第2版改訂にあたって
2009年3月の初版発行後,糖尿病を初めとする各種疾患の診断基準の改定,食事摂取基準および食品成分表の改訂が行われ,それぞれ「日本人の食事摂取基準(2010年版)」および「日本食品標準成分表2010」として公表された.今回はそれらに即応し,また最新の情報・資料に基づく加筆・修正など,より一層の充実を図るべく改訂を行った.
診療報酬においては,2010年4月から栄養サポートチーム(NST)加算としてチームによる栄養管理が評価されることとなった.NSTチームのなかで,管理栄養士には,他の職種では担当できない具体的な献立や食事形態などについての提案・発言が今まで以上に求められる.
さらに,実地臨床だけでなく幅広い業務につく管理栄養士は,各ライフステージや疾患について,身体状況や栄養管理の考え方を理解し,栄養マネジメントの知識・技術・態度を修得しなければならない.
本書が,管理栄養士としてそれらを学ぶ最初の教本として,初版に引き続きご活用いただけることを願っている.
本書の改訂にあたり,ご協力いただいた執筆者および医歯薬出版編集部に心より謝意を表する次第である.
2011年2月
竹中 優
土江節子
はじめに
「応用栄養学」とは,身体状況や栄養状況に応じた栄養管理の考え方を理解する教科である.すなわち,妊娠,成長・発達,加齢など,人体の構造や機能の変化に伴う栄養状態などの変化や,運動・スポーツ時,ストレス・特殊環境下などにおける栄養・代謝などについて理解し,その理解に基づいて栄養状態の評価・判定,栄養ケアの計画・実施,モニタリング,フィードバックなど一連の栄養マネジメントの知識・技術・態度を修得することを目標としている.
近年,病院における栄養ケアは,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士や管理栄養士により,協働(NST;nutrition support team)で実施されている.チームによる栄養管理は,診療報酬において「栄養管理実施加算」として評価されている.NSTのなかで管理栄養士は,必要栄養量など栄養治療についての提案を行うほか,ほかの職種では担当することのできない,経腸栄養剤の種類,具体的な献立や食事形態など食事療法についての提案・発言をするなど,重要な役割を果たしている.
また,平成20年度より特定健診・特定保健指導が開始され,特定保健指導を行う管理栄養士は,栄養の指導と同時に運動についての指導も必要となり,運動・スポーツについて,従来よりも具体的な知識や技術が要求されることとなってきた.
本書では,これまでの献立・調理に重点を置いた実習書とは異なり,各ライフステージの症例(事例)について,栄養ケアプログラム〜食事摂取基準・食品構成〜献立作成の各プロセスを演習し,その献立に基づいた実習を行うという一連の流れによって,栄養マネジメントを効果的に学習できるように編集した.
しかしながら,どんなに必要栄養量を満たした献立であっても,喫食されなければ意味がない.本書では,美味しく喜ばれる食事を提供するために必要な献立・食品・調理などについて学び,実践につなげてゆくことができるよう配慮した.
本書は演習・実習書であるので,理論については必要最小限にとどめた.理論を実践するための手引き書としてご活用いただければ幸いである.
本書を出版するにあたり,お力添えいただいた医歯薬出版編集部に心より感謝申し上げる次第である.
2009年2月
竹中 優
土江節子
2009年3月の初版発行後,糖尿病を初めとする各種疾患の診断基準の改定,食事摂取基準および食品成分表の改訂が行われ,それぞれ「日本人の食事摂取基準(2010年版)」および「日本食品標準成分表2010」として公表された.今回はそれらに即応し,また最新の情報・資料に基づく加筆・修正など,より一層の充実を図るべく改訂を行った.
診療報酬においては,2010年4月から栄養サポートチーム(NST)加算としてチームによる栄養管理が評価されることとなった.NSTチームのなかで,管理栄養士には,他の職種では担当できない具体的な献立や食事形態などについての提案・発言が今まで以上に求められる.
さらに,実地臨床だけでなく幅広い業務につく管理栄養士は,各ライフステージや疾患について,身体状況や栄養管理の考え方を理解し,栄養マネジメントの知識・技術・態度を修得しなければならない.
本書が,管理栄養士としてそれらを学ぶ最初の教本として,初版に引き続きご活用いただけることを願っている.
本書の改訂にあたり,ご協力いただいた執筆者および医歯薬出版編集部に心より謝意を表する次第である.
2011年2月
竹中 優
土江節子
はじめに
「応用栄養学」とは,身体状況や栄養状況に応じた栄養管理の考え方を理解する教科である.すなわち,妊娠,成長・発達,加齢など,人体の構造や機能の変化に伴う栄養状態などの変化や,運動・スポーツ時,ストレス・特殊環境下などにおける栄養・代謝などについて理解し,その理解に基づいて栄養状態の評価・判定,栄養ケアの計画・実施,モニタリング,フィードバックなど一連の栄養マネジメントの知識・技術・態度を修得することを目標としている.
近年,病院における栄養ケアは,医師,看護師,薬剤師,臨床検査技師,理学療法士や管理栄養士により,協働(NST;nutrition support team)で実施されている.チームによる栄養管理は,診療報酬において「栄養管理実施加算」として評価されている.NSTのなかで管理栄養士は,必要栄養量など栄養治療についての提案を行うほか,ほかの職種では担当することのできない,経腸栄養剤の種類,具体的な献立や食事形態など食事療法についての提案・発言をするなど,重要な役割を果たしている.
また,平成20年度より特定健診・特定保健指導が開始され,特定保健指導を行う管理栄養士は,栄養の指導と同時に運動についての指導も必要となり,運動・スポーツについて,従来よりも具体的な知識や技術が要求されることとなってきた.
本書では,これまでの献立・調理に重点を置いた実習書とは異なり,各ライフステージの症例(事例)について,栄養ケアプログラム〜食事摂取基準・食品構成〜献立作成の各プロセスを演習し,その献立に基づいた実習を行うという一連の流れによって,栄養マネジメントを効果的に学習できるように編集した.
しかしながら,どんなに必要栄養量を満たした献立であっても,喫食されなければ意味がない.本書では,美味しく喜ばれる食事を提供するために必要な献立・食品・調理などについて学び,実践につなげてゆくことができるよう配慮した.
本書は演習・実習書であるので,理論については必要最小限にとどめた.理論を実践するための手引き書としてご活用いただければ幸いである.
本書を出版するにあたり,お力添えいただいた医歯薬出版編集部に心より感謝申し上げる次第である.
2009年2月
竹中 優
土江節子
Chapter 1:栄養マネジメントの基礎知識
1―栄養マネジメントの概要(小倉嘉夫)
2―栄養アセスメント(栄養評価・判定)の方法
1.臨床診査
2.身体計測
3.生化学的検査
4.食事調査
5.生活習慣
6.食環境・生活環境
7.健康問題
3―栄養ケアプログラムの作成
1.目標設定
2.栄養補給法の決定
3.必要栄養量の決定
4―栄養ケアの実際にあたって(土江節子)
1.食事計画
2.食品購入と保管管理
3.調理・盛り付け
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック(小倉嘉夫)
1.評価
2.結果のフィードバック
6―栄養マネジメントの記録
7―NST(Nutrition Support Team)による栄養管理
Chapter 2:妊娠期の栄養(丸山智美)
1―妊娠期の特性と栄養ケアのあり方
1.妊娠期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―妊娠期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―妊娠期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.低体重
2.肥満
3.つわり,妊娠悪阻
4.妊娠高血圧症候群
5.妊娠貧血
6.妊娠糖尿病
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 3:授乳期の栄養(石ア由美子)
1―授乳期の特性と栄養ケアのあり方
1.授乳期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―授乳期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―授乳期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.低体重・過体重
2.低栄養
3.摂食障害
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 4:乳児期の栄養(喜多村 尚)
1―乳児期の特性と栄養ケアのあり方
1.新生児期・乳児期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―乳児期の栄養アセスメント
1.臨床診査
2.生理・生化学検査
3.身体計測
3―離乳期の栄養ケアの実際
1.栄養ケアプログラム
2.食事摂取基準
3.献立例
4―乳児期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.低出生体重児
2.食物アレルギー
3.便秘
4.下痢
5.先天性代謝異常
6.ミルク嫌い
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 5:幼児期の栄養(小林三智子)
1―幼児期の特性と栄養ケアのあり方
1.幼児期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―幼児期の栄養アセスメント
1.臨床診査
2.身体計測
3.臨床検査
4.食環境
3―栄養ケアの実際
1.栄養ケア(支援)プログラム
2.食事摂取基準・食品構成例
3.献立例
4―幼児期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.肥満
2.食物アレルギー
3.消化不良
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 6:学童期の栄養(桑島千栄)
1―学童期の特性と栄養ケアのあり方
1.学童期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―学童期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―学童期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.肥満とやせ
2.鉄欠乏性貧血
3.生活習慣病
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 7:思春期の栄養(太田美穂)
1―思春期の特性と栄養ケアのあり方
1.思春期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―思春期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―思春期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.鉄欠乏性貧血
2.脂質異常症
3.神経性食欲不振症
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 8:成人期の栄養(曽川美佐子)
1―成人期の特性と栄養ケアのあり方
1.成人期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―成人期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―生活習慣病と栄養ケア
1.肥満
2.糖尿病
3.脂質異常症
4.高血圧
5.心疾患
6.悪性新生物(がん)
7.脳血管疾患
5―更年期と栄養ケア
1.更年期の特徴と概要
2.更年期の栄養ケア
6―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 9:高齢期の栄養(大関知子)
1―高齢期の特性と栄養ケアのあり方
1.高齢期の特性
2.栄養ケアのポイント
3.食事計画
2―高齢期の栄養アセスメント
1.栄養スクリーニング
2.身体計測
3.血液検査
4.食事調査
5.食生活状況
6.日常生活動作能力(ADL)
7.QOL
3―栄養ケアの実際
1.栄養ケアプログラム
2.食事摂取基準・食品構成例
3.献立例
4―高齢期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.たんぱく質エネルギー栄養障害
2.褥瘡
3.摂食・嚥下障害
4.骨粗鬆症
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
1.栄養ケアの評価
2.結果のフィードバック
Chapter 10:運動・スポーツと栄養(坂元美子)
1―運動と栄養
1.健康を維持するための運動と栄養―メタボリックシンドロームの予防・改善
2.競技のための運動と栄養
2―スポーツと栄養補給
3―栄養ケアの実際
Chapter 11:環境と栄養(太田美穂)
1―高温・低温環境
1.体温の保持と調節
2.代謝の変化
3.高温・低温環境と栄養補給
2―高圧・低圧環境
1.高圧環境とエネルギー補給
2.低圧環境における栄養問題
3―騒音・振動環境
1.騒音環境
2.振動環境
3.騒音・振動環境と栄養
4―ストレスと栄養
5―生体リズム
演習・実習
付表
1―栄養マネジメントの概要(小倉嘉夫)
2―栄養アセスメント(栄養評価・判定)の方法
1.臨床診査
2.身体計測
3.生化学的検査
4.食事調査
5.生活習慣
6.食環境・生活環境
7.健康問題
3―栄養ケアプログラムの作成
1.目標設定
2.栄養補給法の決定
3.必要栄養量の決定
4―栄養ケアの実際にあたって(土江節子)
1.食事計画
2.食品購入と保管管理
3.調理・盛り付け
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック(小倉嘉夫)
1.評価
2.結果のフィードバック
6―栄養マネジメントの記録
7―NST(Nutrition Support Team)による栄養管理
Chapter 2:妊娠期の栄養(丸山智美)
1―妊娠期の特性と栄養ケアのあり方
1.妊娠期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―妊娠期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―妊娠期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.低体重
2.肥満
3.つわり,妊娠悪阻
4.妊娠高血圧症候群
5.妊娠貧血
6.妊娠糖尿病
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 3:授乳期の栄養(石ア由美子)
1―授乳期の特性と栄養ケアのあり方
1.授乳期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―授乳期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―授乳期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.低体重・過体重
2.低栄養
3.摂食障害
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 4:乳児期の栄養(喜多村 尚)
1―乳児期の特性と栄養ケアのあり方
1.新生児期・乳児期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―乳児期の栄養アセスメント
1.臨床診査
2.生理・生化学検査
3.身体計測
3―離乳期の栄養ケアの実際
1.栄養ケアプログラム
2.食事摂取基準
3.献立例
4―乳児期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.低出生体重児
2.食物アレルギー
3.便秘
4.下痢
5.先天性代謝異常
6.ミルク嫌い
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 5:幼児期の栄養(小林三智子)
1―幼児期の特性と栄養ケアのあり方
1.幼児期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―幼児期の栄養アセスメント
1.臨床診査
2.身体計測
3.臨床検査
4.食環境
3―栄養ケアの実際
1.栄養ケア(支援)プログラム
2.食事摂取基準・食品構成例
3.献立例
4―幼児期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.肥満
2.食物アレルギー
3.消化不良
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 6:学童期の栄養(桑島千栄)
1―学童期の特性と栄養ケアのあり方
1.学童期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―学童期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―学童期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.肥満とやせ
2.鉄欠乏性貧血
3.生活習慣病
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 7:思春期の栄養(太田美穂)
1―思春期の特性と栄養ケアのあり方
1.思春期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―思春期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―思春期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.鉄欠乏性貧血
2.脂質異常症
3.神経性食欲不振症
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 8:成人期の栄養(曽川美佐子)
1―成人期の特性と栄養ケアのあり方
1.成人期の特性
2.栄養ケアのポイント
2―成人期の栄養アセスメント
3―栄養ケアの実際
4―生活習慣病と栄養ケア
1.肥満
2.糖尿病
3.脂質異常症
4.高血圧
5.心疾患
6.悪性新生物(がん)
7.脳血管疾患
5―更年期と栄養ケア
1.更年期の特徴と概要
2.更年期の栄養ケア
6―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
Chapter 9:高齢期の栄養(大関知子)
1―高齢期の特性と栄養ケアのあり方
1.高齢期の特性
2.栄養ケアのポイント
3.食事計画
2―高齢期の栄養アセスメント
1.栄養スクリーニング
2.身体計測
3.血液検査
4.食事調査
5.食生活状況
6.日常生活動作能力(ADL)
7.QOL
3―栄養ケアの実際
1.栄養ケアプログラム
2.食事摂取基準・食品構成例
3.献立例
4―高齢期の栄養にかかわる病態・疾患と栄養ケア
1.たんぱく質エネルギー栄養障害
2.褥瘡
3.摂食・嚥下障害
4.骨粗鬆症
5―栄養ケアの評価と結果のフィードバック
1.栄養ケアの評価
2.結果のフィードバック
Chapter 10:運動・スポーツと栄養(坂元美子)
1―運動と栄養
1.健康を維持するための運動と栄養―メタボリックシンドロームの予防・改善
2.競技のための運動と栄養
2―スポーツと栄養補給
3―栄養ケアの実際
Chapter 11:環境と栄養(太田美穂)
1―高温・低温環境
1.体温の保持と調節
2.代謝の変化
3.高温・低温環境と栄養補給
2―高圧・低圧環境
1.高圧環境とエネルギー補給
2.低圧環境における栄養問題
3―騒音・振動環境
1.騒音環境
2.振動環境
3.騒音・振動環境と栄養
4―ストレスと栄養
5―生体リズム
演習・実習
付表