やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム準拠教科書シリーズ発刊に寄せて
管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム
 国民の健康問題や少子高齢化社会におけるさまざまな問題を改善できる高度な専門的知識および技能を有する管理栄養士の育成を目的とし,平成12(2000)年に栄養士法の改正が行われました.一方,管理栄養士養成施設数は,平成7(1995)年の約30校から平成30(2018)年には150校ほどに急増し,毎年約1万人が管理栄養士国家試験に合格し,管理栄養士名簿に登録され,その教育の質の担保が重要となっています.
 日本栄養改善学会では,教育課程は本来その専門職のコアカリキュラムに基づいて設定されるべきものという考え方から,学術団体として独自に「管理栄養士養成課程におけるモデルコアカリキュラム」の検討を行ってきました.その実績を踏まえ,厚生労働省から委託を受け,平成30(2018)年度に「管理栄養士・栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」を策定,公表しました.
 本モデル・コア・カリキュラムでは,管理栄養士・栄養士に共通して期待される像を「栄養・食を通して,人々の健康と幸福に貢献する」としました.栄養学を学術的基盤とし,栄養・食を手段として,さまざまな人々の健康はもとより,より広義のwell-beingに寄与する専門職であることを,明瞭簡潔に表現したものです.
 そして,期待される像を実現するモデル・コア・カリキュラムの全体的な構造を概念図(次頁)にしました.上部のA「管理栄養士・栄養士として求められる基本的な資質・能力」の達成に向けて,Bを踏まえ,左側のCから右側のGやHへと,基礎的な学修内容から総合的,統合的な内容へと学修が発展します.また,基礎教養科目や各養成施設の教育理念に基づく独自の教育内容も位置づけています.

モデル・コア・カリキュラムの趣旨と活用
 本モデル・コア・カリキュラムでは,管理栄養士養成における基礎教養分野を除く学修時間の3分の2程度で履修可能となるよう内容を精選しています.学生が卒業時までに身につけておくべき必須の実践能力について,具体的な学修目標をいわゆるコンピテンシーの獲得として記述しました.共通したモデル・コア・カリキュラムに基づく学修は,社会に対する管理栄養士の質保証に資するとともに,管理栄養士は何ができる専門職なのかを広く国民に対して提示することにもなります.
 養成課程のカリキュラム構築は,各分野の人材養成に対する社会的要請や学問領域の特性等を踏まえつつ,各養成施設が建学の精神や独自の教育理念に基づいて自主的・自律的に行うべきものです.各養成施設がカリキュラムを編成するに当たっては,学修目標だけでなく,学修内容や教育方法,学修成果の評価のあり方等も重要な検討課題です.各養成施設においては,本モデル・コア・カリキュラムの学修目標を内包したうえで,特色ある独自のカリキュラムを構築されることを期待申し上げます.

新シリーズ編集の経緯・ねらい
 日本栄養改善学会では2011年より,医歯薬出版株式会社との共同事業として,学会独自のモデル・コア・カリキュラムに基づく教科書シリーズを発行してまいりました.この度,新たに国として初めての「管理栄養士・栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」の策定を受け,これまでのシリーズを全面刷新することにいたしました.
 新シリーズは,厚生労働省の了解も得て,「管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム準拠」教科書シリーズと称することとなりました.各巻の編者は,モデル・コア・カリキュラム策定に深く携わった先生方にお引き受けいただき,栄養学教育および管理栄養士の職務に造詣の深い先生方にご執筆をお願いしました.
 本モデル・コア・カリキュラムは,先述の概念図に示すように,科目の相互のつながりや学修内容の発展段階を踏んで上級学年へと進められるように構成されています.このため新シリーズは,国家試験の出題基準に沿った目次構成となっている従来の教科書とは異なり,管理栄養士養成課程での系統立った学修の流れを示し,各巻のつながりを意識した構成といたしました.学生が卒業後一人の管理栄養士として現場に出た際に,管理栄養士・栄養士の期待される像の実現を可能とできるように,構成や内容の充実を図っております.

読者に期待すること
 管理栄養士養成課程で学ぶ皆さんは,卒業後は大きな社会の変革のなかで,課題解決力をもち,「栄養・食を通して,人々の健康と幸福に貢献する」管理栄養士となることが期待されます.栄養学およびその背景にある学問や科学・技術の進歩に伴う新たな知識や技能について,すべてを卒前教育で修得することは困難であり,卒業後も自律的に自己研鑽していくことが必要です.そのための基本的な能力を,本シリーズを通して培っていただければ,編者,執筆者一同,幸甚に思います.
 2021年2月
 村山伸子
 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 理事長
 武見ゆかり
 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 前理事長



 日本栄養改善学会監修「管理栄養士養成のための栄養学教育モデル・コア・カリキュラム」準拠教科書シリーズの第2巻として「栄養学の基本─人体の理解と栄養学の基礎」を発刊します.本書は,「モデル・コア・カリキュラム」のうち「C栄養管理の実践のための基礎科学」の「1.人体の構造と機能」,「2.栄養と栄養素等のはたらき」に示された学修内容に準じて構成され,管理栄養士教育に必須である基礎教科(解剖生理学,生化学,基礎栄養学等)のコアの内容をカバーしたもので,それぞれの分野の学修内容を精査し,重複する項目を整理し系統的にまとめました.具体的には,「Part1.栄養学を学ぶための人体の理解」においては身体構成成分,人体の構造と機能,個体の調節機構,「Part 2.栄養と栄養素等の働き」では栄養の意義,摂食行動の仕組み,栄養素等の消化・吸収・排泄,生体内代謝,各栄養素(炭水化物,脂質,たんぱく質,ビタミン,ミネラル,水・電解質)ごとの栄養学,エネルギー代謝,遺伝子と栄養に関する学修内容が記載されています.
 本書は,管理栄養士教育の土台となる基礎知識が凝集されたものです.管理栄養士を目指す学生の方々が本書を活用し,栄養学の基礎をしっかりと理解し,それを土台に実践栄養学分野を習得することを期待します.さらに,卒業後も管理栄養士業務の際に遭遇する基礎的事項の確認にも活用していただきたい.管理栄養士を目指す学生や管理栄養士業務に従事する方々が本書を手元に置き,繰り返し活用されることを願います.
 本書はカバーする範囲が多岐にわたることから,編集の過程で執筆者の方々には内容調整を度々お願いし,ご迷惑をお掛けしながら完成しました.またその過程で,医歯薬出版編集部および関係者の方々に多大なご尽力をいただきました.本書の発刊に関わられた多くの方々のご協力に厚く御礼申し上げます.
 2022年8月
 編者一同
Part 1 栄養学を学ぶための人体の理解
 Chapter 1 身体構成成分
  1.糖質の構造と機能(大口健司)
   1)単糖類
    (1)単糖の光学異性体
    (2)単糖の環状構造
   2)二糖類
   3)多糖類
    (1)ホモ多糖
    (2)ヘテロ多糖
   4)複合糖質
  2.脂質の構造と機能(大口健司)
   1)脂肪酸
   2)トリグリセリド
   3)コレステロール
   4)リン脂質
   5)糖脂質
  3.アミノ酸・たんぱく質の構造と機能(山本浩範)
   1)アミノ酸
   2)ペプチド
   3)たんぱく質
  4.核酸の構造と機能(金子一郎)
   1)ヌクレオチド
   2)DNA,RNA
 Chapter 2 人体の構造と機能
  1.細胞と組織の構造と機能(濱田 俊)
   1)細胞,組織,臓器,器官
    (1)上皮組織
    (2)支持組織
    (3)筋組織
   2)細胞膜,細胞小器官
    (1)細胞膜
    (2)細胞小器官
    (3)核
   3)細胞増殖・分化
    (1)細胞増殖
    (2)細胞の分化
  2.体内の臓器,器官(濱田 俊)
   1)各臓器,器官の形態,体内での位置
    (1)各臓器,器官の形態
    (2)体内での位置
  3.運動器系(骨格系,筋肉系)の構造と機能(松本直幸)
   1)骨・軟骨・関節・靱帯の構造と機能
    (1)骨と軟骨の基本構造
    (2)関節と靱帯の基本構造
   2)骨の成長と再構築(リモデリング)
    (1)骨を構成する細胞
    (2)骨のモデリングとリモデリング
    (3)骨代謝と栄養
    (4)骨形成における荷重負荷の重要性
   3)筋の構造と機能
    (1)筋の種類
    (2)骨格筋の構造
    (3)筋収縮の仕組み
    (4)単収縮と強縮
    (5)筋収縮の様式
  4.循環器系の構造と機能(瀬川博子)
   1)心臓の構造と機能
    (1)心臓の構造
    (2)心臓の機能
   2)体循環,肺循環(血液循環)
   3)血圧の調節機序
    (1)末梢血管抵抗の調節
    (2)循環血液量の調節
    (3)レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系
    (4)血圧に関与するその他の因子
    (5)交感神経と副交感神経による血圧の調節
  5.呼吸器系の構造と機能(熊井まどか・菊地優子)
   1)気道の構造と機能
    (1)鼻腔
    (2)咽頭
    (3)喉頭
    (4)気管・気管支
   2)肺の機能と構造
    (1)肺胞
    (2)呼吸運動
    (3)肺気量
    (4)死腔
    (5)呼吸の調節
   3)血液中の酸素・二酸化炭素の運搬
    (1)酸素の運搬
    (2)二酸化炭素の運搬
  6.口の構造と機能(市川哲雄・後藤崇晴)
   1)摂食・咀嚼・嚥下機能
  7.消化器系の構造と機能(南 久則)
   1)消化管の構造と機能
    (1)口腔の構造と機能
    (2)食道の構造と機能
    (3)胃の構造と機能
    (4)小腸の構造と機能
    (5)大腸の構造と機能
   2)肝臓・胆嚢・膵臓の構造と機能
    (1)肝臓の構造と機能
    (2)胆嚢の構造と機能
    (3)膵臓の構造と機能
  8.泌尿器系の構造と機能(瀬川博子)
   1)泌尿器の構造
   2)腎臓の構造
   3)腎臓への血液供給と尿の生成
    (1)糸球体濾過
    (2)尿細管再吸収
    (3)尿細管分泌
   4)体液の量・組成・浸透圧の調節
    (1)体液区分と体液バランス
    (2)水の獲得と排出
   5)腎に作用/産生されるホルモン,血管作動性物質
    (1)腎臓ネフロン機能に作用するホルモン
    (2)腎臓で産生されるホルモン
    (3)血管作動性物質
   6)電解質調節
    (1)ナトリウム(Na)
    (2)カリウム(K)
    (3)カルシウム(Ca)
    (4)リン酸(P)
    (5)マグネシウム(Mg)
  9.内分泌系の構造と機能(1)〜7)大津可絵・下田誠也/8)9)外村彩夏・下田誠也)
   1)ホルモンの種類と分類
    (1)ホルモンと内分泌
    (2)ホルモンの化学的性質と分類
   2)ホルモンの作用機序
    (1)ホルモンの受容体
    (2)ホルモン分泌の調整
   3)視床下部・下垂体
    (1)視床下部ホルモン
    (2)下垂体前葉ホルモン
    (3)下垂体後葉ホルモン
   4)甲状腺
    (1)甲状腺ホルモンの合成・分泌
    (2)甲状腺ホルモンの作用
    (3)甲状腺ホルモンの調整
    (4)カルシトニンの作用
   5)副甲状腺
    血中カルシウム濃度を調整する因子とそのメカニズム
   6)膵臓
    (1)インスリン
    (2)グルカゴン
    (3)ソマトスタチン
   7)副腎
    (1)副腎皮質ホルモン
    (2)副腎髄質ホルモン
   8)性腺ホルモン
    (1)男性ホルモン(アンドロゲン)
    (2)女性ホルモン
    (3)性腺ホルモンのフィードバック機構
   9)女性生殖器の構造と機能
    (1)内生殖器の構造と機能
    (2)外生殖器の構造と機能
    (3)性周期と排卵の機序
    (4)妊娠と分娩
  10.神経・感覚器系の構造と機能(松本直幸)
   1)神経系による情報伝達
    (1)ニューロンの構造と興奮の伝導
    (2)神経線維の種類と役割
    (3)中枢神経系
    (4)末梢神経系
   2)体性神経
    (1)運動神経
    (2)感覚神経
   3)自律神経
   4)感覚器系
    (1)感覚器系の特徴
    (2)味覚と嗅覚
    (3)皮膚感覚
    (4)視覚
    (5)聴覚
  11.血液・造血器系の構造と機能(熊井まどか・菊地優子)
   1)赤血球,白血球,血小板
    (1)赤血球
    (2)白血球
    (3)血小板
   2)血球の分化・成熟
    (1)赤血球の分化・成熟
    (2)白血球の分化・成熟
    (3)血小板の分化・成熟
   3)血漿たんぱく質
    (1)膠質浸透圧
    (2)分類
    (3)アルブミン/グロブリン(A/G)比
 Chapter 3 個体の調節機能(竹谷 豊)
  1.神経と内分泌,臓器連関による恒常性
   1)恒常性とは
   2)体液による恒常性調節機構
   3)神経と内分泌による恒常性調節機構
   4)恒常性調節機構と臓器連関
  2.細胞間情報伝達物質による調節(受容体セカンドメッセンジャー)
   1)液性因子による細胞間情報伝達
   2)ギャップ結合による細胞間情報伝達
   3)細胞接触による細胞間情報伝達
  3.細胞内情報伝達─細胞膜受容体を介した細胞内情報伝達経路
   1)7回膜貫通型受容体(Gたんぱく質共役受容体)ファミリー
   2)1回膜貫通型受容体ファミリー
   3)細胞内(核内)受容体スーパーファミリー
  4.生体機能の調節
   1)血液凝固と線維素溶解系(線溶系)
    (1)血液凝固の内因系と外因系
    (2)線維素溶解系(線溶系)
    (3)血液凝固の調節
   2)体温・呼吸の調節
    (1)体温の生理的変動
    (2)熱産生反応
    (3)熱放散反応
    (4)体温調節反応
   3)体液組成と浸透圧の調節
   4)血液ガス,酸・塩基平衡の調節(アシドーシス,アルカローシス)
  5.免疫による生体調節
   1)免疫器官と免疫細胞
   2)非特異的生体防御機構
    (1)物理的・化学的・生物学的防御
    (2)自然免疫による防御
   3)特異的生体防御機構
   4)栄養と生体防御機能
Part 2 栄養と栄養素等の働き
 Chapter 1 栄養の意義(南 久則)
  1.栄養と栄養素
   1)栄養の定義
   2)栄養素
   3)食事の意義
  2.栄養と健康の関わり
   1)栄養に影響を与える因子
   2)栄養が影響をする事柄
   3)疾病が栄養状態に及ぼす影響
   4)栄養と健康の関わり
   5)栄養学を学ぶ目的
 Chapter 2 摂食行動の仕組み(南 久則)
  1.摂食行動の調節機構
   1)飢餓感
    (1)食欲
    (2)空腹感
   2)味覚
    (1)味物質と基本味
    (2)味覚の感受性
    (3)味覚受容器
    (4)味覚受容体
    (5)味覚に影響するほかの感覚
   3)摂食量の調節
    (1)中枢の摂食調節
    (2)糖定常説と脂肪定常説
    (3)摂食調節因子
   4)摂食調節機構
    (1)消化器官からの信号
    (2)代謝産物
    (3)末梢から分泌される食欲調節ペプチド
    (4)脳で産生される摂食調節物質
  2.食事のリズムとタイミング
   1)規則的な生活と摂食行動
   2)日内リズム
    (1)血中副腎皮質ホルモンの日内リズム
    (2)体温の日内リズム
    (3)血圧の日内リズム
 Chapter 3 栄養素等の消化・吸収・排泄
  1.消化・吸収の意義と調節機構(星 清子)
   1)管腔内消化
    (1)脳相
    (2)胃相
    (3)腸相
   2)膜消化
   3)栄養素吸収機構
    (1)受動輸送
    (2)能動輸送
    (3)膜動輸送(エンドサイトーシスとエキソサイトーシス)
   4)消化器系の運動
    (1)口腔,咽頭,食道の運動
    (2)胃の運動
    (3)小腸の運動
    (4)大腸の運動
   5)排便の仕組み
  2.管腔内消化の調節機構(星 清子)
   1)自律神経による調節
   2)消化管ホルモンによる調節
  3.栄養素の消化と吸収(白神俊幸)
   1)炭水化物の消化と吸収
    (1)消化
    (2)吸収
   2)たんぱく質の消化と吸収
    (1)消化
    (2)吸収
   3)脂質の消化と吸収
    (1)消化
    (2)吸収
   4)ビタミンの吸収
    (1)水溶性ビタミン
    (2)脂溶性ビタミン
   5)ミネラルの吸収
  4.栄養素の体内動態(白神俊幸)
   1)門脈系に移行する栄養素
   2)リンパ系に移行する栄養素
  5.生物学的利用度(星 清子)
   1)消化吸収率
   2)栄養価
  6.腸内細菌の役割と健康(吉村征浩)
   1)人体における細菌の分布と腸内細菌
    (1)腸内細菌の構成に影響するもの
    (2)腸内細菌の働き
   2)腸内細菌叢に及ぼす食事成分の影響
    (1)プレバイオティクス
    (2)プロバイオティクス
 Chapter 4 生体内代謝(金子一郎)
  1.酵素・補酵素の機能
   1)酵素の種類と機能
    (1)酵素反応速度
    (2)酵素の種類
    (3)酵素の性質
   2)酵素活性の調節
    (1)アロステリック調節
    (2)たんぱく質の修飾による調節
   3)酵素阻害
    (1)競合阻害
    (2)非競合阻害
   4)補酵素(ビタミンとの関係)
   5)アイソザイム
  2.生体のエネルギーと代謝
   1)異化と同化
    (1)異化(分解)経路
    (2)同化(合成)経路
   2)体内でのATP産生
    (1)解糖系における産生
    (2)クエン酸(TCA)回路における産生
   3)電子伝達系と酸化的リン酸化
    (1)電子伝達系
    (2)酸化的リン酸化
    (3)基質レベルのリン酸化
   4)褐色脂肪細胞による熱産生
 Chapter 5 炭水化物の栄養
  1.糖質の代謝(大口健司)
   1)解糖系
    (1)解糖系の反応
    (2)解糖系の調節
    (3)解糖系におけるATP産生
   2)ピルビン酸のアセチルCoAへの変換
   3)クエン酸回路
    (1)クエン酸回路の反応
    (2)クエン酸回路の調節
    (3)クエン酸回路とほかの代謝系との関係
   4)グリコーゲンの合成と分解
    (1)グリコーゲンの合成
    (2)グリコーゲンの分解
   5)糖新生とその経路
    (1)糖新生の材料
    (2)糖新生の反応
   6)ペントースリン酸回路
   7)ウロン酸経路
  2.炭水化物の栄養学的役割(谷村綾子)
   1)エネルギー源としての炭水化物
   2)たんぱく質節約作用
  3.炭水化物の各臓器における役割と動態(谷村綾子)
   1)食後・食間の糖質代謝
    (1)食後の糖質代謝
    (2)食間(空腹時)の糖質代謝
   2)臓器での糖質代謝
    (1)脳
    (2)赤血球
    (3)肝臓
    (4)筋肉
    (5)脂肪組織
  4.血糖の調節機構(谷村綾子)
   1)血糖調節におけるインスリンの作用
    (1)グルコースの取り込み
    (2)グルコース利用の促進
    (3)血中へのグルコースの放出抑制
   2)血糖調節における肝臓・筋肉・脂肪組織の役割
    (1)肝臓
    (2)筋肉
    (3)脂肪組織
   3)コリ回路,グルコース-アラニン回路
    (1)コリ回路
    (2)グルコース-アラニン回路
  5.糖質とほかの栄養素との関係(谷村綾子)
   1)ビタミンB1必要量に及ぼす影響
   2)脂質・アミノ酸との相互変換
  6.食物繊維(谷村綾子)
   1)食物繊維の分類
    (1)食物繊維の種類・形状・働き
    (2)疾患との関連
   2)難消化性糖質
    (1)難消化性オリゴ糖
    (2)糖アルコール
 Chapter 6 脂質の栄養(叶内宏明)
  1.脂質の代謝
   1)脂肪酸のβ酸化
    ペルオキシソームでのβ酸化
   2)ケトン体の合成と利用
    (1)ケトン体の合成
    (2)ケトン体の利用
   3)脂肪酸の合成,伸長,不飽和化
    (1)脂肪酸の合成
    (2)脂肪酸の伸長と不飽和化
   4)トリアシルグリセロールの合成と分解
    (1)トリアシルグリセロールの合成
    (2)白色脂肪中トリグリセリドの分解
   5)コレステロールの合成と体内利用
    (1)コレステロールの合成
    (2)コレステロールの利用
   6)脂質の運搬方法
  2.脂質の体内動態と臓器特性
   1)食後・食間期の脂質代謝
    (1)食後の脂質代謝
    (2)食間期の脂質代謝
    (3)絶食時の脂質代謝
   2)リポたんぱく質を介した脂質の臓器間輸送
   3)脂質代謝の臓器差
    (1)肝臓
    (2)筋肉
    (3)脂肪組織
    (4)脳
   4)コレステロールの調節
   5)コレステロール由来の生体成分
  3.脂質の栄養学的役割
   1)貯蔵エネルギーとしての脂質
   2)脂肪エネルギー比率
   3)飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
    (1)飽和脂肪酸
    (2)不飽和脂肪酸
   4)脂肪酸由来生理活性物質
   5)ビタミンB1節約作用
 Chapter 7 たんぱく質の栄養(桑波田雅士)
  1.たんぱく質の合成と分解
   1)たんぱく質の合成
    (1)転写
    (2)翻訳
   2)たんぱく質の分解
    (1)細胞外でのたんぱく質分解─消化
    (2)細胞内でのたんぱく質分解
   3)アミノ酸の分解経路とアミノ酸の利用
    (1)アミノ基転移反応
    (2)尿素回路
    (3)炭素骨格の代謝
   4)アミノ酸由来生体物質
    (1)プリン塩基,ピリミジン塩基
    (2)ヘム
    (3)クレアチン
    (4)グルタチオン
  2.たんぱく質・アミノ酸の栄養学的役割
   1)たんぱく質の半減期
   2)アルブミン
   3)急速代謝回転たんぱく質(RTP)
   4)たんぱく質・エネルギー栄養障害(PEM)
  3.たんぱく質・アミノ酸の臓器間輸送と臓器における機能の特徴
   1)グルコース-アラニン回路
   2)グルタミンの利用
   3)絶食時のアミノ酸臓器間輸送
  4.食事たんぱく質の栄養価評価法
   1)窒素出納
    指標アミノ酸酸化法
   2)生物価
    正味たんぱく質利用効率(NPU)
   3)可欠アミノ酸と不可欠アミノ酸
   4)アミノ酸価
   5)アミノ酸の補足効果
  5.たんぱく質・アミノ酸とエネルギーおよびほかの栄養素との関係
   1)エネルギー摂取量とたんぱく質必要量
   2)糖新生とたんぱく質代謝
   3)ビタミンとたんぱく質代謝
 Chapter 8 ビタミンの栄養(山本浩範)
  1.ビタミンの栄養学的役割
   1)脂溶性ビタミン─構造と機能,欠乏症と過剰症
    (1)ビタミンA
    (2)ビタミンD
    (3)ビタミンE
    (4)ビタミンK
   2)水溶性ビタミン─構造と機能,欠乏症と過剰症
    (1)ビタミンB1
    (2)ビタミンB2
    (3)ナイアシン
    (4)ビタミンB6
    (5)ビタミンB12
    (6)葉酸
    (7)パントテン酸
    (8)ビオチン
    (9)ビタミンC
  2.ビタミンの生理作用と欠乏・過剰
   1)ビタミンのホルモン様作用
   2)ビタミンと補酵素
   3)抗酸化作用とビタミン
   4)血液凝固とビタミン
  3.ビタミンの吸収と体内利用に及ぼす食事成分の影響
   1)脂質吸収と脂溶性ビタミン
   2)水溶性ビタミンの組織飽和と尿中排泄
   3)腸内細菌叢とビタミン
   4)ビタミンB12吸収機構
  4.ビタミンとほかの栄養素との関係
   1)エネルギー代謝とビタミン
   2)糖質代謝,アミノ酸代謝,脂質代謝とビタミン
   3)核酸代謝とビタミン
   4)カルシウム代謝とビタミン
 Chapter 9 ミネラル(無機質)の栄養(松ア広志)
  1.ミネラルの分類と栄養学的役割
   1)多量ミネラル
    (1)種類
    (2)栄養学的役割と欠乏症・過剰症
   2)微量ミネラル
    (1)種類
    (2)栄養学的役割と欠乏症・過剰症
  2.ミネラルの吸収,体内動態および生理学的役割
   1)硬組織とミネラル
    (1)カルシウム
    (2)リン
    (3)マグネシウム
    (4)骨と運動
    (5)歯とフッ素
   2)神経,筋肉とカリウム,マグネシウム
    (1)カリウム
    (2)マグネシウム
   3)酵素活性とミネラル
    (1)鉄
    (2)亜鉛
    (3)銅
    (4)マンガン
    (5)セレン
    (6)モリブデン
   4)鉄代謝
    (1)吸収
    (2)鉄の生体内存在量と分布
    (3)鉄の体内運搬と蓄積
  3.ミネラルとほかの栄養素との関係
   1)カルシウム吸収とほかの栄養素
   2)鉄吸収とほかの栄養素
   3)カルシウムと鉄以外のミネラル吸収とほかの栄養素
 Chapter 10 水・電解質の栄養(白神俊幸)
  1.電解質の栄養学的役割
   1)体内の電解質の分布
    (1)ミネラル
    (2)電解質
  2.生体内の水の分布,機能および水分出納
   1)体内の水の分布
   2)水の機能
   3)水分出納
   4)水分必要量
    尿崩症
   5)脱水
   6)浮腫
  3.電解質の生理学的役割
   1)ナトリウム
   2)カリウム
 Chapter 11 エネルギー代謝(谷村綾子)
  1.エネルギー代謝の概念
   1)物理的燃焼値
    (1)エネルギーとは
    (2)熱量と単位
    (3)物理的燃焼値の測定
   2)生理的燃焼値(生体利用エネルギー)
    (1)栄養素の燃焼
    (2)エネルギー換算係数
  2.エネルギー消費量
   1)基礎代謝
    (1)基礎代謝量
    (2)基礎代謝に影響を与える因子
    (3)基礎代謝量の測定方法
   2)安静時代謝
    (1)安静時代謝量に影響する因子
    (2)患者における安静時代謝量
   3)睡眠時代謝
   4)活動時代謝
   5)身体活動の指標
    (1)身体活動レベル
    (2)メッツ
    (3)活動係数
   6)食事誘発性熱産生
    食事誘発性熱産生に影響する因子
   7)臓器別エネルギー代謝
    (1)基礎代謝量のうち臓器が占める割合
    (2)臓器重量当たりのエネルギー消費量
  3.エネルギー消費量の測定方法
   1)直接法
   2)間接法
    (1)呼気ガス分析法
    (2)ダグラスバッグ法
    (3)心拍数法
    (4)加速度計法
    (5)要因加算法
   3)二重標識水法
   4)エネルギー出納
 Chapter 12 遺伝子と栄養(金子一郎)
  1.遺伝子の発現とその制御機構
  2.たんぱく質の合成
  3.エピジェネティクスと栄養
   1)エピジェネティクス機構
   2)エピジェネティクスと疾患
  4.遺伝子発現と栄養─遺伝子発現に及ぼす栄養素・非栄養素・栄養状態の影響
   1)糖質
   2)脂質
   3)たんぱく質
   4)ビタミン
    (1)ビタミンB6
    (2)ナイアシン
    (3)葉酸とビタミンB12
    (4)ビタミンC
   5)鉄
   6)亜鉛
   7)非栄養素
  5.生活習慣病と遺伝子多型(遺伝因子)
   1)糖尿病
   2)高血圧
   3)肥満
   4)がん
  6.ヌクレオチドの合成,分解,再利用
   1)プリンヌクレオチドの合成
   2)ピリミジンヌクレオチドの合成
   3)デオキシリボヌクレオチド
   4)プリンヌクレオチドとピリミジンヌクレオチド
   5)尿酸の生合成
   6)サルベージ経路
   7)遺伝子変異による疾患

 参考文献
 索引