やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 いまから20年以上前,歯の全周を削ってセラミッククラウン修復をすることに違和感をもち,可及的に歯質を残すことができるラミネートベニア修復に取り組むこととなった.
 当初は,「歯の表面を一層削っただけで審美的な修復が可能である」と簡単に考えていたが,臨床を重ねるうえで,様々な疑問点や問題が出てきた.
 「エナネル質の残存を如何に目指すか」
 「的確な形成量を如何に得るのか」
 「脱離・破折せずに機能の確認を行えるプロビジョナルレストレーションはないのか」
 「薄いラミネートベニアでは接着材の色調が影響するが,上手く色調をコントロールできる接着材がない」…….
 これらの問題,疑問に対して少しずつ実験,検証を重ね,またメーカーの協力を得ることでクリアすることができた.
 問題点を解決していくことで,臨床において10年を超えても良好な予後経過が得られるようになった.
 そのエッセンスをまとめたのが本書である.
 “ラミネートベニアは破折する,脱離する,変色する”,と言われた時代もあるが,検査・診断,支台歯形成,プロビジョナルレストレーション,接着といった修復治療の基本を遵守することで長期予後と審美性が得られる治療法である.臨床実感としてはオールセラミックスクラウンとの予知性・永続性と差がないと考えている.
 本書をお読みいただき,読者のみなさまが長期的なラミネートベニア修復を実践していただければ,著者としてこれに勝る喜びはない.
 末筆ながら,筆者の研究,臨床に力を貸していただいた仲間たち,そしてメーカーの方々にこの場をお借りして御礼申し上げたい.
 2024年8月
 貞光謙一郎
 序文
 目次
 Opening Graph ラミネートベニアの長期経過
序章 長期経過を成し遂げるためのラミネートベニアの治療戦略
第1章 検査・診断
 検査・診断,シミュレーション
第2章 支台歯形成
 ラミネートベニアの支台歯形成のポイント
 支台歯形成のStep by Step
第3章 プロビジョナルレストレーション
 ラミネートベニアのプロビジョナルレストレーション製作
  プロビジョナルレストレーションMethod1
  プロビジョナルレストレーションMethod2
  プロビジョナルレストレーションMethod3
第4章 接着
 ラミネートベニアの接着のポイント
 色調を考慮した接着
  コラム 破折症例の考察とその対応
第5章 臨床例
 ラミネートベニアの長期経過例
 ホワイトニング後のラミネートベニア修復
 インプラント治療を併用したラミネートベニア修復
 インターディシプリナリーアプローチによる
 ラミネートベニア修復

 索引