡が口腔咽頭嚥下障害の問題点を整理し評価と管理に役立つものであることを理解してくれることを望んでいる.
 本書に執筆してくれた著者以外に私を助けてくれた多くの人に感謝します.Thieme社における編集者であるAndrea Seilはここ数年私を援助してくれて大変感謝しています.Pentax Precision Instruments株式会社のNick Tsaclasは何人かの著者にきれいな画像を得るための装置を貸してくれました.Susan Laskyは私が使う図のために何百時間も費やしてビデオから適切な場面を用意してくれ,Scott Sewardはこれらのビデオ画像を取り出し,魔法のようにきれいな図を作り上げてくれました.娘のKatherineは少ない報酬でほとんど文句も言わず,毎晩,参考文献とワープロの仕事を助けてくれました.最後に私が仕事に疲れてぼんやりした目をしているとき,励ましてくれた言語聴覚室Audiology & Speech Pathologyスタッフ全員に感謝します.勇気づけ,おほめの言葉をいただいた数え切れない友人たちに感謝します.皆様ありがとうございました.
 2000年7月
 Susan Langmore

訳語について

 本書は分担執筆になっており,原著の執筆者によって使用される用語が異なっている.また,訳者も多人数による分担であるため用語の統一が大変困難であった.訳語は,
 リハビリテーション医学用語集(1997年度版):日本リハビリテーション医学会,1998.
 神経学用語集改訂第2版:日本神経学会用語委員会編,文光堂,1993.
 耳鼻咽喉科学用語解説集:日本耳鼻咽喉科学会編,1976.
 などを参考にして,日常使用される頻度の高いと思われる訳語を採用し,理解を助けるために初出の重要単語は日英併記とした.
 以下に主な用語の説明と訳をあげたが,本文では文脈などに応じて臨機応変に微妙に変化していることをご了解いただきたい.
 clearence:クリアランスないし咽頭残留を除去することなどと訳した.動詞形のclearもしばしば出てくる.嚥下によって咽頭の食塊がきれいに飲み込めるかどうかという文脈で使用される言葉である.ぴったり当てはまる日本語がないので文脈に応じて意味が通るように訳してある.
 consistency:粘稠度と訳した.一般の辞書には濃度,密度,粘稠度,粘度,硬さ(堅さ),柔らかさなどの訳語がある.岩波書店の理化学事典では「非常に粘い液体の変形に抵抗する性質,稠性ともいう」とある.レオロジー関係の本では「自重で形状を保持できない物質のテクスチャーに用いる用語」とされている.本書では「食塊のconsistencyが増す(食塊の粘稠度が増す)」とか,変化するという文脈で使用されることが多い.硬さ(堅さ)とする意見もあったが,食塊はかみ砕かれ,唾液と混ざったもので,巨視的にみれば液状の性質を示すため硬さは不適切と考え粘稠度を採用した.なお,本書で食品の硬さはhardnessと区別されて表現されている.また,固形物などが混ざっていない液体の性質を表す用語としては粘性viscosityがある.
 Fiberoptic Endoscopic Evaluation of Swallowing(FEES):嚥下の内視鏡評価または嚥下の内視鏡検査とした.FEESをそのまま採用した部分も多い.Fiberoptic は光ファイバーという意味であり,より厳密に訳せば「光ファイバー内視鏡による嚥下の評価」ということになるが,日本で日常使用される用語としては光ファイバー内視鏡よりファーバースコープが適切である.また,内視鏡といえば現在はほとんどファイバースコープを用いているため,一部を除いてあえてファイバースコープをつけない用語を採用した.なお,endoscopic swallowing evaluationも同様にした.fiberoptic laryngoscopeは喉頭内視鏡,flexible laryngoscopeは軟性喉頭内視鏡と訳した.なお,本文でも述べられているがFiberoptic Endoscopic Evaluation of Swallowing(FEES)は商標登録化された用語であり,定められた手順に従って行われた検査について用いられる用語であるとされている.本邦では内視鏡検査をビデオに録画した場合にVE(videoendoscopic examination of swallowing)とよばれることが多い.
 Fluoroscopy:X線透視(検査)とした.本書は嚥下の本であるので「嚥下造影」と訳出することも考えたが,Modified Barium SwallowないしVideofluoroscopic Evaluation of wallowingと出てきているところ以外は嚥下造影ではなく,X線透視(検査)という訳語を用いた.
 hawkingとclear throat:ともにせき払いであるが,hawkingの方はドイツ語の「h」を発音するのと同じに無声の音を出すためのせき払いである.文脈では舌根と咽頭の機能を評価する課題のところで出現する.hawking soundと出ている場合はホーキング音(無声のハッとかホッという音を出すこと)のように訳出した.一方clear throatは文字通り咽頭(特に下咽頭や喉頭内)の痰を喀出しのどをきれいにすることである.
 recommendation:推奨,勧告などと訳してあるが,日本語としてはかなり硬い感じがする.辞書ではrecommendに対してadvice to do somethingとあるので,文脈から判断してアドバイスと訳したところも多い.
 Speech Language Pathologist(s):米国の言語治療士ないしSLPとした.直訳すれば言語病理学者となる.従来は言語療法士ないし言語聴覚士と訳されていたと思われるが,米国ではAudiologyが完全に独立しているため,言語聴覚士を当てることは不適切である.英国などでは別の体系であるため「米国の言語治療士」とすることとした.なお,Speech-language pathologyは言語病理学とした.
 spillage:多くの場所で咽頭への早期のたれ込みと訳した.spillageはこぼれる,こぼれて散らばる,あふれるという意味である.咽頭早期流入または早期咽頭流入という意見もあったが,多くの分担訳者が「たれ込み」と訳していたので採用した.spillageの意義や内容に関しては5章,6章などで詳しく論じられている.なお,spillやspilloverなどの語が用いられている箇所もある.咽頭から喉頭へ食塊がこぼれ落ちるという場合にもspillが用いられている.
 velopharynx:一般に咽頭は上咽頭(鼻咽頭,咽頭の鼻部),中咽頭(口腔咽頭,咽頭の口部),下咽頭(咽頭の喉頭部)に分けられる.velopharynxは咽頭の口蓋帆がある部分を指す.日本の解剖学などの教科書にはvelopharynxという用語はほとんど出てこない.本書では口蓋帆咽頭と訳したが,文脈に応じて軟口蓋としたところもある.
Velo, Velum:これは軟口蓋の後部で咽頭後壁の前にたれている部分,嚥下に際して,弁状に鼻咽頭腔を閉じる.
 velopharyngeal closure:鼻咽腔の閉鎖,口蓋帆咽頭の閉鎖.
 velopharyngeal sphincter:口蓋帆咽頭(軟口蓋)の括約筋機能,軟口蓋の鼻咽頭閉鎖機能など文脈に応じて訳した.sphincterは括約筋であるが,本来の括約筋は常に収縮していて,腔を閉鎖し必要なときに開大する筋(上食道括約筋,肛門括約筋など)である.velopharyngeal sphincterという使用法はその意味からはずれている.日本語の文献,教科書ではこの機能(嚥下に際して,弁状に鼻咽頭腔を閉じる機能)を軟口蓋の鼻咽頭閉鎖機能(鼻咽腔閉鎖機能)と表現されることがほとんどである.
 日本語版に寄せて……Susan E.Langmore
 訳者の序……藤島一郎
 序文……Susan E.Langmore
 訳語について

第1章 嚥下障害の治療と評価における内視鏡の役割
 The Role of Endoscopy in the Evaluation and Treatment of Swallowing Disorders……(藤島一郎)
 内視鏡の歴史と嚥下の内視鏡評価
 FEESを行う人の訓練と能力
 FEESの導入と費用の回収
第2章 鼻,咽頭,喉頭の解剖と生理
 Normal Anatomy and Physiology of the Nose,the Pharynx,and the Larynx……(藤島一郎)
 鼻
 咽頭
 喉頭
第3章 内視鏡的にみた正常嚥下
 Normal Swallowing:The Endoscopic Perspective…(長畑則子,川畑英理子,白井朋子,廣井由紀,川端 文,稲田晴生)
 正常嚥下の構成要素
 嚥下機能に関連する正常な解剖
 嚥下の感覚要素
 嚥下の運動要素:タイミングと機能
 呼吸と息こらえ
 食塊の観察
 嚥下器官の運動と食塊移送の時間を計る:嚥下の時間測定
 結論
第4章 内視鏡の仕組みと操作手技
 Endoscopic Mechanics and Technique……(片桐伯真)
 軟性喉頭内視鏡の仕組みと構造
 喉頭内視鏡の選定
 内視鏡操作
 軟性内視鏡を用いた嚥下時の画像
 患者の快適さ
 結語
 付録
第5章 口腔咽頭嚥下を評価するための内視鏡検査手順
 Endoscopic Procedures to Evaluate Oropharyngeal Swallowing……(石井雅之)
 だれがFEES検査に携わるのか
 FEES検査に先立つ処置
 パートI:解剖・生理学的評価:口蓋帆と喉頭咽頭の解剖学,運動,感覚
 パートII:飲食物嚥下の直接検査
  検査中のさまざまな時点での意思決定
 パートIII:治療的手技の適用と嚥下に対する効果
  FEESアイスチッププロトコール
  スクリーニング検査
  乳児と子供のFEESプロトコール
  FEES評価を繰り返す
 要約
 付録
 原著付録
第6章 FEES 検査の記録
 Scoring a FEES Examination……(佐藤新介)
 重要所見:早期の咽頭へのたれ込み,残留,侵入,誤嚥
 完全なリストと所見の検討
  I.解剖学的・生理学的評価:口蓋帆,舌,咽頭,喉頭の解剖,運動および感覚
   A 鼻咽腔の閉鎖:口蓋帆と外側壁の運動
   B 安静時の下咽頭と喉頭の概観
   C 分泌物/自発的な嚥下
   D 舌根と咽頭の機能
   E 咽頭の機能
    1.呼吸
    2.発音
    3.気道防御
   F 感覚/感覚試験
  II.食物,液体嚥下による直接評価
   A 口腔準備期
   B 口腔内移送/食塊の舌による送り込み
   C 食塊の流れのタイミングと嚥下の開始
   D 嚥下中に構造物が正しく動くか? 食塊を移送し,除去する弁の力
   E 嚥下中の侵入または誤嚥
   F 嚥下とつぎの嚥下のあいだの観察
   G 下咽頭への逆流
   H 感覚(観察のまとめ)
 結論
 付録
 原著付録
第7章 検査所見の解釈:嚥下障害モデル
 Interpretation of Findings:A Model of Disordered Swallowing……(武原 格)
 異常所見の要約
 所見要約レポートの例
 嚥下問題の解釈
 嚥下モデル
 嚥下障害の3パターン
 嚥下の解剖学的・生理学的基盤・嚥下障害の根底にある病態生理
 嚥下障害の解釈
 結論
第8章 耳鼻咽喉科的にみた胃食道逆流症
 Otolaryngologic Manifestations of Gastroesophageal Reflux Disease…(藤谷順子)
 症状
 身体所見
 病理
 治療
 結論
第9章 嚥下障害の治療と管理における内視鏡の利用法
 Use of Endoscopy in the Treatment and Management of Dysphagia…(薛 克良)
 治療についての用語
 治療的検査としてのFEES
 アイスチッププロトコール実施時における患者の治療と管理
 患者がより正しく訓練するための教育的道具としてのFEES
 治療におけるバイオフィードバックの道具としての内視鏡の使用
 患者再評価のためのFEESの使用
 結論
第10章 頭頸部癌患者に対するFEES
 Use of FEES to Assess and Manage Patients with Head and Neck Cancer…(関 敦郎,浜田 登)
 嚥下障害の原因
 嚥下障害のリハビリテーション
第11章 気管切開患者のFEESによる評価と管理
 Use of FEES to Assess and Manage Patients with Tracheotomy…(堀口利之)
 喉頭反射
 金属製気管切開チューブとプラスチック気管切開チューブ
 発声用一方弁
 気管切開チューブの影響:カフを膨らませている場合と脱気している場合
 人工呼吸器依存
 気管切開チューブの影響:誤嚥
 気管切開と誤嚥について
 気管切開チューブを閉鎖した状態
 気管切開チューブ装用中の喉頭と舌骨の動き
 発声用一方弁の使用と誤嚥
 気管切開患者に対する内視鏡検査
 嚥下手法の診断的評価
 経口挿管と嚥下
 リハビリテーション
第12章 介護施設入所者の評価,治療におけるFEESの有用性
 Use of FEES to Assess and Manage Nursing Home Residents……(稲生 綾)
 介護施設における嚥下障害の評価と治療
 介護施設内の嚥下障害について:何が問題か?
 身体状態のアウトカム:何が問題か?
 ケアの質に関するアウトカム:何が問題か?
 介護施設内でFEESを用いるとき
 介護施設におけるFEESの標準的プロトコール
 介護施設におけるFEESの実用的・臨床的利点
 結論
第13章 小児患者の評価・管理のための嚥下の内視鏡検査
 Use of FEES to Assess and Manage Pediatric Patients…(竹中まりな,横地健治)
 小児の摂食と嚥下の障害
 診断のための検査
 小児患者へのFEES実施要綱の検討と適応
 小児FEES検査手技
 小児におけるFEESの安全性
 FEESの有効性
 検査法の決定:FEESかVSSか,あるいは両方か
 小児FEESの利点と欠点
 訓練と免許
 結論
 付録
第14章 嚥下内視鏡検査の安全性
 The Safety of Endoscopic Swallowing Evaluations……(波多野 文)
 内視鏡を使用した挿管に関する安全性のデータ
 嚥下内視鏡検査の潜在的合併症
 FEESとFEESSTの安全性
 合併症の予防
 結語
第15章 摂食・嚥下障害における臨床診療ガイドラインと治療予後:内視鏡の役割
 Clinical Practice Guidelines and Treatment Outcomes in Dysphagia:Role of Endoscopy……(大熊るり)
 根拠に基づく診療
 治療方針決定の過程とFEESの役割
 嚥下障害の評価・管理における内視鏡の将来

 和文索引
 欧文索引