まえがき
既刊の『SEIREI栄養ケア・マネジメントマニュアル』ならびに『SEIREI栄養ケア・マネジメントケーススタディ』に加えて,このたび『SEIREI栄養ケア・マネジメントポケットマニュアル』を出版することとなった.本書は,臨床管理栄養士のみならず,医師・看護師をはじめ第一線で働く医療従事者がベッドサイドで迅速,効果的に栄養管理が行えるように編集されている.
病院の入院・外来患者,施設・在宅栄養ケアの利用者に対するエビデンスに基づく実践的栄養管理が行われるようになり,わが国でもやっと適切な栄養管理が医療の質向上と医療費削減に貢献することが理解されるようになってきた.
医療・介護施設,あるいは在宅ケアにおいて,臨床栄養に携わる方がたが毎日の患者栄養管理,すなわち患者一人ひとりの栄養評価に基づく栄養ケアプランを立案し,一般ならびに特殊栄養療法を実施し,モニタリング・再評価していくプロセスには,それらに必要な臨床栄養知識と経験を十分に修得しなければならない.
現在の臨床栄養管理体制は,病院・施設管理システムのなかで医療の質を向上させ,一方では経済効果を高め,それらのアウトカムの分析により,迅速に個別に最適な栄養サポートの提供を,包括化されたチーム医療を通して実現するものである.すなわち,その栄養管理においては,一人ひとりの患者にもっとも適した質の高いケアを提供するために,各分野のスペシャリストがお互いの力を結集して,チーム医療を実践することが求められる.また臨床栄養管理は,疾患・症状別のクリニカルパスに基づく診療計画のなかに位置づけられ,より合理的・より全人的・より質の高い患者ケアの一部でもある.
このポケットマニュアルは,元聖隷三方原病院栄養科長・金谷節子氏を中心とする聖隷三方原病院栄養科の精鋭臨床管理栄養士諸氏とともにまとめた小さな結晶である.今後,栄養療法・栄養ケアの進歩とともに内容の見直しを行い,より臨床の場で役立つ内容にしていきたいと考えている.
2006年9月
川西秀徳
出版によせて
本書は2003年に出版された『SEIREI栄養ケア・マネジメントマニュアル』をポケット版化したものであり,その後の学問の進歩,ガイドライン等の追加に対応し,肥満症・メタボリックシンドロームについての項目を新たに追加しました.
本書は,臨床現場や介護の最前線においてすぐ使える実践的栄養管理の手引書として企画されました.本書を読むことで,臨床の場で日々忙しく働く栄養士の方がたが,どのような栄養ケアを行ったら有効であるのか,またどの時期にどのような栄養ケアをやらねばならないか,より実践的な包括的栄養ケア・マネジメントを理解することができるでしょう.さらに,栄養士をめざす学生の栄養ケア入門書・栄養教材としても幅広く使えることでしょう.
わが国の医療費は2010年度には68兆円と予測され,医療費・介護費の抑制は緊急かつ最優先課題となっています.医療費高騰の相対リスクを死亡と生存からみると,低栄養患者は非低栄養患者の2.63倍,60歳以上と60歳未満では2.6倍です(M.Isabel,2003).また低栄養患者の医療費は全体の患者と比べ20%増,非低栄養患者との比較では40%高くなっているというデータもあります.したがって,この2つにターゲットを絞りこみリスクを低下させることで,医療費・介護費抑制の突破口を開くことができ,これは栄養士・栄養ケアチームに課せられた重大な任務といえましょう.
本書が出版される最大の理由は,人類史上まれにみる急激な高齢社会においてその突破口を栄養に見出し,栄養状態を改善することにより大きな社会的貢献の可能性があるからです.これは栄養士をはじめ栄養に携わる者たちの歴史参加を意味します.
2001年,新たなるミレニアムを迎えたとき,米国のCNNヘルスは「21 世紀,食は医療そのものになる」と世界に発信したことを想い出します.高齢者が生き生きと自立するための生活能力の因子をみると,「買い物と調理」です(平成14 年度食の自立支援に関する報告書).
生体は口から入る食物を原材料として日々生き続けています.そして,口から食べることは脳の2/3 を使う行為なのです.人が最期まで雄々しく生きる可能性を食・栄養に見出すことができます.
本書をまとめるに際して,川西秀徳先生という厳しくも理想に燃えるよき師を得たことは,若き栄養士達にとってまれにみるラッキーなことでした.日々さまざまなご指導をいただいた先生には,心より感謝いたします.栄養ケアへの挑戦は,いまはじまったばかりです.
2006年9月
浜松大学助教授・元聖隷三方原病院栄養科長
金谷節子
既刊の『SEIREI栄養ケア・マネジメントマニュアル』ならびに『SEIREI栄養ケア・マネジメントケーススタディ』に加えて,このたび『SEIREI栄養ケア・マネジメントポケットマニュアル』を出版することとなった.本書は,臨床管理栄養士のみならず,医師・看護師をはじめ第一線で働く医療従事者がベッドサイドで迅速,効果的に栄養管理が行えるように編集されている.
病院の入院・外来患者,施設・在宅栄養ケアの利用者に対するエビデンスに基づく実践的栄養管理が行われるようになり,わが国でもやっと適切な栄養管理が医療の質向上と医療費削減に貢献することが理解されるようになってきた.
医療・介護施設,あるいは在宅ケアにおいて,臨床栄養に携わる方がたが毎日の患者栄養管理,すなわち患者一人ひとりの栄養評価に基づく栄養ケアプランを立案し,一般ならびに特殊栄養療法を実施し,モニタリング・再評価していくプロセスには,それらに必要な臨床栄養知識と経験を十分に修得しなければならない.
現在の臨床栄養管理体制は,病院・施設管理システムのなかで医療の質を向上させ,一方では経済効果を高め,それらのアウトカムの分析により,迅速に個別に最適な栄養サポートの提供を,包括化されたチーム医療を通して実現するものである.すなわち,その栄養管理においては,一人ひとりの患者にもっとも適した質の高いケアを提供するために,各分野のスペシャリストがお互いの力を結集して,チーム医療を実践することが求められる.また臨床栄養管理は,疾患・症状別のクリニカルパスに基づく診療計画のなかに位置づけられ,より合理的・より全人的・より質の高い患者ケアの一部でもある.
このポケットマニュアルは,元聖隷三方原病院栄養科長・金谷節子氏を中心とする聖隷三方原病院栄養科の精鋭臨床管理栄養士諸氏とともにまとめた小さな結晶である.今後,栄養療法・栄養ケアの進歩とともに内容の見直しを行い,より臨床の場で役立つ内容にしていきたいと考えている.
2006年9月
川西秀徳
出版によせて
本書は2003年に出版された『SEIREI栄養ケア・マネジメントマニュアル』をポケット版化したものであり,その後の学問の進歩,ガイドライン等の追加に対応し,肥満症・メタボリックシンドロームについての項目を新たに追加しました.
本書は,臨床現場や介護の最前線においてすぐ使える実践的栄養管理の手引書として企画されました.本書を読むことで,臨床の場で日々忙しく働く栄養士の方がたが,どのような栄養ケアを行ったら有効であるのか,またどの時期にどのような栄養ケアをやらねばならないか,より実践的な包括的栄養ケア・マネジメントを理解することができるでしょう.さらに,栄養士をめざす学生の栄養ケア入門書・栄養教材としても幅広く使えることでしょう.
わが国の医療費は2010年度には68兆円と予測され,医療費・介護費の抑制は緊急かつ最優先課題となっています.医療費高騰の相対リスクを死亡と生存からみると,低栄養患者は非低栄養患者の2.63倍,60歳以上と60歳未満では2.6倍です(M.Isabel,2003).また低栄養患者の医療費は全体の患者と比べ20%増,非低栄養患者との比較では40%高くなっているというデータもあります.したがって,この2つにターゲットを絞りこみリスクを低下させることで,医療費・介護費抑制の突破口を開くことができ,これは栄養士・栄養ケアチームに課せられた重大な任務といえましょう.
本書が出版される最大の理由は,人類史上まれにみる急激な高齢社会においてその突破口を栄養に見出し,栄養状態を改善することにより大きな社会的貢献の可能性があるからです.これは栄養士をはじめ栄養に携わる者たちの歴史参加を意味します.
2001年,新たなるミレニアムを迎えたとき,米国のCNNヘルスは「21 世紀,食は医療そのものになる」と世界に発信したことを想い出します.高齢者が生き生きと自立するための生活能力の因子をみると,「買い物と調理」です(平成14 年度食の自立支援に関する報告書).
生体は口から入る食物を原材料として日々生き続けています.そして,口から食べることは脳の2/3 を使う行為なのです.人が最期まで雄々しく生きる可能性を食・栄養に見出すことができます.
本書をまとめるに際して,川西秀徳先生という厳しくも理想に燃えるよき師を得たことは,若き栄養士達にとってまれにみるラッキーなことでした.日々さまざまなご指導をいただいた先生には,心より感謝いたします.栄養ケアへの挑戦は,いまはじまったばかりです.
2006年9月
浜松大学助教授・元聖隷三方原病院栄養科長
金谷節子
まえがき
出版によせて
監修・執筆者紹介
序章 包括的チーム医療のなかでの栄養管理の基本姿勢
I 栄養マネジメント
1.栄養マネジメントの全容
2.栄養マネジメント実践のポイント
1 スクリーニング(nutritional screening)
2 栄養アセスメント(nutritional assessment)
3 栄養評価・判定
身体計測に関する計算表
4 栄養ケアプラン
5 実践・モニタリング
6 評価
3.たんぱく質・エネルギー栄養不良の臨床型
マラスムス型栄養不良
クワシオコール型栄養不良
マラスムス・クワシオコール混合型栄養不良
II 経腸・経静脈栄養
1.経腸栄養:EN(Enteral Nutrition)
2.経静脈栄養:PN(Parental Nutrition)
III 免疫増強栄養法(Immunonutrition)
1.免疫増強栄養法
2.腸管エコ・免疫増強栄養法
IV 認知症・うつ病の簡易検査法
1.認知症のスクリーニングテストに使用する認知機能検査
2.うつ病のスクリーニングテストに使用される検査
V 褥瘡と栄養
資料1 褥瘡局所ケア選択基準
資料2 褥瘡対策に対する診療計画書1
資料3 褥瘡対策に対する診療計画書2
VI 嚥下食
1.栄養士による嚥下障害者へのアプローチ
1 スクリーニング
2 段階的摂食訓練
3 モニタリング・栄養評価
2.口腔ケアの概要-41
資料1 誤嚥性肺炎のリスクマネジメントマニュアル
資料2 摂食・嚥下障害の症状と看護計画
資料3 テスト食判定カード
資料4 段系的摂食訓練のチャート
資料5 嚥下食:食事基準
資料6 ゾル化剤・ゲル化剤商品一覧
VII 肥満および肥満症の栄養・運動療法
1.食事療法
2.運動療法
3.その他:患者自身が行うモチベーションアップのポイント
4.実践
資料1 肥満の判定と肥満症の診断基準
資料2 肥満症診断基準細則
資料3 肥満症診断のフローチャート
資料4 ウエスト周囲径とウエスト/ヒップ比(W/H)
VIII メタボリックシンドローム
1.内臓脂肪蓄積に起因する一連の疾患群
2.軽度ではあるが全身性の炎症性状態
3.メタボリックシンドロームの診断基準
4.生活習慣の改善は内臓脂肪減量にきわめて有効
5.長寿のためにもっとも必要なマネジメント
資料1 メタボリックシンドローム診断基準
付録
付録1 主観的包括的評価スクリーニング(SGA)
付録2 栄養アセスメントカード
付録3 検査結果一覧用紙
付録4 A/P栄養評価表
付録5 栄養プログレスシート
付録6 JARD2001 日本人の新身体計測基準値(中央値)
付録7 算出式一覧
付録8 栄養モニタリング表
付録9 病棟訪問時栄養評価表
付録10 ADL評価リスト
付録11 知能評価スケール(Mini-mental State Examination)
付録12 知能評価スケール(長谷川式)
付録13 うつ状態判定チェックシート(SDS)
付録14 うつ状態判定チェックシート(GDS)
付録15 輸液組成一覧
付録16 経腸栄養剤成分一覧
付録17 免疫増強栄養剤
付録18 栄養補助食品成分一覧
付録19 栄養補助食品一覧
付録20 日本人の食事摂取基準(ビタミン ミネラル)
付録21 聖隷三方原病院手洗いマニュアル
付録22 略語一覧
参考文献
出版によせて
監修・執筆者紹介
序章 包括的チーム医療のなかでの栄養管理の基本姿勢
I 栄養マネジメント
1.栄養マネジメントの全容
2.栄養マネジメント実践のポイント
1 スクリーニング(nutritional screening)
2 栄養アセスメント(nutritional assessment)
3 栄養評価・判定
身体計測に関する計算表
4 栄養ケアプラン
5 実践・モニタリング
6 評価
3.たんぱく質・エネルギー栄養不良の臨床型
マラスムス型栄養不良
クワシオコール型栄養不良
マラスムス・クワシオコール混合型栄養不良
II 経腸・経静脈栄養
1.経腸栄養:EN(Enteral Nutrition)
2.経静脈栄養:PN(Parental Nutrition)
III 免疫増強栄養法(Immunonutrition)
1.免疫増強栄養法
2.腸管エコ・免疫増強栄養法
IV 認知症・うつ病の簡易検査法
1.認知症のスクリーニングテストに使用する認知機能検査
2.うつ病のスクリーニングテストに使用される検査
V 褥瘡と栄養
資料1 褥瘡局所ケア選択基準
資料2 褥瘡対策に対する診療計画書1
資料3 褥瘡対策に対する診療計画書2
VI 嚥下食
1.栄養士による嚥下障害者へのアプローチ
1 スクリーニング
2 段階的摂食訓練
3 モニタリング・栄養評価
2.口腔ケアの概要-41
資料1 誤嚥性肺炎のリスクマネジメントマニュアル
資料2 摂食・嚥下障害の症状と看護計画
資料3 テスト食判定カード
資料4 段系的摂食訓練のチャート
資料5 嚥下食:食事基準
資料6 ゾル化剤・ゲル化剤商品一覧
VII 肥満および肥満症の栄養・運動療法
1.食事療法
2.運動療法
3.その他:患者自身が行うモチベーションアップのポイント
4.実践
資料1 肥満の判定と肥満症の診断基準
資料2 肥満症診断基準細則
資料3 肥満症診断のフローチャート
資料4 ウエスト周囲径とウエスト/ヒップ比(W/H)
VIII メタボリックシンドローム
1.内臓脂肪蓄積に起因する一連の疾患群
2.軽度ではあるが全身性の炎症性状態
3.メタボリックシンドロームの診断基準
4.生活習慣の改善は内臓脂肪減量にきわめて有効
5.長寿のためにもっとも必要なマネジメント
資料1 メタボリックシンドローム診断基準
付録
付録1 主観的包括的評価スクリーニング(SGA)
付録2 栄養アセスメントカード
付録3 検査結果一覧用紙
付録4 A/P栄養評価表
付録5 栄養プログレスシート
付録6 JARD2001 日本人の新身体計測基準値(中央値)
付録7 算出式一覧
付録8 栄養モニタリング表
付録9 病棟訪問時栄養評価表
付録10 ADL評価リスト
付録11 知能評価スケール(Mini-mental State Examination)
付録12 知能評価スケール(長谷川式)
付録13 うつ状態判定チェックシート(SDS)
付録14 うつ状態判定チェックシート(GDS)
付録15 輸液組成一覧
付録16 経腸栄養剤成分一覧
付録17 免疫増強栄養剤
付録18 栄養補助食品成分一覧
付録19 栄養補助食品一覧
付録20 日本人の食事摂取基準(ビタミン ミネラル)
付録21 聖隷三方原病院手洗いマニュアル
付録22 略語一覧
参考文献