やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 看護は,対象となる人々がどのような健康状態にあっても,またどのような生活の場にあっても,人々の一生にわたって健康の保持・健康の増進・健康の回復に直接にかかわる重要な専門的働きである.したがって,看護職者は,人間の生命現象や生活現象を広い知識を通して丁寧に,そして正確に観,十分に理解することが必要となる.またそれらを統合して人々の健康と福祉の向上のために実践に活用でき,さらに科学的・創造的に研鑚し続けることが専門職者としての責務となる.
 栄養学はまさにこの生命現象としての「いのち」と生活現象としての「生きる」を問い続ける学問といえる.人間がとり込む食物,とり込む側の人間,食物と人間を包括する社会の関係を「いのち」と「生きる」に位置づけた学問が栄養学である.食物の「いのち」を人間がいただき,いただいた「いのち」で人間は生き,多くの「いのち」と「いのち」で社会が成り立つ.人々にとって,自らの「いのち」を健康にし,向上させることは重要な課題であり,看護職者はその課題達成に対して,もっとも身近にいて援助協力できる役割をもつ.
 さらに,小林らは,患者と看護者の関係は,相互に健康上のバランスを考慮した人の出会いにより,初めて健康問題に対して自立的に対処でき,共にいかされる体験となると述べている.患者が健康問題に対し自立的に対処できるように働きかけるには,看護者自身も自らの健康問題に主体的に取り組む姿勢をもつことが望ましい.
 本書は,「いのち」,「生きる」,「自立」をテーマとし,日々の体験が対象者とともにいかされる体験となるように,また本書を読み終えたときに,その重要性に気づくことができるような内容であることを心がけた.また,より高い質の看護とは「対象となる人の精神的,身体的ニードを的確に把握し,その時々に適切な対応ができ,その人らしく生活できるよう(自己実現)に援助できること」と考えるとき,栄養学を通して,その人らしい生活,「食」生活のありようを探究することは,より高い質の看護実践のために重要な意味をもつと考える.
 本書は,以上のような考えのもとに編集された.
 第1 章から3 章は,看護学と栄養学との出会いから,その人らしい食生活とはどんな食生活であろうか,人の一生とのかかわりにおいて,食はどんな意味をもつであろうかを考えた.第4 章では,何をどれだけ食べたらよいかを問い,第5 章は,とり込まれた食物のゆくえを追い,第6章,7 章においては,食べることと健康とのかかわりにこだわる.第8 章は,人間と食文化の側面をとりあげ,食文化を楽しみながら健康に生きることについて論じ,第9 章では,「その人らしい食生活」への働きかけについて,その考えと事例による展開を試みていただいた.
 各章を通じて「いのち」,「生きる」,「自立」をテーマとし,各著者の貴重な提言をもとにして構成されているが,まだ十分とはいえず,読者の皆様のご意見,ご批判をいただきながら修正を加え,さらに内容が充実していくことを願っている.
 本書が生まれることとなった背景には,編者の一人である尾岸が看護学における栄養学の授業展開に苦慮し,7 年前からプログラム学習をとり入れ,学生とともに「食」にこだわり,学ぶなかから上記のような考えに至った経緯がある.
 プログラム学習は,健康上のバランスを考慮した看護者として患者に出会えるように,健康問題に対し自律的・自立的に対処できる学習姿勢が培われることを意図し,学生自らの気づきを出発点にし,主体的行動により学習を深める方法として検討されたものである(「看護栄養学・プログラム学習の進めかた」参照).
 これらの教育方法を含めて,本書が看護学生のテキストとして活かされ,また,より質の高い看護実践のために,臨床に携わるナースの方々共どもご利用いただけることを願ってやみません.
 1996年1月吉日
 編者代表 尾岸恵三子


第2 版の発行にあたって
 ここ4 年程の間に,日本人の栄養問題への取り組みは大きな変化をみせている.それは健康を保つうえで標準となるエネルギーや栄養素の摂取量を示す「日本人の栄養所要量」の5 年ぶりの改定内容にも波及しているように思われる.
 1969 年に厚生省が設定した「日本人の栄養所要量」は,当初は栄養素欠乏症を予防することを目的としたものであり,以来5 年毎に見直されてきた.今年1999 年は第6 回目の実施となる.今回の見直しの特徴は,健康の保持・増進,生活習慣病予防を中心的な目的としたことである.すなわち,栄養素欠乏症の解消・予防のための健康維持だけでなく,昨今の栄養をめぐる問題に対応していることである.たとえば,栄養素摂取量のバランスの乱れ,栄養素の欠乏あるいは摂取過剰に陥りやすい生活状態など,いわゆる半健康状態や半病気の状態にある人々に対して,積極的に健康増進を推し進め,生活習慣病誘発の危険要因を軽減・除去し,生活習慣病の予備群を解消することである(具体的には,栄養素欠乏症を予防する観点から「平均必要量」「栄養所要量」を,過剰摂取による健康障害を予防する観点から,「許容上限摂取量」を算出している.許容上限摂取量は,ビタミン,ミネラルなど過剰に摂取すると健康障害を起こす栄養素について設定した上限値である).
 そこでこの度「日本人の栄養所要量」の第六次改定の背景となった食生活の変化をふまえ,この機に本書の改訂を行うこととした.
 今回の改訂で編著者らが意図した点は,現時点での最新の内容を入れることに加え,第10 章「現代人の食生活の課題」では,現代の食生活の問題を浮き彫りにし,看護者として今後どのように対応していくのか,その方向性を探る課題を提起した.
 まだ不十分な点があろうかと思いますが,今度さらに内容充実を図るとともに,本書を通じ人々の健康生活の向上に役立つことができれば幸いに存じます.
 これまでに感想をお寄せいただき,本書の成長にご尽力いただいた読者の皆様に厚く御礼申し上げます.
 2000 年1 月吉日
 編者代表 尾岸恵三子


第3 版の発行にあたって
 平成17 年4 月から,厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室の公表により「2005 年改定日本人の食事摂取基準」が施行される運びとなり,長年親しまれてきた「栄養所要量」という用語は消えることになった.また,今回の基準は,原則として,健常者を対象としており,食事療法を受けている人々にそのまま適応することは望ましくないとされている.
 さらに,日本をはじめとする先進諸国では,飽食が問題となる時代であり,エネルギー・栄養素の欠乏は認められなくなったことから,必要量を測定することは今後ほとんどないだろうと言われている.今や「食」の世界は大きく変化している.
 今回の改訂は,これらの社会の変化に対応することを意図した.また,同時に現時点での最新の内容を加えることに力を注いだ.したがって,第4章のどれだけ食べたらよいか,第7章の疾病と栄養の項の改訂が比較的多くなっている.
 まだ不十分な点があろうかと思いますが,今後も流動する「食」の世界の情報を敏感に察知して内容の充実に務め,人々の健康生活の向上に寄与できる最良の書にしたいと思っています.
 看護学生や臨床に携わる看護師の皆様に本書をご活用いただき,また,ご意見ご感想をお寄せ下さいますようにお願いいたします.
 2005 年2月吉日
 編者代表 尾岸恵三子


第4版の発行にあたって
 平成25(2013)年度に開始した「健康日本21(第二次)」は,高齢化の進展や糖尿病等有病者数の増加を踏まえ,主要な生活習慣病の発症予防と重症化予防の徹底を図ることが基本的方向として掲げられている.健康の保持・増進とともに,生活習慣病の予防,発症予防,重症化予防も視野に入れた策定となっている.
 本書の改訂は,これらに鑑み,人びとの食生活の変化に対応するとともに,食生活の今後の方向を見通した高齢社会への活用,より人びとの生活の視点からの食生活のありよう,実践や研究を推進していくことによる科学的根拠に基づくものである.著者には,進化・多様化する人びとの食生活を深く読み解き,看護者として人びとの豊かな食生活を願い,各分野の専門家の参加をお願いした.
 本書の使命は,いかなる時代においても「いのち」,「生きる」,「自立」をテーマとし,「その人らしい食生活のありよう」を追求し,より高い質の看護への発展に寄与することにある.
 本書が看護学生および看護師の皆さんに活用され,より質の高い看護実践に役立つことを願っています.
 2018 年3 月吉日
 編者代表 尾岸恵三子
Chapter 1 看護学における栄養学の流れ
 (尾岸恵三子)
     看護における栄養学とは
 1 看護学における栄養学の原点
     ナイチンゲールのとらえた「食」と看護
     看護学と栄養学の接点
 2 日本の看護学教育における栄養学教育
     1949〜1966年 健康な生活を整える要素としての栄養学
     1967〜1988年 体内の物質代謝としての栄養学
     1989〜1996年 日常の食生活からとらえる栄養学
     1997年〜現在 統合カリキュラムにおける栄養学
 3 看護学教育における栄養学の方向性
     生活の基本的要素としての「食」
     子どもの「食べる力」を育むことへの支援
     高齢者の「食生活を支える」ことへの支援
     食生活を通して患者の自己実現を援助するための栄養学
Chapter 2 QOLと食生活
 (尾岸恵三子)
     “その人らしい食生活”への援助
 1 健康と食
     「健康で長生き」とは
     健康生活の鍵を握る「食生活」
  1 「食」を通して見えるもの
     「食」を通した人間観察
   (1)食べる人間の観察で何がみえるか
     人間の欲求 食欲はこころの表現
     人間の身体 栄養素の取り込みと固有の性質
     人間の文化的,社会的側面 食行動の背景となるもの
     人間と食物 文化・生産・社会活動とのかかわり
  2 健康と食生活
     変化する食文化と食生活への影響
   (1)食生活の変遷と栄養状態
     食品の消費
     摂食行動
   (2)食生活と疾病
     食生活指針の実践のために
     主要死因の年次推移
 2 人間生活(生きる)を豊かにする食
     食卓の演出とQOL
     健康づくりのための食生活指針
     食生活に表現されるQOL
Chapter 3 ライフサイクルと栄養
 (高田由美)
 1 ライフサイクルの変容
 2 各ライフステージにおける栄養の意義
 3 ライフステージごとの栄養の特徴
  1 新しい生命を育むための栄養
   (1)妊(胎生期)産婦・授乳婦
   (2)胎内から始まる母子の健康のための栄養
  2 発育・発達過程に欠かせない栄養
   (1)乳児期
   (2)幼児期
   (3)学童期
   (4)思春期
   (5)乳児期〜思春期における食べる力の基礎づくり
   (6)小児期の肥満とやせ
  3 成熟した身体を支え,次世代を見すえた栄養
   (1)食習慣や生活習慣の見直し・改善
   (2)女性に多い低体重
   (3)生活習慣病のリスクを高める飲酒
  4 老年期を穏やかに過ごすための栄養
   (1)加齢に伴う食事摂取への影響
   (2)低栄養状態による影響
Chapter 4 食べる行動から始まる栄養
     食べる行動とは(尾岸恵三子)
 1 食べる行動(尾岸恵三子)
   (1)人間のこころの状態と食べる行動とのかかわり
     食べる「行動」の意味
     食行動に秘められるこころの状態
     事例1:食べたくないと表現していた患者
     事例2:ぼく,お母さんと一緒に食べるんだ
   (2)食欲とのかかわり(図4-2)
     欲求の対象としての食
     食べるという方向を決める食欲
   (3)食物の選択
     食体験の影響
     食物選択のタイプ
     健康食品と自然食品
     加工食品の増加
   (4)食物の取り込み方
     取り込み方の特徴
     取り込み方と習慣
 2 何を食べたらよいか(尾岸恵三子)
     何を食べてきたか
   (1)食物とは
     食物の機能
     栄養素の特徴
     おもな食品
   (2)栄養とは,栄養素とは
     栄養とは
     栄養素とは
     三大栄養素(熱量素)
     保全素
   (3)からだと食物
     からだと食物の基本的関係
     日常生活の対応行動に表現されるストレスと食べることとの関係について
 3 どれだけ食べたらよいか(本田佳子)
  1 どれだけ食べたらよいかの栄養素を食物でとらえる
  2 食物や食品の分類
   (1)食品の分類法
   (2)糖尿病食事療法のための食品交換表(4 群6 分類法)
   (3)腎臓病食品交換表(6 分類5 別表法)
   (4)特別用途食品と保健機能食品
  3 どれだけ食べたらよいか(食事の摂取量)を示す食事摂取基準
  4 どれだけ食べたらよいかを栄養素量でとらえる
  5 各栄養素とその量
   (1)エネルギー
   (2)たんぱく質
   (3)脂質
   (4)炭水化物
   (5)食物繊維
   (6)脂溶性ビタミン
   (7)水溶性ビタミン
   (8)多量ミネラル
   (9)微量ミネラル
Chapter 5 取り込まれた食物のゆくえ
 (伊東栄子・尾岸恵三子)
     飲食のしかた
     口から取り込まれた食物
     消化器系の調節
 1 消化から始まる栄養
  1 栄養素の消化・吸収
   (1)消化
     口腔での消化
     胃における消化
     腸における消化
   (2)吸収
     吸収のメカニズム
     栄養素の吸収
  2 消化・吸収の良いとき悪いとき
     消化・吸収を促進する条件
     消化・吸収の異常を意識するとき
  3 消化吸収率
     見せかけの吸収率
     実際の吸収率
  4 吸収された三大栄養素のゆくえ
 2 排泄物の姿
     糞便の形成と排便
     糞便の性状と量
     尿の性状と量
Chapter 6 健康と栄養
 (高田由美)
 1 健康における栄養の意義
  1 平均寿命の延伸とその背景
  2 疾病構造の変化がもたらした健康づくり対策
  3 健康寿命の延伸と健康格差の縮小に向けた取り組みの背景
  4 生活習慣病と食生活の関係
   (1)1 日に野菜・果物350 g摂取する工夫
   (2)食塩摂取量と胃がん・高血圧の関係
  5 高齢化社会における医療介護福祉の動向と栄養に関する対策
 2 健康と食生活における課題
  1 健康と食生活に対する個人の意識と実態
  2 成人期〜老年期における健康と食の課題
   (1)成人期
   (2)高齢期
Chapter 7 疾病と栄養
 1 栄養アセスメントと栄養障害(佐藤敏子)
  1 栄養アセスメント
  2 栄養障害の種類と程度
 2 栄養療法(栄養管理法)(古内三基子・椎名美知子)
  1 栄養療法の選択
  2 経口栄養法
  3 経管栄養法
   (1)経鼻アクセス
   (2)消化管瘻アクセス
  4 経静脈栄養法(PN)
   (1)末梢静脈栄養法(PPN)
   (2)中心静脈栄養法(TPN)
 3 各疾患と食
  1 疾患とライフサイクル(佐藤敏子)
   (1)小児期
   (2)思春期
   (3)成人期
   (4)老年期
   (5)妊娠期
  2 循環器疾患(塚田芳枝)
   (1)高血圧
     高血圧の病態
     高血圧の栄養管理
   (2)妊娠高血圧症候群
     妊娠高血圧症候群の病態
     妊娠高血圧症候群の栄養管理
   (3)心疾患(虚血性心疾患,心不全)
     心疾患の病態
     心疾患の栄養管理
   (4)脳卒中
     脳卒中の病態
     脳卒中の栄養管理
  3 内分泌,代謝障害
   (1)糖尿病(馬場千恵子・佐藤敏子)
     糖尿病とは
     糖尿病の栄養管理
   (2)肥満(症)(佐野喜子)
     肥満(症)の病態
     肥満(症)の栄養管理
   (3)脂質異常症(塚田芳枝)
     脂質異常症の病態
     脂質異常症の栄養管理
   (4)先天性代謝異常症(佐藤智英)
     先天性代謝異常症の病態
     先天性代謝異常症の栄養管理
  4 腎疾患・痛風
   (1)腎疾患(金内則子)
    A.慢性腎臓病(CKD)
     慢性腎臓病(CKD)とは
     慢性腎臓病の栄養管理
    B.ネフローゼ症候群
     ネフローゼ症候群とは
     ネフローゼ症候群の栄養管理
    C.糖尿病腎症
    D.急性腎障害(AKI)
     急性腎障害(AKI)の栄養管理
   (2)痛風(茂木さつき)
     痛風とは
     痛風の栄養管理
  5 消化器疾患
   (1)上部消化管(朝倉比都美)
    A.逆流性食道炎
     逆流性食道炎とは
     逆流性食道炎の栄養管理
    B.胃切除術後栄養障害
     胃切除術後栄養障害とは
     胃切除術後栄養障害の栄養管理
   (2)下部消化管(太田裕子・佐藤照子)
    A.便秘
     便秘とは
     便秘の栄養管理
    B.下痢
     下痢とは
     下痢の栄養管理
    C.潰瘍性大腸炎
     潰瘍性大腸炎とは
     C.潰瘍性大腸炎の栄養管理
    D.クローン病
     クローン病とは
     クローン病の栄養管理
   (3)肝疾患(脂肪肝,肝硬変,NASH・NAFLD),膵炎,胆石(川村千波)
    A.脂肪肝
     脂肪肝とは
     脂肪肝の栄養管理
    B.肝硬変
     肝硬変とは
     肝硬変の栄養管理
    C.非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD),非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)
     NAFLD,NASHとは
     NAFLD,NASHの栄養管理
    D.膵炎
     膵炎とは
     膵炎の栄養管理
    E.胆石
     胆石とは
     胆石の栄養管理
  6 食物アレルギー(林 典子)
     食物アレルギーとは
     食物アレルギーの栄養管理
  7 褥瘡(村越美穂)
     褥瘡とは
     褥瘡の栄養管理
  8 摂食嚥下障害(清水充子)
     摂食嚥下障害とは
     摂食嚥下障害の栄養管理
  9 精神疾患(五十嵐大輔・野本尚子)
     摂食障害とは
  10 呼吸器疾患(田中弥生)
     呼吸器疾患(とくに慢性閉塞性肺疾患)とは
     呼吸器疾患の栄養管理
  11 がん(桑原節子)
     がんとは
     がんの栄養管理
 4 在宅(居宅)患者の栄養支援(田中弥生)
  1 栄養スクリーニング
  2 栄養アセスメント
  3 栄養状態の判定
  4 在宅高齢患者における経口摂取の問題点
  5 在宅での栄養支援の計画・実施
 5 チーム医療(関根里恵)
  1 栄養サポートチーム(NST;Nutrition Support Team)
  2 NSTのメンバーおよび役割
  3 地域におけるNST
  4 呼吸ケアサポートチーム(RST;Respiratory Support Team)
  5 糖尿病透析予防指導におけるチーム医療
  6 入院・外来におけるチーム医療の実践
  7 より効果を発揮するために
Chapter 8 人間と食文化
 (夏原和美)
 1 環境中から食物を手に入れるための生態学的諸条件と食文化
 2 自然の条件(その環境の生物相)と食と文化
   (1)文化としての昆虫食
   (2)自然の条件と食文化
 3 食材を得て食べるまで(食物を手に入れ,加工保存するための人間の技術,食物の分配と流通と食べ方)と文化
   (1)食物獲得技術の変遷
   (2)食物の調理の工夫
   (3)食物の分配
   (4)食物の加工と食べるまでの関係
 4 食文化と栄養状態・健康状態
   (1)栄養に関する生物学的適応
   (2)栄養に関する文化的適応
   (3)食文化と健康状態
Chapter 9 セルフケアと食
 1 食とセルフケア(正木治恵)
   (1)セルフケアとは
     看護師の役割
   (2)セルフケアプロセス
   (3)健康教育と患者教育
     「好ましい食習慣の確立」への働きかけ
     「食行動の変容」への働きかけ
     セルフケア能力向上のために
 2 食習慣をつくる健康教育(正木治恵・伊藤まゆみ)
   (1)健康教育の考えかた
     専門家による健康教育
     健康教育の対象となる生活習慣
   (2)健康教育のプロセス
     知識を伝達する健康教育 納得から実践へ
     問題解決を促す健康教育 実践から納得へ
     健康教育のプロセス
   (3)健康教育としての食教育
     食教育の目的
     食教育の方法
   (4)好ましい食習慣の確立
     好ましい食習慣とは
     なぜ好ましい食習慣を形成する必要があるのか
     食習慣はどのようにつくられていくか
   (5)食教育の展開
     セルフケアの推進
   (6)食教育の展開の実際
     親への教育 好ましい食習慣の形成へ
     本人への教育 好ましい食習慣の形成から好ましい食習慣の確立へ
     本人ならびに家族への教育 好ましくない食習慣の形成から好ましい食習慣の確立へ
 3 食行動変容を促す患者教育(正木治恵・伊藤まゆみ)
   (1)患者教育の考えかた
     健康教育と患者教育
     食における患者教育の目的
     患者教育の目標としての食行動の変容
     セルフケア能力を育む
     「指導」と「援助」の使い分け
   (2)食における患者教育の展開
     食生活や健康についての思いを知る
     食生活の実態を知る
     生活を知る
     援助する
   (3)患者教育の展開の実際
     事例1:肥満是正への努力
     事例2:食品交換表の単位が理解できない
     事例3:妻の協力が得られなくても
 4 食卓の営みと援助(遠藤和子)
  1 食卓の営み
     なぜ食卓の営みに着目するのか
     食卓の営みとは
   (1)食卓とは
   (2)「食卓の営み」について
     食卓を語ることについて
  2 食卓の営みに着目した援助過程
     食卓の営みに着目した援助
   (1)援助事例
     事例4:嫁として家族関係に悩み,自分のセルフケア行動に目を向けられずにいる女性
     事例5:更年期症状と自営業の負担感,子どもの自立にゆらぎ,自分のセルフケア行動に向かえない女性
     事例6:母の介護をめぐり弟妹とうまくいかなくなった,女手ひとつで娘を育ててきた女性
     援助の意味
  3 食卓の営みに着目した援助方法
   (1)食卓の営みに着目した援助の目的・ゴール
   (2)食卓の営みの語りを聴く
   (3)聴き手のあり方
   (4)援助する際の準備,心得
   (5)援助の始め方
   (6)食卓のスケッチの記入
   (7)援助の評価
     多職種連携のなかで食の援助における看護師の役割
 5 ヘルスプロモーションと食(宮ア美砂子)
  1 ヘルスプロモーションとは
     ヘルスプロモーションの考え方の特徴
     ヘルスプロモーションの活動方法
  2 ヘルスプロモーションを重視した食の援助方法
  3 21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)
   (1)健康日本21 による健康づくりの取り組み
   (2)健康日本21(第二次)による健康づくりの推進
Chapter 10 現代人の食生活の課題
 (尾岸恵三子・正木治恵)
     現代人の食生活から
 1 何を食べているのだろうか?
     子どもたちの朝ごはん
     未来の人間には顎がない?
     コンビニ前にすわりこんで食事
     思春期の朝食欠食
     若い細身女性の食事は大丈夫?
     宇宙スタイルの食事?
     病気を治す食品がある?
 2 何のために食べているのだろうか?
     社会につくられた“ かっこよさ“ に振り回される若者たち
     食費よりも電話代が重要
     食事よりも仕事が優先?
     食事に気をつけていれば万全?
     便利になったことで失われていくもの,得るもの
     “ 食べること” にまつわる価値観の変化
 3 食事はだれのために,だれがつくっているのだろうか?
     ダイオキシンの母乳への影響を恐れ,飲ませてもよいか悩む母親
     新米ママがアトピー性皮膚炎の子どものために大奮闘
     お菓子を食べて食事をとらない3 歳7 カ月の子どもに手を焼いている母親
     一緒にいても孤食,でも気にしている様子なし
     塾通いで忙しい子どもの1 日の食事パターンに合わせる母親
     高校球児,1 日5 回〜6 回食で少食の不足分を補う
 4 どのように食べているのだろうか?
     父親がいる・いないで食卓の躾が極端に変化する母親
     食卓の俺の席はテーブルの角
     食卓の席を単身赴任中に失った父親
     老人の食事にかかわること

 さくいん