序
日本の生殖医療の臨床は国際的にもトップクラスという評価を得て久しいが,生殖学の基礎的な研究となると,隣接の諸外国と比較して,必ずしも先頭を走っているとは言いがたい.その最大の理由の1つとして,近年のわが国の大学における研究の弱体化がそれに拍車を掛けていることがあげられる.
このたび,日本の生殖学領域で活躍している世界のトップクラスの陣容をもって,「不妊診療のための卵子学」という他に類をみないモノグラフを編集する機会を得るとともに,カラーアトラスを主体とした最先端の医学の平易な解説書を上梓することができたことは,編者の望外の喜びであり,いささか自画自賛となるが,そのユニークな構成,すなわち,理論Theory,技術Technique,最近の話題Clinical Updateという3つのパートに超一流のエキスパートを集結し本書が完成したことを心から嬉しく思う.
日本産婦人科学会の平成19年度倫理委員会報告によると,わが国の2006年のART(生殖補助技術)登録施設数は575施設で,治療周期数139,467,出生児数19,587となり,累計出生児数は,すでに,174,456に達している.また,世界的にもARTベビーは300万人を超え,不妊治療はART中心の時代に入っている.もちろん,そのスタートは1978年のイギリスにおけるIVF(体外受精)ベビー第1号に始まるわけで,当初,卵管性不妊症への最後のアプローチとして脚光を浴びて登場したが,その後,顕微授精法の開発とともに,男性不妊症への応用を始めとしてART応用への適応が拡大した.
そして,今日ARTはさまざまな問題を抱えたまま,新しい時代に入ろうとしている.それは,もちろんARTに伴う技術的な側面の追求ということもあるが,倫理面での時代の流れの変化という根本的な問題もある.
すなわち,その一例をあげれば,学会のガイドラインでも強調されている「IVFの適応は夫婦間に限る」とした20数年前の項目が,いまや時代の流れと,AID(非配偶者間人工授精)を容認した学会の背景などから,その方向性も変化しようとしている.しかし,IVFの適応を拡大していくことは,卵子提供の問題とか,代理母容認への発展など,社会との関連で多くの新しい問題を生むことになり,ARTの倫理性は,より個人のレベルでの価値観とか,生殖に関する自己決定権の可否の問題へとつながっていくことになる.
その状況も踏まえて,なぜ「卵子学」なのかという点に触れると,生殖細胞のなかでも卵子は精子に比較してその構造は複雑であり,学問的にもまだ未知の分野が多く,近年の加齢と妊孕能という重大な問題も未解決であり,卵巣機能全体の問題として卵子の老化のメカニズムを解決することは,現代生殖学研究の夢であり,卵子研究はヒトの生殖,発生学の基本であろう.
本書が次の「精子学」モノグラフにつながることを切望するとともに,未来の生殖学研究の試金石となって,多くの若い人々の心を動かすことができればこれに優る喜びはない.
なお,本書の出版にあたっては,当初の企画当初から全般にわたり,多大のご助言をいただいた医歯薬出版の塗木誠治,遠山邦男の両氏,ならびに関係各位に厚く感謝いたします.
2010年 新春
鈴木秋悦
日本の生殖医療の臨床は国際的にもトップクラスという評価を得て久しいが,生殖学の基礎的な研究となると,隣接の諸外国と比較して,必ずしも先頭を走っているとは言いがたい.その最大の理由の1つとして,近年のわが国の大学における研究の弱体化がそれに拍車を掛けていることがあげられる.
このたび,日本の生殖学領域で活躍している世界のトップクラスの陣容をもって,「不妊診療のための卵子学」という他に類をみないモノグラフを編集する機会を得るとともに,カラーアトラスを主体とした最先端の医学の平易な解説書を上梓することができたことは,編者の望外の喜びであり,いささか自画自賛となるが,そのユニークな構成,すなわち,理論Theory,技術Technique,最近の話題Clinical Updateという3つのパートに超一流のエキスパートを集結し本書が完成したことを心から嬉しく思う.
日本産婦人科学会の平成19年度倫理委員会報告によると,わが国の2006年のART(生殖補助技術)登録施設数は575施設で,治療周期数139,467,出生児数19,587となり,累計出生児数は,すでに,174,456に達している.また,世界的にもARTベビーは300万人を超え,不妊治療はART中心の時代に入っている.もちろん,そのスタートは1978年のイギリスにおけるIVF(体外受精)ベビー第1号に始まるわけで,当初,卵管性不妊症への最後のアプローチとして脚光を浴びて登場したが,その後,顕微授精法の開発とともに,男性不妊症への応用を始めとしてART応用への適応が拡大した.
そして,今日ARTはさまざまな問題を抱えたまま,新しい時代に入ろうとしている.それは,もちろんARTに伴う技術的な側面の追求ということもあるが,倫理面での時代の流れの変化という根本的な問題もある.
すなわち,その一例をあげれば,学会のガイドラインでも強調されている「IVFの適応は夫婦間に限る」とした20数年前の項目が,いまや時代の流れと,AID(非配偶者間人工授精)を容認した学会の背景などから,その方向性も変化しようとしている.しかし,IVFの適応を拡大していくことは,卵子提供の問題とか,代理母容認への発展など,社会との関連で多くの新しい問題を生むことになり,ARTの倫理性は,より個人のレベルでの価値観とか,生殖に関する自己決定権の可否の問題へとつながっていくことになる.
その状況も踏まえて,なぜ「卵子学」なのかという点に触れると,生殖細胞のなかでも卵子は精子に比較してその構造は複雑であり,学問的にもまだ未知の分野が多く,近年の加齢と妊孕能という重大な問題も未解決であり,卵巣機能全体の問題として卵子の老化のメカニズムを解決することは,現代生殖学研究の夢であり,卵子研究はヒトの生殖,発生学の基本であろう.
本書が次の「精子学」モノグラフにつながることを切望するとともに,未来の生殖学研究の試金石となって,多くの若い人々の心を動かすことができればこれに優る喜びはない.
なお,本書の出版にあたっては,当初の企画当初から全般にわたり,多大のご助言をいただいた医歯薬出版の塗木誠治,遠山邦男の両氏,ならびに関係各位に厚く感謝いたします.
2010年 新春
鈴木秋悦
序(鈴木秋悦)……III
執筆者一覧……V
Focus
卵子研究から不妊の病態をみる(鈴木秋悦)……3
研究とそのアプローチ
卵細胞のqualityとaging
生殖における基本的な疑問
体外受精の課題
Theory
1 卵子の発生(倉沢滋明)……17
卵子の発生から胎児の卵子
卵巣の形成と原始生殖細胞
減数分裂による卵子形成
卵胞の形成・発育
2-1) 卵子の成熟(佐藤英明・星野由美・横尾正樹)……22
卵子成熟のメカニズム(基礎)
ヒトデの卵成熟
マウスの卵成熟
ブタの卵成熟
2-2) 卵子の成熟(鈴木秋悦)……28
ヒト卵子の成熟と減数分裂
3-1) 卵子の形態(北井啓勝)……30
微細構造を含めて
卵子の形成
卵子の形態
卵子の細胞小器官
3-2) 卵子の形態(森本義晴)……35
体外成熟培養卵(IVM卵子)の電子顕微鏡的観察
卵子の電子顕微鏡観察のための処理
卵子成熟における超微形態
考察
4 卵胞発育と卵子(久保春海)……40
前胞状卵胞発育の過程
卵胞期初期〜中期における排卵前期卵胞への発育
卵胞期中期〜後期における卵胞選択機序
5 排卵のメカニズム(石塚文平・橋則行)……43
排卵に必要な条件
主席卵胞の構造
ゴナドトロピンサージ
排卵のメカニズム
6 卵管と卵子(野 昇)……48
卵管の妊孕過程における役割
卵管環境を構成する因子
7 受精のメカニズム(佐藤嘉兵)……54
受精にかかわる精子の機能的変化
精子のcapacitationと先体反応
先体反応と受精との関係
精子の卵子活性化因子
精子核の膨化および前核の形成
卵子細胞質内への精子注入法および円形精子細胞注入法による受精
ICSIと正常受精との相違点
ICSI時における精子の運動と受精との関係
ICSIにより得られた胚の発生能
8 受精卵のクオリティ(沖津 摂)……60
卵子にみられるさまざまな形態的異常
精子の形態的異常
受精卵(初期分割期胚)にみられる形態的異常
その他の形態的異常
クオリティの高い受精卵の選別方法
今後の課題
9 卵子・胚の超微細形態(間壁さよ子)……68
電子顕微鏡による研究の進展
電子顕微鏡による研究の進展
ヒト生殖過程の高分解能走査電子顕微鏡像
10 受精卵の分化(北井啓勝)……73
compactionの時期と意義
compactionとは
compactionの形成機序
compactionと胚の微細構造
compactionと胚の極性
compactionと胚のquality
11 受精障害(片寄治男・菅沼亮太・林章太郎・蜩c薫)……77
精子核形成過程
精子核クロマチン検査法
精子核の質的異常と受精障害
12 着床のメカニズム(河野康志・楢原久司)……85
子宮内膜と着床
着床の細胞生物学
13 厚さからみた子宮内膜のクオリティ(東口篤司)……89
内膜厚の正常値
内膜が薄くなる原因
薄い内膜(着床期)の特徴
Technique
1 卵子の初期胚発生とtime-lapse cinematographyによる観察(岩田京子・見尾保幸)……95
time-lapse cinematography(TLC)
conventional IVF(cIVF)の受精過程
初期胚発生の時間経過
細胞内小器官の動態
卵割様式とfragment発生
胚盤胞への発生過程
2 成熟卵子の定量的形態解析法(矢野浩史・久保敏子)……105
卵子の大きさ,透明帯の厚さ
成熟卵子の形態と大きさおよび透明帯の厚さ
polarization microscopy(polscope)による成熟卵子の観察
3 胚のassisted hatching法(佐藤節子)……107
概要
手技
4 卵子の細胞遺伝学的解析(中岡義晴)……110
卵子の減数分裂
卵子の染色体分析法
卵子の染色体異常
胚の染色体異常
妊娠率の向上と流産率の減少に向けて
5 ヒト卵細胞質の形態学的クオリティ評価(大月純子)……115
ヒト卵細胞質内の主な異常形態
6 卵子の凍結保存法(桑山正成)……119
材料と方法
成績
7 卵子の活性化法(荒木康久・荒木泰行)……123
カルシウムイオノフォア法
塩化ストロンチウム法
その他の方法
8 胚の機能検定法(阿部宏之)……127
電気化学計測法と受精卵呼吸測定装置
胚の呼吸量測定
胚のミトコンドリア呼吸機能
呼吸機能解析と胚のクオリティ評価
ヒト胚の呼吸機能解析
9 hCG拡散率による卵巣血流動態と卵子(詠田由美)……132
hCG拡散率による卵巣血流動態の概念と測定法
卵巣血流動態に影響する因子と卵巣血流動態
10 in vitro maturation(IVM)法(福田愛作)……134
多嚢胞卵巣症候群,多嚢胞卵巣へのIVF-ETの臨床応用
IVM-IVFにおける未熟卵と通常IVFでの未熟卵との相違
当院にけるIVM-IVF実施方法
治療成績
Clinical Update
1 卵子とエピジェネティクス(石川孝之・京野廣一)……143
減数分裂とヒストンアセチル化
ゲノミックインプリンティング
インプリンティング症候群とエピジェネティック異常
2 胚培養のリスク(堀内俊孝)……147
体外での胚操作における光の影響
初期胚の遺伝子発現に及ぼす影響
初期胚のエピジェ二ック制御への影響
産子への影響
3 腹腔鏡手術がIVFより優る(菅原延夫)……151
不妊症における当院の腹腔鏡実施の適応
当院が行っている卵管癒着剥離術
当院が行っている子宮内膜症病巣除去術
当院が行っている卵管開口術
当院が行っている腹腔鏡下多嚢胞卵巣多孔術
当院の成績
4 加齢婦人へのDHEA併用療法とART治療成績(大塩達弥)……158
過排卵誘発に抵抗性を示すFSH高値症例に対するDHEAの併用療法
hCG卵胞液内移行率を指標とした卵巣機能の評価
抗Muller管ホルモン(AMH)を指標とした卵巣予備能の評価
5 卵巣組織凍結保存法の現状(鈴木 直・橋本 周・細井美彦・森本義晴・石塚文平)……161
近年の若年癌患者の特色
癌の治療と卵巣機能不全
卵巣組織凍結の臨床応用─ヒトにおける成功例
カニクイザルを用いた新しい卵巣組織凍結保存法の開発
卵巣組織凍結の展望
6 不妊に対する低反応レベルレーザー治療(藤井俊史・大城俊夫)……168
卵子に及ぼす影響
レーザーとレーザー治療
不妊に対するレーザー治療
卵子に及ぼすLLLTの影響
今後の課題
7 単一胚移植法の是非(蔵本武志)……173
多胎妊娠予防の必要性
多胎妊娠予防としての単一胚移植
単一胚移植の今後の展望
8 多嚢胞卵巣の卵子(福田 淳)……177
多嚢胞卵巣における卵子
9 胚移植の時期(古井憲司)……180
当院での胚移植時期の推移
胚の評価
day3胚移植の限界
今後の検討課題
10 hCGによるLH活性の役割(Johan Smitz)……184
FSHとの併用におけるLH活性
HP-hMGを用いた検討
11 卵管環境を左右する因子(野 昇)……188
卵管環境を左右する因子
卵管機能評価法と卵管性不妊への対応
12 ICSIにおける胚破損(山下正紀・岩山 広)……194
piezo-ICSI
インジェクションピペットの外径
卵細胞膜の伸展性
卵子の生存性からみたICSIの限界
13 ヒト生殖医療のための新しい卵子培養ならびに卵子評価システム(乾 裕昭・水野仁二・赤石一幸・渡邉百合)……197
新しい卵子培養システム:マイクロデバイスの基本コンセプトと臨床応用成果
新しい卵子評価システム:マイクロタクタイルセンサ(MTS)の基本コンセプトと臨床応用成果
索引……204
執筆者一覧……V
Focus
卵子研究から不妊の病態をみる(鈴木秋悦)……3
研究とそのアプローチ
卵細胞のqualityとaging
生殖における基本的な疑問
体外受精の課題
Theory
1 卵子の発生(倉沢滋明)……17
卵子の発生から胎児の卵子
卵巣の形成と原始生殖細胞
減数分裂による卵子形成
卵胞の形成・発育
2-1) 卵子の成熟(佐藤英明・星野由美・横尾正樹)……22
卵子成熟のメカニズム(基礎)
ヒトデの卵成熟
マウスの卵成熟
ブタの卵成熟
2-2) 卵子の成熟(鈴木秋悦)……28
ヒト卵子の成熟と減数分裂
3-1) 卵子の形態(北井啓勝)……30
微細構造を含めて
卵子の形成
卵子の形態
卵子の細胞小器官
3-2) 卵子の形態(森本義晴)……35
体外成熟培養卵(IVM卵子)の電子顕微鏡的観察
卵子の電子顕微鏡観察のための処理
卵子成熟における超微形態
考察
4 卵胞発育と卵子(久保春海)……40
前胞状卵胞発育の過程
卵胞期初期〜中期における排卵前期卵胞への発育
卵胞期中期〜後期における卵胞選択機序
5 排卵のメカニズム(石塚文平・橋則行)……43
排卵に必要な条件
主席卵胞の構造
ゴナドトロピンサージ
排卵のメカニズム
6 卵管と卵子(野 昇)……48
卵管の妊孕過程における役割
卵管環境を構成する因子
7 受精のメカニズム(佐藤嘉兵)……54
受精にかかわる精子の機能的変化
精子のcapacitationと先体反応
先体反応と受精との関係
精子の卵子活性化因子
精子核の膨化および前核の形成
卵子細胞質内への精子注入法および円形精子細胞注入法による受精
ICSIと正常受精との相違点
ICSI時における精子の運動と受精との関係
ICSIにより得られた胚の発生能
8 受精卵のクオリティ(沖津 摂)……60
卵子にみられるさまざまな形態的異常
精子の形態的異常
受精卵(初期分割期胚)にみられる形態的異常
その他の形態的異常
クオリティの高い受精卵の選別方法
今後の課題
9 卵子・胚の超微細形態(間壁さよ子)……68
電子顕微鏡による研究の進展
電子顕微鏡による研究の進展
ヒト生殖過程の高分解能走査電子顕微鏡像
10 受精卵の分化(北井啓勝)……73
compactionの時期と意義
compactionとは
compactionの形成機序
compactionと胚の微細構造
compactionと胚の極性
compactionと胚のquality
11 受精障害(片寄治男・菅沼亮太・林章太郎・蜩c薫)……77
精子核形成過程
精子核クロマチン検査法
精子核の質的異常と受精障害
12 着床のメカニズム(河野康志・楢原久司)……85
子宮内膜と着床
着床の細胞生物学
13 厚さからみた子宮内膜のクオリティ(東口篤司)……89
内膜厚の正常値
内膜が薄くなる原因
薄い内膜(着床期)の特徴
Technique
1 卵子の初期胚発生とtime-lapse cinematographyによる観察(岩田京子・見尾保幸)……95
time-lapse cinematography(TLC)
conventional IVF(cIVF)の受精過程
初期胚発生の時間経過
細胞内小器官の動態
卵割様式とfragment発生
胚盤胞への発生過程
2 成熟卵子の定量的形態解析法(矢野浩史・久保敏子)……105
卵子の大きさ,透明帯の厚さ
成熟卵子の形態と大きさおよび透明帯の厚さ
polarization microscopy(polscope)による成熟卵子の観察
3 胚のassisted hatching法(佐藤節子)……107
概要
手技
4 卵子の細胞遺伝学的解析(中岡義晴)……110
卵子の減数分裂
卵子の染色体分析法
卵子の染色体異常
胚の染色体異常
妊娠率の向上と流産率の減少に向けて
5 ヒト卵細胞質の形態学的クオリティ評価(大月純子)……115
ヒト卵細胞質内の主な異常形態
6 卵子の凍結保存法(桑山正成)……119
材料と方法
成績
7 卵子の活性化法(荒木康久・荒木泰行)……123
カルシウムイオノフォア法
塩化ストロンチウム法
その他の方法
8 胚の機能検定法(阿部宏之)……127
電気化学計測法と受精卵呼吸測定装置
胚の呼吸量測定
胚のミトコンドリア呼吸機能
呼吸機能解析と胚のクオリティ評価
ヒト胚の呼吸機能解析
9 hCG拡散率による卵巣血流動態と卵子(詠田由美)……132
hCG拡散率による卵巣血流動態の概念と測定法
卵巣血流動態に影響する因子と卵巣血流動態
10 in vitro maturation(IVM)法(福田愛作)……134
多嚢胞卵巣症候群,多嚢胞卵巣へのIVF-ETの臨床応用
IVM-IVFにおける未熟卵と通常IVFでの未熟卵との相違
当院にけるIVM-IVF実施方法
治療成績
Clinical Update
1 卵子とエピジェネティクス(石川孝之・京野廣一)……143
減数分裂とヒストンアセチル化
ゲノミックインプリンティング
インプリンティング症候群とエピジェネティック異常
2 胚培養のリスク(堀内俊孝)……147
体外での胚操作における光の影響
初期胚の遺伝子発現に及ぼす影響
初期胚のエピジェ二ック制御への影響
産子への影響
3 腹腔鏡手術がIVFより優る(菅原延夫)……151
不妊症における当院の腹腔鏡実施の適応
当院が行っている卵管癒着剥離術
当院が行っている子宮内膜症病巣除去術
当院が行っている卵管開口術
当院が行っている腹腔鏡下多嚢胞卵巣多孔術
当院の成績
4 加齢婦人へのDHEA併用療法とART治療成績(大塩達弥)……158
過排卵誘発に抵抗性を示すFSH高値症例に対するDHEAの併用療法
hCG卵胞液内移行率を指標とした卵巣機能の評価
抗Muller管ホルモン(AMH)を指標とした卵巣予備能の評価
5 卵巣組織凍結保存法の現状(鈴木 直・橋本 周・細井美彦・森本義晴・石塚文平)……161
近年の若年癌患者の特色
癌の治療と卵巣機能不全
卵巣組織凍結の臨床応用─ヒトにおける成功例
カニクイザルを用いた新しい卵巣組織凍結保存法の開発
卵巣組織凍結の展望
6 不妊に対する低反応レベルレーザー治療(藤井俊史・大城俊夫)……168
卵子に及ぼす影響
レーザーとレーザー治療
不妊に対するレーザー治療
卵子に及ぼすLLLTの影響
今後の課題
7 単一胚移植法の是非(蔵本武志)……173
多胎妊娠予防の必要性
多胎妊娠予防としての単一胚移植
単一胚移植の今後の展望
8 多嚢胞卵巣の卵子(福田 淳)……177
多嚢胞卵巣における卵子
9 胚移植の時期(古井憲司)……180
当院での胚移植時期の推移
胚の評価
day3胚移植の限界
今後の検討課題
10 hCGによるLH活性の役割(Johan Smitz)……184
FSHとの併用におけるLH活性
HP-hMGを用いた検討
11 卵管環境を左右する因子(野 昇)……188
卵管環境を左右する因子
卵管機能評価法と卵管性不妊への対応
12 ICSIにおける胚破損(山下正紀・岩山 広)……194
piezo-ICSI
インジェクションピペットの外径
卵細胞膜の伸展性
卵子の生存性からみたICSIの限界
13 ヒト生殖医療のための新しい卵子培養ならびに卵子評価システム(乾 裕昭・水野仁二・赤石一幸・渡邉百合)……197
新しい卵子培養システム:マイクロデバイスの基本コンセプトと臨床応用成果
新しい卵子評価システム:マイクロタクタイルセンサ(MTS)の基本コンセプトと臨床応用成果
索引……204








