2015年版改訂の序
公衆栄養学は,人々のQOLの向上に寄与する学問である.これを礎として,管理栄養士・栄養士は,保健・医療・福祉・介護・教育などの関係者と連携・協働しながら,人々が生き生きと暮らし自己実現ができるような社会を目指し,食と健康を視座として支援する公衆栄養活動を行っている.
この公衆栄養活動において,対象とする人々や地域は変わりうるものであり,たとえ対象が同じであったとしても,社会状況などに応じて次々と変容を遂げるため,管理栄養士・栄養士には,時代の潮流を読み取り,新たな健康課題に対応する力が求められる.
このため本書では,実際的な公衆栄養マネジメント能力の涵養を目指し,現在展開されている公衆栄養プログラムについて具体的に取り上げ,公衆栄養マネジメントのプロセスを意識しながら解説している.そして,最新の情報をもとに公衆栄養活動をみつめることができるよう,今回の改訂では「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をはじめ,「食育ガイド」「健康な食事」など,最新の情報を盛りこんでいる.
初版以来,本書は一貫して,“ヘルスプロモーション”の概念を軸に,主観的な生活の満足度を加味した“ウエルネス”の視点に基づいて出版されてきた.管理栄養士・栄養士を養成するためのテキストとしてはもちろんのこと,健康で幸せな社会づくりに携わる多くの専門職者の養成と育成にも活用され,人々のQOL向上のために柔軟で多様にアプローチできる視野の広い学びに役立てていただければ幸いである.
終わりに,本書の改訂に当たり,ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社に心から感謝申し上げる.
2015年3月吉日
編者一同
初版の序
「公衆栄養」が栄養士養成施設での教科目として採用されてから22年を経過し,いま大きな転換期を迎えようとしている.
それは少子・高齢化社会と環境問題を目前にして,その目的である健康づくりが住民参加型のヘルスプロモーション,さらにはウエルネスへと転換し,それへの地域ぐるみの新しい対応が求められてきたことである.そしてそのためには地域で働く栄養士や栄養ボランティアの意識改革とそれに即した活動が必要で,その体制をどう構築していくかがこれからの大きな課題である.「方法を生み出す栄養士」への期待と併せて,これからの公衆栄養学にそれが求められる.
本書は現在,栄養士養成施設で公衆栄養学を担当している者と管理栄養士として公衆栄養活動に従事している者らによる共著である.上記のような主旨にそってこれからの「公衆栄養」に大きな期待を込めて,各章を分担執筆している.
脱稿したうえで読み返してみると,初めの意図がどれだけ達成されたかと反省される点もある.また専門の立場からは行き届かない点や不備の点も指摘されると思う.これらの点については読者諸賢ならびに同学の士のご批判とご叱正を待ちたい.なお執筆に当たっては多くの著書・論文等を参考にしたが,なかでも巻末に記した文献には負うところが多い.これらの著者各位に深く謝意を表する.
終わりに,本書の出版にご理解を賜り出版の労をとられた医歯薬出版株式会社に深くお礼を申しあげる.
平成8年1月20日
編者 沖増 哲
公衆栄養学は,人々のQOLの向上に寄与する学問である.これを礎として,管理栄養士・栄養士は,保健・医療・福祉・介護・教育などの関係者と連携・協働しながら,人々が生き生きと暮らし自己実現ができるような社会を目指し,食と健康を視座として支援する公衆栄養活動を行っている.
この公衆栄養活動において,対象とする人々や地域は変わりうるものであり,たとえ対象が同じであったとしても,社会状況などに応じて次々と変容を遂げるため,管理栄養士・栄養士には,時代の潮流を読み取り,新たな健康課題に対応する力が求められる.
このため本書では,実際的な公衆栄養マネジメント能力の涵養を目指し,現在展開されている公衆栄養プログラムについて具体的に取り上げ,公衆栄養マネジメントのプロセスを意識しながら解説している.そして,最新の情報をもとに公衆栄養活動をみつめることができるよう,今回の改訂では「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をはじめ,「食育ガイド」「健康な食事」など,最新の情報を盛りこんでいる.
初版以来,本書は一貫して,“ヘルスプロモーション”の概念を軸に,主観的な生活の満足度を加味した“ウエルネス”の視点に基づいて出版されてきた.管理栄養士・栄養士を養成するためのテキストとしてはもちろんのこと,健康で幸せな社会づくりに携わる多くの専門職者の養成と育成にも活用され,人々のQOL向上のために柔軟で多様にアプローチできる視野の広い学びに役立てていただければ幸いである.
終わりに,本書の改訂に当たり,ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社に心から感謝申し上げる.
2015年3月吉日
編者一同
初版の序
「公衆栄養」が栄養士養成施設での教科目として採用されてから22年を経過し,いま大きな転換期を迎えようとしている.
それは少子・高齢化社会と環境問題を目前にして,その目的である健康づくりが住民参加型のヘルスプロモーション,さらにはウエルネスへと転換し,それへの地域ぐるみの新しい対応が求められてきたことである.そしてそのためには地域で働く栄養士や栄養ボランティアの意識改革とそれに即した活動が必要で,その体制をどう構築していくかがこれからの大きな課題である.「方法を生み出す栄養士」への期待と併せて,これからの公衆栄養学にそれが求められる.
本書は現在,栄養士養成施設で公衆栄養学を担当している者と管理栄養士として公衆栄養活動に従事している者らによる共著である.上記のような主旨にそってこれからの「公衆栄養」に大きな期待を込めて,各章を分担執筆している.
脱稿したうえで読み返してみると,初めの意図がどれだけ達成されたかと反省される点もある.また専門の立場からは行き届かない点や不備の点も指摘されると思う.これらの点については読者諸賢ならびに同学の士のご批判とご叱正を待ちたい.なお執筆に当たっては多くの著書・論文等を参考にしたが,なかでも巻末に記した文献には負うところが多い.これらの著者各位に深く謝意を表する.
終わりに,本書の出版にご理解を賜り出版の労をとられた医歯薬出版株式会社に深くお礼を申しあげる.
平成8年1月20日
編者 沖増 哲
2015年版改訂の序
Chapter 1 公衆栄養の概念
(沖増 哲,前大道教子)
1-1.公衆栄養の概念
1)公衆栄養の意義と目的
2)生態系と食料・栄養
3)保健・医療・福祉・介護・教育システムと公衆栄養
4)コミュニティと公衆栄養活動
1-2.公衆栄養活動
1)公衆栄養活動の歴史
2)生態系保全のための公衆栄養活動
3)地域づくりのための公衆栄養活動
4)ヘルスプロモーションのための公衆栄養活動
5)自己管理能力(エンパワメント)のための公衆栄養活動
6)疾病予防のための公衆栄養活動
7)少子・高齢社会における健康増進
8)ウエルネスのための公衆栄養活動
Chapter 2 健康・栄養問題の現状と課題
2-1.社会環境と健康・栄養問題(森脇弘子)
1)人口問題
2)人口構成の変遷
3)少子化
4)長寿社会
5)食料問題
2-2.健康状態の変化
1)死因別死亡
2)平均寿命・健康寿命
3)生活習慣病の有病率
2-3.食事の変化
1)エネルギー・栄養素摂取量
2)食品群別摂取量
3)料理・食事パターン
2-4.食生活の変化
1)食行動
2)食知識,食態度,食スキル
2-5.食環境の変化
1)食品生産・流通
2)食情報の提供
3)保健を目的とした食品の提供
4)フードバランスシート(食料需給表)
5)食料自給率
2-6.諸外国の健康・栄養問題の現状と課題(草間かおる)
1)先進諸国・開発途上国の現状と課題
2)先進国と開発途上国の地域格差
Chapter 3 栄養政策
3-1.わが国の公衆栄養活動(松原知子)
1)公衆栄養活動の役割
2)公衆栄養活動と組織・人材育成
3-2.公衆栄養関連法規
1)地域保健法
2)健康増進法
3)食育基本法
4)その他の主な法律
3-3.わが国の管理栄養士・栄養士制度(前大道教子)
1)栄養士法
2)管理栄養士・栄養士の社会的役割
3)管理栄養士・栄養士制度の沿革
4)管理栄養士・栄養士養成制度
3-4.国民健康・栄養調査
1)調査の目的・沿革
2)調査の内容・方法
3-5.実施に関連する指針,ツール(松原知子)
1)食生活指針
2)食事バランスガイド
3)食育ガイド
4)健康づくりのための身体活動基準2013
5)健康づくりのための休養指針
6)健康づくりのための睡眠指針
3-6.国の健康増進基本方針と地方計画(前大道教子)
1)国の基本方針策定の目的・内容
2)基本方針の推進と地方健康増進計画
3)食育推進基本計画策定の目的・内容
4)食育の推進と地方食育推進計画
3-7.諸外国の健康・栄養政策(草間かおる)
1)公衆栄養活動に関係する国際的な栄養行政組織
2)諸外国の公衆栄養関連計画
3)食事摂取基準
4)食事ガイド(食生活指針,フードガイド)
5)栄養士養成制度
Chapter 4 栄養疫学
(下方浩史)
4-1.栄養疫学の概要
1)栄養疫学の役割
2)公衆栄養活動への応用
4-2.曝露情報としての食事摂取量
1)食物と栄養素
2)食事摂取量の個人内変動と個人間変動
3)日常的(平均的)な食事摂取量
4-3.食事摂取量の測定方法
1)24 時間食事思い出し法
2)食事記録法
3)食物摂取頻度調査法とその妥当性・再現性
4)陰膳法とマーケットバスケット法
5)食生活状況調査
6)食事摂取量を反映する身体測定値・生化学的指標
4-4.食事摂取量の評価方法
1)食事調査と食事摂取基準
2)総エネルギー調整栄養素摂取量
3)データの処理と解析
Chapter 5 公衆栄養マネジメント
5-1.公衆栄養マネジメント(松原知子)
1)公衆栄養マネジメントの考え方・重要性
2)公衆栄養マネジメントの過程
5-2.公衆栄養アセスメント
1)公衆栄養アセスメントの目的と方法
2)食事摂取基準の地域集団への活用
3)地域観察の方法と活用
4)質問調査の方法と活用(質問紙法,面接法,電話調査法)
5)既存資料活用の方法と留意点
6)健康・栄養情報の収集と管理
5-3.公衆栄養プログラムの目標設定(前大道教子)
1)公衆栄養アセスメント結果の評価
2)改善課題の抽出
3)短期・中期・長期の課題設定の目的と相互の関連
4)改善課題に基づく改善目標の設定
5)目標設定の優先順位
5-4.公衆栄養プログラムの計画,実施,評価(松原知子)
1)地域社会資源の把握と管理
2)運営面・政策面のアセスメント
3)計画策定
4)住民参加
5)プログラムに関連する関係者・機関の役割
6)評価の種類
7)経過(過程)評価
8)影響・結果評価
9)経済評価
10)評価結果のフィードバック
11)評価のデザイン
Chapter 6 公衆栄養プログラムの展開
6-1.地域特性に対応したプログラムの展開
1)健康づくり(竹内育子)
2)食育
3)在宅療養,介護支援(小田光子)
4)健康・食生活の危機管理と食支援(竹内育子)
5)地域栄養ケアのためのネットワークづくり
6-2.食環境づくりのためのプログラムの展開(小田光子)
1)特別用途食品,特定保健用食品,栄養機能食品の活用
2)栄養成分表示の活用
3)健康づくりのための外食料理の活用
4)アレルギー物質含有表示の活用
6-3.地域集団の特性別プログラムの展開(加島浩子)
1)ライフステージ別
2)生活習慣病ハイリスク集団
付表&資料(食事摂取基準,関係法規,公衆栄養の歴史)
索引
Chapter 1 公衆栄養の概念
(沖増 哲,前大道教子)
1-1.公衆栄養の概念
1)公衆栄養の意義と目的
2)生態系と食料・栄養
3)保健・医療・福祉・介護・教育システムと公衆栄養
4)コミュニティと公衆栄養活動
1-2.公衆栄養活動
1)公衆栄養活動の歴史
2)生態系保全のための公衆栄養活動
3)地域づくりのための公衆栄養活動
4)ヘルスプロモーションのための公衆栄養活動
5)自己管理能力(エンパワメント)のための公衆栄養活動
6)疾病予防のための公衆栄養活動
7)少子・高齢社会における健康増進
8)ウエルネスのための公衆栄養活動
Chapter 2 健康・栄養問題の現状と課題
2-1.社会環境と健康・栄養問題(森脇弘子)
1)人口問題
2)人口構成の変遷
3)少子化
4)長寿社会
5)食料問題
2-2.健康状態の変化
1)死因別死亡
2)平均寿命・健康寿命
3)生活習慣病の有病率
2-3.食事の変化
1)エネルギー・栄養素摂取量
2)食品群別摂取量
3)料理・食事パターン
2-4.食生活の変化
1)食行動
2)食知識,食態度,食スキル
2-5.食環境の変化
1)食品生産・流通
2)食情報の提供
3)保健を目的とした食品の提供
4)フードバランスシート(食料需給表)
5)食料自給率
2-6.諸外国の健康・栄養問題の現状と課題(草間かおる)
1)先進諸国・開発途上国の現状と課題
2)先進国と開発途上国の地域格差
Chapter 3 栄養政策
3-1.わが国の公衆栄養活動(松原知子)
1)公衆栄養活動の役割
2)公衆栄養活動と組織・人材育成
3-2.公衆栄養関連法規
1)地域保健法
2)健康増進法
3)食育基本法
4)その他の主な法律
3-3.わが国の管理栄養士・栄養士制度(前大道教子)
1)栄養士法
2)管理栄養士・栄養士の社会的役割
3)管理栄養士・栄養士制度の沿革
4)管理栄養士・栄養士養成制度
3-4.国民健康・栄養調査
1)調査の目的・沿革
2)調査の内容・方法
3-5.実施に関連する指針,ツール(松原知子)
1)食生活指針
2)食事バランスガイド
3)食育ガイド
4)健康づくりのための身体活動基準2013
5)健康づくりのための休養指針
6)健康づくりのための睡眠指針
3-6.国の健康増進基本方針と地方計画(前大道教子)
1)国の基本方針策定の目的・内容
2)基本方針の推進と地方健康増進計画
3)食育推進基本計画策定の目的・内容
4)食育の推進と地方食育推進計画
3-7.諸外国の健康・栄養政策(草間かおる)
1)公衆栄養活動に関係する国際的な栄養行政組織
2)諸外国の公衆栄養関連計画
3)食事摂取基準
4)食事ガイド(食生活指針,フードガイド)
5)栄養士養成制度
Chapter 4 栄養疫学
(下方浩史)
4-1.栄養疫学の概要
1)栄養疫学の役割
2)公衆栄養活動への応用
4-2.曝露情報としての食事摂取量
1)食物と栄養素
2)食事摂取量の個人内変動と個人間変動
3)日常的(平均的)な食事摂取量
4-3.食事摂取量の測定方法
1)24 時間食事思い出し法
2)食事記録法
3)食物摂取頻度調査法とその妥当性・再現性
4)陰膳法とマーケットバスケット法
5)食生活状況調査
6)食事摂取量を反映する身体測定値・生化学的指標
4-4.食事摂取量の評価方法
1)食事調査と食事摂取基準
2)総エネルギー調整栄養素摂取量
3)データの処理と解析
Chapter 5 公衆栄養マネジメント
5-1.公衆栄養マネジメント(松原知子)
1)公衆栄養マネジメントの考え方・重要性
2)公衆栄養マネジメントの過程
5-2.公衆栄養アセスメント
1)公衆栄養アセスメントの目的と方法
2)食事摂取基準の地域集団への活用
3)地域観察の方法と活用
4)質問調査の方法と活用(質問紙法,面接法,電話調査法)
5)既存資料活用の方法と留意点
6)健康・栄養情報の収集と管理
5-3.公衆栄養プログラムの目標設定(前大道教子)
1)公衆栄養アセスメント結果の評価
2)改善課題の抽出
3)短期・中期・長期の課題設定の目的と相互の関連
4)改善課題に基づく改善目標の設定
5)目標設定の優先順位
5-4.公衆栄養プログラムの計画,実施,評価(松原知子)
1)地域社会資源の把握と管理
2)運営面・政策面のアセスメント
3)計画策定
4)住民参加
5)プログラムに関連する関係者・機関の役割
6)評価の種類
7)経過(過程)評価
8)影響・結果評価
9)経済評価
10)評価結果のフィードバック
11)評価のデザイン
Chapter 6 公衆栄養プログラムの展開
6-1.地域特性に対応したプログラムの展開
1)健康づくり(竹内育子)
2)食育
3)在宅療養,介護支援(小田光子)
4)健康・食生活の危機管理と食支援(竹内育子)
5)地域栄養ケアのためのネットワークづくり
6-2.食環境づくりのためのプログラムの展開(小田光子)
1)特別用途食品,特定保健用食品,栄養機能食品の活用
2)栄養成分表示の活用
3)健康づくりのための外食料理の活用
4)アレルギー物質含有表示の活用
6-3.地域集団の特性別プログラムの展開(加島浩子)
1)ライフステージ別
2)生活習慣病ハイリスク集団
付表&資料(食事摂取基準,関係法規,公衆栄養の歴史)
索引








