やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

推薦の序
 一読,いっぱいに詰まった宝石箱がようやく開いたという感懐に包まれました.
 徳島大学の坂東講座では,ディジタル方式顎運動測定器をはじめとする精度の高い,各種の咬合に関する測定器が開発,製作されていて,それらの機器を活用して得た多数の,精細な研究データが蓄積されていることは広く知られています.そしてこの度,臨床歯科医師の方々にも,研究者の方々にも,咬合というテーマが染み入るように理解できる形での『咬合学と歯科臨床』が公刊されました.多くの読者とともに待望久しいその完成をことほぎたいと思います.
 著者らが,その膨大な研究データを背景にして咬合学の体系化を目指し,咬合・顎運動のテーマをそれに関連するすべての器官からなる顎口腔系全体として捉え,形態と機能の関係を委曲をつくして説明しているところは,類書にはみられぬ本書の大きな特徴となっています.そして,長年の観察,解析に基づく鋭い洞察から,新たにモデル化した顎機能制御系の存在などは,日常の臨床でみられる現象だけに,まことに興味深いものがあります.
 また,咬合学の体系化の一環として望ましい咬合という課題に対して5つの要素
 ・咬頭嵌合位が適切な位置にある
 ・咬頭嵌合位で安定した咬合接触がある
 ・滑走運動をガイドする部位が適切である
 ・滑走運動をガイドする方向が適切である
 ・咬合平面や歯列の位置・滑らかさが適切である
 を挙げていますが,いずれも首肯できるもので,各要素の定量的評価,評価基準の設定に重点を置いた解析結果は,完成度を相当程度まで高めています.さらに,咬合に関わる臨床例もあわせて紹介されていますので,この理論を日々の臨床に直ちに適用することができると思います.
 本書には多数の,精度の高い研究データーが通奏低音のように流れているので,やや煩わしいと感ずるところもあろうかと思いますが,それだからこそ,ここでの記述が日常臨床での顎口腔系としての咬合診断,そして治療効果の判定にスムーズに役立ち,使えるようになっているのです.
 本書の刊行によって,咬合理論をめぐる長年にわたる論争に一応の終止符が打たれ,新しく,合理的な咬合理論と咬合診療の実際が提示され,さらに咬合学の将来への課題も明示されました.『咬合学と歯科臨床』はいま上梓されたばかりですが,臨床歯科医にとっても,研究者にとっても,すでに,書架に欠かせない一冊となることが約束されている書籍といってもよいでしょう.
 坂東教室の皆さんの咬合学に懸ける情熱にはただただ感服するばかりです.
 平成23年蛍まう夜
 長谷川成男

プロローグ
 毎日の臨床で,患者の咬合に手を加え頻繁にこれを変化させているにもかかわらず,「咬合や顎運動はむずかしくてよくわからない」と言う歯科医師の声を耳にする.この「よくわからない」と言う歯科医師には2通りあり,一方は「咬合に関する知識や技術が不足しているが,適当に義歯やクラウンを装着している」本当にわかっていない歯科医師である.そのような歯科医師も,患者には「私は噛み合わせのことはよくわからない」とは決して言わないと思うが,少なからずいることは確かである.もう一方は「咬合について勉強してきたが,咬合学のよい教科書に辿りつけず,よくわかっていないところは経験で補って臨床を行っている」かなり咬合のことがわかっている歯科医師である.
 咬合が咀嚼機能に重要な役割を果たし,「良く噛め」,「良く噛む」ことが全身の健康に重要な役割を果たしていることは,身をもって体験した患者や,このような患者をたくさん診てきた経験豊かな歯科医師が一番よく知っている.しかし,「良く噛める咬合」とはどのようなものであるかを具体的かつ正確に「表現し」「評価し」,またこれを「形にする」ことは非常にむずかしいことで,補綴装置を人工臓器とするならば,これほど患者ごとに多様で,しかも高い精度が要求される人工臓器は他にないといっても過言ではない.単に「噛めれば良い」というだけならまだしも,「良く噛めて顎関節症や歯周病を引き起こさない」補綴装置を装着するには,咬合に関する相当レベルの知識や技術が必要であり,さらに「噛み心地が良い」というような個々の患者によってまちまちの微妙な要求まで満たそうとすると,かなりの臨床経験に裏付けられた非常に高い診断・治療に関する知識と技術が求められる.
 1996年に米国のNIHで行われたTMD(顎機能障害,顎関節症)の治療の技術評価に関するカンファレンスにおいて,咬合異常が顎機能障害の重要な発症因子であるという科学的根拠はなく,不可逆的な咬合治療は極力避けるべきであるという否定的な結論が出されて以来,咬合軽視の風潮が欧米の学会を中心に広く浸透した.これに対して,熱心に臨床を行っている一般歯科医師の方からの反対意見も根強く,今なお論争が続いている.咬合を改善すればあらゆる病気がたちどころに治ってしまうというように,咬合を過大評価している宗教家のような歯科医師もいる.咬合に関する混乱や誤解が生じたりする背景には,咬合学が明確に体系化されていないことがあると思われる.
 咬合研究の成果が教育や歯科臨床に必ずしも十分にフィードバックされていないことも事実である.咬合学研究は過去200年近い歴史があり,その目指すところが,「総義歯を安定させるための機械的咬合」から,「口腔や全身の健康と関連する生理的咬合」へと発展し,さらに咬合の客観的表現・評価が可能となる「咬合の可視化」やCAD/CAMを利用した「補綴装置製作の自動化」がやがて現実のものになるというところまで来ている.咬合を経験,伝承から科学の俎上に載せることによって,国民のQOL向上に大きく貢献している歯科医療が正しく評価されるはずであり,今はその重要な転換期にあるといえる.
 42年前の1969年に52歳の若さで亡くなられた東京医科歯科大学の石原寿郎教授が目指した「石原咬合論」を完成させる夢は,その後何人かの弟子達に引き継がれ,幾多の研究業績もあがり,一応の集約がなされるべき時期にあると思われる.
 歯科学生や若い臨床研修医が生きた咬合学を学ぶことができ,さらには咬合学研究を志す研究者にとっても指針となるような教科書が今求められている.私たちが東京医科歯科大学と徳島大学で行ってきたこれまでの咬合研究の成果を基礎として,咬合治療に関する臨床経験で得た知見を織り交ぜ,咬合学と歯科臨床の相互の橋渡しとなることを願って『咬合学と歯科臨床』をここに著した.この本が「咬合がわからない」歯科医師を少しでも減らすとともに,咬合にまじめに取り組む臨床医を増やし,また,咬合研究に興味をもって咬合学の体系化を成し遂げてくれる若い臨床研究者が次々と出てくるきっかけになれば幸いである.
 この本の最初の企画は,東京医科歯科大学時代の恩師である長谷川成男摂食機能保存学分野(旧歯科補綴学第二講座)前教授と徳島大学の恩師である坂東永一名誉教授のお口添えがあって約10年も前にもちあがり,中野が単著で書くことになっていた.当初は,「咬合の5要素」の中の1番目の要素であり,最も重要であると思われる「咬頭嵌合位を決定する科学的根拠のある臨床術式」を完成させ,この本の一番重要なパートを占めることを目標にしていた.しかし,この重要なパートが書けないという理由を口実にして原稿執筆を遅らせ,この間の医歯薬出版の担当者であった小丹保哲夫氏,辻 寿氏には多大のご迷惑をかけてしまった.結局最後には,坂東永一教授に執筆と編集の分担をお願いし,坂東教室に所属した諸先生,および「主機能部位」の項については,発見者であり私の尊敬している加藤 均博士に分担の執筆を担っていただき,やっと上梓にこぎつけることができたという次第である.上述の重要なパートについては,結局満足な記述はできなかったが,将来この本の読者のどなたかに是非書きあげていただきたいと思う.
 最後になったが,このような執筆の機会を与えて下さった医歯薬出版株式会社および編集部の大城惟克氏にお礼を申し上げます.
 2011年7月
 中野雅徳
 推薦の序(長谷川成男)……III
 プロローグ(中野雅徳)
第I編 咬合に関する基礎的な知識
第1章 石原咬合論と咬合・顎運動の可視化と標準化をめざした新しい咬合論(中野雅徳)
 はじめに
 1 機械的咬合論の誤りを正した石原教室の研究
  1 ベースにあった顎運動研究の土壌
  2 咬頭嵌合位を中心位(下顎最後退位)に置くべきではない
  3 蝶番運動モデルはすべての運動を代表するものではない
  4 犬歯誘導はクラウンブリッジ補綴の最良の咬合様式であるとはいえない
 2 石原後の咬合・顎運動研究から咬合学の体系化をめざす新しい咬合論へ
  1 咬合・顎運動の何をどうとらえ,表現するか
   1―咬合の何をどの視点でみるべきか 2―どのような手段でとらえるか 3―咬合・顎運動の標準化のための基準の統一(どう表現するか)
  2 望ましい咬合とはどのようなものか(評価基準の設定:咬合の診断)
   1―咬頭嵌合位 2―咬合接触(望ましい咬合接触とは) 3―歯のガイド(部位と方向)
 3 噛み心地の良い咬合をどのようにして形にするか
 4 咬合のメインテナンス(維持・管理)
 おわりに
  コラム スカイラーのイマジネーションと実測データとの乖離
第2章 咬合を理解するための形態(解剖)と機能(生理)
 1 歯,歯周組織,顎関節,咀嚼筋……(中野雅徳・中村真弓)
  1 歯,歯列
   1―咀嚼に適した歯の咬合面(切縁)形態 2―咬合に関係するその他の歯や歯列の形態および要素
  2 歯周組織
  3 顎関節
   1―下顎窩と関節隆起 2―下顎頭(顆頭) 3―関節円板
  4 咀嚼筋
   1―咬筋 2―側頭筋 3―内側翼突筋 4―外側翼突筋 5―舌骨上筋群
  5 下顎運動と咀嚼筋の活動
   1―開口運動/ 2―閉口運動 3―側方運動 4―前進運動 5―後退運動
  コラム 古い用語も悪くない?
 2 運動制御,神経筋反射機構,咀嚼運動の制御,姿勢制御(久保吉廣)
  1 運動制御
   1―筋収縮 2―α運動ニューロンと運動単位 3―筋紡錘とγ運動ニューロン
  2 神経筋反射機構
   1―閉口筋の筋紡錘を介する反射(下顎張反射) 2―歯根膜を介する反射(閉口反射と開口反射) 3―顎口腔領域への刺激による反射(開口反射) 4―四肢の反射との違い
  3 咀嚼運動の制御
  4 姿勢制御
 3 咀嚼効率,咬合力,バイオメカニクス,歯の運動,歯のひずみ(薩摩登誉子)
  1 咀嚼効率
   1―直接的評価方法 2―間接的評価方法
  2 咬合力
   1―咬合力の種類 2―間接的に咬合力を推定する方法
  3 バイオメカニクス
  4 歯の運動,歯の変位,歯の動揺
   1―測定法開発の歴史 2―歯の変位(運動)量 3―歯根膜の粘弾性 4―隣接歯間接触関係の動態 5―歯の脈動
  5 歯の変形
   1―咬合力により応力が発生する部位 2―歯に加わる力 3―一次元微小変位計による歯の変形測定
 4 咀嚼時の顎運動と力(坂東永一)
  1 生体機構のモデル化
  2 咀嚼時に顎関節が負担する力
  3 歯に加わる力
  4 過渡状態時について
第3章 咬合と顎運動―咬合をダイナミックにとらえるために
 1 基準点,基準線,基準面(西川啓介)
  1 フランクフルト平面と咬合平面
  2 仮想咬合平面
  3 空間座標の設定
  4 直交座標系の概念
  5 基準座標系の設定
 2 顎位,顎運動の表現方法(重本修伺)
  はじめに
  1 顎運動の測定・解析と自由度
  2 各解析点における顎運動経路
  3 顎運動モデルと基準座標系
  4 顎位の評価
  5 顎運動の評価
  6 咬合接触状態の評価
 3 咬合様式(郡 元治)
  コラム 咀嚼側と作業側にまつわる表現の混乱
 4 顎運動と歯列形態・顎関節形態の可視化(重本修伺・薩摩登誉子)
  1 咬合を客観的に評価することの意義
  2 咬合の可視化
  3 徳島大学歯学部歯科補綴学第二講座(現大学院ヘルスバイオサイエンス研究部咬合管理学分野)で行ってきた咬合可視化システムの開発
  4 咬合可視化システムで何がみえるか
  5 歯の6自由度運動と可視化
  6 噛みしめ強さの違いによる咬合接触の変化
  コラム 歯科医療の質を高める咬合可視化技術
第4章 咀嚼と咬合面形態
 1 咀嚼運動(竹内久裕)
  1 咬合と咀嚼運動
  2 咀嚼運動路
  3 咀嚼運動と側方滑走運動
 2 主機能部位(加藤 均)
  はじめに
  1 現代人における主機能部位
   1―主機能部位とは 2―主機能部位の歯列内での分布 3―主機能部位が関連する臨床上のトラブル 4―主機能部位と咬合接触 5―主機能部位での咀嚼状況 6―現代人の主機能部位に関する知見のまとめ
  2 主機能部位の進化学的検討
   1―臼歯の起源 2―第一大臼歯の進化と主機能部位
  おわりに
 3 咬合面形態と咀嚼運動(中野雅徳・安陪 晋)
  1 良く噛める咬合状態の追求
  2 咀嚼運動中の臼磨運動と側方滑走運動
  3 臼歯の咬合小面
  4 顎運動に調和し,良く噛める咬合小面
   コラム1 咬合小面を定量的に表す コラム2 同じ咬合小面で誘導される場合でも,水平面内の運動方向が変われば傾斜は異なる.すなわち運動経路だけでガイド面の傾斜は表せない コラム3 咀嚼運動,噛み心地を左右する第一大臼歯の咬合接触
 4 顎機能制御系(坂東永一)
  1 顎機能制御系仮説の誕生
  2 咬合の変化による筋の協調活動の変化
   1―切歯点運動の変化 2―顆頭運動,筋活動の変化 3―咀嚼運動
  3 顎機能制御系が咬合状態の変化を認識するのに要する時間
  4 顎機能制御系と他の制御系
  5 顎機能制御系仮説の妥当性
第5章 睡眠時ブラキシズム(大倉一夫・安陪 晋・鈴木善貴)
 1 睡眠時ブラキシズムの概説
  1 ブラキシズムとは
  2 睡眠時ブラキシズムの疫学
  3 睡眠時ブラキシズムの影響
  4 睡眠時ブラキシズムの病因
  5 睡眠時ブラキシズムの生理学的背景
 2 最新の知見
  1 睡眠時ブラキシズムの研究方法
  2 睡眠時ブラキシズムの判定基準
  3 睡眠時ブラキシズムの発現メカニズム
  4 睡眠時ブラキシズムの顎運動
  5 睡眠時ブラキシズムと嚥下
 3 睡眠時ブラキシズムの影響
  1 睡眠時ブラキシズムと咬耗
  2 睡眠時ブラキシズムとアブフラクション
  3 睡眠時ブラキシズムと歯根破折,補綴装置の破損
  4 睡眠時ブラキシズムと歯周病
  5 睡眠時ブラキシズムと顎機能障害
   1―咀嚼筋に対する影響 2―顎関節に対する影響
  6 睡眠時ブラキシズムと外骨症
  7 ベッドパートナーの睡眠障害
 4 睡眠時ブラキシズムのマネジメント
  1 咬合治療
   1―咬合調整 2―スプリント療法
  2 行動療法
   1―バイオフィードバック 2―その他の行動療法
  3 薬物療法
   1―筋弛緩薬 2―セロトニン作動薬,ドーパミン作動薬 3―抗痙攣薬 4―抗鬱薬 5―自律神経作動薬
第II編 咬合診査,診断と咬合治療
第1章 咬合診断のための基本的事項
 1 咬合の5要素(中野雅徳・重本修伺)
  1 咬合をどうとらえるか
  2 咬合評価をどの程度まで行うか
  3 咬合に関する用語について
  4 咬合の5要素
   1―咬頭嵌合位の位置 2―咬頭嵌合位における咬合接触の安定性 3―滑走運動を誘導する部位 4―滑走運動を誘導する方向 5―咬合平面,歯列の位置や滑らかさ
 2 天然歯の咬合,義歯の咬合,インプラントの咬合(郡 元治)
  1 天然歯の咬合
  2 義歯の咬合
 3 インプラントの咬合
第2章 咬合に関する診査法
 1 各種の診査法(西川啓介)
  1 咬合の診査とは
  2 咬合接触の診査に必要な注意
  3 器具を用いない診査法
  4 引き抜き試験
  5 咬合紙を用いる方法
  6 ワックスを用いる方法
  7 咬合診査用シリコーンを用いる方法
  8 デンタルプレスケール
  9 T-Scan
 2 咬合診断の実際(中野雅徳・石川輝明)
  1 咬合診断が行われる臨床の場面
  2 咬合の5要素に基づいた系統的な咬合診断
   1―通常の咬合診断 2―顎機能障害などの症例における咬合診断 3―画像診断所見と咬合診断
 3 顎運動の検査と咬合(西川啓介)
  1 咬合器による顎運動の再現
  2 補綴治療を目的とした顎運動検査
  3 顎機能評価を目的とした顎運動検査
 4 画像診査と咬合(細木秀彦)
  1 顎関節の画像検査
  2 咬頭嵌合位の位置を評価する骨関節隙
  3 咬合治療などによる関節隙の変化
  まとめ
第3章 咬合の5要素に基づいた咬合治療
 1 咬合平面,咬頭嵌合位(西川啓介・山本修史)
  1 咬合平面の設定
  2 顎位の決定
  3 咬合接触の付与(咬合支持,主機能部位)
 2 歯のガイド(竹内久裕)
  1 ガイド部位の決定
   1―望ましい側方ガイドの要件 2―ガイド部位の違いが顆頭位,顆頭運動および筋活動に与える影響
  2 ガイドの傾斜の設定
   1―顆路と切歯路の関係 2―ガイドの傾斜の設定 3―滑走運動時の下顎の回転 4―切歯点運動経路と非作業側顆路の関係 5―ガイド面の方向
  3 咬合接触とクリアランスの確保
  4 プロビジョナルレストレーションと咬合
  コラム 下顎の運動方向(開閉口方向)と回転方向
 3 ファセットを読む―顎運動に調和したクラウンを製作するための歯科技工士の視点―(石田 修・藤本直樹)
  1 咬合器の調節性をファセットを読むことで補う
  2 模型の咬合面のファセットから何を読みワックスアップに反映させるか
  3 クラウンのワックスアップを行ううえで参考となるエビデンス
  4 ファセットを読んで自由運動咬合器上でワックスアップを行う
  5 咬合参照面を基準としたワックスアップについて
第4章 顎機能障害(顎関節症)と咬合
 1 顎機能障害の病因論と咬合異常(竹内久裕)
 2 顎機能障害に対する咬合治療の適応症と治療の進め方(中野雅徳・石川輝明)
  1 顎機能障害における咬合治療の位置づけ
  2 顎機能障害に対する咬合治療の進め方
   1―発症(増悪)メカニズムの診断を重視した咬合治療 2―スプリントの作用機序に対する考え方 3―咬合治療の適応症 4―可撤性のスプリント治療から最終的な補綴治療を開始するまでの移行的咬合治療 5―最終的咬合治療
 3 スプリント治療の実際(石川輝明・中野雅徳)
   1―患者へのインフォームドコンセント 2―スプリント治療に先だって(並行して)行う治療 3―スプリントの印象採得 4―スプリントの咬合採得 5―スプリントの設計ならびに製作法 6―咬合接触の与え方 7―スプリントの調整法 8―スプリントの装着時間 9―スプリントの装着後の来院間隔と装着期間 10―装着に際して患者への注意事項 11―スプリント中断プログラム 12―初診日にスプリント装着が必要な症例
 4 歯科心身症と咬合(竹内久裕)
  はじめに
  1 歯科心身症
  2 精神科的診断分類
  3 診療に際しての注意点
  4 歯科心身症患者の診断治療
  5 対応について
  6 精神科等の専門家への紹介
  7 咬合に関する訴え
第5章 歯周病と咬合(西川啓介・大石慶二)
 1 歯周病と咬合性外傷
  1 咬合性外傷と歯周病
  2 咬合調整の必要性
  3 咬合接触の診査
  4 咬合調整の方法
第6章 発育と咬合(郡 由紀子)
 1 咬合誘導・予防矯正
  はじめに
  1 乳歯列期の咬合誘導
   1―反対咬合 2―開咬 3―臼歯部交叉咬合 4―過蓋咬合
  2 混合歯列期の咬合誘導
   1―永久切歯の逆被蓋 2―前歯部叢生 3―開咬 /第一大臼歯の異所萌出
  3 予防矯正
第7章 その他の歯科関連疾患と咬合
 1 顎関節の習慣性脱臼(西川啓介・中野雅徳)
  1 病態
  2 症例
 2 顎関節脱臼と鑑別すべき病態(細木真紀・中村真弓)
  はじめに
  1 症例
 3 強い噛みしめ時に下顎のズレとクリッキングが発現した症例(石川輝明・野口直人)
 4 睡眠時無呼吸症候群と咬合(西川啓介)
  1 睡眠時無呼吸症候群とは
  2 咬合とのかかわりと口腔内装置
第8章 咬合のメインテナンス
 1 フォローアップ(細木真紀)
  1 治療直後のフォローアップ
   1―通常の歯科治療で咬合にかかわる治療を行った場合 2―顎機能障害患者に対して咬合にかかわる歯冠修復を行った場合
  2 長期経過症例におけるフォローアップ
   1―生理的・加齢的変化 2―天然歯や歯冠修復物におけるフォローアップ時の注意点および対処法 3―義歯を装着している場合におけるフォローアップ時の注意点および対処法
  3 まとめ
 2 ナイトガードの使用(西川啓介)
  1 ブラキシズムの咬合力
  2 ナイトガードの必要な症例
  3 ナイトガードの製作
  4 口腔内での調整と使用法
 3 ブラキシズムへの対応の違いによって経過に差が出た2症例(細木真紀)
  1 天然歯のブラキシズム症例(失敗例)
  2 全顎的に補綴治療を行いナイトガードを使用した症例
第9章 咬合研究・咬合治療の将来展望(坂東永一)
 1 顎運動に調和した咬合面形態
 2 咬合面形態に応じた顎運動
 3 ゲノム,フィジオームと咬合研究
  コラム 咬合器の将来

 エピローグ(中野雅徳)
 索引