やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

改訂の序

 本書初版が上梓されてから20年,成人を迎えたことになる.この間,多くの管理栄養士・栄養士養成施設における教科書として,また給食施設などでの献立作成のサブノートとしてご利用いただいてきた.ここに著者一同,あらためて厚くお礼申し上げる次第である.
 近年,栄養界を取り巻く変化は著しく,「第六次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準-」(1999)の策定,「五訂日本食品標準成分表」(2000)の公表,そして「栄養士法」の一部改正(2000)により管理栄養士の登録制が免許制に改められ,あわせて栄養士・管理栄養士の業務が明確化され,さらに養成施設のカリキュラムが改正された.また,国民健康づくり運動として開始された「健康日本21」を中核とした健康づくり・疾病予防の積極的な推進のため,医療改革制度の一環として「健康増進法」が公布(2002)され(それに伴い「栄養改善法」廃止),2003年5月1日より施行された.
 本書はこれらの変化にその都度対応し,版を重ねてきた.
 前回,第5版改訂では「五訂日本食品標準成分表」の公表に伴う訂正をはじめとして,各献立例の充実を図るとともに,判型・紙面構成を変更し,2色刷りにするなど,より利用しやすいマニュアルを目指した.
 今回,第6版改訂では健康増進法の施行に伴う見直しを中心に行った.栄養改善法で「集団給食施設」と規定されていた給食施設が,健康増進法では「特定給食施設」と定められたことによる訂正など,さらに書名の変更も行った.
 また,学校給食の平均栄養所要量および標準食品構成が改定されたことによる訂正を行った.
 引き続き献立論の理解,献立の立案・作成の手引きとして,大いにご活用いただければ幸いである.
 2003年9月
 著 者


はしがき

 給食管理業務は,すべて献立を中心として展開される.それは計画・立案にはじまり喫食に至るまでの,実に数多くのファクター一つ一つの集積であり,いうなれば,献立は栄養学をはじめとした食品,衛生,調理,経済,心理学等々が,それぞれ,たて糸,よこ糸として織りなされた織物であるともいえよう.それだけに,このたて糸,よこ糸の種類,組み合わせ,また,織り方によって,実にいろいろの織物ができ上がる.
 喫食者の嗜好に迎合すれば,栄養上からみて好ましくない献立になりかねないし,逆に,あまりにも栄養面にこだわると喫食者の嗜好を無視した内容の献立にもなりかねない.さらに,経済というものを考えれば,使用食品・予算制約といったことに頭を悩ますこともある.また,このような料理を献立に盛り込みたいと思っても,施設・設備ないしは人手の面でままならない.
 “食べる“ということは,きわめて日常性の高い行動であり,いわば泥くさいものである.このようなこともあってか,“食事づくり”がややもすれば,実験科学などにくらべて軽く見られがちである.しかし,われわれの健康の維持・増進,疾病の治癒ないし促進は食べることなくしてはあり得ない.
 献立は,どのような理論のうえに立って,具体的には,どのようなものを,どのくらい,どのようにして食べてもらうか,の一つの指標ともなるべきものである.この指標づくりには,理論はいうまでもなく,日常の訓練と経験の集積に負うところもすくなくない.それと同時に,料理のレパートリーを大いにひろげておくことも必要であろう.座右のノートとしてご活用いただければ幸甚である.
 終わりに臨み,発刊にあたって終始ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の方々に厚くお礼申し上げる次第である.
 昭和58年2月
 著 者
給食施設のための献立作成マニュアル 目次

第1章 献立作成にあたって 赤羽正之◆
 1.献立とは……1
 2.献立の考え方……1
 3.献立の要件……2
  1)栄養の問題……3
  2)食品の問題……3
  3)料理・おいしさの問題……4
   (1)化学的感覚……4
   (2)物理的感覚……4
   (3)心理的感覚……5
   (4)生理的感覚……5
  4)食費の問題……6
  5)安全の問題……6

第2章 献立作成の理論と実際 富岡和夫◆
 1.献立立案までの基礎計画……9
  1)特定給食の目的……9
  2)献立作成までの手順……9
  3)給与栄養基準量……9
   (1)給与栄養基準量とは……9
   (2)給与栄養基準量の決定方法……11
   (3)日本人の栄養所要量……11
   (4)給与栄養基準量の求め方……14
  4)食品群別荷重平均栄養成分について……19
   (1)食品群とは……19
   (2)食品群別荷重平均栄養成分とは……19
   (3)五訂日本食品標準成分表……20
   (4)栄養量の求め方……23
   (5)食品群別荷重平均栄養成分の求め方……26
  5)食品構成……32
   (1)食品構成と食品構成表……32
   (2)食品構成をまとめるにあたって……32
   (3)食品構成表をつくるための準備……34
   (4)食品構成をつくる……39
 2.献立表の役割と様式……54
  1)献立表の役割……54
  2)献立表の様式……54
 3.栄養出納計算……64
  1)栄養出納とは……64
  2)栄養出納計算に必要な書類……64
    (1)食品類別分類名……64
    (2)献立表の様式……64
    (3)栄養出納表……64
  3)栄養出納の計算と判定の要領……65

第3章 献立の見方,読み方,考え方◆
 1.献立の立案と献立計画 中川 悦……77
  1)献立の種類……77
   (1)定食献立……77
   (2)複数献立……77
   (3)カフェテリア形式の献立……77
  2)献立立案の留意点……77
  3)献立立案と献立表……78
  4)献立計画……78
   (1)献立計画の基本的事項……78
   (2)年間計画……79
   (3)月間・旬間計画……79
   (4)1週間の計画……79
   (5)1日3食の栄養配分……83
 2.予定献立の作成 桂きみよ……84
  1)献立表の種類……84
  2)予定献立作成の手順……86
   (1)型紙を利用した献立作成……86
   (2)記載の仕方……90
   3)記入上の注意……98
 3.献立の評価の仕方……99
   1)評価の重要性……99
   2)評価のための留意点……100
   3)評価の実践……101
   4)献立の評価……101

第4章 施設別献立の特徴と献立作成◆
 1.学校給食の献立作成 冨田教代……105
  1)学校給食の目的と特徴……105
  2)学校給食の種類……106
  3)学校給食の運営……106
   (1)単独校調理方式……106
   (2)共同調理場方式……106
  4)献立作成の要点……106
   (1)平均栄養所要量の基準……106
   (2)標準食品構成……108
   (3)学校給食における食事内容の充実……108
   (4)特殊教育諸学校における食事内容の改善……109
  5)献立の評価……109
 2.事業所給食の献立作成 大島恵子……113
  1)事業所給食の目的……113
  2)事業所給食の特徴……113
   (1)対象者……113
   (2)経営形態……113
   (3)給食形態……113
   (4)健康づくりへの取り組み……113
  3)事業所給食の種類……113
   (1)オフィス給食……113
   (2)工場給食……115
   (3)事業所付属施設給食……115
  4)献立作成の要点……115
   (1)給与栄養基準量の算定……115
   (2)食品構成……115
   (3)献立作成にあたっての留意点……115
  5)献立の評価……116
 3.社会福祉施設給食の献立作成 飯樋洋二……121
  1)社会福祉施設給食の目的と特徴……121
  2)献立作成の要点……121
   (1)児童福祉施設における給食……121
   (2)高齢者を対象とした社会福祉施設における給食……124
  3)献立の評価……127
 4.病院給食の献立作成 西川貴子……133
  1)病院給食の目的と献立作成の意義……133
  2)病院給食の特徴……133
   (1)入院時食事療養制度……133
   (2)食事の種類……133
   (3)約束食事箋……133
  3)献立作成の要点……136
   (1)給与栄養基準量と食品構成……136
   (2)献立作成にあたっての留意点……137
   (3)献立展開の留意点……137
  4)献立の評価……140

献立作成が上手になるために 富岡和夫……145
付表……153
 1.調理による食品の重量変化率(五訂日本食品標準成分表)……153
 2.調理方法の概要(五訂日本食品標準成分表)……156
索引……163