やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 本書は,ある意味では 1987(昭和 62)年に出版された金子芳洋 編『食べる機能の障害-その考え方とリハビリテーション-』の全面改訂版である.その間,実に20年弱の年月が過ぎてしまった.この本の改訂については出版後に何回かの機会があったが,一部手直し,あるいは追加で処理できる内容ではなく,それは一つのまとまりをもったもので,これに手を加えることには躊躇があり,その都度,延期されたという事情がある.
 この過去20年間における世界,特に米国における中途障害(脳卒中をはじめとする神経難病等)における摂食・嚥下リハビリテーション分野の研究・臨床の発展には目を見張るものがある.わが国では米国に遅れること約10年,1990 年代に入ってから,主に高齢者に関する摂食・嚥下リハビリテーション領域の研究・臨床が急速に発展してきている.欧米や日本におけるこの発展には,VF(嚥下造影)をはじめとする諸種の診断機器・方法の開発が大きく貢献している.近年では,中途障害や高齢者に関する関係書物も米国や日本で驚くほどの量が出版されている.
 診断機器・方法の開発は,障害児者の摂食・嚥下障害の領域にも多くの利益をもたらしてきているが,なぜか,中途障害や高齢者へのアプローチに比較すると,その研究・臨床が希薄であり,特にわが国では高齢社会への急速な突入により,そちらの問題が大きく扱われ,障害児者の問題が忘れられがちになっているのではないかとさえ感じさせられる現状である.
 これらの周辺諸事情の変化を踏まえ,前書の内容を一新し,執筆陣に専門の小児科医師も加えた本書の出版が企画されたのは,実は4年前の 2001(平成 13)年12月のことであった.しかし諸種の事情からその出版が大変遅くなったことを,監修および編集の責任者としてここにお詫びする次第である.
 本書は,当初『発達障害児(者)の摂食・嚥下障害』(仮書名)として企画をスタートさせたが,以下のような理由から,「発達障害」という言葉を用いないことにした.ただし,本文中には「発達障害」という用語がしばしば登場するが,これは旧来の定義によるものであることをご理解いただきたい.
 「発達障害」は,古くから脳性麻痺をはじめとした,先天性または幼小児期に発生した脳の障害に起因する身体的・知的障害を指す用語として用いられてきた.しかしこの言葉は最近では,より広い意味での発達の遅れや質的な歪み,機能獲得の困難さなどが生じる心身の障害を指す言葉として用いられるようになってきた.おりしも,2005(平成 17)年4月 1 日付で“発達障害者支援法(平成16年法律第167号)“が施行され,この法律の第二条第一項で“この法律において「発達障害」とは,自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう.”と定義された.この政令で定めるものとは,発達障害者支援法施行令(政令第150号)第一条の“発達障害者支援法第二条第一項の政令で定める障害は,脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもののうち,言語の障害,協調運動の障害その他厚生労働省令で定める障害とする.“とされている.同様にこの省令で定める障害とは,発達障害者支援法施行規則(厚生労働省令第81号)による,“発達障害者支援法施行令第一条の厚生労働省例で定める障害は,心理的発達の障害並びに行動及び情緒の障害(自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害,言語の障害および協調運動の障害を除く)とする.”とされている.
 さて,本書は障害児者の摂食・嚥下障害や呼吸障害に関係する医師,歯科医師,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,看護師,栄養士,歯科衛生士などを対象として,専門的な知識を深めようとする方々向けに書かれている.したがって,ある程度のこの分野の基礎知識をおもちの方を前提にしているが,基本的な用語の定義などはできるだけ明確に記載するようにしてあるので,この分野に長年かかわっている保育士や教員,あるいは介護,福祉関係など,医療分野以外の職種の方々にも活用していただけるものと考えている.したがって,専門小児領域の専門家の間では欧文の略語をそのまま表記に用いるのが一般的ではあるが,そのことも考慮し,略称を用いないように配慮した.
 この本の大きな特徴は摂食・嚥下の問題と密接に関係する「呼吸」,「栄養」の問題と,年齢が高くなった「知的障害者」における問題も取り上げたことである.
 呼吸と摂食・嚥下はどちらも生命維持の根底を支える問題であり,解剖学的にも機能的にも咽頭部を共用しているために,いったんその協調性が崩れてしまうと生命の危機にさらされてしまうことになる.とりわけ脳性麻痺などによる重症児の呼吸管理に際しては全身姿勢管理や筋緊張,胃食道逆流症(GERD)などが深く影響を与えているが,これらのことは同時に摂食・嚥下にも多大な影響を及ぼしている.したがって,重症児にとっては呼吸障害と摂食・嚥下障害を切り離して考えることはできず,呼吸障害および摂食・嚥下障害を専門としている人は,それぞれ常に相互の影響を考えながら,あるいは相互に密接な連絡を取り合いながら臨床を進めていくことが重要である.しかしながら,障害児者の呼吸障害や摂食・嚥下障害の臨床について書かれた書物は極めて少なく,ましてや両者および栄養の問題をも同時に扱った書物は皆無に等しいと考えられる.
 過去において,重度,最重度の知的障害者の摂食・嚥下の問題に関する論文はほとんど見当たらない.これら知的障害者の加齢に伴って,窒息や誤嚥,あるいは誤嚥性肺炎の発生などが問題となってきているが,これらの問題についての臨床的アプローチもほとんどなく,本書への著者らによる貴重な臨床経験,およびそこから導き出された特徴像およびアプローチの方法論の掲載も本書がはじめてであろう.
 本書の著者は,いずれもそれぞれの道における臨床家である.本書は上述した幾つかの意味で,これら臨床家の視点に立った著述という,新しい試みといえるかもしれない.しかし本書は単に各著者の経験に基づいたものだけでなく,できるだけ国内外の文献を引用して幅広い視点から情報を提供する努力もなされている.
 なお,障害児と障害者を同時に表す場合,通常,「障害児・者」あるいは「障害児(者)」と書くが,本書中にはこの用語が頻出するので,読みやすさを考慮して本書ではすべて「障害児者」とした.
 本書が障害児者の摂食・嚥下障害の問題にかかわりをもつ読者諸氏に少しでもお役に立ち,それが,それら障害児者の QOLの向上につながることを著者一同,心から願っている.
 最後になったが,この本の出版を引き受けていただいた医歯薬出版株式会社,および同社第一出版部(リハビリテーション書籍編集)の関係者諸氏に厚く感謝する.また,そのなかでも本書の最終編集担当者であった米原秀明氏の本書出版に対する熱意と,並々ならぬご努力なしにはこの本のこの時点での出版は叶わなかったであろう.同氏に対し,改めて敬意と感謝の念をここに表明したい.
 平成17年8月
 監修者:金子芳洋
 編集責任者:尾本和彦
 ・執筆者一覧
 ・序文

第1章 摂食・嚥下機能の発達
 第1節 序説(尾本和彦)
  1.誤嚥と死亡との関連
  2.経口摂取の重要性
   1)消化管の生理機能の維持
   2)Bacterial translocation(BT);細菌転位
   3)摂食や移動能力の自立の程度と生命予後
   4)生きる最大の楽しみの一つとして
   5)介護者とのコミュニケーションの場として
 第2節 健常児の摂食機能発達および関連基礎知識(尾本和彦)
  1.摂食・嚥下に関係する神経支配
  2.新生児と成人の解剖の違い
  3.摂食の5期
  4.原始反射
   1)口唇反射(Lip reflex)
   2)探索反射(Rooting reflex)
   3)吸啜反射(Suckling reflex)
   4)正常な咬反射(Phasic bite reflex)
  5.味覚と嗅覚
  6.吸啜の2つのタイプ:Sucklingとsucking
  7.乳児嚥下と成人嚥下
   1)乳児嚥下,舌突出などの用語の定義
   2)乳児嚥下
   3)成人嚥下
  8.Nutritive sucking(NS)とnon-nutritive sucking(NNS)
  9.咀嚼機能の発達:Munchingからchewingへ
  10.離乳期における摂食機能発達
   1)摂食機能の獲得過程
   2)食物形態と摂食機能発達
   3)粗大運動発達との関連
  11.5〜6カ月(離乳初期)
   1)離乳開始時期
   2)離乳の必要性
   3)捕食と成人嚥下機能の獲得
   4)介助方法
   5)食物調理形態
   6)口唇,舌,顎などの動きの特徴
  12.7〜8カ月(離乳中期)
   1)離乳中期に進める時期
   2)押しつぶし嚥下機能の獲得
   3)介助方法
   4)食物調理形態
   5)口唇,舌,顎などの動きの特徴
  13.9〜11カ月(離乳後期)
   1)離乳後期に進める時期
   2)咀嚼機能とコップ飲みの獲得
   3)介助方法
   4)食物調理形態
   5)口唇,舌,顎などの動きの特徴
 第3節 障害児の摂食機能発達の特徴(尾本和彦)
  1.健常児と障害児の違い
  2.異常パターン動作
第2章 誤嚥・呼吸障害など全身状態と摂食機能との関連
 第1節 摂食・嚥下障害・誤嚥:嚥下性障害の臨床(北住映二,米山 明,長瀬美香)
  はじめに
  1.脳性麻痺等,発達障害児・小児神経疾患児の誤嚥の特徴
  2.姿勢,食物性状による誤嚥の変化
   1)姿勢
   2)食物水分の性状・味
  3.上部消化管障害
  4.誤嚥の把握・評価・対応
   1)誤嚥の臨床的判断
   2)検査・診断
   3)誤嚥が許容範囲を超えているかどうかの判断
   4)誤嚥への対応
  5.気管切開の目的と効果
   1)気管切開の目的
   2)誤嚥に対する気管切開の術式とその特徴
   3)気管切開による誤嚥の悪化と嚥下機能の低下
   4)気管切開による合併症と福祉面での問題
   5)気管切開選択にあたっての考慮点
 第2節 呼吸障害(米山 明,長瀬美香)
  1.呼吸器官の解剖と生理
   1)呼吸器官の脳神経支配
   2)胸郭と呼吸運動
   3)吸入空気と気道の浄化
   4)呼吸の調節
  2.重度重複障害児者の呼吸障害と全身状態のかかわり
  3.呼吸障害の病態と診断およびその治療と対応
   1)中枢性呼吸障害
   2)嚥下障害・誤嚥と分泌物貯溜
   3)薬剤による呼吸障害
   4)閉塞性換気障害
   5)拘束性換気障害
  4.気道閉塞性換気障害,拘束性換気障害の症状と診断
   1)呼吸状態
   2)全身状態
   3)呼吸障害の診断と評価
   4)閉塞性換気障害の治療および対策
   5)拘束性換気障害の治療および対策
   6)その他の原因―側彎症と呼吸障害
 第3節 重症児者に対する呼吸リハビリテーション(村山恵子,金子断行,直井富美子)
  1.呼吸リハビリテーションとは
  2.重症児者での呼吸障害の評価
   1)既往歴・問診項目
   2)理学所見
   3)検査
  3.呼吸理学療法
   1)呼吸介助手技
   2)胸郭ゆすり法
   3)バウンシング
   4)横隔膜活動促通手技
   5)胸郭軽打法
   6)介助ハフィング
  4.姿勢保持と呼吸障害
   1)上気道通過性呼吸障害
   2)胸郭呼吸運動性呼吸障害
   3)上部消化管障害と呼吸障害
  5.陽圧換気療法
   1)蘇生バックによる用手陽圧換気(バギング)
   2)Mechanical In-Exsufflator(MI-E)による陽圧換気療法
   3)肺内パーカッションベンチレータ(IPV)による陽圧換気療法
   4)非侵襲的間欠的陽圧換気療法(NIV)および持続陽圧呼吸(CPAP)の早期導入
 第4節 筋緊張異常と嚥下障害(米山 明)
  1.筋緊張異常と嚥下障害との関係
   1)脳性麻痺の筋緊張異常と嚥下障害の特徴
   2)緊張性頸反射と嚥下障害の関係
   3)相反神経支配障害と嚥下障害との関係
  2.加齢に伴う摂食・嚥下機能低下
  3.全身の筋緊張異常への対応
   1)原因・誘因の検討
   2)筋緊張異常に対する対応
 第5節 胃食道逆流症(中谷勝利)
  1.脳性麻痺児と上部消化管障害の諸要因
  2.胃食道逆流症と呼吸障害との関連
  3.その他の胃食道逆流症の症状
  4.胃食道逆流症の診断
   1)上部消化管造影検査
   2)24 時間食道内 pHモニタリング検査
   3)食道内圧測定検査
   4)内視鏡検査
   5)食道シンチグラム検査
  5.胃食道逆流症に対する対応・治療
   1)対症療法
   2)要因に対する対応
   3)外科的治療
   4)誤嚥と胃食道逆流症とが合併している場合の治療
  6.その他,嘔吐の原因
 第6節 福山型筋ジストロフィー(村山恵子)
  1.福山型筋ジストロフィーとは
  2.福山型筋ジストロフィーにみられる摂食・嚥下機能障害と対策
   1)運動機能と摂食・嚥下機能障害の関係
   2)病歴
   3)摂食・嚥下の各段階
  3.まとめ
第3章 摂食機能の評価と診断
 第1節 摂食・嚥下障害の原因(尾本和彦)
  1.摂食・嚥下障害の原因
   1)器質的原因
   2)神経学的原因
   3)心理・行動的原因
   4)発達的原因
  2.摂食・嚥下障害の要因
 第2節 臨床評価(尾本和彦)
  1.全身状態・生活リズム等の評価
   1)病歴
   2)全身状態
   3)家庭・生活環境
  2.心理・行動評価
   1)拒食の要因の調べ方と対処法
   2)過敏と心理的拒否
   3)嘔気の亢進
  3.食物形態・栄養評価
   1)大きさより硬さに重点をおいた食物調理
   2)とろみの重要性
   3)実際の評価内容
  4.口腔形態・反射等の評価
   1)口蓋形態
   2)咬合状態
   3)歯ぎしり
   4)歯の萌出状態
   5)前歯の摩耗
   6)奇形/形態異常
   7)原始反射
  5.感覚機能評価
   1)触覚
   2)温度覚
   3)味覚
  6.摂食機能評価
   1)口唇閉鎖機能
   2)舌運動
   3)顎運動
   4)嚥下
   5)口腔内での食物処理法
   6)異常パターン動作
 第3節 検査機器を用いた評価(尾本和彦,細川賀乃子)
  1.VF検査
   1)成人と小児の主な違い
   2)検査に必要な解剖
   3)検査の目的と適応
   4)検査機材,造影剤,検査食物
   5)検査方法
   6)用語の定義と評価項目
   7)検査結果の評価
   8)評価の実際
  2.ビデオ内視鏡検査 Videoendscope examination of swallowing:VE
   1)ビデオ内視鏡検査の長所と短所
   2)使用装置
   3)検査手順
   4)所見
  3.超音波検査
   1)検査の目的と適応
   2)検査器具,食物
   3)検査方法
   4)検査結果の評価
  4.頸部聴診
   1)目的と適応
   2)検査方法
   3)評価の実際
第4章 重症児者の高齢化に伴う摂食・嚥下障害
 第1節 摂食・嚥下機能の加齢変化(金子芳洋)
  1.嗅覚と味覚
   1)嗅覚
   2)味覚
  2.唾液流量
  3.知覚
   1)口腔
   2)咽喉頭
  4.運動機能
   1)口腔の運動機能
   2)舌圧・嚥下圧
   3)食塊の移送効率
   4)UES・咽頭部内圧など
  5.まとめ
  6.重度障害者の加齢変化(いわゆる早期老化現象)
 第2節 加齢に伴う知的障害者の摂食・嚥下障害の特徴(木晶子)
  1.知的障害者の主訴
   1)若年知的障害者の摂食に関する主訴
   2)加齢による摂食に関する主訴の変化
   3)誤嚥性肺炎に関連する主訴と対応
   4)中枢(脳)に作用する薬剤で生じた摂食障害への対応
  2.摂食指導の方針を決める指標
   1)食事場面の観察
   2)身体所見
   3)頸部聴診法
   4)嚥下造影検査(VF)
   5)喉頭内視鏡検査
   6)知的障害者に対する検査の意義と評価
  3.嚥下造影検査(VF)の活用
   1)知的障害者における VF所見の特徴
   2)知的障害者の VFを施行するために
   3)被爆に関する管理
  4.知的障害者への摂食指導内容
   1)食形態の調整
   2)食事介助の技術
 第3節 知的障害者の摂食指導リハビリテーションチーム―嵐山郷の場合―(木晶子)
  1.チーム編成の経過
  2.チームワークの概略
  3.チーム編成の特徴と課題
  4.チームにおける歯科医師の役割
   1)各人の機能に合った食形態の調整
   2)異常嚥下パターンの抑制
   3)直接的訓練
   4)間接的訓練
  5.摂食指導の成果
   1)誤嚥性肺炎の減少
   2)栄養管理の改善
   3)食に関する環境の改善
   4)保護者の理解
   5)チームワークの生まれるところ
  6.組織内でチームシステムを確立するために
第5章 発達障害児者の嚥下と栄養の課題
 発達障害児者の嚥下と栄養の課題(口分田政夫)
  1.発達障害児者の栄養を考える臨床的意味
   1)栄養が臨床症状に影響を与えた症例
  2.発達障害児者の栄養評価と栄養所要量
   1)重症心身障害児者の脂肪の蓄積状態の評価と栄養学的な意味
   2)重症心身障害のタイプによる栄養の課題
   3)重症心身障害におけるカロリー決定
  3.栄養不良状態の評価とその対応
   1)微量元素やタンパク等栄養素の課題
   2)病態別栄養
   3)第 6 次栄養改訂対応以後の経管栄養剤の課題
   4)栄養剤使用にあたり留意すべきこと
   5)多様な食品の投与
第6章 摂食指導・訓練の実際
 第1節 摂食指導・訓練の基礎(尾本和彦)
  1.諸外国における歴史的経緯
  2.指導・訓練に対する考え方
   1)摂食指導・訓練が他の訓練と異なる点
   2)指導・訓練を実施するうえで考慮すべきこと
   3)正常発達をどのように指導・訓練に応用するか
  3.チームアプローチ
   1)構成メンバー
   2)種類
   3)北米での実状
   4)チームアプローチの進め方
  4.薬剤の影響
 第2節 摂食指導・訓練の実際1―心理・行動,食形態,姿勢等の指導―(尾本和彦)
  1.指導・訓練の概要
  2.心理・行動面への指導
   1)過敏の除去(脱感作)
   2)拒食への対応
  3.食形態・器具指導
   1)嚥下訓練食
   2)咀嚼訓練食
   3)とろみ(増粘剤)
   4)摂食器具の選択
  4.姿勢および介助指導
   1)体幹および頸部の保持
   2)口唇閉鎖,下顎および頭部の介助の基本
 第3節 摂食指導・訓練の実際2―直接訓練―(尾本和彦)
  1.固形食摂取訓練
   1)異常パターン動作の抑制
   2)正常発達の促進
  2.液体摂取訓練
   1)スプーン,コップ
   2)ストロー
  3.哺乳障害と早産・低出生体重児への対応
   1)哺乳障害への対応
   2)早産・低出生体重児への対応
 第4節 摂食指導・訓練の実際3―間接訓練―(尾本和彦)
  1.バンゲード方式による筋刺激訓練法
   1)バンゲード法とは
   2)適応症
  2.バンゲード方式I
   1)概要
   2)訓練の際の注意
   3)受動的刺激法
   4)半能動的刺激法
   5)能動的刺激法
   6)抵抗法
  3.バンゲード方式II
   1)吸う訓練
   2)吹く訓練
   3)舌訓練
   4)歯肉マッサージ(ガムラビング)
 第5節 欧米の摂食・嚥下障害関連の情報(尾本和彦)
  1.専門書の概況
   1)Morris & Klein(2000):Pre-Feeding Skills
   2)Arvedson & Brodsky(2002):Pediatric Swallowing and Feeding
   3)Hall(2001):Pediatric Dysphagia Resource Guide
   4)Giselら(1999):The Innsbruck Sensorimotor Activator and Reculator(ISMAR)
  2.ISMARについて
   1)対象児と適応症
   2)訓練課程
   3)装置による効果
   4)装置の働き
   5)装置の使用に際しての注意
第7章 症例検討
 第1節 小児の症例(尾本和彦)
  1.丸飲み込み
  2.拒食
  3.経管依存症(Tube dependence)
  4.食事恐怖症(Food phobia,Choking phobia,Phagophobia,Conditioned dysphagia)
  5.経管からの離脱
  6.無舌症
 第2節 成人の症例(木晶子)
  1.知的障害者特有の主訴と課題が認められる症例
  2.症例

 ・和文索引
 ・欧文索引