やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 『上手に食べるために』が出版されてから,早いものでもう10年が経ちました.その間にも,たくさんの子どもたち,お母さん,お父さんたちにお会いし,摂食指導を通してさまざまなお話を伺わせていただきました.食べることの問題は多岐にわたりますから,他人がみて「問題は少ない」と思っても,実際にはものすごく悩んでいるご家族もあれば,一方で「食べることがすごく大変そう」に見えても,生活の流れの中で楽しく過ごすことができているご家族もいらっしゃいます.私たちが摂食指導でみている「子どもたちの食べる様子」というのは,それぞれのご家族の生活の一部分を切り取っただけのものであり,すべてではありません.そこだけをみて食べることを支援することの難しさを常に感じながら,迷いながらのこれまでの臨床でした.できるだけ子どもたちやご家族の想いに寄り添いたい,尊重したい,という気持ちが膨らみ,「お母さんたちの声をたくさんの人たちに伝えたい」と考えるに至りました.
 今回,多くの方のご協力で,『上手に食べるために』のパート3を上梓することができました.このパート3は,栄養と料理のレシピを中心に構成されています.「一般的な離乳食の本だけでは自分の子どもに合った食事の作り方がわからない」という声がよく聞かれます.そこで,この本では,私たちの臨床で出会ったお母さんたちにご協力いただき,ご自身のお子さんに作ってあげているアイディアレシピをご紹介していただきました.また,お子さんに食べてもらう食事を,お母さんがどのような思いで作っていらっしゃるか,それぞれのページの行間から感じ取っていただけると思います.
 2016年10月 田村文誉
摂食外来に来院したお母さん達の工夫レシピ
 初期食(吉岡智香子)
 中期食(大高美和)
 後期食(大高美和)
 完了食(大高美和)
 家族と一緒の簡単レシピ!(小田祐子)
解説編 食べる機能と栄養を考える
 1−食形態の考え方(水上美樹)
 2−成長に必要な栄養とは?(藤谷朝実)
 3−乳児期,離乳期,幼児期での栄養補給(藤谷朝実)
 4−栄養の目安量についての一般的な考え方(今井庸子)
 5−食べ方と体のこと(田村文誉)
  (1)成長のために気をつけたい食べ方
  (2)食べものをのどに詰まらせないようにしましょう
  (3)肺炎にならないために栄養をとりましょう
 6−調理のコツと工夫(尾関麻衣子)
Q&A こんなとき,どうするの?
 1−アレルギーのある子にはどんな食品を選択するの?(今井庸子)
 2−偏食がある子どもの食事はどうすればよい?(水上美樹)
 3−小さく産まれた子どもでは,栄養補給をどうするの?(藤谷朝実)
 4−エネルギーをなるべくとらせてあげたいけれど?(今井庸子)
 5−食べ過ぎて体重が増えて困っているのですが……?(田村文誉)
 6−噛まずに食べているのですが,問題ありませんか?(水上美樹)
 7−なかなか体重が増えません.どうしたらよいですか?(田村文誉)
 8−食具はどのようなものがよいのでしょうか?(田村文誉)
 9−いつまで母乳でよいのですか?(卒乳させたいのだけれど……)(水上美樹)
 10−おやつは食べさせたほうがよいですか?(水上美樹)
 11−市販の離乳食ばかりで問題ないでしょうか?(田村文誉)
 12−イオン飲料ばかり飲んでいてよいのでしょうか?(田村文誉)
 13−まだ歯が生えてこないのですが,問題ないのでしょうか?(水上美樹)
 14−離乳食の味つけはどうするの?(濃い味つけでも問題ない?)(田村文誉)