「歯周治療の指針2015」刊行によせて
わが国は,高い教育・経済水準,保健・医療水準に支えられ,2007年に「超高齢社会」に突入し世界でも有数の長寿国となっています.そのため,歯周病を有する高齢者や有病者の増加が今後大きな問題になってくるものと思われます.さらに,歯周病が全身の健康を脅かす大きなリスクファクターになることが次々と明らかにされ,歯周治療は単に口腔の健康を維持するだけでなく全身の健康を管理するという点からも極めて重要な位置付けとなり,歯周病の予防を含めた,適切な歯周治療の指針が求められています.これまでに日本歯周病学会では平成19年に歯周治療を総覧する指針として「歯周病の診断と治療の指針2007」を発刊し,さらに平成20年には歯周病の検査,診断および治療計画に焦点を絞った各論ともいえる「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」を発刊しました.しかし,すでに刊行から数年を経過していること,さらに上記に挙げたような社会情勢の変化に合わせた指針の改定が必要となってきたことから,今回の指針改定に至りました.また,主要学会における治療指針は医療行政に大きな影響力を持つことから,今後の歯周治療における本学会としての方向性を含めて考慮しました.
本指針は,以下の基本的な考え方に基づいて,編纂しました.
1.2007年に作成した歯周治療の総論として位置付けられる「歯周病の診断と治療の指針2007」と,各論としての「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」の統合を目的としました.
2.本指針は歯周病の検査,診断からサポーティブペリオドンタルセラピー,さらにはインプラント周囲疾患への対応までを視野に入れました.
3.高齢者,有病者あるいは周術期患者への歯周治療を行うにあたり,医科との連携を含め,考慮すべき事項に焦点を当てました.
4.本指針は,多くの研修歯科医を含む歯科医師が歯周治療を行う際の客観的な指標となることを目的としました.
5.本指針は,各教育機関における歯周病学の講義や歯科医師国家試験の出題基準の参考になることを目的としました.
本指針を基盤にして歯周病の正しい理解と,高齢者,有病者を含む国民の皆様に対し,適切な治療が実施され,良質な歯周治療を行うことを通じて,口腔保健の向上のみならず全身の健康維持,増進に寄与することを期待します.
最後に,本書の編纂にご尽力いただきましたガイドライン作成小委員会五味一博委員長,委員の皆様,医療委員会栗原英見委員長,本学会の理事の皆様,ならびに医歯薬出版の編集部の皆様に深く感謝申し上げます.
平成28年3月
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
理事長 和泉雄一
わが国は,高い教育・経済水準,保健・医療水準に支えられ,2007年に「超高齢社会」に突入し世界でも有数の長寿国となっています.そのため,歯周病を有する高齢者や有病者の増加が今後大きな問題になってくるものと思われます.さらに,歯周病が全身の健康を脅かす大きなリスクファクターになることが次々と明らかにされ,歯周治療は単に口腔の健康を維持するだけでなく全身の健康を管理するという点からも極めて重要な位置付けとなり,歯周病の予防を含めた,適切な歯周治療の指針が求められています.これまでに日本歯周病学会では平成19年に歯周治療を総覧する指針として「歯周病の診断と治療の指針2007」を発刊し,さらに平成20年には歯周病の検査,診断および治療計画に焦点を絞った各論ともいえる「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」を発刊しました.しかし,すでに刊行から数年を経過していること,さらに上記に挙げたような社会情勢の変化に合わせた指針の改定が必要となってきたことから,今回の指針改定に至りました.また,主要学会における治療指針は医療行政に大きな影響力を持つことから,今後の歯周治療における本学会としての方向性を含めて考慮しました.
本指針は,以下の基本的な考え方に基づいて,編纂しました.
1.2007年に作成した歯周治療の総論として位置付けられる「歯周病の診断と治療の指針2007」と,各論としての「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」の統合を目的としました.
2.本指針は歯周病の検査,診断からサポーティブペリオドンタルセラピー,さらにはインプラント周囲疾患への対応までを視野に入れました.
3.高齢者,有病者あるいは周術期患者への歯周治療を行うにあたり,医科との連携を含め,考慮すべき事項に焦点を当てました.
4.本指針は,多くの研修歯科医を含む歯科医師が歯周治療を行う際の客観的な指標となることを目的としました.
5.本指針は,各教育機関における歯周病学の講義や歯科医師国家試験の出題基準の参考になることを目的としました.
本指針を基盤にして歯周病の正しい理解と,高齢者,有病者を含む国民の皆様に対し,適切な治療が実施され,良質な歯周治療を行うことを通じて,口腔保健の向上のみならず全身の健康維持,増進に寄与することを期待します.
最後に,本書の編纂にご尽力いただきましたガイドライン作成小委員会五味一博委員長,委員の皆様,医療委員会栗原英見委員長,本学会の理事の皆様,ならびに医歯薬出版の編集部の皆様に深く感謝申し上げます.
平成28年3月
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
理事長 和泉雄一
1 歯周病とは
1―日本における歯周病の実態
1 歯周病の定義
2 歯周病の罹患状態
3 受診状況
2―歯周病の分類
1 歯肉病変(いずれも限局型,広汎型に分けられる)
(1)プラーク性歯肉炎
(2)非プラーク性歯肉病変
(3)歯肉増殖
a.薬物性歯肉増殖症 b.遺伝性歯肉線維腫症
(4)HIV感染に関連してみられる歯肉病変
2 歯周炎(いずれも限局型,広汎型に分けられる)
(1)慢性歯周炎
(2)侵襲性歯周炎
(3)遺伝疾患に伴う歯周炎
3 壊死性歯周疾患(いずれも限局型,広汎型に分けられる)
(1)壊死性潰瘍性歯肉炎
(2)壊死性潰瘍性歯周炎
4 歯周組織の膿瘍
(1)歯肉膿瘍
(2)歯周膿瘍
5 歯周-歯内病変
6 歯肉退縮
7 咬合性外傷
3―歯肉病変の特徴
(1)原因は細菌性プラークである
(2)炎症は歯肉に限局している
(3)歯肉ポケットが形成されるが,アタッチメントロスはない
(4)プラークリテンションファクターによって増悪する
(5)プラークコントロールによって改善する
(6)歯周炎の前段階と考えられている
4―歯周炎の特徴
1 歯周炎の発症に関する特徴
(1)プラーク性歯肉炎が歯周炎に進行し,セメント質,歯根膜および歯槽骨が破壊される
(2)アタッチメントロスが生じ歯周ポケットが形成される
(3)歯周ポケットが深くなると歯周病原細菌が増殖し,炎症を持続させる
2 歯周炎の進行に関する特徴
(1)プラークリテンションファクターによって増悪する
(2)外傷性咬合が併発すると急速に進行する
(3)進行度に部位特異性がある
(4)休止期と活動期がある
(5)歯周炎が進行すると悪循環が生じ,さらに急速に進行しやすい
3 歯周治療に関する特徴
(1)原因除去により歯周炎は改善あるいは進行停止する
(2)歯周治療の一環として生涯にわたるサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)およびメインテナンスが不可欠である
5―咬合性外傷の特徴
(1)一次性咬合性外傷
(2)二次性咬合性外傷
6―全身的因子と歯周病
1 歯周病に影響を与える因子
(1)先天的因子
a.遺伝的リスクファクター b.年齢・性別
c.人種民族差
(2)環境および後天的因子
a.喫煙 b.ストレス刺激 c.糖尿病
d.肥満 e.常用薬 f.HIV感染
2 歯周病が影響を与える疾患
(1)血管障害性疾患
(2)誤嚥性肺炎
(3)早産・低体重児出産
(4)糖尿病
(5)関節リウマチ
(6)その他の疾患
2 歯周治療の進め方
1―全身性疾患への配慮
1 有病者への配慮
2 糖尿病患者への配慮
3 高齢者への配慮
2―検査に基づいた診断・治療計画と患者への説明と同意
3―歯周基本治療
1 患者の治療への積極的な参加
2 プラークコントロールの確立
3 プラークリテンションファクターの除去
4 咀嚼機能の回復
5 対症療法を慎む
4―歯周外科治療
5―口腔機能回復治療
6―歯周病における治癒と病状安定
1 プラーク性歯肉炎
2 歯周炎
3 病状安定
4 治癒後の対応
3 医療面接,患者の紹介と医療連携
1―医療面接
2―歯周病専門医,高次医療機関への患者の紹介
3―医科との連携
1 病状や投与薬剤についての照会
2 口腔内の観血処置に対する注意点に関する照会
4 歯周病検査,診断,治療計画立案
1―歯周病検査
1 歯周組織検査
(1)歯肉の炎症
(2)歯周ポケット深さ(probing depth)
(3)アタッチメントレベル(attachment level:AL)
(4)口腔衛生状態(O'Learyのプラークコントロールレコード)
(5)歯の動揺度
(6)エックス線写真
(7)咬合
(8)根分岐部病変
a.LindheとNymanの根分岐部病変分類
b.Glickmanの根分岐部病変分類
(9)プラークリテンションファクター
(10)口腔内写真
(11)スタディモデル
2 細菌学的検査
(1)細菌検査
(2)血清の細菌抗体価検査
3 その他の検査
(1)歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid;GCF)の検査(歯周ポケットからの滲出液の検査)
(2)唾液の検査
(3)血液検査
4 心理・社会・行動面のアセスメント
2―歯周病診断
1 プラーク性歯肉炎・歯周炎の診断法
(1)1歯単位の診断
a.組織破壊の程度による歯周炎の分類
b.炎症の程度による歯周炎の分類
c.1歯単位での歯周炎の診断名
(2)個人レベルの診断
a.病型診断 b.歯周炎の進行度
c.口腔全体の歯周炎の重症度
2 咬合性外傷の診断法
3―治療計画立案
1 歯周基本治療(原因除去療法)
2 歯周基本治療後の再評価検査
3 歯周外科治療
4 歯周外科治療後の再評価検査
5 口腔機能回復治療
6 サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal therapy:SPT)移行前の再評価検査
7 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)
8 メインテナンス
5 在宅医療,周術期患者と歯周治療
1―在宅医療と歯周治療
1 患者がセルフケアできるケース
2 一部介護が必要なケース
3 口腔ケアに全介護が必要なケース
2―周術期患者と歯周治療
1 手術前(治療前)の口腔機能管理
2 手術中(治療中),手術後(治療後)の口腔機能管理
3 口腔衛生管理における誤嚥と感染
6 応急処置
1―疼痛の原因の特定
2―急性炎症の処置
7 予防処置
1―プラーク性歯肉炎から歯周炎移行への予防
2―妊婦への予防処置
8 歯周基本治療
1―歯周基本治療の概念
2―歯周基本治療の治療計画
1 歯周基本治療の治療計画と進め方
2 細菌感染・炎症からみた治療計画
3―細菌感染に対する処置
1 プラークコントロールはすべての治療に優先される
(1)モチベーション(動機づけ)
(2)セルフケア(歯肉縁上のプラークコントロール)
(3)ブラッシング指導
(4)プロフェッショナルケア(歯肉縁上および縁下のプラークコントロール)
2 スケーリングおよびルートプレーニング
(1)スケーリング・ルートプレーニングの意義と目的
(2)スケーリング・ルートプレーニング時の注意事項
(3)シャープニングの重要性
(4)音波スケーラー,超音波スケーラー
(5)スケーリング・ルートプレーニング後の象牙質知覚過敏
3 プラークリテンションファクターの改善
4 歯周ポケット掻爬
5 保存不可能な歯の抜去
4―細菌感染に対する治療の実際
1 機械的な歯肉縁上プラークコントロール
2 機械的な歯肉縁下プラークコントロール
3 化学的な歯肉縁上プラークコントロール
4 化学的な歯肉縁下プラークコントロール
(1)歯周ポケット内洗浄
(2)抗菌薬の歯周ポケット内投与
(3)抗菌薬の経口投与
5 抗菌療法の患者選択
5―咬合性外傷に対する処置
1 咬合性外傷と歯周病の進行との関係について
2 咬合調整と歯冠形態修正
3 暫間固定
4 歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)
5 ブラキシズムの治療
6 矯正治療
9 歯周病のリスクファクターと治療上のリスク管理
1 全身的リスクファクター
2 環境リスクファクター
1―高齢者の歯周治療
2―有病者の歯周治療
1 メタボリックシンドローム
2 肥満
3 糖尿病患者
(1)1型糖尿病
(2)2型糖尿病
4 高血圧症患者
5 循環器疾患患者(とくに抗血栓薬を服用中の患者)
6 透析患者
7 呼吸器疾患
3―女性に特有な歯周病
1 全般的な注意
2 妊婦の歯周治療
3 骨粗鬆症患者(とくにBP製剤や抗RANKL抗体製剤を投与中の患者)
4―喫煙者の歯周病
10 歯周外科治療
1―組織付着療法
1 歯周ポケット掻爬術
2 新付着術(excisional new attachment procedure:ENAP)
3 フラップキュレッタージ(アクセスフラップ手術)
4 ウィドマン改良フラップ手術
2―切除療法
1 歯肉切除術
2 歯肉弁根尖側移動術
3―歯周組織再生療法
1 骨移植術
2 歯周組織再生誘導法(GTR法)
3 エナメルマトリックスタンパク質(EMD)を応用した手術法
4 その他の生物学的生理活性物質を応用した手術法
4―歯周形成手術(ペリオドンタルプラスティックサージェリー,歯肉歯槽粘膜形成術)
1 小帯切除術
2 歯肉弁側方移動術
3 歯肉弁歯冠側移動術
4 歯肉弁根尖側移動術
5 遊離歯肉移植術
6 結合組織移植術
7 その他の歯周形成手術
5―歯周外科治療におけるレーザーの応用
11 根分岐部病変の治療
1―検査
2―治療
12 歯周-歯内病変の治療
1―歯周-歯内病変の分類
(1)クラスI(歯内病変由来型)
(2)クラスII(歯周病変由来型)
(3)クラスIII(歯周-歯内病変複合型)
2―検査
3―治療
13 口腔機能回復治療―固定・ブリッジ・義歯・インプラントの選択
1―治療法選択のために考慮すべきポイント
1 検査項目
2 動揺歯の治療に対する考え方
3 暫間固定と歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)による固定
2―補綴治療法の選択と注意点
1 歯冠修復(永久固定)
2 欠損歯列への対応
(1)ブリッジ
(2)可撤性部分床義歯
(3)インプラント
(4)歯の再植
3―矯正治療による対応
1 歯列不正
2 矯正治療による歯周組織のリモデリング
14 インプラント治療
1―歯周病患者の口腔機能回復へのインプラント治療の利点
2―歯周病患者へのインプラント治療に対する考慮
1 インプラント治療に先立つ歯周治療の重要性
2 インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎に対する注意
3 インプラントへの外傷に対する注意
3―インプラント治療とメインテナンス
15 インプラント周囲炎の治療
1 インプラント周囲炎(広義)の定義
2 インプラント周囲炎の原因
3 インプラント周囲炎の診査・診断
(1)プラーク(バイオフイルム)コントロールの状態
(2)プロービング時の出血(bleeding on probing;BOP)
(3)プロービングデプス(probing depth;PD)
(4)排膿
(5)エックス線写真
(6)インプラントの動揺
(7)インプラント周囲の角化付着粘膜
(8)インプラント周囲溝滲出液(peri-implant crevicular fluid:PICF)
(9)細菌検査
(10)咬合関係
4 治療法
(1)治療の進め方
(2)累積的防御療法(cumulative interceptive supportive therapy:CIST)
16 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)とメインテナンス
1―用語の定義
1 サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal therapy:SPT,歯周病安定期治療)
2 メインテナンス(maintenance)
3 病状安定(stable state)
4 治癒(healing)
5 プロフェッショナルトゥースクリーニング(professional tooth cleaning:PTC,専門的歯面清掃)
6 プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング(professional mechanical tooth cleaning:PMTC,専門的機械的歯面清掃)
2―検査・診断
1 判定時期
(1)プラーク性歯肉炎
(2)歯周炎
2 検査項目
(1)歯周組織検査
(2)細菌学的検査
(3)その他の検査
(4)SPT時のリスク評価
3―治療計画
1 メインテナンス
2 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)
引用文献・参考文献
1―日本における歯周病の実態
1 歯周病の定義
2 歯周病の罹患状態
3 受診状況
2―歯周病の分類
1 歯肉病変(いずれも限局型,広汎型に分けられる)
(1)プラーク性歯肉炎
(2)非プラーク性歯肉病変
(3)歯肉増殖
a.薬物性歯肉増殖症 b.遺伝性歯肉線維腫症
(4)HIV感染に関連してみられる歯肉病変
2 歯周炎(いずれも限局型,広汎型に分けられる)
(1)慢性歯周炎
(2)侵襲性歯周炎
(3)遺伝疾患に伴う歯周炎
3 壊死性歯周疾患(いずれも限局型,広汎型に分けられる)
(1)壊死性潰瘍性歯肉炎
(2)壊死性潰瘍性歯周炎
4 歯周組織の膿瘍
(1)歯肉膿瘍
(2)歯周膿瘍
5 歯周-歯内病変
6 歯肉退縮
7 咬合性外傷
3―歯肉病変の特徴
(1)原因は細菌性プラークである
(2)炎症は歯肉に限局している
(3)歯肉ポケットが形成されるが,アタッチメントロスはない
(4)プラークリテンションファクターによって増悪する
(5)プラークコントロールによって改善する
(6)歯周炎の前段階と考えられている
4―歯周炎の特徴
1 歯周炎の発症に関する特徴
(1)プラーク性歯肉炎が歯周炎に進行し,セメント質,歯根膜および歯槽骨が破壊される
(2)アタッチメントロスが生じ歯周ポケットが形成される
(3)歯周ポケットが深くなると歯周病原細菌が増殖し,炎症を持続させる
2 歯周炎の進行に関する特徴
(1)プラークリテンションファクターによって増悪する
(2)外傷性咬合が併発すると急速に進行する
(3)進行度に部位特異性がある
(4)休止期と活動期がある
(5)歯周炎が進行すると悪循環が生じ,さらに急速に進行しやすい
3 歯周治療に関する特徴
(1)原因除去により歯周炎は改善あるいは進行停止する
(2)歯周治療の一環として生涯にわたるサポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)およびメインテナンスが不可欠である
5―咬合性外傷の特徴
(1)一次性咬合性外傷
(2)二次性咬合性外傷
6―全身的因子と歯周病
1 歯周病に影響を与える因子
(1)先天的因子
a.遺伝的リスクファクター b.年齢・性別
c.人種民族差
(2)環境および後天的因子
a.喫煙 b.ストレス刺激 c.糖尿病
d.肥満 e.常用薬 f.HIV感染
2 歯周病が影響を与える疾患
(1)血管障害性疾患
(2)誤嚥性肺炎
(3)早産・低体重児出産
(4)糖尿病
(5)関節リウマチ
(6)その他の疾患
2 歯周治療の進め方
1―全身性疾患への配慮
1 有病者への配慮
2 糖尿病患者への配慮
3 高齢者への配慮
2―検査に基づいた診断・治療計画と患者への説明と同意
3―歯周基本治療
1 患者の治療への積極的な参加
2 プラークコントロールの確立
3 プラークリテンションファクターの除去
4 咀嚼機能の回復
5 対症療法を慎む
4―歯周外科治療
5―口腔機能回復治療
6―歯周病における治癒と病状安定
1 プラーク性歯肉炎
2 歯周炎
3 病状安定
4 治癒後の対応
3 医療面接,患者の紹介と医療連携
1―医療面接
2―歯周病専門医,高次医療機関への患者の紹介
3―医科との連携
1 病状や投与薬剤についての照会
2 口腔内の観血処置に対する注意点に関する照会
4 歯周病検査,診断,治療計画立案
1―歯周病検査
1 歯周組織検査
(1)歯肉の炎症
(2)歯周ポケット深さ(probing depth)
(3)アタッチメントレベル(attachment level:AL)
(4)口腔衛生状態(O'Learyのプラークコントロールレコード)
(5)歯の動揺度
(6)エックス線写真
(7)咬合
(8)根分岐部病変
a.LindheとNymanの根分岐部病変分類
b.Glickmanの根分岐部病変分類
(9)プラークリテンションファクター
(10)口腔内写真
(11)スタディモデル
2 細菌学的検査
(1)細菌検査
(2)血清の細菌抗体価検査
3 その他の検査
(1)歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid;GCF)の検査(歯周ポケットからの滲出液の検査)
(2)唾液の検査
(3)血液検査
4 心理・社会・行動面のアセスメント
2―歯周病診断
1 プラーク性歯肉炎・歯周炎の診断法
(1)1歯単位の診断
a.組織破壊の程度による歯周炎の分類
b.炎症の程度による歯周炎の分類
c.1歯単位での歯周炎の診断名
(2)個人レベルの診断
a.病型診断 b.歯周炎の進行度
c.口腔全体の歯周炎の重症度
2 咬合性外傷の診断法
3―治療計画立案
1 歯周基本治療(原因除去療法)
2 歯周基本治療後の再評価検査
3 歯周外科治療
4 歯周外科治療後の再評価検査
5 口腔機能回復治療
6 サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal therapy:SPT)移行前の再評価検査
7 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)
8 メインテナンス
5 在宅医療,周術期患者と歯周治療
1―在宅医療と歯周治療
1 患者がセルフケアできるケース
2 一部介護が必要なケース
3 口腔ケアに全介護が必要なケース
2―周術期患者と歯周治療
1 手術前(治療前)の口腔機能管理
2 手術中(治療中),手術後(治療後)の口腔機能管理
3 口腔衛生管理における誤嚥と感染
6 応急処置
1―疼痛の原因の特定
2―急性炎症の処置
7 予防処置
1―プラーク性歯肉炎から歯周炎移行への予防
2―妊婦への予防処置
8 歯周基本治療
1―歯周基本治療の概念
2―歯周基本治療の治療計画
1 歯周基本治療の治療計画と進め方
2 細菌感染・炎症からみた治療計画
3―細菌感染に対する処置
1 プラークコントロールはすべての治療に優先される
(1)モチベーション(動機づけ)
(2)セルフケア(歯肉縁上のプラークコントロール)
(3)ブラッシング指導
(4)プロフェッショナルケア(歯肉縁上および縁下のプラークコントロール)
2 スケーリングおよびルートプレーニング
(1)スケーリング・ルートプレーニングの意義と目的
(2)スケーリング・ルートプレーニング時の注意事項
(3)シャープニングの重要性
(4)音波スケーラー,超音波スケーラー
(5)スケーリング・ルートプレーニング後の象牙質知覚過敏
3 プラークリテンションファクターの改善
4 歯周ポケット掻爬
5 保存不可能な歯の抜去
4―細菌感染に対する治療の実際
1 機械的な歯肉縁上プラークコントロール
2 機械的な歯肉縁下プラークコントロール
3 化学的な歯肉縁上プラークコントロール
4 化学的な歯肉縁下プラークコントロール
(1)歯周ポケット内洗浄
(2)抗菌薬の歯周ポケット内投与
(3)抗菌薬の経口投与
5 抗菌療法の患者選択
5―咬合性外傷に対する処置
1 咬合性外傷と歯周病の進行との関係について
2 咬合調整と歯冠形態修正
3 暫間固定
4 歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)
5 ブラキシズムの治療
6 矯正治療
9 歯周病のリスクファクターと治療上のリスク管理
1 全身的リスクファクター
2 環境リスクファクター
1―高齢者の歯周治療
2―有病者の歯周治療
1 メタボリックシンドローム
2 肥満
3 糖尿病患者
(1)1型糖尿病
(2)2型糖尿病
4 高血圧症患者
5 循環器疾患患者(とくに抗血栓薬を服用中の患者)
6 透析患者
7 呼吸器疾患
3―女性に特有な歯周病
1 全般的な注意
2 妊婦の歯周治療
3 骨粗鬆症患者(とくにBP製剤や抗RANKL抗体製剤を投与中の患者)
4―喫煙者の歯周病
10 歯周外科治療
1―組織付着療法
1 歯周ポケット掻爬術
2 新付着術(excisional new attachment procedure:ENAP)
3 フラップキュレッタージ(アクセスフラップ手術)
4 ウィドマン改良フラップ手術
2―切除療法
1 歯肉切除術
2 歯肉弁根尖側移動術
3―歯周組織再生療法
1 骨移植術
2 歯周組織再生誘導法(GTR法)
3 エナメルマトリックスタンパク質(EMD)を応用した手術法
4 その他の生物学的生理活性物質を応用した手術法
4―歯周形成手術(ペリオドンタルプラスティックサージェリー,歯肉歯槽粘膜形成術)
1 小帯切除術
2 歯肉弁側方移動術
3 歯肉弁歯冠側移動術
4 歯肉弁根尖側移動術
5 遊離歯肉移植術
6 結合組織移植術
7 その他の歯周形成手術
5―歯周外科治療におけるレーザーの応用
11 根分岐部病変の治療
1―検査
2―治療
12 歯周-歯内病変の治療
1―歯周-歯内病変の分類
(1)クラスI(歯内病変由来型)
(2)クラスII(歯周病変由来型)
(3)クラスIII(歯周-歯内病変複合型)
2―検査
3―治療
13 口腔機能回復治療―固定・ブリッジ・義歯・インプラントの選択
1―治療法選択のために考慮すべきポイント
1 検査項目
2 動揺歯の治療に対する考え方
3 暫間固定と歯周治療用装置(プロビジョナルレストレーション)による固定
2―補綴治療法の選択と注意点
1 歯冠修復(永久固定)
2 欠損歯列への対応
(1)ブリッジ
(2)可撤性部分床義歯
(3)インプラント
(4)歯の再植
3―矯正治療による対応
1 歯列不正
2 矯正治療による歯周組織のリモデリング
14 インプラント治療
1―歯周病患者の口腔機能回復へのインプラント治療の利点
2―歯周病患者へのインプラント治療に対する考慮
1 インプラント治療に先立つ歯周治療の重要性
2 インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎に対する注意
3 インプラントへの外傷に対する注意
3―インプラント治療とメインテナンス
15 インプラント周囲炎の治療
1 インプラント周囲炎(広義)の定義
2 インプラント周囲炎の原因
3 インプラント周囲炎の診査・診断
(1)プラーク(バイオフイルム)コントロールの状態
(2)プロービング時の出血(bleeding on probing;BOP)
(3)プロービングデプス(probing depth;PD)
(4)排膿
(5)エックス線写真
(6)インプラントの動揺
(7)インプラント周囲の角化付着粘膜
(8)インプラント周囲溝滲出液(peri-implant crevicular fluid:PICF)
(9)細菌検査
(10)咬合関係
4 治療法
(1)治療の進め方
(2)累積的防御療法(cumulative interceptive supportive therapy:CIST)
16 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)とメインテナンス
1―用語の定義
1 サポーティブペリオドンタルセラピー(supportive periodontal therapy:SPT,歯周病安定期治療)
2 メインテナンス(maintenance)
3 病状安定(stable state)
4 治癒(healing)
5 プロフェッショナルトゥースクリーニング(professional tooth cleaning:PTC,専門的歯面清掃)
6 プロフェッショナルメカニカルトゥースクリーニング(professional mechanical tooth cleaning:PMTC,専門的機械的歯面清掃)
2―検査・診断
1 判定時期
(1)プラーク性歯肉炎
(2)歯周炎
2 検査項目
(1)歯周組織検査
(2)細菌学的検査
(3)その他の検査
(4)SPT時のリスク評価
3―治療計画
1 メインテナンス
2 サポーティブペリオドンタルセラピー(SPT)
引用文献・参考文献








