緒言
摂食・嚥下障害への専門的な対応を成功させるためには,その病態についての精査が不可欠である.精査には通常臨床で用いられるものとして,嚥下造影と嚥下内視鏡検査があげられる.嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopic Evaluation of Swallowing)は過去には診断目的ではなくスクリーニングとして用いられてきたが,近年では評価の基準などが整備され,誤嚥の検出力は嚥下造影検査に劣らないことや咀嚼の評価にも有用であることが報告されるなど,摂食・嚥下障害に対する有力な精査方法としての地位を確立している.また,近年ニーズが高まっている在宅や施設の摂食・嚥下障害の対応においても,VEはその持ち運びの容易さを活かし,有力な精査方法として広まりつつある.
本作品では,VEの適応や必要機材から,VEの特徴,健常者および典型的な症例の所見,さらには検査時の合併症への対応などを,DVDを用いて詳細に説明した.また冊子は映像の補足として作成している.摂食・嚥下障害の理解は動画を用いるのが一番の近道であるため,本書を手にした読者諸兄は,ふんだんに盛り込まれた動画を,実際に自分がVEを行った際に得られる映像のイメージができるようになるまで繰り返しご覧いただければ幸甚である.また,実際にVEを行わない職種の読者諸兄においては,このような映像をイメージしながら実際の訓練や食事介助を行うことは重要であるため,日常臨床を行うための一助として役立てていただければ幸いに思う.
本書はVEに特化した書籍としたために,摂食・嚥下障害に対する基本的な知識,間接訓練法,代償的嚥下法,食事介助方法の詳細などについては割愛してある.そのような知識や技術を,他書を参照するなどして十分に得てから,実際の臨床に臨んでいただきたい.
本書が,摂食・嚥下リハビリテーションの現場の活性化や,摂食・嚥下障害とともに生きる患者のQOLに向上に少しでも寄与することを願っている.
平成22年5月
戸原玄,武原格,野原幹司
摂食・嚥下障害への専門的な対応を成功させるためには,その病態についての精査が不可欠である.精査には通常臨床で用いられるものとして,嚥下造影と嚥下内視鏡検査があげられる.嚥下内視鏡検査(VE:Videoendoscopic Evaluation of Swallowing)は過去には診断目的ではなくスクリーニングとして用いられてきたが,近年では評価の基準などが整備され,誤嚥の検出力は嚥下造影検査に劣らないことや咀嚼の評価にも有用であることが報告されるなど,摂食・嚥下障害に対する有力な精査方法としての地位を確立している.また,近年ニーズが高まっている在宅や施設の摂食・嚥下障害の対応においても,VEはその持ち運びの容易さを活かし,有力な精査方法として広まりつつある.
本作品では,VEの適応や必要機材から,VEの特徴,健常者および典型的な症例の所見,さらには検査時の合併症への対応などを,DVDを用いて詳細に説明した.また冊子は映像の補足として作成している.摂食・嚥下障害の理解は動画を用いるのが一番の近道であるため,本書を手にした読者諸兄は,ふんだんに盛り込まれた動画を,実際に自分がVEを行った際に得られる映像のイメージができるようになるまで繰り返しご覧いただければ幸甚である.また,実際にVEを行わない職種の読者諸兄においては,このような映像をイメージしながら実際の訓練や食事介助を行うことは重要であるため,日常臨床を行うための一助として役立てていただければ幸いに思う.
本書はVEに特化した書籍としたために,摂食・嚥下障害に対する基本的な知識,間接訓練法,代償的嚥下法,食事介助方法の詳細などについては割愛してある.そのような知識や技術を,他書を参照するなどして十分に得てから,実際の臨床に臨んでいただきたい.
本書が,摂食・嚥下リハビリテーションの現場の活性化や,摂食・嚥下障害とともに生きる患者のQOLに向上に少しでも寄与することを願っている.
平成22年5月
戸原玄,武原格,野原幹司
DVDの使用にあたって
1 嚥下内視鏡検査の歴史(武原 格)
1.嚥下内視鏡検査の変遷
2.わが国における歴史
2 嚥下内視鏡のセット(野原幹司)
1.はじめに
2.電子内視鏡と光学内視鏡
3.内視鏡本体
4.光原
5.カメラ,モニタ
6.記録装置
7.マイクロフォン
8.その他必要物品
3 消毒(武原 格)
1.消毒の流れ
4 嚥下内視鏡検査に必要な解剖(野原幹司)
1.はじめに
2.内視鏡の鼻咽腔挿入経路
3.鼻咽腔
4.咽頭・喉頭
5.おもな解剖部位
5 VFとの比較,VEの問題点(戸原 玄)
1.はじめに
2.VFとVEの特徴について
3.VFとVEの使い分けについて
6 内視鏡の操作の仕方(野原幹司)
1.はじめに
2.もち方
3.操作手技
4.操作時の注意点
5.トラブル時の対応
7 健常者の内視鏡所見と観察ポイント(野原幹司)
1.はじめに
2.鼻咽腔
3.咽頭・喉頭
4.嚥 下
8 典型症例と対応(戸原 玄)
1.はじめに
2.対応を考える際の基本
3.典型症例と対応
9 見逃してはいけない器質的疾患と使用にあたっての注意事項(武原 格)
1.見逃してはいけない器質的疾患
2.使用にあたって注意すること
付 VEに関するQ&A
戸原;Q4,6〜8,10,13,15〜18
武原;Q2,5,11,12,19〜21
野原;Q1,3,9,14
索引
1 嚥下内視鏡検査の歴史(武原 格)
1.嚥下内視鏡検査の変遷
2.わが国における歴史
2 嚥下内視鏡のセット(野原幹司)
1.はじめに
2.電子内視鏡と光学内視鏡
3.内視鏡本体
4.光原
5.カメラ,モニタ
6.記録装置
7.マイクロフォン
8.その他必要物品
3 消毒(武原 格)
1.消毒の流れ
4 嚥下内視鏡検査に必要な解剖(野原幹司)
1.はじめに
2.内視鏡の鼻咽腔挿入経路
3.鼻咽腔
4.咽頭・喉頭
5.おもな解剖部位
5 VFとの比較,VEの問題点(戸原 玄)
1.はじめに
2.VFとVEの特徴について
3.VFとVEの使い分けについて
6 内視鏡の操作の仕方(野原幹司)
1.はじめに
2.もち方
3.操作手技
4.操作時の注意点
5.トラブル時の対応
7 健常者の内視鏡所見と観察ポイント(野原幹司)
1.はじめに
2.鼻咽腔
3.咽頭・喉頭
4.嚥 下
8 典型症例と対応(戸原 玄)
1.はじめに
2.対応を考える際の基本
3.典型症例と対応
9 見逃してはいけない器質的疾患と使用にあたっての注意事項(武原 格)
1.見逃してはいけない器質的疾患
2.使用にあたって注意すること
付 VEに関するQ&A
戸原;Q4,6〜8,10,13,15〜18
武原;Q2,5,11,12,19〜21
野原;Q1,3,9,14
索引